あそば)” の例文
ひげむしやの鳥居とりゐさまがくちから、ふた初手しよてから可愛かわいさがとおそるやうな御詞おことばをうかゞふのも、れい澤木さわぎさまが落人おちうど梅川うめがはあそばして
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
よろしう御座い升とも、御覧あそばしたら、其先へ入つしやらずと、直ぐお帰り遊ばしまし、さう遊ばせば、何にもわるいことは御座いません。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
今朝けさから御心配あそばして、停車場ステエションまで様子を見がてら電報を掛けに行くと有仰おつしやいまして、それでお出ましに成つたので御座います
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
しかし当今の御婦人さま方にはそんな迂遠まわりどおいことをあそばす方は決してございますまい、ナニ惚れたとか腫れたとか思いますと直々じき/\に当って御覧なさる。
それにしてもあなたさまなんっしゃる御方おかたで、そしていつごろ時代じだい現世げんせにおうまあそばされましたか……。
「ふん、おっしゃるだの、あそばせだのって云うかと思やべいべい、言葉も使い分けるしな、奇妙な婆あだ」
かやの生立 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
尋ね常々つね/″\新町へも入込いりこみ居たりしに彌七は勘兵衞が御仕置おしおきとなりたる事をきゝ最早もはやおそるゝ者なしと四五日以前に大坂へ立戻たちもどり久々にて一ばんあそばんと其年七月十五日の夜新町の茶屋へ這入所はひりしところ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「ホホホホ。ちょっとここを御覧あそばせ。——見えるでしょう? どう気に入って」
鍵から抜け出した女 (新字新仮名) / 海野十三(著)
侍女一 早くお着きあそばせばうございます。わたくしどももお待遠まちどおに存じ上げます。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「また源義経公川上白矢ガ嶽にて五月節句をお祝あそばされそれより御下りこれあり村国庄司内にて三四十日被御逗留ごとうりゅう宮滝柴橋御覧有りその時御詠およみの歌に」として二首の和歌がっている。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
御霊魂御照覧ごしょうらんあそばさるべく候こと。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
昨日きのふあさ千葉ちばわたしびまして、奧樣おくさまこの四五にちすぐれやう見上みあげられる、うぞあそばしてかと如何いかにも心配しんぱいらしくまをしますので
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
りますので御座いますから、私共の体は貴方の物も同然、御用に立ちます事なら、どんなにでもあそばしてお使ひ下さいまし。狭山もそんなに申してをります
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
指てまゐられ候なりと申上るに中納言ちうなごん綱條卿斯と御聞とりあそばし伊豆守同道とは何事ならんと御まち有けるにもなく兩人御館へ參られ伊豆守越前守同道參上さんじやうつかまつり御目見をねがたてまつると取次を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お嬢様、おとなりへいらつして御覧あそばしましな。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
うれしさむねなかにおさへがたく、かげながらおがんでてもいほどのかたじけさなれど、つく/″\うへおもひまするに、貴郎あなたはこれよりいやます/\の御出世ごしゆつせあそばして
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「解らないぢや御座いませんか! 鬱ぐのが病気だと有仰おつしやるから、どう為てお鬱ぎあそばすのですと申せば、病気で鬱ぐのだつて、それぢや何処どこまで行つたつて、同じ事ぢや御座いませんか」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
披見ひけんに及べば此度松平左京太夫殿御病死ごびやうしの所御世繼よつぎこれ無に付ては加納將監方へおあづあそばし候徳太郎君御跡目あとめしかるべしとの事なり此儀このぎもつともの事なりとて早速さつそく加納將監へ其段申渡しければ將監かしこまり急ぎ立戻たちもどりて其趣そのおもむきを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うぞ御聞おきゝあそばしてときつとなつてたゝみとき、はじめて一トしづく幾層いくそきをもらしそめぬ。
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御前おまへのやうなつまつたのはとてに御出おいあそばしました、なんといふこと御座ござりませう一ねん三百六十五にちものいふことく、稀々たま/\はれるは此樣このやうなさけないことばをかけられて
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いまぶんにてじようさまと御祝言ごしうげん御家督ごかとくひきつぎはやはやきおとしにはあるまじくと大賛成おほさんせいに候、さだめしさだめし其地そのちにはあそばしかけの御用事ごようじ御座ござ候はんしかるべく御取おとりまとめ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御家督引つぎはや早きおとしにはあるまじくとおほ賛成に候、さだめしさだめしその地にはあそばしかけの御用事も御座候はんそれ等を然るべく御取まとめ、飛鳥とぶとりもあとを濁ごすなに候へば
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
勝手にやつて見ませうとわざとすねて、むつとがほをして見せるに、野沢さんは本当にどうかあそばしていらつしやる、何がお気に障りましたのとお縫はうつくしい眉にしわを寄せて心のしかねるてい
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
勝手かつてにやつてませうとわざとすねて、むつとかほをしてせるに、野澤のざわさんは本當ほんたうにどうかあそばしていらつしやる、なにがおさわりましたのとおぬひはうつくしいまゆしわせてこゝろしかねるてい
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)