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賭
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かけ
ふりがな文庫
“
賭
(
かけ
)” の例文
「お聞きの通りだ、親分、——この
賭
(
かけ
)
は
口惜
(
くや
)
しいが親分の勝さ、四十五六の型へ入れて抜いたような御用人だ。逢いますか、親分」
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こうして、ついに法水との
賭
(
かけ
)
に、押鐘博士が勝った。しかし、内容を白紙と主張した法水の真意は、けっしてそうではなかったらしい。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「はい、いままわします。ですけれど、じつはこのさきの
都田川
(
みやこだがわ
)
で、そんな
高札
(
こうさつ
)
を見ました時に、
仲間
(
なかま
)
の者と
賭
(
かけ
)
をしたのでございます」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いわく兎が亀に会うて自分の足
疾
(
はや
)
きに誇り亀の歩遅きを嘲ると亀
対
(
こた
)
えてしからば汝と競争するとして里程は五里
賭
(
かけ
)
は五ポンドと定めよう
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
池主、池番が胴を取って、コイ一尾につきタバコ一個とか、あるいは個人同志で、百匁についていくらいくら、と
賭
(
かけ
)
ができる。
江戸前の釣り
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
▼ もっと見る
甚
(
はなはだ
)
しく平等の思想に欠け、人は恋愛の奴隷、虚栄の従僕となつて納まり返り、大臣からしてが
賭
(
かけ
)
をして
他
(
ひと
)
の妻を取るほど
博奕
(
ばくち
)
思想は行はれ
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
この鷺を撃てるか撃てぬかの
賭
(
かけ
)
になって、甚五郎が鉄砲で撃つ。そこに「そのまま黒ずんだ土の上に、綿一撮みほどの白い形をして残った」
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
疑いもないことです……わたしは
賭
(
かけ
)
をしてもいいが、あなたもこういった種類の話を、もう何か聞き込んでおられるでしょう?
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
あらゆる事柄に対して保証されることを欲する人間——ひとは戦争に対してさえ保険会社を設立する——も、
賭
(
かけ
)
に熱中する。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
と
私
(
わたし
)
の
掌
(
てのひら
)
を
開
(
あ
)
けさせて、ころりと
振
(
ふ
)
つて
乗
(
の
)
せたのは、
忘
(
わす
)
れもしない、
双六谷
(
すごろくだに
)
で、
夫婦
(
ふうふ
)
が
未来
(
みらい
)
の
有無
(
ありなし
)
を
賭
(
かけ
)
為
(
し
)
やうと
思
(
おも
)
つて
買
(
か
)
つた
采
(
さい
)
だつたんです。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
昔し
以太利亜
(
イタリア
)
の画家サルヴァトル・ロザは泥棒が研究して見たい一心から、おのれの危険を
賭
(
かけ
)
にして、山賊の
群
(
むれ
)
に
這入
(
はい
)
り込んだと聞いた事がある。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
中年まではひどく貧乏ぐらしであった。昔は将棋指しには一定の収入などなく、高利貸には責められ、米を買う金もなく、
賭
(
かけ
)
将棋には負けて裸かになる。
可能性の文学
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
旅順
陥落
(
かんらく
)
の
賭
(
かけ
)
に負けたからとて、校長は
鶏卵
(
たまご
)
を十五個くれたが、それは実は病気見舞いのつもりであったらしい。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
もう、それは、おそい。リント少将は、大きな
賭
(
かけ
)
をしているのだ。大アメリカ連邦のために、この大きな賭を
地底戦車の怪人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
或る時人と
賭
(
かけ
)
をして一人にて前薬師に登りたり。帰りての物語に曰く、頂上に大なる岩あり、その岩の上に大男三人いたり。前にあまたの金銀をひろげたり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
日本の人民の心理にある軍国主義の残滓は、まだまだ戦争を人類的犯罪としてじかに感じるよりも、こんにちのところでは、世界の
賭
(
かけ
)
として見る傾向がつよい。
戦争はわたしたちからすべてを奪う
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
その日の競馬は五組に分れて、
抽籤
(
くじびき
)
の結果、源は最後へ廻ることになっておりました。誰しもこの最後の勝負を予想する、
贔顧
(
ひいき
)
々々につれて盛に
賭
(
かけ
)
が行われる。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それは遠くもない
田舎
(
いなか
)
に、甚五郎が
隠
(
かく
)
れているのが知れたので、助命を願いに出たのである。源太夫はこういう話をした。甚五郎は
鷺
(
さぎ
)
を撃つとき蜂谷と
賭
(
かけ
)
をした。
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
非道
(
ひど
)
い奴はアラスカ丸が日本に着くまでに沈むか、沈まないかって
賭
(
かけ
)
をしている奴なんか居るんですぜ
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかし、旦那、テルソン銀行のようなところになりますと、十五年前はおろか、五十年ばかりも前でも、繁昌していらっしったということには、手前がどっさり
賭
(
かけ
)
を
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
料理代を
賭
(
かけ
)
て碁をうつこともあつた。お糸さんの内では別に芸者
家
(
や
)
をも開いて居た。おもちやと云ふお酌がまた私達のひいきであつた。其頃は十四であつたかと思ふ。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
そして
笑談
(
じょうだん
)
のように、軽い、好い拳銃を買いたいと云った。それから段々話し込んで、
嘘
(
うそ
)
に
尾鰭
(
おひれ
)
を付けて、
賭
(
かけ
)
をしているのだから、拳銃の打方を教えてくれと頼んだ。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
弟
(
おとうと
)
の
神
(
かみ
)
はそれからうちへ
帰
(
かえ
)
って、
兄神
(
あにがみ
)
と
賭
(
かけ
)
をしたことをおかあさんに
話
(
はな
)
しますと、おかあさんは
春山秋山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
賭
(
かけ
)
です。あたるか、あたらないかの賭です。あたつたら、これをみんな、あなたにあげますから。
煙草と悪魔
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼は、自分の死よりも、友人の死の方を、
寧
(
むし
)
ろ恐れた。自らの死に就いては、彼は之に馴れた。というよりも、一歩進んで、死と戯れ、死と
賭
(
かけ
)
をするような気持を
有
(
も
)
っていた。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
みよりの琴の師匠をたよって来て芸者となった
伝法
(
でんぼう
)
な、気っぷのよい、江戸育ちの歯ぎれのよいのが、大きな運を
賭
(
かけ
)
てかかる投機的の人心に合って、彼女はめきめきと売り出した。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お島は一言二言口を利いているうちに、それがつい二三日前に、ふっと引込まれて行くような
射倖心
(
しゃこうしん
)
が動いて、つい買って見る気になった或
賭
(
かけ
)
ものの
中
(
あた
)
った
報知
(
しらせ
)
であることが解った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
と
賭
(
かけ
)
をするのは、向う見ずな賭——千に対する一の賭——だろうか? こんな賭に尻込みする者は、子供だったことのない人間か、子供の特質を忘れてしまった人間か、どっちかだよ。
マリー・ロジェエの怪事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
も少しで迎えにやるつもりだったぜ。所がお清ちゃんが、屹度君は来ると云い張るんだろう。だから、迎えにやらないでも来るか来ないかという
賭
(
かけ
)
をしたんだが、つまらないことで損を
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そうすると、彼はやがてこの街とともに滅び
失
(
う
)
せてしまうのだろうか、それとも、この生れ故郷の末期の姿を見とどけるために彼は立戻って来たのであろうか。
賭
(
かけ
)
にも等しい運命であった。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
ある日外出して
鶉
(
うずら
)
を闘わして
賭
(
かけ
)
をしている者を見た。その賭には一賭に数千金をかける者があった。鶉の価を
訊
(
き
)
いてみると一羽が百文以上であった。王成は
忽
(
たちま
)
ちその鶉の売買を思いついた。
王成
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
畫
(
ゑ
)
もかきまする
歌
(
うた
)
も
詠
(
よ
)
みまする
騎射
(
きしや
)
でも
打毬
(
だきう
)
でもお
好
(
この
)
み
次第
(
しだい
)
と
笑
(
わら
)
へば、
夫
(
それ
)
ならば
畫
(
ゑ
)
を
描
(
か
)
きて
呉
(
く
)
れよ、
夕
(
ゆふ
)
べ
姉樣
(
ねえさま
)
と
賭
(
かけ
)
をして、これが
負
(
ま
)
ければ
僕
(
ぼく
)
の
小刀
(
ないふ
)
を
取
(
と
)
られる
約束
(
やくそく
)
、
夫
(
そ
)
れは
吾助
(
ごすけ
)
のことからにて
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
同伴者に向って「あの百足ちがいの頭がどんな音をたてるか
賭
(
かけ
)
をしよう」
百足ちがい
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そこで芝居へ
稽古
(
けいこ
)
に
行
(
ゆ
)
く。買物に出る。デルビイの店へも、人に怪まれない位に、ちょいちょい顔を出して、ポルジイの留守を物足らなく思うと云う話をも聞く。ついでに
賭
(
かけ
)
にも勝って、
金
(
かね
)
を
儲
(
もう
)
ける。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
「誰かと
天麩羅蕎麦
(
てんぷらそば
)
の
賭
(
かけ
)
をして、あの三階の窓から飛び下りた」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
一日の休暇を大司教に願ってみるから
賭
(
かけ
)
をしようと言い出した。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
敵城さして驅けいだす、
賭
(
かけ
)
に勝ちたる駿足が
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
「そりゃ面白い、どうだ
賭
(
かけ
)
をしようか」
草藪の中
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
捜しているんだぜ。
賭
(
かけ
)
をしてもいいよ
五階の窓:02 合作の二
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
助「だって
先刻
(
さっき
)
賭
(
かけ
)
をしたから」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
甲賀衆
(
かふがしゅ
)
のしのびの
賭
(
かけ
)
や夜半の秋
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
「お聞きの通りだ、親分、——この
賭
(
かけ
)
は
口惜
(
くや
)
しいが親分の勝さ、四十五六の型へ入れて拔いたやうな御用人だ。逢ひますか、親分」
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
室
(
むろ
)
の津の港に、五六人のごまの蠅が、
干鰯
(
ほしか
)
のように砂地で転がっていた。そして、品のよい老女が通るのを見つけて、
賭
(
かけ
)
をした。
梅颸の杖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『続開巻一笑』四に、
吃
(
ども
)
りに鶏の声を出さしむべく
賭
(
かけ
)
して穀一把を見せ、これは何ぞと問うと、穀々と答えたとあれば支那も英仏同前だ。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
どんなって? いやに白ばくれるね? 君がもうこのことを考えてるってこたあ、
賭
(
かけ
)
をしてもいいよ。しかし、こいつぁあちょっとおもしろい問題だ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
一日に何千何万といふ人命を
賭
(
かけ
)
にして
此
(
この
)
本能に
飽満
(
はうまん
)
の悦楽を与へるのが戦争であるとは、誰しも
云
(
い
)
ひ得まい。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
二人
(
ふたり
)
は、
聞
(
き
)
くが
如
(
ごと
)
き
他界
(
たかい
)
であるのを
信
(
しん
)
ずると
共
(
とも
)
に、
双六
(
すごろく
)
の
賭
(
かけ
)
が
弥
(
いや
)
が
上
(
うへ
)
にも、
意味
(
いみ
)
の
深
(
ふか
)
いものに
成
(
な
)
つた
事
(
こと
)
を
喜
(
よろこ
)
んだ……
勿論
(
もちろん
)
、
谷
(
たに
)
へ
分入
(
わけい
)
るに
就
(
つ
)
いて
躊躇
(
ちうちよ
)
を
為
(
し
)
たり
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そしてひとは不確実なものから働くというところから、あらゆる形成作用の根柢に
賭
(
かけ
)
があるといわれ得る。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
または双方が
賭
(
かけ
)
をしておいてから、そっと相手の村へ行って見たら、自分の処にも劣らぬような祭があるので、双方ともにこれは負けたなと思ったという話もある。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
昔はなれた人だけで、タバコ一本いきましょうかなどと、ハゼ一ぴきにタバコ一本、十尾多く釣るとタバコ一箱とる
賭
(
かけ
)
をしたこともあるが、近ごろはそんな人もいなくなった。
江戸前の釣り
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
賭
常用漢字
中学
部首:⾙
16画
“賭”を含む語句
賭博
賭博場
賭場
賭金
賭博者
賭弓
大賭場
賭博狂
命賭
大賭博
賭試合
詐欺賭博
賭事
賭物
賭博打
賭碁
麻雀賭博
博賭
賭仕合
常賭場
...