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覚
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おぼえ
ふりがな文庫
“
覚
(
おぼえ
)” の例文
旧字:
覺
その頃は金も少しは彼のために融通してやった
覚
(
おぼえ
)
がある。自分は勇気を
鼓舞
(
こぶ
)
するために、わざとその当時の記憶を呼起してかかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
聞き
覚
(
おぼえ
)
のある張鎰の声がして、そそくさと
跫音
(
あしおと
)
がした。宙は不思議に思って顔をあげた。伯父の張鎰が機嫌のいい顔をして立っていた。
倩娘
(新字新仮名)
/
陳玄祐
(著)
と云いさま、
此方
(
こちら
)
も元は会津の藩中
松山久次郎
(
まつやまきゅうじろう
)
…
聊
(
いさゝ
)
か腕に
覚
(
おぼえ
)
が有りまするから、庄三郎の片手を
抑
(
おさ
)
えたなり、ずうンと前にのめり出し。
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
山水もはた昔時に異なりて、豪族の
擅横
(
せんわう
)
をつらにくしとも
思
(
おもは
)
ずうなじを垂るゝは、
流石
(
さすが
)
に名山大川の威霊も
半
(
なかば
)
死せしやと
覚
(
おぼえ
)
て面白からず。
三日幻境
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
成程然ういえば、何か気に入らぬ事が有って祖母が
白眼
(
しろめ
)
でジロリと
睨
(
にら
)
むと、子供心にも何だか無気味だったような
覚
(
おぼえ
)
がまだ有る。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
彼は聡明の方で、彼の父は彼に小学など教えてはその
覚
(
おぼえ
)
の好いことを無上の喜楽として、時々は貧困の苦痛をも忘れていた。
愛か
(新字新仮名)
/
李光洙
(著)
風を引いて寝ている筈の友人は、朝から東京へ出掛けて留守だというし、書生に聞いて見ても、電話なんかかけた
覚
(
おぼえ
)
がないということであった。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
濡髪
(
ぬれがみ
)
をかぶつて
私
(
わたし
)
の
頬
(
ほゝ
)
ん
処
(
とこ
)
へくつゝいたから、
唯
(
たゞ
)
縋
(
すが
)
り
着
(
つ
)
いてじつと
眼
(
め
)
を
眠
(
ねむ
)
つた[「眠つた」に「ママ」の注記]
覚
(
おぼえ
)
がある。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
依之
増修
(
ぞうしう
)
の
説
(
せつ
)
に於て此事は
彼
(
かの
)
書に見しと
覚
(
おぼえ
)
しも、其書を蔵せざれば
急就
(
きうし
)
の用に
弁
(
べん
)
ぜず、
韈癬
(
べつせん
)
するが多し。
且
(
かつ
)
浅学
(
せんがく
)
なれば
引漏
(
ひきもら
)
したるも
最
(
いと
)
多かるべし。
北越雪譜:05 北越雪譜二編凡例
(新字旧仮名)
/
山東京山
(著)
依之
増修
(
ぞうしう
)
の
説
(
せつ
)
に於て此事は
彼
(
かの
)
書に見しと
覚
(
おぼえ
)
しも、其書を蔵せざれば
急就
(
きうし
)
の用に
弁
(
べん
)
ぜず、
韈癬
(
べつせん
)
するが多し。
且
(
かつ
)
浅学
(
せんがく
)
なれば
引漏
(
ひきもら
)
したるも
最
(
いと
)
多かるべし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
知れた事お辰が。誰と。冗談は
置玉
(
おきたま
)
え。あなたならで誰とゝ
云
(
いわ
)
れてカッと赤面し、乾きたる舌早く、御亭主こそ冗談は
置玉
(
おきたま
)
え、私約束したる
覚
(
おぼえ
)
なし。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
飛
(
と
)
び/\に
読
(
よ
)
んでゐるうち、一
度
(
ど
)
何
(
なに
)
かで
読
(
よ
)
んだ
覚
(
おぼえ
)
のある
恋愛論
(
れんあいろん
)
に
出会
(
でつくは
)
しなどするのであつたが、ハイカラな
其青年
(
そのせいねん
)
の
面目
(
めんもく
)
が、
目
(
め
)
の
先
(
さき
)
に
見
(
み
)
えるやうである。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
或
(
あるひは
)
其因果
孫彦
(
まごひこ
)
に
報
(
むくふ
)
か、或子に報か、或其身にむくふかなど、云しぞかし、しかは云ど、今は皿のはたを廻り侍るよと、世俗の
諺
(
ことわざ
)
なりしが、げに
左
(
さ
)
も
覚
(
おぼえ
)
にけり
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
二人とも腕に
覚
(
おぼえ
)
のある狩人でした。五日たってから、二人は目をまわして帰って来ました。そして、自分たちが見て来たことを話すとき、二人の舌はふるえました。
負けない少年
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
リット提督は、心に
覚
(
おぼえ
)
のある悪夢に
虐
(
しいた
)
げられ、まだ幾分の弱気で中尉にすがりつかんばかりだった。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「怪からんぢやありませんか、貴方に殺される訳が有るとは。私は
決
(
け
)
して貴方に殺される
覚
(
おぼえ
)
は無い」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それからまた、そこに
廿
(
はたち
)
までいる間に店の勘定をごまかして、遊びに行った事が度々あるが、その頃、馴染みになった女に、心中をしてくれと云われて弱った
覚
(
おぼえ
)
もある。
ひょっとこ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
家庭料理を学ぶものはよく食品の
合物
(
あいもの
)
を
覚
(
おぼえ
)
て衛生上に適った料理を作らなければなりません
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
まさかに
黒子
(
ほくろ
)
の事は明らさまには言出しにくいので、「自分には別に
覚
(
おぼえ
)
がないんですけれど、誰かわたくしの事を誤解している人がありはしないかと思うような事が御在ます。」
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「そりゃあ人違だ。おいらあ
泉州産
(
せんしゅううまれ
)
で、虎蔵と云うものだ。そんな事をした
覚
(
おぼえ
)
はねえ」
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
持ち逃げタダ拾い(戦争中は泥棒なんて言葉はないや。持ち走り、先き拾い。所有権なんて
在
(
あ
)
りゃしねえぞ。それをチャンと心得たんだ)モウケ放題にモウケてやるから
覚
(
おぼえ
)
てやがれ。
武者ぶるい論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
血の文字を書きしとは、如何に考うるとも受取られず、あゝ余は
唯
(
たゞ
)
是
(
これ
)
だけの事に気附てより、後にも先にも
覚
(
おぼえ
)
なき程に
打驚
(
うちおどろ
)
き胸のうち
俄
(
にわか
)
に騒ぎ
出
(
いだ
)
して、轟く
動悸
(
どうき
)
に身も裂くるかと疑わる。
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
手前
覚
(
おぼえ
)
があらう、それおれがまだすつぺかしたての時分よ、親父の
云付
(
いいつけ
)
で、
御所
(
ごぜ
)
の町へ鮨を商ひにいつたらう、その時は手前も振袖かなんか着込んで、赤い
巾
(
きれ
)
を頭へかけ、今たあちがつて
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
貴所の御高徳を
毀
(
きずつ
)
けることになりまするのは
能
(
よ
)
く存じて居りまするから、
只
(
た
)
だ心の底の秘密として、
曾
(
かつ
)
て一語半句も洩らした
覚
(
おぼえ
)
のありませぬことは、神様が御承知下ださいます——其れを
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「ぼく、
覚
(
おぼえ
)
えました」とかれはさけんだ。「ルミが教えてくれました」
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
されどもわれ彼の猿に、
意恨
(
うらみ
)
を受くべき
覚
(
おぼえ
)
なければ、
何故
(
なにゆえ
)
かかる事を
作
(
な
)
すにやト、更に心に落ちざりしに、今爾が言葉によりて、
他
(
かれ
)
が狼藉の
所以
(
ゆえ
)
も知りぬ。然るに
他
(
かれ
)
今日もまた、同じ処に忍びゐて。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
腕に
覚
(
おぼえ
)
があったところで糊米ほどの祿を出して
召抱
(
めしかか
)
える大名もなく、棒振剣術の道場は、稲荷の祠と数を争う江戸の街で、浪人者の生活の足しになる仕事などは、金の
草鞋
(
わらじ
)
で捜しても見付かりません。
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかもヨブは罪を犯せし
覚
(
おぼえ
)
なしと称して、強硬に友の言を
斥
(
しりぞ
)
ける。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
あなたに何もいたした
覚
(
おぼえ
)
はありません。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
覚
(
おぼえ
)
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
するとほどなく坂越の男から、富士登山の
画
(
え
)
を返してくれと云ってきた。彼からそんなものを貰った
覚
(
おぼえ
)
のない私は、
打
(
う
)
ちやっておいた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其傍になまぐさき血の
迸
(
ほとばし
)
りかゝれる痕を
見
(
みた
)
りと言へば、水にて殺せしにあらで、石に撃つけてのちに水に
入
(
いれ
)
たりと
覚
(
おぼえ
)
たり。
鬼心非鬼心:(実聞)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
誰かがコッソリそんな冗談をいっていたのを
覚
(
おぼえ
)
ている。恐ろしい鉄のとびらの並んだ有様は、如何にも「地獄の停車場」みたいな感じであった。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
証拠人
(
しようこにん
)
ならお
連
(
つれ
)
なさい、
此方
(
こつち
)
は
些
(
ちつ
)
とも
覚
(
おぼえ
)
のない事だから。甚「エヘヽヽヽ、ナニおせきさんぢやない赤いソノ
何
(
なん
)
とか
云
(
い
)
つたつけ、うむ、お
赤飯
(
せきはん
)
か。 ...
八百屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
新造に
取着
(
とッつ
)
かれる
覚
(
おぼえ
)
はないから、別に殺そうというのじゃあなかろう、
生命
(
いのち
)
に別条がないと
極
(
きま
)
りゃ、大威張りの
江戸児
(
えどっこ
)
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
我今まで恋と
云
(
い
)
う事
為
(
し
)
たる
覚
(
おぼえ
)
なし。
勢州
(
せいしゅう
)
四日市にて見たる美人三日
眼前
(
めさき
)
にちらつきたるが
其
(
それ
)
は額に
黒痣
(
ほくろ
)
ありてその
位置
(
ところ
)
に
白毫
(
びゃくごう
)
を
付
(
つけ
)
なばと考えしなり。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
祝盃などを受ける
覚
(
おぼえ
)
は無いと言つて、手を
引籠
(
ひつこ
)
めてゐたけれど、なかなか
衆
(
みんな
)
聴かないぢやないか
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「憎むのは阿母さんばかりです。私はこれまで人に憎がられた
覚
(
おぼえ
)
なんかありゃしませんよ」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
三右衛門は精神が
慥
(
たしか
)
で、役人等に問われて、はっきりした返事をした。自分には意趣遺恨を受ける
覚
(
おぼえ
)
は無い。白紙の手紙を持って来て切って掛かった男は、顔を知って名を知らぬ表小使である。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「何をするッ、拙者は江州の井上半十郎、手籠にされる
覚
(
おぼえ
)
は無い」
江戸の火術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「成程そんな新聞を見た
覚
(
おぼえ
)
もある」と誰やらが言ふ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
ちぢの
悲
(
かなしみ
)
をお
覚
(
おぼえ
)
あそばしながら
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「ありますとも。第一この私があなたに対してどんな悪い事をした
覚
(
おぼえ
)
があるんでしょう。まあそれから伺いますから、云って御覧なさい」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見たのです。僕は少しも
覚
(
おぼえ
)
がないけれど、縁の下に何かがあったのでしょう。それを云って下さい。それを見せて下さい
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
可いやさ、
罷違
(
まかりちが
)
えばという
覚
(
おぼえ
)
があるから世の中を何とも思わんだろう、中々可い腕があるんだっていうじゃあないか。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
悪事をいたすくらいの侍ゆえ腕に
覚
(
おぼえ
)
が有ると見え、ひらりと飛び上りながらスーッとまた長刀を引抜き、仙太郎の鼻の先へ、
閃
(
ひらめ
)
くところの
鋒尖
(
きっさき
)
を突き附けられ
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何
(
どう
)
でも詰らぬ恋を
商買
(
しょうばい
)
道具の一刀に
斬
(
きっ
)
て
捨
(
すて
)
、横道入らずに奈良へでも西洋へでも
行
(
ゆか
)
れた方が良い、婚礼なぞ勧めたは爺が一生の誤り、外に悪い事
仕
(
し
)
た
覚
(
おぼえ
)
はないが
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
一体貫一はお前の何だよ。何だと思ふのだよ。鴫沢の家には厄介者の
居候
(
ゐさふらふ
)
でも、お前の為には夫ぢやないかい。僕はお前の
男妾
(
をとこめかけ
)
になつた
覚
(
おぼえ
)
は無いよ、宮さん、お前は貫一を
玩弄物
(
なぐさみもの
)
にしたのだね。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
内願
(
ないぐわん
)
差出左之通。
覚
(
おぼえ
)
。私拝領仕候御紋附類悴
徳
(
めぐむ
)
へ著用為仕度奉内願候、以上。私拝領仕候木綿御紋附御羽織異父兄飯田安石へ相譲申度奉内願候。以上。両通共勝手次第之旨、
御頭
(
おんかしら
)
乾三殿
被申談候
(
まうしだんぜられそろ
)
。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
お
覚
(
おぼえ
)
が
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
覚
常用漢字
小4
部首:⾒
12画
“覚”を含む語句
目覚
幻覚
感覚
発覚
寝覚
眼覚
不覚
覚書
正覚坊
御覚
覚束
嗅覚
覚醒
正覚
触覚
覚悟
見覚
錯覚
自覚
覚明
...