“おぼえ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:オボエ
語句割合
55.8%
記憶26.7%
8.3%
経験6.7%
感覚1.7%
所得0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
聞きおぼえのある張鎰の声がして、そそくさと跫音あしおとがした。宙は不思議に思って顔をあげた。伯父の張鎰が機嫌のいい顔をして立っていた。
倩娘 (新字新仮名) / 陳玄祐(著)
小さい時分いくら手習をさせても記憶おぼえが悪くって、どんなに平易やさしい字も、とうとう頭へ這入はいらずじまいに、五十の今日こんにちまで生きて来た女だと思うと
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ながめてゐるが此身のくすりで有ぞかしと言を忠兵衞押返おしかへは若旦那のお言葉ともおぼえずおにはと雖も廣くもあらずましてや書物にこゝろ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
自己おのれよりは一倍きかぬ気の夫の制するものを、押返して何程云ふとも機嫌を損ずる事こそはあれ、口答への甲斐は露無きを経験おぼえあつて知り居れば
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
……声を出して泣きながら、声もれて、やっと薬研堀の裏長屋の姉の内の台所口へ着いた、と思うと感覚おぼえが無い。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
亡父おやじは馬の家じゃなかったけれど、大の所好すきで、馬術では藩で鳴らしたものだそうだ。それだから、私も小児こどもの時分稽古けいこをして、少しは所得おぼえがあるので、馬車会社へ住み込んで、馭者となった。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)