見當みあた)” の例文
新字:見当
たゞさらるいあま見當みあたりませんが、はちつぼ土瓶どびん急須きゆうすのたぐひから香爐型こうろがたのものなどがあつて、それに複雜ふくざつかたち取手とつてや、みゝなどがついてをり
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
が、あの盜人ぬすびとうばはれたのでせう、太刀たち勿論もちろん弓矢ゆみやさへも、やぶなかには見當みあたりません。しかしさいは小刀さすがだけは、わたしのあしもとにちてゐるのです。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
『崇妻道歌』一聯いちれんがあると、彼の面目躍如たりでこの一文もいきるのだが、殘念ながら函底に見當みあたらない。
こんな二人 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
がけあきつてもべついろづく樣子やうすもない。たゞあをくさにほひめて、不揃ぶそろにもぢや/\するばかりである。すゝきだのつただのと洒落しやれたものにいたつてはさら見當みあたらない。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御神燈ごしんとうかげひとつ、松葉まつばもん見當みあたらないで、はこのやうな店頭みせさきに、煙草たばこるのもよぼ/\のおばあさん。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
失ひ種々相尋候へども見當みあたらずなど物語り居しをりから九郎兵衞が案内あんないにて御領主の役人入來り有無を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ところで俺は其の沙漠の中に抛出ほうりだされたやうなものなんだ。時々オーシスに出會でつくわするやうなことも無いぢやないか、淋しい旅だ!何方を向いたツて、さゝへて呉れるやうな者が見當みあたらない。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
其方そなたらば重疊ちようでうよろこびなれど萬一もしいよ/\出來できものならば、いまよりもらうてこゝろまかせし教育きやういくをしたらばとれをあけくれこゝろがくれども、いまだにきも見當みあたらず、としたてばれも初老はつおひの四十のさか
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あまりに敏捷すばしこくやられたので、可哀相かあいさうちひさな陪審人ばいしんにんは(それは蜥蜴とかげ甚公じんこうでした)茫然ぼんやりしてしまひました、くまなくさがまはつたが見當みあたらず、餘儀よぎなくはそれから一ぽんゆびいてゐました、が
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
よしありましても、直線ちよくせんなどをほそんだもので、まへべた土器どきのように、曲線きよくせんだとかなはだとかむしろだとかのかたちしたものは見當みあたりません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
もまだちない。かたち何處どこか、かげえない。かね氣短きみじかなのはつてる。こと御病氣ごびやうきなにかのおなぐさみらうものを、はやく、とおもふが見當みあたらない。蓑蟲みのむしこひしくまよつた。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あげ夫れ是と見分しが又大岡殿へ向ひ此中には市之丞見當みあたり申さずと云ければ越前守殿らば一同さがるべしと有に屑屋の面々めん/\は何事やらんと思ひのほか迅速すみやかさげられければ一同ホツと溜息ためいき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たゞ掛物かけもの屏風びやうぶひとつも見當みあたらないことだけたしかめて、なか這入はいつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
唯今たゞいまはなしをする、……わたし出會であひましたのは、うもにはつくつた大池おほいけつたらしい。もつとも、居周圍ゐまはりはしらあとらしいいしずゑ見當みあたりません。が、それとてもうもれたのかもれません。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また本當ほんとうの『どるめん』といふほど簡單かんたんなものは、日本につぽんではほとんど見當みあたりません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
かいくだされましと言に道具屋ハイ/\家主いへぬしひろ次郎と申ますと肩書かたがきにして渡しければ直八是で宜と其儘馬喰ばくろ町の旅宿りよしゆくへ歸りて長兵衞ならび村名主むらなぬし源左衞門に向ひ下谷山下やましたにて見當みあたりし脇差わきざしの事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
不足ふそくへた義理ぎりではないが……つたとほ干瓢かんぺう湯皮ゆば見當みあたらぬ。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)