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みあた
ガラガラガラと
妙な音があなたへ
馳けてゆくのに、
戸まどいをした目をそらすと、
見当らないはず、
長廊下を向こうの方へ自分の
槍が引きずられてゆく。
かう
云ふ時には酒がなくてはならぬと思つて、
台所を探し
𢌞つたが、
女世帯の事とて
酒盃一ツ
見当らない。
『崇妻道歌』
一聯があると、彼の面目躍如たりでこの一文も
生るのだが、殘念ながら函底に
見當らない。
崖は
秋に
入つても
別に
色づく
樣子もない。たゞ
青い
草の
匂が
褪めて、
不揃にもぢや/\する
許である。
薄だの
蔦だのと
云ふ
洒落たものに
至つては
更に
見當らない。