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見当
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みあた
ふりがな文庫
“
見当
(
みあた
)” の例文
旧字:
見當
かの写生文を
標榜
(
ひょうぼう
)
する人々といえども単にわが特色を
冥々裡
(
めいめいり
)
に識別すると云うまでで、明かに指摘したものは今日に至るまで
見当
(
みあた
)
らぬようである。
写生文
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私
(
わたくし
)
も
時々
(
ときどき
)
こちらの
世界
(
せかい
)
で、
現世生活中
(
げんせせいかつちゅう
)
に
大
(
たい
)
へん
名高
(
なだか
)
かった
方々
(
かたがた
)
にお
逢
(
あ
)
いすることがございますが、そうきれいに
魂
(
みたま
)
が
磨
(
みが
)
かれた
方
(
かた
)
ばかりも
見当
(
みあた
)
りませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ガラガラガラと
妙
(
みょう
)
な音があなたへ
馳
(
か
)
けてゆくのに、
戸
(
と
)
まどいをした目をそらすと、
見当
(
みあた
)
らないはず、
長廊下
(
ながろうか
)
を向こうの方へ自分の
槍
(
やり
)
が引きずられてゆく。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かう
云
(
い
)
ふ時には酒がなくてはならぬと思つて、
台所
(
だいどころ
)
を探し
𢌞
(
まは
)
つたが、
女世帯
(
をんなじよたい
)
の事とて
酒盃
(
さかづき
)
一ツ
見当
(
みあた
)
らない。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ところがこのトンカツなるものが西洋の
何処
(
どこ
)
へ行っても
一向
(
いっこう
)
見当
(
みあた
)
らないので失望する人が多い。
異国食餌抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
暖
(
あたゝ
)
けえお
飯
(
まんま
)
を喰べちゃ斯うやって何不足なく居りやんすが、人は楽になると
直
(
じき
)
に難儀した事を忘れるもんですから、
私
(
わし
)
い其の難儀を忘れねえ為に、
見当
(
みあた
)
った此の
轡
(
くつわ
)
の紋で
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
二露里ほど走ると、村道へ
外
(
そ
)
れる曲り角へ来たが、それからまた二露里どころか、三露里も、四露里も走ったけれど、その石造りの二階建なんてものは、さっぱり
見当
(
みあた
)
らなかった。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
焼け跡はどこにも
見当
(
みあた
)
らない。火の
揚
(
あ
)
がったのはこの辺だと思われる所は、
奇麗
(
きれい
)
な杉垣ばかり続いて、そのうちの一軒からは
微
(
かす
)
かに
琴
(
こと
)
の
音
(
ね
)
が
洩
(
も
)
れた。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
母性愛
(
ぼせいあい
)
ばかりはこれは
全
(
まった
)
く
別
(
べつ
)
で、あれほど
純
(
じゅん
)
な、そしてあれほど
力強
(
ちからづよ
)
いものはめったに
他
(
ほか
)
に
見当
(
みあた
)
りませぬ。それは
実
(
じつ
)
によく
私
(
わたくし
)
の
方
(
ほう
)
に
通
(
つう
)
じてまいります。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ただ、
銀泥色絵
(
ぎんでいいろえ
)
の
襖
(
ふすま
)
のまえには、
蒔絵
(
まきえ
)
の
硯蓋
(
すずりぶた
)
の
筆
(
ふで
)
が一本落ちてあって、そこにいるはずの
咲耶子
(
さくやこ
)
のすがたも見えず、お
小姓
(
こしょう
)
星川余一
(
ほしかわよいち
)
のかげも
見当
(
みあた
)
らなかった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふと
蘿月
(
らげつ
)
は
何
(
なに
)
かその
辺
(
へん
)
に読む本でもないかと思ひついて、
箪笥
(
たんす
)
の上や
押入
(
おしいれ
)
の中を
彼方此方
(
あつちこつち
)
と
覗
(
のぞ
)
いて見たが、書物と
云
(
い
)
つては
常磐津
(
ときはづ
)
の
稽古本
(
けいこぼん
)
に
綴暦
(
とぢごよみ
)
の古いもの
位
(
くらゐ
)
しか
見当
(
みあた
)
らないので
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
彼女の手腕というのは、つまり月々入る金の意味で、その金より外に人間の価値を定めるものは、彼女に取って、広い世界に一つも
見当
(
みあた
)
らないらしかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一
(
ひと
)
つの
円
(
まる
)
い
御神鏡
(
ごしんきょう
)
がキチンと
据
(
す
)
えられて
居
(
い
)
るばかり、
他
(
ほか
)
には
何一
(
なにひと
)
つ
装飾
(
そうしょく
)
らしいものは
見当
(
みあた
)
りませんでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「ざんねんだが、
咲耶子
(
さくやこ
)
のすがたが
見当
(
みあた
)
らなければぜひもない。このうえは、どうせのついでに、
大久保長安
(
おおくぼながやす
)
の
寝所
(
しんじょ
)
を見つけて、きゃつの首を
土産
(
みやげ
)
に引きあげよう」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
当
(
あて
)
もなく
西
(
にし
)
の方へ
歩
(
ある
)
きながら、
是
(
これ
)
も簡便な旅行と云へるかも知れないと考へた
揚句
(
あげく
)
、
草臥
(
くたび
)
れて
車
(
くるま
)
をと思つたが、
何処
(
どこ
)
にも
見当
(
みあた
)
らなかつたので又電車へ
乗
(
の
)
つて帰つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
男女
(
ふたり
)
の影は、もう
見当
(
みあた
)
らなかった。だが、見当っても、新之助へいきなり食ってかかる事は、多分な危険があると思った。お高を
奪
(
と
)
り返せる自信もないし、うかつに寄りつけそうもない気がする。
鍋島甲斐守
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうしてそれが
見当
(
みあた
)
らないと、大いに
焦
(
せ
)
きこんで、台所にいる婆さんを、ぼやでも起ったように、
仰山
(
ぎょうさん
)
な声をして呼び立てる。すると例の婆さんが、これも仰山な顔をして客間へあらわれて来る。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こう云う作家は
見当
(
みあた
)
りませんが、自然派の
趨勢
(
すうせい
)
一つでは、向後この種の作物がいつ何時あらわれて来ないとも限りませんから、御互に用心をしたら善かろうと存じていささか愚存をつけ加えました。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“見当”の意味
《名詞》
まだ確かめられていない事柄について、推測をすること。みこみ。めぼし。
おおよその方角。
おおよその位置。
版画や印刷で、刷る位置を示す目印。
(出典:Wiktionary)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
当
常用漢字
小2
部首:⼹
6画
“見当”で始まる語句
見当違
見当摺