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蛙
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かえる
ふりがな文庫
“
蛙
(
かえる
)” の例文
のちにはわたしたちは彼女の身体へ蛇や
蛙
(
かえる
)
のような気味の悪いものを書いたり、またはおかめの面などを書いて悪ふざけをしました。
メデューサの首
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
現代の多くの人間に都会と
田舎
(
いなか
)
とどちらが好きかという問いを出すのは、
蛙
(
かえる
)
に水と陸とどっちがいいかと聞くようなものかもしれない。
田園雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
敵の通せんぼうをかい潜りかい潜り、立泳ぎ、
蛙
(
かえる
)
泳ぎ、抜き手、片抜手、美しき筋肉運動の限りを尽して、美少年のお尻へと追い
縋
(
すが
)
る。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
御寝所
(
ごしんじょ
)
の下の
蛇
(
へび
)
と
蛙
(
かえる
)
のふしぎも、あれら
親子
(
おやこ
)
が
御所
(
ごしょ
)
の
役人
(
やくにん
)
のだれかとしめし
合
(
あ
)
わせて、わざわざ
入
(
い
)
れて
置
(
お
)
いたものかも
知
(
し
)
れません。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
総
(
すべ
)
て自分のような男は皆な同じ行き方をするので、運命といえば運命。
蛙
(
かえる
)
が
何時
(
いつ
)
までも蛙であると同じ意味の運命。別に不思議はない。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
彼の云うところによると、清水谷から弁慶橋へ通じる
泥溝
(
どぶ
)
のような細い流の中に、春先になると無数の
蛙
(
かえる
)
が生れるのだそうである。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
二ひきの
蛙
(
かえる
)
は、もうすぐ冬のやってくることをおもいだしました。
蛙
(
かえる
)
たちは土の中にもぐって寒い冬をこさねばならないのです。
二ひきの蛙
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
わが身は
蝙蝠
(
こうもり
)
、ああ、いやらしき毛の生えた鳥、歯のある
蛾
(
が
)
、生きた
蛙
(
かえる
)
を食うという、このごろこれら
魔性
(
ましょう
)
怪性
(
けしょう
)
のものを憎むことしきり。
喝采
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
月は野の向こうに
昇
(
のぼ
)
って、まるく
輝
(
かがや
)
いていた。
銀色
(
ぎんいろ
)
の
靄
(
もや
)
が、
地面
(
じめん
)
とすれすれに、また
鏡
(
かがみ
)
のような
水面
(
すいめん
)
に
漂
(
ただよ
)
っていた。
蛙
(
かえる
)
が語りあっていた。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
何でも神話によると、始は
蛙
(
かえる
)
ばかり住んでいた国だそうですが、パラス・アテネがそれを皆、人間にしてやったのだそうです。
Mensura Zoili
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
モズが
蛙
(
かえる
)
やイナゴを捕えて食い、あまったものをとがった樹の枝などに刺して
磔
(
はりつけ
)
としておくことは、あまねく人の知っているところであるが
動物の私有財産
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
蛙
(
かえる
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
の「さよならね」ももう鼻について
厭
(
あ
)
きて参りました。もう少しです。我慢して下さい。ほんのもう少しですから。
蛙のゴム靴
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
彼がこの考えを起こした後は、固有の偉大なる
身躯
(
からだ
)
があるいは
蛙
(
かえる
)
となり、あるいは鳥となり、あるいは
蛇
(
へび
)
となり、種々なる形に変化している。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
どの品にも一風流あって面白いが、わけてこの
蛙
(
かえる
)
の絵を描いた松風の歌の茶道具一揃いが俗を離れて
飄逸
(
ひょういつ
)
じゃ。これを貰って行くことにしよう。
ある日の蓮月尼
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
天気つづきで田にはよく稲が育って、あちこちで
蛙
(
かえる
)
がころころ鳴いて、前に長く住んだ向島小梅村の家を思い出しました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
すると、
蛙
(
かえる
)
の
啼声
(
なきごえ
)
が今あたり一めんにきこえて来る。ひっそりとした夜陰のなかを逃げのびてゆく人影はやはり絶えない。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
と直ちに、
相伴
(
あいともな
)
って、石井山の中腹まで上ってゆき、途中からすこし曲って、俗に
蛙
(
かえる
)
ヶ
鼻
(
はな
)
とよぶ所の一軒家まで導いた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがてのことに女は、
肌膚
(
はだ
)
に着けた
絎紐
(
くけひも
)
をほどくと、燃えるような真紅の
扱帯
(
しごき
)
が袋に縫ってあって、
蛇
(
へび
)
が
蛙
(
かえる
)
を
呑
(
の
)
んだように真ん中がふくれている。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
蛙
(
かえる
)
が啼いている。炭がないので、近所の炭屋で一山二十銭の炭を買って来て飯を焚く。隣りの駄菓子屋の二階の学生が
大正琴
(
たいしょうごと
)
をかきならしている。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
だがたいていの場合、私は
蛙
(
かえる
)
どもの群がってる沼沢地方や、極地に近く、ペンギン鳥のいる沿海地方などを
彷徊
(
ほうかい
)
した。
猫町:散文詩風な小説
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
鷲
(
わし
)
は
鳩
(
はと
)
を追い、
狼
(
おおかみ
)
は羊をつかみ、
蛇
(
へび
)
は
蛙
(
かえる
)
をくわえている。だがあの列の先頭に
甲冑
(
かっちゅう
)
をかぶり弓矢を負うて、馬にのって進んでいるのは人間のようだ。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
クルリと尻をまくると、両方の尻に
蛙
(
かえる
)
となめくじを彫って
犢鼻褌
(
ふんどし
)
の
三
(
み
)
つの上に、小さく蛇がとぐろを巻いております。
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
細君は夜になってから初めて驚き、台所の板の
間
(
ま
)
に
蛙
(
かえる
)
の如くしゃがんで、今しも
狼狽
(
あわて
)
てランプへ油をついでいる
最中
(
さいちゅう
)
。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
木の葉を
蛙
(
かえる
)
にもするという、……君もここへ来たばかりで、もの
語
(
かたり
)
の中の人になったろう……僕はもう一層、その上を、物語、そのものになったんだ。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかして、自身これを捕らえて見たら、
蛙
(
かえる
)
の卵に類似した粘着性の物質で、多分これは燐素であろうと述べている。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「一匹の
蛙
(
かえる
)
が、古池に飛び込んだ」と訳しただけでは、俳句のもつ
枯淡
(
こたん
)
なさび、風雅のこころ、もののあわれ、といったような、東洋的な「深さ」は
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
林の中の一群は、大日武者之助を先頭に、しずしずとして
此方
(
こなた
)
へ近寄って来る。静かではあるが執拗に
蛙
(
かえる
)
を
覗
(
うかが
)
う
蛇
(
へび
)
のように、きわめて悠々と迫って来る。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その
駄洒落
(
だじゃれ
)
は、水たまりに石を投げ込んだようなものだった。モンカルム侯爵といえば当時名高い王党の一人だったのである。
蛙
(
かえる
)
どもは皆声をしずめた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
四下
(
あたり
)
には若葉が日に日に
繁
(
しげ
)
って、遠い
田圃
(
たんぼ
)
からは、
喧
(
かまびす
)
しい
蛙
(
かえる
)
の声が、物悲しく聞えた。春の支度でやって来た二人には、ここの陽気はもう大分暑かった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
伊予の
大洲
(
おおず
)
のあたりでは、百舌は友人の時鳥に昔から借りがあって、それを返弁するために時々は
蛙
(
かえる
)
などを捕って、枯枝のさきに
突刺
(
つきさ
)
して置く約束をした。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
相手が恐ろしい爆弾を持っているので、蛇に
魅入
(
みい
)
られた
蛙
(
かえる
)
みたような心理状態に陥っていたものかも知れない。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
跟
(
つ
)
いて来た大きな犬のデカと小さなピンが、
蛙
(
かえる
)
を追ったり、何かフッ/\
嗅
(
か
)
いだりして、面白そうに花の海を
踏
(
ふ
)
み分けて、
淡紅
(
とき
)
の中に
凹
(
なかくぼ
)
い緑の
線
(
すじ
)
をつける。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
と、博士が
蛙
(
かえる
)
のようにとびついてゆくのをワーニャが
横合
(
よこあい
)
からとんできて、博士の身体をつきとばした。
見えざる敵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
なるほど
跳
(
と
)
ぶはずです、その
生
(
い
)
きものというのは
蛙
(
かえる
)
で、
道
(
みち
)
ばたの
草原
(
くさはら
)
まで行こうと思っているのです。その草原は
蛙
(
かえる
)
さんのお国です。蛙さんには
大切
(
たいせつ
)
なお国です。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
蛙
(
かえる
)
のように、
眼玉
(
めだま
)
ばかりきょろつかせて
暖簾
(
のれん
)
のかげから
顔
(
かお
)
をだした
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
は、それでもまだ
怯
(
おび
)
えていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
これは同じくイタリヤのガルヴァーニという解剖学者が
蛙
(
かえる
)
の脚に電気のおこるのを見つけ出したことから、ヴォルタが考えついたのでしたが、電池がつくられると
マイケル・ファラデイ
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
それが取り払われて原となってぼうぼうと雑草が
生
(
は
)
え、地面はでこぼこして、東京の真ん中にこんな大きな野原があるかと思う位、蛇や
蛙
(
かえる
)
やなどの巣で、人通りも
稀
(
まれ
)
で
幕末維新懐古談:62 佐竹の原繁昌のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
ちょうど
悪戯
(
いたずら
)
好きな人間が池に石を投げて、その人間はその結果を知らないだろうが、その石に当った池の
蛙
(
かえる
)
はそれで死なねばならぬ、そんなような悪戯をすることに
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「博物もの」の中には「
蛙
(
かえる
)
の話」とか「
蚊
(
か
)
の一生」とか「春の
呼声
(
よびごえ
)
」とかいう風なものがある。
科学映画の一考察
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
竹蜻蛉
(
たけとんぼ
)
、紙鉄砲、笛など、ごく単純な玩具を自分で作ったのや、季節と場所によっては
小鮒
(
こぶな
)
や
蟹
(
かに
)
、
蛙
(
かえる
)
などという生き物を捕って、もっぱら小さな子供相手に売るのである。
雨あがる
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ピーシチク (ラネーフスカヤ夫人に)パリはいかがでした? ええ?
蛙
(
かえる
)
をあがりましたか?
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
打ち見たところ、首をかしげて、何考えるか
寒
(
かん
)
の
蛙
(
かえる
)
の寒そうな、ちょっぴり温めてくれようか
猿飛佐助
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
自分の鼻が踏みつけられたバナナ畑の
蛙
(
かえる
)
のように潰れていないことも甚だ恥ずかしいことは確かだが、しかし、全然鼻のなくなった腐れ病の男も隣の島には二人もいるのだ。
南島譚:01 幸福
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
とにかくわれわれは現にノアの洪水以前の原始人ではないではないか。男女関係一つとってみても、もはや犬や
蛙
(
かえる
)
のような単なる獣性の作用ではなくなっているではないか。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
どこからともなしに
飄然
(
ひょうぜん
)
とやって来ては、石を
蛙
(
かえる
)
にしたり、壁へ女の姿を現わしたりして見せて、その
後
(
あと
)
で
饗応
(
ごちそう
)
を
喫
(
く
)
って帰って往ったのですが、それから一箇月ばかりすると
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
爾は
亥猪
(
いのこ
)
を好むか。奴国の亥猪は不弥の鹿より
脂
(
あぶら
)
を持つであろう。不弥の女よ。我を見よ。我は王妃を持たぬ。爾は我の王妃になれ。我は爾の好む
蛙
(
かえる
)
と
鯉
(
こい
)
とを与えるであろう。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
夜、ロスアンゼルスからの帰りに、自動車を
停
(
と
)
めさせ、
皆
(
みんな
)
が
一斉
(
いっせい
)
に降りたって、小便をしたとき、故国日本を
想
(
おも
)
いだすような、
蛙
(
かえる
)
の鳴声をきいたことも、
仄
(
ほの
)
かに
憶
(
おぼ
)
えています。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
おもてはすっかり日が暮れてしまって電燈の
点
(
とも
)
らない夜が一層暗くひろがってい、遠くの方で物静かな
蛙
(
かえる
)
の鳴き声さえ聞えていたが、庭の葉越しにぱっと明りがさして来たので
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ヨボヨボの老僧の首も、眉の太い頬っぺたの厚い、
蛙
(
かえる
)
がしがみついているような鼻の形の顔もありました。耳のとがった馬のような坊主の首も、ひどく神妙な首の坊主もあります。
桜の森の満開の下
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
夕方になって、「
蛙
(
かえる
)
が鳴いたからかえろ。」と我がちにいいながら、おなかをすかしてうちに帰ったが、自分はすぐに母のところへ飛んで行って、父の月給がいくらであるかきいた。
大人の眼と子供の眼
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
“蛙(カエル)”の解説
カエル(蛙、en: Frog)は、両生綱無尾目(むびもく、Anura)に分類される構成種の総称。古称としてかわず(旧かな表記では「かはづ」)などがある。英名は一般にはfrogであるが、ヒキガエルのような外観のものをtoadと呼ぶことが多い。
(出典:Wikipedia)
蛙
漢検準1級
部首:⾍
12画
“蛙”を含む語句
青蛙
蟇蛙
赤蛙
初蛙
井蛙
雨蛙
洒蛙洒蛙
洒蛙々々
蛙子
疣蛙
女蛙
蛙泳
枝蛙
酒蛙酒蛙
田蛙
夜蛙
蛙股
青蛙神
蛙鳴蝉騒
酒蛙々々
...