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脛
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はぎ
ふりがな文庫
“
脛
(
はぎ
)” の例文
はじめて、白玉のごとき姿を顕す……一
人
(
にん
)
の
立女形
(
たておやま
)
、撫肩しなりと
脛
(
はぎ
)
をしめつつ
褄
(
つま
)
を取った
状
(
さま
)
に、
内端
(
うちわ
)
に
可愛
(
かわい
)
らしい足を運んで出た。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
奴
(
やつ
)
の義足と娘の
脛
(
はぎ
)
との間に何の関係があるか。マリユスは嫉妬の発作に襲われた。「
彼奴
(
あいつ
)
もいたんだろう。あれを見たに違いない!」
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
炎に似た夢は、袈裟の
睫毛
(
まつげ
)
をふさがせ、閉じたる
唇
(
くち
)
を、舌もてあけ、
袿
(
うちぎ
)
のみだれから白い
脛
(
はぎ
)
や、あらわな
乳
(
ち
)
のふくらみを見たりする。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僕等は
弘法麦
(
こうぼうむぎ
)
の茂みを
避
(
よ
)
け避け、(
滴
(
しずく
)
をためた弘法麦の中へうっかり足を踏み入れると、ふくら
脛
(
はぎ
)
の
痒
(
かゆ
)
くなるのに閉口したから。)
海のほとり
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ふくら
脛
(
はぎ
)
が重たくなって、両肱をもたせた製図板に重心をかけて小休みしていたサイは、びくっとした顔になって、烏口を持ち直した。
三月の第四日曜
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
露の深い路地、下水に半分身を落して、乙女の身体は斜に歪み、
裳
(
もすそ
)
の
紅
(
くれない
)
と、蒼白くなった
脛
(
はぎ
)
が、浅ましくも天に
冲
(
ちゅう
)
して居るのです。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
やり過して地びたを
這
(
は
)
って後へ廻った鉄公の手がお鶴の裾にかかったかと思うと紅が
翻
(
ひるがえ
)
って高く捲れた着物から真白な
脛
(
はぎ
)
が見えた。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
『
春告鳥
(
はるつげどり
)
』の中で「入り
来
(
きた
)
る
婀娜者
(
あだもの
)
」は「
褄
(
つま
)
をとつて白き足を見せ」ている。浮世絵師も種々の方法によって
脛
(
はぎ
)
を露出させている。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
褄
(
つま
)
を掴んでたくし上げた。だらーッと下がった緋の長襦袢の、合わせ目が開いて女の
脛
(
はぎ
)
とは見えない、細っこい
毛臑
(
けずね
)
がニョッキリ出た。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あゝやさしきわが父よ、汝耳をかたむけたまはば、我かく
脛
(
はぎ
)
を奪はれしときわが前にあらはれしものを汝に告ぐべし。 一二四—一二六
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
黒いストッキングが少くなり、カシミヤやセルの
袴
(
はかま
)
の下から肉づきのよい二三寸の
脛
(
はぎ
)
をのぞかせて行く職業婦人が多くなった。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
丁度膝頭のあたりからふくら
脛
(
はぎ
)
へかけて、血管が青く透いて見える薄い柔かい肌の上を、紫の斑点がぼかしたように
傷々
(
いた/\
)
しく
濁染
(
にじ
)
んでいる。
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
水は半ば凍り、
泥濘
(
でいねい
)
も
脛
(
はぎ
)
を没する深さで、行けども行けども果てしない
枯葦原
(
かれあしはら
)
が続く。
風上
(
かざかみ
)
に
廻
(
まわ
)
った匈奴の一隊が火を放った。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ソノ
脛
(
はぎ
)
ハナハダ白カリシカバ
忽
(
たちま
)
チニ
染著
(
せんぢやく
)
ノ心ヲ生ジテ即時ニ堕落シケリ、ソレヨリ
漸
(
やうや
)
ク煙火ノ物ヲ食シテ
鹿域
(
ろくゐき
)
ノ
交
(
なか
)
ニ
立却
(
たちかへ
)
レリ
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いつのまにか、もうふくら
脛
(
はぎ
)
の
半
(
なか
)
ばまできている。まもなく膝を没するであろう。それから
腿
(
もも
)
、腹、胸、首……やがて全身水びたしに——。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
親指が没する、
踝
(
くるぶし
)
が没する、
脚首
(
あしくび
)
が全部没する、ふくら
脛
(
はぎ
)
あたりまで没すると、もうなかなか
渓
(
たに
)
の方から流れる水の流れ
勢
(
ぜい
)
が分明にこたえる。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
梯子段
(
はしごだん
)
を描きて
上
(
のぼ
)
りまた
下
(
お
)
りんとする婦女の裾より美しき
脛
(
はぎ
)
を
窺
(
うかが
)
はしむるは、最も柱絵に適当すべき艶麗なる画題なるべし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
お鳥は
冷
(
ひや
)
っこい台所の板敷きに、
脹
(
ふく
)
ら
脛
(
はぎ
)
のだぶだぶした脚を投げ出して、また浅草で関係していた
情人
(
おとこ
)
のことを言いだした。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
西郷の港では、雨の土砂降りに降る中に尻からげをして白い
脛
(
はぎ
)
を出してゐる娘達が友禅モスリンの帯の色彩をあたりに際立たせて迎ひに出てゐた。
隠岐がよひの船
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
くちばしに刺されたのか、蹴爪に撃たれたのか、彼女は左右の脚を傷つけられて、白い
脛
(
はぎ
)
からなま血が流れ出していた。
半七捕物帳:51 大森の鶏
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
脛
(
はぎ
)
あらはに端折りて、ささやかなるものを負ひつつ来給ふさま苦しげにもあらず、常の道歩み給ふさまなるがいと
怜
(
うれ
)
し。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
見ると彼女の白い
脛
(
はぎ
)
には泥がつき、何かで傷つけたらしく血が
滲
(
にじ
)
んでいた。彼女はしかしそれを見ても泣かずにいた。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
『陛下、シバとエチオピアでは誰でも申す事でございます。バルキス女王の片
脛
(
はぎ
)
は毛だらけで、片足は二つに裂けた黒い爪ぢやと皆が申して居ります』
バルタザアル
(新字旧仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
小紋まがいの裾を引擦った突かけ草履の
脛
(
はぎ
)
も露わに、和尚と良助を突飛ばすようにして死骸の傍に走り寄ると……ワッ……とばかりに取縋って泣出した。
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
横に
臥
(
たふ
)
れた時、白い
職服
(
きもの
)
の下から赤いものが喰み出して、其の下から圓く肥つた眞白い
脛
(
はぎ
)
の出たのが眼に浮んだ。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
唯家を出て、西へ西へと
辿
(
たど
)
って来た。降り募るあらしが、姫の衣を濡した。姫は、誰にも教わらないで、裾を
脛
(
はぎ
)
まであげた。風は、姫の髪を吹き乱した。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
手に薙刀を持ちなされたまま……母御前かならず強く歎きなされな……獣に追われて殺されつろう、
脛
(
はぎ
)
のあたりを噛み切られて北の
山間
(
やまあい
)
に斃れておじゃッた
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
すると白い柔らかそうな、すんなりした
脛
(
はぎ
)
があらわになり、また慌てて、優雅な歩きぶりにかえるのであった。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「これ、あばれるな!
脛
(
はぎ
)
が出らあな! 白いもの、赤いもの、ちらちらするなあ、おれ達にゃあ目の毒だ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
じゅうぶんに
脛
(
はぎ
)
をまくって、諸公がたに傷跡をご検分願わっしゃい。だれかてつだって、まくってつかわせ
右門捕物帖:38 やまがら美人影絵
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ぼつぼつ疲れかげんになってきた
脛
(
はぎ
)
のあたりへ、ズボンを
透
(
とお
)
して、ひやりとしたものが
浸
(
し
)
み込んでくる。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
陶はと見ると、やッつけの束髪結びにだらしなく羽織を引ッ掛け、
脛
(
はぎ
)
を蹴出さんばかりのしどけない立膝で縁の柱に凭れ、
月琴
(
げっきん
)
を抱えて俗曲かなにかを歌っていた。
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「女これかれ
浴
(
ゆあ
)
みなどせむとて、あたりの宜しき所に下りて往く云々、何の葦影に
託
(
ことづ
)
けて、ほやのつまのいずし、すしあはびをぞ、心にもあらぬ
脛
(
はぎ
)
にあげて見せける」
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
臍
(
へそ
)
も
脛
(
はぎ
)
も出ずるがままに隠しもせず、奮闘といえば名は美しいけれど、この醜態は何のざまぞ。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
腰巻がしだいに尽きて、下から茶色の
脛
(
はぎ
)
が出る。脛が
出切
(
でき
)
ったら、
藁草履
(
わらぞうり
)
になって、その藁草履がだんだん動いて来る。頭の上に山桜が落ちかかる。背中には光る海を
負
(
しょっ
)
ている。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
阿母
(
かあ
)
さんに度々起されて、しどけない
寝衣姿
(
ねまきすがた
)
で、
脛
(
はぎ
)
の露わになるのも気にせず、眠そうな
面
(
かお
)
をしてふらふらと部屋を出て来て、指の先で無理に眼を押開け、
眶
(
まぶち
)
の裏を赤く反して見せて
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
二時間の後、
用達
(
ようたし
)
に上高井戸に出かけた。
八幡
(
はちまん
)
の阪で、誰やら
脹脛
(
ふくらはぎ
)
を後から
窃
(
そ
)
と押す者がある。ふっと見ると、
烏山
(
からすやま
)
の
天狗犬
(
てんぐいぬ
)
が、前足を
挙
(
あ
)
げて彼の
脛
(
はぎ
)
を窃と
撫
(
な
)
でて彼の注意を
牽
(
ひ
)
いたのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
蚤
(
のみ
)
のゐて
脛
(
はぎ
)
をさしさす居ぐるしさ日の暮れぬまともの書きをれば
樹木とその葉:05 夏を愛する言葉
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
ひたすらにわが身いとしと
銭湯
(
せんたう
)
に
脚気
(
かつけ
)
の
脛
(
はぎ
)
をさすりけるかな
小熊秀雄全集-01:短歌集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
南風モウパツサンがをみな子のふくら
脛
(
はぎ
)
吹くよき
愁
(
うれひ
)
吹く
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
鱗のかさなつたきたない
脛
(
はぎ
)
をこすりあひ
測量船拾遺
(新字旧仮名)
/
三好達治
(著)
雨後の月
誰
(
た
)
そや夜ぶりの
脛
(
はぎ
)
白き
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
まっ白な
脛
(
はぎ
)
がちらりと見えた。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
朱
(
あけ
)
なる
脛
(
はぎ
)
に
結
(
ゆ
)
ひぬとも
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
こぼれる
脛
(
はぎ
)
を
裾
(
すそ
)
に巻き
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
裸体に蓑をかけたのが、玉を編んで
纏
(
まと
)
ったようで、人の目には
羅
(
うすもの
)
に似て透いて肉が甘い。脚は
脛
(
はぎ
)
のあたりまでほとんどあらわである。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
露の深い路地、下水に半分身を落して、乙女の身體は
斜
(
なゝめ
)
に
歪
(
ゆが
)
み、
裳
(
もすそ
)
の紅と、蒼白くなつた
脛
(
はぎ
)
が、淺ましくも天に
冲
(
ちゆう
)
してゐるのです。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
髪はほどけて顔へかかり、裾は乱れて
脛
(
はぎ
)
を現わし、襟はひらけて乳房を見せ、一方の袖が引き千切れて、二の腕があらわに現われている。
血ぬられた懐刀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ぐわらぐわらと
凄
(
すさ
)
まじい物音が、飾り壇の下へ
種々
(
さまざま
)
な物を落した。
鎧櫃
(
よろいびつ
)
、血みどろな片腕、白いぶらぶらな
脛
(
はぎ
)
、
簪
(
かんざし
)
、立て札——
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すぐ
側方
(
そっぽ
)
を向いてしまって、足の甲だの、
脛
(
はぎ
)
のあたりだの、背筋の方だの、蚊に喰われた
痕
(
あと
)
を
頻
(
しき
)
りにぼりぼり掻き始めました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
脛
漢検1級
部首:⾁
11画
“脛”を含む語句
向脛
脛当
両脛
白脛
空脛
脹脛
脛巾
痩脛
片脛
脛押
赤脛
脛白
脛穿
高脛
毛脛
手具脛
太脛
八掬脛
脛骨
蚊脛
...