“濁染”の読み方と例文
読み方割合
にじ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
中之橋を越えて、暗い淋しい浜町の通りからうしろを振り返って見ると、薄曇りのした黒い空が、ぼんやりと赤く濁染にじんでいる。
少年 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
丁度膝頭のあたりからふくらはぎへかけて、血管が青く透いて見える薄い柔かい肌の上を、紫の斑点がぼかしたように傷々いた/\しく濁染にじんでいる。
少年 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
触るるものにくれないの血が濁染にじむかと疑われた生々しいくちびると、耳朶みみたぶの隠れそうな長いぎわばかりは昔に変らないが、鼻は以前よりも少しけわしい位に高く見えた。
秘密 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)