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籐
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とう
ふりがな文庫
“
籐
(
とう
)” の例文
隅の
籐
(
とう
)
の編み方は
旨
(
うま
)
いものだ。これなら隅がいたむことはないだろう。実用が招いた美しさだ。革がなくなってかえってよくなったね。
台湾の民芸について
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
小生、
今朝
(
こんてう
)
ふと応接室へ
参
(
まゐ
)
り候所、この影の
薄
(
うす
)
き少女、
籐
(
とう
)
のテエブルの上へのしかかり、熱心に「けふの自習課題」を読み居り候。
伊東から
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この場合彫と書いた方がふさわしいかも知れないが、それは、
筏師
(
いかだし
)
がさすように筒に入れて
籐
(
とう
)
を巻いたのを、与八は腰にさしています。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「この切出しは手前のだらう。版木屋か、
彫物師
(
ほりものし
)
でも無ければ使はない道具だ。
柄
(
え
)
に
籐
(
とう
)
を卷いて、端つこに(新)といふ字が書いてある」
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「うまいこと云ふ」と
呟
(
つぶや
)
きながら笑つて牧瀬は、すこし歳子に
躪
(
にじ
)
り寄り、
籐
(
とう
)
で荒く編んだ食物
籠
(
かご
)
の中の食物と食器を
掻
(
か
)
き廻した。
夏の夜の夢
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
毎年の網上げのしきたりで、昨年夫の徳市もいっしょに
金比羅参
(
こんぴらまい
)
りをしての帰りを、その足で来たらしく、小さい
籐
(
とう
)
の
手提
(
てさげ
)
を持っていた。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
その片隅の大きな瓦斯暖炉の前の
空隙
(
すきま
)
に、
籐
(
とう
)
の安楽椅子が五ツ六ツ並んで、五月だというのに瓦斯の火がドロドロと燃えている。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
籐
(
とう
)
の
寝椅子
(
ねいす
)
に一人の
淡青色
(
たんせいしょく
)
のハアフ・コオトを着て、ふっさりと
髪
(
かみ
)
を
肩
(
かた
)
へ垂らした少女が
物憂
(
ものう
)
げに
靠
(
もた
)
れかかっているのを認め、のみならず
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「そうだ。そこでボートに乗せて、海岸まで
搬
(
はこ
)
んでいったね。船長も一緒について来たね。それから三つの
籐
(
とう
)
の
籠
(
かご
)
を、どうしたんだったかネ」
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
日光室のガラスの中では、朝の患者たちが
籐
(
とう
)
の
寝椅子
(
ねいす
)
に横たわって並んでいた。海は岬に抱かれたまま
淑
(
しとや
)
かに澄んでいた。
花園の思想
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
籐
(
とう
)
を斜め十字なりに巻き、それを緊めて、また十字なりに巻く。巧みな手つきで、ゆっくりと、楽しそうにそれを続けた。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
新芽の緑を反射している
籐
(
とう
)
の
網代
(
あじろ
)
のひいやりとしたのを
足袋
(
たび
)
の底に蹈みながら、家じゅうに
焚
(
た
)
きしめてあるらしいほのかな
草実
(
そうじつ
)
の匂いを
嗅
(
か
)
いだ。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
義昌堂は
籐
(
とう
)
の
細工物
(
さいくもの
)
、ひいて乳母車、子供用の自転車等を売るので有名だが、支那雑貨をいつの頃からかやりはじめていたが、今はどうかしらん。
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
頭
(
あたま
)
の
上
(
うえ
)
の
空
(
そら
)
は、
青々
(
あおあお
)
として、ちょうどガラスをふいたようにさえていました。あちらこちらには、たこがあがって、
籐
(
とう
)
の
鳴
(
な
)
り
音
(
おと
)
が
聞
(
き
)
こえていました。
雪だるま
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
また教師がやってきたが、今度はもう助手たちと交渉なんかしないで、おそらくは恐ろしい
籐
(
とう
)
の棒をふるって、彼らを建物から追い出してしまった。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
がったん、がったん、と古びたレールの上ではずむ電車の中で、伸子は
籐
(
とう
)
の座席に並んでかけている素子に云った。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
昼飯を食って汗になったので、天日で湯と
沸
(
わ
)
いて居る庭の
甕
(
かめ
)
の水を浴び、
籐
(
とう
)
の寝台に横になって新聞を見て居る内に、
快
(
い
)
い心地になって眠って了うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
三人の紅茶を
一個々々
(
ひとつひとつ
)
硝子杯
(
コップ
)
に
煎
(
せん
)
じ出した時、柳沢時一郎はそのすっきりと
脊
(
せい
)
の高い、
緊
(
しま
)
った制服の姿を
籐
(
とう
)
の
椅子
(
いす
)
の大きなのに、無造作に落していった。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……シナ人が
籐
(
とう
)
寝台を売りに来たのを買って涼みながらT氏と話していると、浴室ボーイが船から出かけるのを見たから頼んで絵はがきを出してもらう。
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
書斎の前の露台に
籐
(
とう
)
の
長椅子
(
ながいす
)
を持ち出させて、その上に長々と寝そべりながら彼はその対策を考えつづけていた。
仮装観桜会
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
ネズミ色のあたたかそうなオーバー・コート、
籐
(
とう
)
のステッキ、
半白
(
はんぱく
)
の頭髪、半白の口ひげ、デップリ太った顔に、べっこうぶちのめがねが光っています。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
八月二十九日発病、
胆石
(
たんせき
)
。そのまえからひとの原稿を見てたのが二、三日ひどく大儀になって机にむかう気になれず、
籐
(
とう
)
の枕をして寝ころんだまま読んだ。
胆石
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
楊志一人は、手に
籐
(
とう
)
のムチを
携
(
たずさ
)
えていたが、それを小脇に、山東笠のひさしへ手をかけて、城門の
鼓楼
(
ころう
)
を仰ぎ
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お口を開いて待っていな、と、
上差
(
うわさし
)
の
流鏑矢
(
ながれかぶらや
)
引抜いて、二所
籐
(
とう
)
の弓に
取副
(
とりそ
)
え、小松の蔭に馬を寄せ、浪の上なる
鶚
(
みさご
)
を的に、きりりや、きりりと、引絞ったりー
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
金と性慾、何んと
下卑
(
げび
)
たものではあるが、しかし彼は常に暗い旧家らしい奥座敷の
籐
(
とう
)
むしろの上に机を据えて、毎日朝のうちは金の勘定をする事にきめていた。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
「準備はもうすっかりできたのかね?」と、私は床の間の本箱の側に飾られた黒革のトランクや、革具のついた
柳行李
(
やなぎごうり
)
や、
籐
(
とう
)
の籠などに眼を
遣
(
や
)
りながら、言った。
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
「うなり」は鯨を第一とし、次ぎは
籐
(
とう
)
であるが、その音がさすがに違うのである。また
真鍮
(
しんちゅう
)
で造ったものもあったが、値も高いし、重くもあるので
廃
(
すた
)
ってしまった。
凧の話
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
堯
(
たかし
)
は掃除をすました部屋の窓を明け放ち、
籐
(
とう
)
の寝椅子に休んでいた。と、ジュッジュッという啼き声がしてかなむぐらの垣の蔭に
笹鳴
(
ささな
)
きの
鶯
(
うぐいす
)
が見え隠れするのが見えた。
冬の日
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
その重な身の飾りは、
南京木綿
(
なんきんもめん
)
で象脚形に仕立てたズボンと、それについてる銅色の打ちひものズボン止めであった。手には二百フランもする丈夫な
籐
(
とう
)
の杖を持っていた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
籐
(
とう
)
の細身のステッキを、
眩
(
まぶ
)
しい日の光の
裡
(
うち
)
に、軽く打ち振りながら、グン/\急ぎ足で歩いた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
未知の世界へ希望を
懐
(
いだ
)
いて旅立つた昔に比べて寂しく又早く思はれた航海中、
籐
(
とう
)
の寝椅子に身を横へながら、自分は
行李
(
かうり
)
にどんなお
土産
(
みやげ
)
を持つて帰るかといふことを考へた。
妄想
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
寝台のある壁に沿うて、よその住まいへ通ずる戸口のすぐ傍に、青いクロースのかぶせてある粗末な荒削りのテーブルがあって、その回りには
籐
(
とう
)
椅子が二つ置かれてあった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
なんでもお前さんは誰にも物を
教
(
おす
)
わらないで、誰にも
頭
(
あたま
)
を
屈
(
かが
)
めないでいて、とうとう枯れた
籐
(
とう
)
のように折れてしまうのだわ。わたしそんな事にはならなくってよ。さようなら。
一人舞台
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
庭の栗の木のしたで
籐
(
とう
)
椅子にねそべり、煙草を七十本ずつ吸ってぼんやりくらしていた。
ダス・ゲマイネ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
何かめそめそして
不機嫌
(
ふきげん
)
になった咲子を見ると、初めは慈愛の目で注意していたが、到頭
苛々
(
いらいら
)
して思わず握り太な
籐
(
とう
)
のステッキで、後ろから頭をこつんと打ってしまったのであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その
傍
(
そば
)
に甚だ深く造りたる
凭掛
(
よりかかり
)
の
椅子
(
いす
)
あり。凭りかかる
処
(
ところ
)
は
堅牢
(
けんろう
)
に造りありて、
両肱
(
りょうひじ
)
を持たする処を広くなしあり。この椅子に向き合せて、木部を朱色の漆にて塗りたる
籐
(
とう
)
の椅子あり。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
私の失った
籐
(
とう
)
のステッキは先がはずれて
神田
(
かんだ
)
の店で修繕をたのんだとき、これだけの品は日本に何本もない物ですと主人が小僧女店員まで呼び集めて讃嘆して見せたほどの品物であった。
いずこへ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
しかしあの若いポオランド人たちは、まだ
籐
(
とう
)
のテエブルを囲んで動かなかった。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
空気
洋燈
(
らんぷ
)
が
煌々
(
くわう/\
)
と
燿
(
かゞや
)
いて書棚の
角々
(
かど/\
)
や、金文字入りの
書
(
ほん
)
や、置時計や、水彩画の
金縁
(
きんぶち
)
や、
籐
(
とう
)
のソハに
敷
(
しい
)
てある
白狐
(
びやくこ
)
の
銀毛
(
ぎんまう
)
などに反射して部屋は
綺麗
(
きれい
)
で陽気である、銀之助はこれが
好
(
すき
)
である。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
そは今書かず
候
(
さふらふ
)
。千
斤
(
きん
)
の
錘
(
おもり
)
この日より我胸を押すと
唯
(
たゞ
)
知り給へ。昼前ベツカ夫人に誘はれ私は
甲板
(
かふばん
)
に出でて
籐
(
とう
)
椅子の上の
一人
(
ひとり
)
となり申し
候
(
さふらふ
)
。安達様
御
(
ご
)
夫婦も
傍
(
かたはら
)
にて
書見
(
しよけん
)
など遊ばし
居
(
を
)
られ
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
子供たちと一緒に朝飯を
喫
(
く
)
い、それから二階へあがって机に向ったが、前夜の宿酔のために仕事をする気になれないので、
籐
(
とう
)
の寝椅子によっかかりながら、ガラス越しに裏崖の草藪の方を見た。
変災序記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ある日、庸介が自分の部屋の涼しい縁側の所へ
籐
(
とう
)
で組んだ寝椅子を持ち出して、その上で午睡に陥っていた時、郵便配達夫が一枚の
端書
(
はがき
)
を玄関の中へ投げ込んで行った。房子がそれを受取った。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
籐
(
とう
)
の卓と
籠
(
かご
)
の椅子と、
冷
(
ひや
)
した麦茶のコップと鉢の緑の
羊羹
(
ようかん
)
と
鮎
(
あゆ
)
の餅菓子。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
散歩から帰って、わしが横になり、出してくれた
籐
(
とう
)
の枕に頭をのせ
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
この標準に照して、先刻から僕は真向いにある中年の夫婦を
西蔵辺
(
チベットへん
)
の上流社会と鑑定していた。奥さんだけでも大きな信玄袋二個と同じく大きな
籐
(
とう
)
の籠で自分の身体とも約三人前の席を占領している。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「窓ぎわがすずしくていい。その
籐
(
とう
)
椅子にかけたまえ。」
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
探ると
籐
(
とう
)
の椅子の肩に手が觸つた。
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
同じ瓶敷ですが近時
通草蔓
(
あけびづる
)
を花形に編んで
籐
(
とう
)
で止めた美しいものを作り出しました。近くの町で革表紙の立派な「
判取帳
(
はんとりちょう
)
」を見ました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「この切出しは手前のだろう。版木屋か、彫物師でもなければ使わない道具だ。
柄
(
え
)
に
籐
(
とう
)
を巻いて、
端
(
はじ
)
っこに(新)という字が書いてある」
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
現に今日も、この
卓子
(
テエブル
)
の上には、
籐
(
とう
)
の籠へ入れた
桜草
(
さくらそう
)
の鉢が、何本も細い茎を
抽
(
ぬ
)
いた先へ、
簇々
(
ぞくぞく
)
とうす赤い花を
攅
(
あつ
)
めている。……
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“籐(トウ)”の解説
トウ(籐)は、広義にはヤシ科トウ亜科の植物のうち、つる性の茎を伸ばす植物の総称(13属約600種)。ロタンやラタンともいう。英名のラタン(英::en:rattan)はマレー語に由来する。そのうち特に代表的なヤシ科トウ属の蔓性木本(300種から400種)をいうこともある。トウの繊維は植物中で最長かつ最強ともいわれ家具や籠などの材料にされる。
(出典:Wikipedia)
籐
漢検1級
部首:⽵
21画
“籐”を含む語句
籐椅子
重籐
塗籠籐
籐編
籐表
籐製
馬来籐
叢重籐
鏑籐日輪巻
籐駕籠
籐細工
籐筵
籐畳
籐杖
籐巻
竹籐
白重籐
滋籐
溜漆重籐飾
村重籐
...