當惑たうわく)” の例文
新字:当惑
いとな七日々々なぬか/\追善供養つゐぜんくやうも心の及ぶだけはつとめしが何分男の手一ツでをさなき者の養育やういく當惑たうわくひるは漸く近所きんじよとなりもらちゝなどしよる摺粉すりこ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
宗助そうすけこの可憐かれん自白じはくなぐさめていか分別ふんべつあまつて當惑たうわくしてゐたうちにも、御米およねたいしてはなはどくだといふおもひ非常ひじやうたかまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其時そのとき日本帝國にほんていこく』から何程なにほど利益りえき保護ほごとをけてゐるのかとはれたら、返事へんじには當惑たうわくするほどのミジメな貧乏生活びんばふせいくわつおくつてゐたくせに。
『それは舞踏ぶたう第一だいいち姿勢しせいだわ』とつたものゝあいちやんは、まつた當惑たうわくしたので、しきりに話頭はなしへやうとしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
しなきてればそんな心配しんぱいはまだ十六のおつぎがするのではない。おつぎはさら自分じぶん衣物きものこまつた。みじかくなるばかりではなくほころびにさへおつぎは當惑たうわくするのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
むづかしきかほをしてぎるこゝろなれど、さしむかひてものなどをはれたるとき當惑たうわくさ、大方おほかたりませぬの一トことにてませど、くるしきあせうちにながれてこゝろぼそきおもひなり
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひめをばかり墓所はかしょより、きたりてすくされよ、とロミオかたまうりしに、使僧しそうヂョンとまうもの不慮ふりょことにて抑留ひきとめられ、夜前やぜんそのしょ持歸もちかへってござりまするゆゑ、目覺めざめなばさぞ當惑たうわく
平次も此處まで來ると、ハタと當惑たうわくしてしまひました。
をとこ實際じつさい當惑たうわくしたらしかつた。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うるすべなど知らざる上にみやこは知らず在方ざいかたでは身の賣買うりかひ法度はつとにて誰にたのまん樣もなく當惑たうわくなして居たりしが十兵衞はたひざ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
身體からだ容子ようすへんつたことを心付こゝろづいたからである。十ねんあまりたなかつたはら與吉よきちとまつてからくせいたものとえてまた姙娠にんしんしたのである。おしな勘次かんじもそれには當惑たうわくした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
小六ころくうつまでは、こんな結果けつくわやうとは、まるかなかつたのだから猶更なほさら當惑たうわくした。仕方しかたがないからるべく食事中しよくじちゆうはなしをして、めて手持無沙汰てもちぶさた隙間すきまだけでもおぎなはうとつとめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あいちやんは當惑たうわくして、らず/\衣嚢ポケツト片手かたてれ、乾菓子ひぐわしはこ取出とりだし、(さいは鹹水しほみづ其中そのなか浸込しみこんでませんでした)褒美はうびとして周圍しうゐのものにのこらずれをわたしてやりました。丁度ちやうど一個ひとつ一片ひとかけづゝ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
はらひしも最早もはや夫さへ殘りなくまこと當惑たうわく折柄をりからなるに御深切ごしんせつの御言葉にあまえ何とも鐵面皮あつかましき御願ひなれども今少しをつとの病氣のなほる迄御慈悲に滯留たいりう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)