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たうわく
若し
其時『
日本帝國』から
何程の
利益と
保護とを
受けてゐるのかと
問はれたら、
返事には
當惑するほどのミジメな
貧乏生活を
送つてゐた
癖に。
『それは
舞踏の
第一の
姿勢だわ』と
云つたものゝ
愛ちやんは、
全く
當惑したので、
切りに
話頭を
更へやうとしました。
さう云はれて見ると、自分も急に
当惑した。宿の名前は知つてゐるが、宿の
町所は覚えてゐない。
然し電車の
通つてゐる
馬喰町の
大通りまで来て、
長吉は
何の
横町を
曲ればよかつたのか
少しく
当惑した。けれども大体の方角はよく
分つてゐる。東京に生れたものだけに道をきくのが
厭である。