すま)” の例文
新字:
で、貴方あなた時代じだいやうとすましてもゐられるでせうが、いや、わたくしふことはいやしいかもれません、笑止をかしければおわらください。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
わびさせ其夜の中に事をすませ叔母も名主方へぞ參りける是は傳吉が留守中るすちうおはや憑司は不義ふぎなしお梅は昌次郎と密通みつつうに及びて居たるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
亡父に對しても不すま事に御座候處、御承知も被下候半、昨年出京仕候處、不容易重職を蒙り、何とも恐入候次第に御座候。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
現在げんざいうけひしはれにおぼえあれどなにれをいとことかは、大方おほかたまへきゝちがへとたてきりて、烟草たばこにふきわたしらぬとすましけり。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今度こんどたびは、一體いつたいはじめは、仲仙道線なかせんだうせん故郷こきやういて、其處そこで、一事あるようすましたあとを、姫路行ひめぢゆき汽車きしや東京とうきやうかへらうとしたのでありました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
食事が未だ濟まないと云ふと、食べないで居ると身體からだが餘計に疲れるからと云つて、よろよろと歩く私をれて氏は一度すまして歸つた食堂へまた行つた。
巴里まで (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ロレ さゝ、わしと一しょにござれ。はやすましてのけう。慮外りょぐわいながら、たふと教會けうくわい二人ふたり一人ひとり合體がったいさするまでは、さしむかひでゐてはなりませぬのぢゃ。
黄昏たそがれやうや其處そこかゝつた高瀬船たかせぶねが、其處そこらで食料しよくれうもとあるいておそ晩餐ばんさんすましてまだねむらずにたのであつたらう。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
もうすこしのことで、その安井やすゐおな家主やぬしいへ同時どうじまねかれて、となあはせか、むかあはせにすわ運命うんめいにならうとは、今夜こんや晩食ばんめしすままでゆめにもおもけなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勉強時間中は子供たちと一緒にゐなくてはならなかつたし、それから、今日はお祈をみ、みんなを寢かす番に當つてゐた。その後で私は他の先生たちと一緒に夕食をすました。
挨拶をすました私達は緊張した心のまま席に着いて、靜かに先生の顏に視線を集中した。
猫又先生 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
おと?。』とわたくしおもはず立止たちどまつてみゝすますと、かぜ一種いつしゆひゞきまつた無人島むじんたうおもひきや、何處いづくともなく、トン、トン、カン、カン、とあだかたにそこそこで、てつてつとが戞合かちあつてるやうなひゞき
其處そこのところをそつ赤手すでつかまへて呉れる…… 暖い手で、にぎツてツても、すまアしててのひらツてゐるやつを螢籠の中へ入れる…… 恰ど獄屋ひとや抛込ほうりこまれたやうなものだが、ちつともそれには頓着しない。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
付て御引取おんひきとり成るべしと申ゆゑそれより忠兵衞は早速さつそく甚太夫の方へ掛合かけあひしに父甚太夫も大いに喜び萬事すら/\と根引もすましかば文藏お時の兩人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たま/\抽斗ひきだしからしたあかかぬ半纏はんてんて、かみにはどんな姿なりにもくしれて、さうしてくやみをすますまでは彼等かれら平常いつもにないしほらしい容子ようすたもつのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
カピ長 それ、パリスどのをびにやって、はや此事このことらせい。明日あすあさこの縁結えんむすびをすまさうわい。
この時の私の表向おもてむきの用事は、靴をあつらへる爲めに寸法をとらせることだつた。で、私は、最初にその用をすましてしまつてから、清潔せいけつで靜かな小さい通りを、靴屋から郵便局へと歩いて行つた。
來りし甲斐かひもなく甚だ殘念に存するのみ既に師父の葬送さうそうは門弟中あつく世話致し呉し由ゆゑ道場の跡片付あとかたづけなどすまして漸々やう/\今日けふ此所までもどりしなりと此程の事故ことがら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勘次かんじ卯平うへいにも子供こどもにもすまぬやうながしたので近所きんじよ義理ぎりすというて菓子くわし一袋ひとふくろふところれてた。とき與吉よきちはもうねむつてた。卯平うへいへんなことをするとおもつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)