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滴
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てき
ふりがな文庫
“
滴
(
てき
)” の例文
……まア、あたじけない!
皆
(
みん
)
な
飮
(
の
)
んでしまうて、
隨
(
つ
)
いて
行
(
ゆ
)
かう
予
(
わたし
)
の
爲
(
ため
)
に
只
(
たゞ
)
一
滴
(
てき
)
をも
殘
(
のこ
)
しておいてはくれぬ。……お
前
(
まへ
)
の
脣
(
くちびる
)
を
吸
(
す
)
はうぞ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
友人はこれを聞き、カッとしてわが胸中に
湧
(
わ
)
きいずる同情の海に比ぶれば二千、三千の金はその一
滴
(
てき
)
にだも
値
(
あたい
)
せずと
絶叫
(
ぜっきょう
)
したと聞いた。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
一つ一つのお
皿
(
さら
)
から、すこしずつやさいのスープとパンをたべ、それから、一つ一つのおさかずきから、一
滴
(
てき
)
ずつブドウ
酒
(
しゅ
)
をのみました。
白雪姫
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
小初のきつい眼から
涙
(
なみだ
)
が二三
滴
(
てき
)
落ちた。貝原は身の置場所もなく
恐縮
(
きょうしゅく
)
した。小初は涙を拭いた。そして今度はすこし優しい声音で云った。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
凛々
(
りんりん
)
たる
勇姿
(
ゆうし
)
、あたりをはらった。さしも、
烏合
(
うごう
)
の
野武士
(
のぶし
)
たちも、このけなげさに、一
滴
(
てき
)
の
涙
(
なみだ
)
を、
具足
(
ぐそく
)
にぬらさぬものはない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
永年
(
ながねん
)
しまっておいた
油
(
あぶら
)
は、もうこればかしになってしまった。もうすこし
長
(
なが
)
く
月日
(
つきひ
)
がたったら、
油
(
あぶら
)
は、一
滴
(
てき
)
もなくなってしまっただろう……。
びんの中の世界
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
一グラムとは一
匁
(
もんめ
)
と
申
(
まう
)
して三
分
(
ぶ
)
ゲレンとは三
割
(
わり
)
にして
硝盃
(
コツプ
)
に三十
滴
(
てき
)
が
半
(
はん
)
ゲレンぢやが、見て
居
(
を
)
れ
斯
(
か
)
ういふ
工合
(
ぐあい
)
にするのだ。
華族のお医者
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
試験管
(
しけんかん
)
をならべ、
毒薬
(
どくやく
)
とかかれた
茶色
(
ちゃいろ
)
のびんをとりあげると、試験管の中に、たらたらと、三、四
滴
(
てき
)
の
液
(
えき
)
をたらしこんだ。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
両肩を張って、うなじを垂れて、涙を止めるのに一生懸命になってはいたけれど、光った物が一
滴
(
てき
)
膝の上に落ちた。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
食器を洗う水が、すぐそばを、流しの口から流れ落ちる、ある時は滝のように、ある時は一
滴
(
てき
)
一
滴
(
てき
)
。そして、彼のほうへひやりとした風を送ってくる。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
それでも
猶旦
(
やつぱり
)
騙
(
だま
)
されぬ
時
(
とき
)
は
小
(
ちひ
)
さな
穴
(
あな
)
から
熱湯
(
ねつたう
)
をぽつちりと
臀
(
しり
)
に
注
(
そゝ
)
げば
蛸
(
たこ
)
は
必
(
かなら
)
ず
慌
(
あわ
)
てゝ
漁師
(
れふし
)
の
前
(
まへ
)
に
跳
(
をど
)
り
出
(
だ
)
す。
熱
(
あつ
)
い一
滴
(
てき
)
によつて
容易
(
ようい
)
に
蛸
(
たこ
)
は
騙
(
だま
)
されるのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
平次はいきなり、涙一
滴
(
てき
)
こぼさぬ娘のお秀に聲を掛けました。勝氣なお秀は、激情と悲歎を押し包んで、燒金のやうな猛烈な復讐心を眼に燃やし續けてゐるのです。
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
山巓
(
さんてん
)
一
滴
(
てき
)
の
水
(
みづ
)
を
得
(
う
)
る能はざるを以て、
餅
(
もち
)
を
炙
(
あぶ
)
りて之を
食
(
くら
)
ふ、餅は今回の
旅行
(
りよこう
)
に就ては
実
(
じつ
)
に重宝なりき、此日や喜作なるもの
遅
(
おく
)
れて
到
(
いた
)
り、「いわな」魚二十三尾を
釣
(
つ
)
り来る、皆尺余なり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
巨男
(
おおおとこ
)
は、
都
(
みやこ
)
へのぼろうと思いました。
途中
(
とちゅう
)
でどうかして、白鳥に
涙
(
なみだ
)
を流させようとしました。頭をたたいたり、お
尻
(
しり
)
をつねったりしたのです。けれど白鳥は、けっして一
滴
(
てき
)
さえ
涙
(
なみだ
)
を出しませんでした。
巨男の話
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
ところが、一
滴
(
てき
)
の
涙
(
なみだ
)
もありませんでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
と
硝盃
(
コツプ
)
へ
先
(
さき
)
に水を
入
(
い
)
れて、ポタリ/\と
壜
(
びん
)
の口を
開
(
あ
)
けながら
滴
(
たら
)
すのだが、
中々
(
なか/\
)
素人
(
しろうと
)
にはさう
旨
(
うま
)
く
出来
(
でき
)
ない、二十
滴
(
てき
)
と思つた
奴
(
やつ
)
が六十
滴
(
てき
)
許
(
ばかり
)
出た。殿
華族のお医者
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「おッと、そいつは
大安心
(
おおあんしん
)
、ここは
空井戸
(
からいど
)
で一
滴
(
てき
)
の水もないばかりか、横へぬけ道ができているからたしかに
間道
(
かんどう
)
です」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
滴
(
てき
)
からだについたら、
死
(
し
)
んでしまうような
殺虫剤
(
さっちゅうざい
)
で、
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで、ちょうの
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
いまわしたものだ。
冬のちょう
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
土
(
つち
)
が
保有
(
ほいう
)
すべき
水分
(
すゐぶん
)
がそれ
程
(
ほど
)
蒸發
(
じようはつ
)
し
盡
(
つく
)
しても
其
(
そ
)
の
吹
(
ふ
)
き
渡
(
わた
)
る
間
(
あひだ
)
は
西風
(
にしかぜ
)
は
決
(
けつ
)
して
空
(
そら
)
に一
滴
(
てき
)
の
雨
(
あめ
)
さへ
催
(
もよほ
)
させぬ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
さされるので大いに
当惑
(
とうわく
)
した近頃師匠の晩酌の相手をして少しばかり手が上ったけれども余り行ける口でなかったしよそへ行っては師匠の許可がない限り一
滴
(
てき
)
といえども飲むことを
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
女王さまは、ぬいものをしながら、雪をながめておいでになりましたが、チクリとゆびを
針
(
はり
)
でおさしになりました。すると、雪のつもった中に、ポタポタポタと三
滴
(
てき
)
の
血
(
ち
)
がおちました。
白雪姫
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
相互に利益を
異
(
こと
)
にするように聞こゆれども、そういうように意味を取ると、とかく性質が
悪
(
あし
)
ざまになりて、表向きでは一
滴
(
てき
)
の酒を飲まぬと言いながら、裏面ではこっそりとちびちび飲む。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
眼下
(
がんか
)
に
茫々
(
ばう/\
)
たる大湖ありと、衆忽ち
拍手
(
はくしゆ
)
して帰途の
方針
(
ほうしん
)
を
定
(
さだ
)
むるを得たるを
喜
(
よろこ
)
び、帰郷の
近
(
ちか
)
きを
祝
(
しゆく
)
す、
日
(
ひ
)
既
(
すで
)
に中して
腹中
(
ふくちう
)
頻
(
しき
)
りに飢を
訴
(
うつた
)
ふ、されども一
滴
(
てき
)
の水を得る能はず、
况
(
いわ
)
んや飯を
炊
(
かし
)
くに
於
(
おい
)
てをや
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
ふたりはすぐ
祠
(
ほこら
)
にあった石櫃へ、宝物をいれかえ一
滴
(
てき
)
の水もしみこまぬようにして、岸にあった丸木のくりぬき舟にそれをのせて、忍剣がひとりで
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
盃
(
さかずき
)
は
天
(
てん
)
に
向
(
む
)
いてささげられてある。
星
(
ほし
)
が
夜々
(
よるよる
)
にその
山
(
やま
)
の
嶺
(
みね
)
を
通
(
とお
)
るときに、一
滴
(
てき
)
の
露
(
つゆ
)
を
落
(
お
)
としてゆく。その
露
(
つゆ
)
が千
年
(
ねん
)
、
万年
(
まんねん
)
と、その
盃
(
さかずき
)
の
中
(
なか
)
にたたえられている。
不死の薬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼
(
かれ
)
は
彼等
(
かれら
)
の
伴侶
(
なかま
)
に
在
(
あ
)
つては、
幾度
(
いくたび
)
かいひふらされて
居
(
ゐ
)
る
如
(
ごと
)
く
水
(
みづ
)
に
落
(
おと
)
した
菜種油
(
なたねあぶら
)
の一
滴
(
てき
)
である。
水
(
みづ
)
が
動
(
うご
)
く
時
(
とき
)
油
(
あぶら
)
は
隨
(
したが
)
つて
動
(
うご
)
かねば
成
(
な
)
らぬ。
水
(
みづ
)
が
傾
(
かたむ
)
く
時
(
とき
)
油
(
あぶら
)
は
亦
(
また
)
傾
(
かたむ
)
かねば
成
(
な
)
らぬ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
仏壇
(
ぶつだん
)
に、ささげられたさかずきの
酒
(
さけ
)
は、ほんとうに一
滴
(
てき
)
も
減
(
げん
)
じはしなかったのです。
さかずきの輪廻
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“滴”の意味
《名詞》
(しずく)空中や物の表面にある球状となった少量の液体。
(出典:Wiktionary)
滴
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
“滴”を含む語句
点滴
一滴
雨滴
滴々
涓滴
水滴
滴水
墨汁一滴
余滴
點滴
滴点
滴垂
二滴
下滴
散滴
油滴
滴水和尚
滴血
滴雫
血一滴
...