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涸
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か
ふりがな文庫
“
涸
(
か
)” の例文
(ロ)
水源
(
すいげん
)
の
涵養
(
かんよう
)
。
森林
(
しんりん
)
はかように
雨量
(
うりよう
)
を
調節
(
ちようせつ
)
することが
出來
(
でき
)
ると
同時
(
どうじ
)
に
一方
(
いつぽう
)
では
水源
(
すいげん
)
の
養
(
やしな
)
ひとなり、
河水
(
かすい
)
の
涸
(
か
)
れるのを
防
(
ふせ
)
ぎます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
しかしながら、働くことをしない寛大で高貴で貧しい人はもはや救われることができない。収入の源は
涸
(
か
)
れ、必要のものは多くなる。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼らは
喉
(
のど
)
を
涸
(
か
)
らして呼んでいた。彼女はそのままにさしておいて、それから反対の方へ行って呼んだ。ついに彼らは疲れてしまった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
城下の十方はすべて焦土、糧道なく、水の手は
涸
(
か
)
れ、しかも援軍の来るお見こみもまずあるまい。——曳かれものの小唄よ、はははは
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「君は
善
(
よ
)
き人なりと見ゆ。彼のごとく
酷
(
むご
)
くはあらじ。またわが母のごとく」しばし
涸
(
か
)
れたる涙の泉はまた
溢
(
あふ
)
れて愛らしき
頬
(
ほお
)
を流れ落つ。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
しばらくすると、この
旱
(
ひでり
)
に水は
涸
(
か
)
れたが、
碧緑
(
へきりょく
)
の葉の深く繁れる中なる、
緋葉
(
もみじ
)
の滝と云うのに対して、紫玉は
蓮池
(
はすいけ
)
の
汀
(
みぎわ
)
を
歩行
(
ある
)
いていた。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大井川の水
涸
(
か
)
れ/\にして
蛇籠
(
じゃかご
)
に草離々たる、越すに越されざりし「
朝貌
(
あさがお
)
日記」何とかの段は更なり、
雲助
(
くもすけ
)
とかの肩によって渡る御侍
東上記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
もう声も
涸
(
か
)
れきっているのに、涙ばかりをホロホロとこぼし、パッチリとあいた眼に、じっと母親の
面
(
かお
)
を見据えて五体をわななかせる。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこに着いて見るとあに
図
(
はか
)
らんや水はすっかり
涸
(
か
)
れて奇麗な白石ばかり残って居る。ちょうどそれが水のように見えて居ったです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
吾妻川
(
あがつまがわ
)
の
流
(
ながれ
)
も冬の中頃ゆえ水は
涸
(
か
)
れて居りますが、名に負う急流、岩に当って打落す水音高くごう/\と物凄き有様でございます。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今まで
涸
(
か
)
れがれになったり氷が張りつめていたりした溝川の水などがいつの間にか氷も溶けてしまい少しずつ分量も増してきて
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
橋桁
(
はしけた
)
の
陥
(
お
)
っこった土橋、水が
涸
(
か
)
れて河床の浮きあがった小川や、
畦道
(
あぜみち
)
は霜に崩れて、下駄の歯に
絡
(
か
)
らんでひどく歩きにくかった。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「私は
操
(
みさお
)
を売ろう」そこで彼女は、生命力の最後の一滴を
涸
(
か
)
らしてしまったんではあるまいか。そしてそこでも
愈々
(
いよいよ
)
働けなくなったんだ。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
しかしこの井戸が最も深く、水もまた最も清冽で、どんな
旱魃
(
かんばつ
)
にもかつて
涸
(
か
)
れたことがないので、この屋敷では清水の井戸といっていた。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
よい品は二重三重に貼って、これを桜皮で縫って止めます。よい品は必ず二十年三十年と材を
涸
(
か
)
らしてからでないと作りません。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
彼の屋敷下の小さな谷を流るゝ小川は、何処から来るのか知らぬが、冬は大抵
涸
(
か
)
れて了う。其かわり夏の出水には堤を越して畑に
溢
(
あふ
)
れる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
林のまわりは雑草や
灌木
(
かんぼく
)
が繁り、流れの水は
涸
(
か
)
れて、白く干上った底石の間あいだに実をつけた夏草が
逞
(
たくま
)
しく根を張っていた。
晩秋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
聖堂裏まで来ると、大変な人立ち——、町役人が声を
涸
(
か
)
らして追っ払っても、頭の黒い野次馬は、
蠅
(
はえ
)
のようにたかって来ます。
銭形平次捕物控:068 辻斬綺談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
毎人一桶ずつ毎日その水を
汲
(
く
)
ませ、以て大海を
乾
(
ほ
)
し
涸
(
か
)
らそうと懸った、かくて追々海が減る様子を、海の民が海王に告げると
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
秋も末に近く、瀬は
殆
(
ほとん
)
ど
涸
(
か
)
れてゐた。川上の紅葉が水のまにまに流れて来て、
蛇籠
(
じゃかご
)
の籠目や、瀬の
縁
(
ふち
)
に厚い
芥
(
あくた
)
となつて老いさらばつてゐた。
川
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼の説によるとすべて胃病の源因は漬物にある。漬物さえ断てば胃病の源を
涸
(
か
)
らす訳だから本復は疑なしという論法であった。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
現在のいわゆる
天水場
(
てんすいば
)
には、清水が後に
涸
(
か
)
れたものもあろうが、それよりも数多いのは沼を開いた地のおいおいの変化である。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
涸
(
か
)
れ乾いた木の葉に火が
点
(
つ
)
いたのである。
濛々
(
もうもう
)
たる黒煙のその中から
焔
(
ほのお
)
の舌が
閃
(
ひらめ
)
いて見え嵐に
煽
(
あお
)
られて次第次第に火勢は
麓
(
ふもと
)
の方へ流れて来る。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
このまま、人生は終えてしまうことになるが、眼は眼に、耳は耳に、最後の最後の一人の、
涸
(
か
)
れ血までも
啜
(
すす
)
りとったわけだ。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
もとより
涸
(
か
)
れざる泉は今新たに開かれて、武男は限りなき愛の
滔々
(
とうとう
)
としてみなぎるを覚えつ。昼は思い、
夜
(
よ
)
は
彼女
(
かれ
)
を夢みぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
万象眠る夜の床 人に
逐
(
お
)
はれし人の子の 天地を
恨
(
うら
)
む力さへ 涙と共に
涸
(
か
)
れはてて
空
(
むなし
)
く急ぐ滅亡を 如何に見玉ふ我神よ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
盛りと見ゆる世も
何
(
いづ
)
れ衰ふる時はあり、末は濁りても
涸
(
か
)
れぬ源には、流れも
何時
(
いつ
)
か
清
(
す
)
まんずるぞ。言葉の
旨
(
むね
)
を
忖
(
はか
)
り得しか
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
また四十八の承元三年に実朝へ送った『近代秀歌』にも、「老に臨みて後は、病重く憂も深く沈み侍しかば、言葉の花色を忘れ、心の泉源
涸
(
か
)
れて」
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
「水は海に
竭
(
つ
)
き、河は
涸
(
か
)
れて乾く」とは砂漠地にて常に目撃する現象である(海とは真の海ではない、池の如くすべて水の
溜
(
たま
)
れる処をいうのである)
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
けだしかの武士もしくは高等の武士は無限の権威を有する無責任の皇帝なり。これを取りて尽きず、これを汲んで
涸
(
か
)
れざるの財源を有するものなり。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
また汝の今見る水は、
漲
(
みなぎ
)
り
涸
(
か
)
るゝ河のごとくに、冷えて凝れる水氣の
補
(
おぎな
)
ふ脈より流れいづるにあらず 一二一—一二三
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
ながらく
旱
(
ひでり
)
が
續
(
つゞ
)
いたので、
沼
(
ぬま
)
の
水
(
みづ
)
が
涸
(
か
)
れさうになつてきました。
雜魚
(
ざこ
)
どもは
心配
(
しんぱい
)
して
山
(
やま
)
の
神樣
(
かみさま
)
に、
雨
(
あめ
)
のふるまでの
斷食
(
だんじき
)
をちかつて、
熱心
(
ねつしん
)
に
祈
(
いの
)
りました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
声を
涸
(
か
)
らし合うこの怪しげな行事は、名づけて
新手
(
にいて
)
村の悪口祭りといい、宵の頃よりはじめて、除夜の鐘の鳴りそめる時まで、奇声悪声の絶え間がない。
猿飛佐助
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
何十億本という木が滅びつつあるし、鳥やけものの
棲家
(
すみか
)
は荒されるし、河はしだいに浅くなって
涸
(
か
)
れてゆくし、すばらしい景色も、消えてまた返らずさ。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
水の色の
碧
(
みどり
)
の深さ、ただならぬ妖怪じみた色をしており、主でも
棲
(
す
)
むという
面魂
(
つらだましい
)
、三輪の神様に結びついた伝説があって、水の
涸
(
か
)
れることがないそうだ。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ロミオ
眞實
(
しんじつ
)
、
予
(
わし
)
の
目
(
め
)
にも、
卿
(
そもじ
)
の
顏
(
かほ
)
が
然
(
さ
)
う
見
(
み
)
ゆる。
憂悲愁
(
うきかなしみ
)
が
互
(
たが
)
ひの
血汐
(
ちしほ
)
を
涸
(
か
)
らしたのぢゃ。おさらば、おさらば!
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
筧
(
かけひ
)
は雨がしばらく降らないと水が
涸
(
か
)
れてしまう。また私の耳も日によってはまるっきり無感覚のことがあった。
筧の話
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
水が
涸
(
か
)
れて、河床が露出しているだけで、しかし黄砂のようにめり込まないから、歩きやすいのである。その河床に白い棒のようなものがころがっていた。
狂い凧
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
勘弁勘次も神妙に口を
噤
(
つぐ
)
んで、若いだけに殺された姉よりも美しい文字若の顔を、お得意の「勘弁ならねえ」も
涸
(
か
)
れ果てていやにうっとり眺め入っている。
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼女は
脚
(
あし
)
を厚い毛の靴下で包んだ。
膏脂
(
こうし
)
の
涸
(
か
)
れた彼女の皮膚は痛々しく秋風に堪へなかつた。いつか彼女の手の
尖
(
さき
)
には化粧の匂ひが消えずに残りはじめた。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
噴泉の水は
涸
(
か
)
れ、浴池には青苔蒸して青銅は錆び、眼に入るものすべては古色蒼然としてそこにはただ樹が繁り、花が乱れ咲いているだけの現実にはせよ
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
そういう
裡
(
うち
)
でも私だけは、まるで涙ももう
涸
(
か
)
れてしまったとでも云うように、そしてそんな自分自身をも冷やかに笑っているより外はないかのように見えた。
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
池の中の七箇所から清水が湧いて
旱
(
ひでり
)
の時も
涸
(
か
)
れることがないので、『
七井池
(
なないのいけ
)
』といいます(江戸名所図絵)。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
しかし今はその憤懣を
恣
(
ほしいまま
)
に
洩
(
も
)
らす力さえ、——大樹の幹に頭を打ちつけるか、湖の底に身を投ずるか、一気に自己を亡すべき、最後の力さえ
涸
(
か
)
れ尽きていた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
水の
涸
(
か
)
れやすい流れに臨む水車小屋の義である。転じて、疑わしきこと、心もとなき意味にも用いられる。
雨の日
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
山沢を
漫渉
(
まんせふ
)
して、
渓澗
(
けいかん
)
の炎暑の候にも
涸
(
か
)
れざるを見る時に、我は地底の水脈の
苟且
(
ゆるかせ
)
にすべからざるを思ふ、社界の外面に顕はれたる思想上の現象に注ぐ眼光は
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
けれどいつかこの黒い鳥も羽が疲れて
地面
(
じびた
)
に落ちてしまい、厭な声も次第に疲れて
涸
(
か
)
れてしまうだろう。そうすればこの世は全く声というものが絶えてしまう。
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
が、次第に物をいう力さえ
涸
(
か
)
れ
涸
(
が
)
れになって、果は
唇
(
くち
)
ばかり動くけれど、言葉はもう聴きとれなかった。
老嬢と猫
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
華厳
(
けごん
)
の滝が
涸
(
か
)
れたところで、私は格別、痛嘆しない。けれども、俳優、羽左衛門の壮健は祈らずに居れないのだ。柿右衛門の作ひとつにでも傷をつけないように。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
香のする花の咲き軟かな草の
滋
(
しげ
)
つて居る広野を
愉快
(
たのし
)
げに
遊行
(
ゆきやう
)
したところ、水は大分に夏の初め故
涸
(
か
)
れたれど猶清らかに流れて岸を洗ふて居る大きな川に
出逢
(
いであ
)
ふた
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
涸
漢検1級
部首:⽔
11画
“涸”を含む語句
乾涸
涸沢
干涸
涸々
涸沼
水涸
涸谷
涸渇
出涸
鹹涸川
裏涸
皺涸
田涸
潮涸玉
涸雪
涸裂
涸燥
涸澤
涸渓
涸底
...