)” の例文
(ロ)水源すいげん涵養かんよう。 森林しんりんはかように雨量うりよう調節ちようせつすることが出來できると同時どうじ一方いつぽうでは水源すいげんやしなひとなり、河水かすいれるのをふせぎます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
しかしながら、働くことをしない寛大で高貴で貧しい人はもはや救われることができない。収入の源はれ、必要のものは多くなる。
彼らはのどらして呼んでいた。彼女はそのままにさしておいて、それから反対の方へ行って呼んだ。ついに彼らは疲れてしまった。
城下の十方はすべて焦土、糧道なく、水の手はれ、しかも援軍の来るお見こみもまずあるまい。——曳かれものの小唄よ、はははは
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「君はき人なりと見ゆ。彼のごとくむごくはあらじ。またわが母のごとく」しばしれたる涙の泉はまたあふれて愛らしきほおを流れ落つ。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
しばらくすると、このひでりに水はれたが、碧緑へきりょくの葉の深く繁れる中なる、緋葉もみじの滝と云うのに対して、紫玉は蓮池はすいけみぎわ歩行あるいていた。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大井川の水れ/\にして蛇籠じゃかごに草離々たる、越すに越されざりし「朝貌あさがお日記」何とかの段は更なり、雲助くもすけとかの肩によって渡る御侍
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
もう声もれきっているのに、涙ばかりをホロホロとこぼし、パッチリとあいた眼に、じっと母親のかおを見据えて五体をわななかせる。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そこに着いて見るとあにはからんや水はすっかりれて奇麗な白石ばかり残って居る。ちょうどそれが水のように見えて居ったです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
吾妻川あがつまがわながれも冬の中頃ゆえ水はれて居りますが、名に負う急流、岩に当って打落す水音高くごう/\と物凄き有様でございます。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今までれがれになったり氷が張りつめていたりした溝川の水などがいつの間にか氷も溶けてしまい少しずつ分量も増してきて
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
橋桁はしけたっこった土橋、水がれて河床の浮きあがった小川や、畦道あぜみちは霜に崩れて、下駄の歯にらんでひどく歩きにくかった。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
「私はみさおを売ろう」そこで彼女は、生命力の最後の一滴をらしてしまったんではあるまいか。そしてそこでも愈々いよいよ働けなくなったんだ。
淫売婦 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
しかしこの井戸が最も深く、水もまた最も清冽で、どんな旱魃かんばつにもかつてれたことがないので、この屋敷では清水の井戸といっていた。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
よい品は二重三重に貼って、これを桜皮で縫って止めます。よい品は必ず二十年三十年と材をらしてからでないと作りません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
彼の屋敷下の小さな谷を流るゝ小川は、何処から来るのか知らぬが、冬は大抵れて了う。其かわり夏の出水には堤を越して畑にあふれる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
林のまわりは雑草や灌木かんぼくが繁り、流れの水はれて、白く干上った底石の間あいだに実をつけた夏草がたくましく根を張っていた。
晩秋 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
聖堂裏まで来ると、大変な人立ち——、町役人が声をらして追っ払っても、頭の黒い野次馬は、はえのようにたかって来ます。
毎人一桶ずつ毎日その水をませ、以て大海をらそうと懸った、かくて追々海が減る様子を、海の民が海王に告げると
秋も末に近く、瀬はほとんれてゐた。川上の紅葉が水のまにまに流れて来て、蛇籠じゃかごの籠目や、瀬のふちに厚いあくたとなつて老いさらばつてゐた。
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
彼の説によるとすべて胃病の源因は漬物にある。漬物さえ断てば胃病の源をらす訳だから本復は疑なしという論法であった。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
現在のいわゆる天水場てんすいばには、清水が後にれたものもあろうが、それよりも数多いのは沼を開いた地のおいおいの変化である。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
れ乾いた木の葉に火がいたのである。濛々もうもうたる黒煙のその中からほのおの舌がひらめいて見え嵐にあおられて次第次第に火勢はふもとの方へ流れて来る。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
このまま、人生は終えてしまうことになるが、眼は眼に、耳は耳に、最後の最後の一人の、れ血までもすすりとったわけだ。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
もとよりれざる泉は今新たに開かれて、武男は限りなき愛の滔々とうとうとしてみなぎるを覚えつ。昼は思い、彼女かれを夢みぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
万象眠る夜の床 人にはれし人の子の 天地をうらむ力さへ 涙と共にれはてて むなしく急ぐ滅亡を 如何に見玉ふ我神よ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
盛りと見ゆる世もいづれ衰ふる時はあり、末は濁りてもれぬ源には、流れも何時いつまんずるぞ。言葉のむねはかり得しか
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
また四十八の承元三年に実朝へ送った『近代秀歌』にも、「老に臨みて後は、病重く憂も深く沈み侍しかば、言葉の花色を忘れ、心の泉源れて」
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
「水は海にき、河はれて乾く」とは砂漠地にて常に目撃する現象である(海とは真の海ではない、池の如くすべて水のたまれる処をいうのである)
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
けだしかの武士もしくは高等の武士は無限の権威を有する無責任の皇帝なり。これを取りて尽きず、これを汲んでれざるの財源を有するものなり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
また汝の今見る水は、みなぎるゝ河のごとくに、冷えて凝れる水氣のおぎなふ脈より流れいづるにあらず 一二一—一二三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ながらくひでりつゞいたので、ぬまみづれさうになつてきました。雜魚ざこどもは心配しんぱいしてやま神樣かみさまに、あめのふるまでの斷食だんじきをちかつて、熱心ねつしんいのりました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
声をらし合うこの怪しげな行事は、名づけて新手にいて村の悪口祭りといい、宵の頃よりはじめて、除夜の鐘の鳴りそめる時まで、奇声悪声の絶え間がない。
猿飛佐助 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
何十億本という木が滅びつつあるし、鳥やけものの棲家すみかは荒されるし、河はしだいに浅くなってれてゆくし、すばらしい景色も、消えてまた返らずさ。
水の色のみどりの深さ、ただならぬ妖怪じみた色をしており、主でもむという面魂つらだましい、三輪の神様に結びついた伝説があって、水のれることがないそうだ。
不連続殺人事件 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
ロミオ 眞實しんじつわしにも、そもじかほゆる。憂悲愁うきかなしみたがひの血汐ちしほらしたのぢゃ。おさらば、おさらば!
かけひは雨がしばらく降らないと水がれてしまう。また私の耳も日によってはまるっきり無感覚のことがあった。
筧の話 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
水がれて、河床が露出しているだけで、しかし黄砂のようにめり込まないから、歩きやすいのである。その河床に白い棒のようなものがころがっていた。
狂い凧 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
勘弁勘次も神妙に口をつぐんで、若いだけに殺された姉よりも美しい文字若の顔を、お得意の「勘弁ならねえ」もれ果てていやにうっとり眺め入っている。
彼女はあしを厚い毛の靴下で包んだ。膏脂こうしれた彼女の皮膚は痛々しく秋風に堪へなかつた。いつか彼女の手のさきには化粧の匂ひが消えずに残りはじめた。
青いポアン (新字旧仮名) / 神西清(著)
噴泉の水はれ、浴池には青苔蒸して青銅は錆び、眼に入るものすべては古色蒼然としてそこにはただ樹が繁り、花が乱れ咲いているだけの現実にはせよ
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
そういううちでも私だけは、まるで涙ももうれてしまったとでも云うように、そしてそんな自分自身をも冷やかに笑っているより外はないかのように見えた。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
池の中の七箇所から清水が湧いてひでりの時もれることがないので、『七井池なないのいけ』といいます(江戸名所図絵)。
犬の生活 (新字新仮名) / 小山清(著)
しかし今はその憤懣をほしいままらす力さえ、——大樹の幹に頭を打ちつけるか、湖の底に身を投ずるか、一気に自己を亡すべき、最後の力さえれ尽きていた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
水のれやすい流れに臨む水車小屋の義である。転じて、疑わしきこと、心もとなき意味にも用いられる。
雨の日 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
山沢を漫渉まんせふして、渓澗けいかんの炎暑の候にもれざるを見る時に、我は地底の水脈の苟且ゆるかせにすべからざるを思ふ、社界の外面に顕はれたる思想上の現象に注ぐ眼光は
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
けれどいつかこの黒い鳥も羽が疲れて地面じびたに落ちてしまい、厭な声も次第に疲れてれてしまうだろう。そうすればこの世は全く声というものが絶えてしまう。
不思議な鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
が、次第に物をいう力さえれになって、果はくちばかり動くけれど、言葉はもう聴きとれなかった。
老嬢と猫 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
華厳けごんの滝がれたところで、私は格別、痛嘆しない。けれども、俳優、羽左衛門の壮健は祈らずに居れないのだ。柿右衛門の作ひとつにでも傷をつけないように。
香のする花の咲き軟かな草のしげつて居る広野を愉快たのしげに遊行ゆきやうしたところ、水は大分に夏の初め故れたれど猶清らかに流れて岸を洗ふて居る大きな川に出逢いであふた
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)