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本意
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ほい
ふりがな文庫
“
本意
(
ほい
)” の例文
お登和嬢
窃
(
ひそか
)
に兄の袖を
惹
(
ひ
)
き「そうすると大原さんは二、三日内に御出発なさるようになりましょうか」と今更別るるを
本意
(
ほい
)
なく思う。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「これだけいうても理不尽に、拙者に斬りかかるとならば、えんりょはいたさぬ。斬るぞ!
本意
(
ほい
)
ではなけれども、拙者も斬るぞ!」
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
わびたりとて肯くべきにあらず、しおしおと引返す
本意
(
ほい
)
なき
日数
(
ひかず
)
こそ積りたれ。忘れぬは
我
(
わが
)
ために、この時嬉しかりし楓にこそ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
われいまだ
他
(
かれ
)
を見しことなければ、もし
過失
(
あやま
)
ちて
他
(
た
)
の犬を
傷
(
きずつ
)
け、後の
禍
(
わざわい
)
をまねかんも
本意
(
ほい
)
なしと、案じわづらひてゐけるほどに。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
あの
折
(
おり
)
は
思
(
おも
)
いの
外
(
ほか
)
の
乱軍
(
らんぐん
)
、
訣別
(
わかれ
)
の
言葉
(
ことば
)
一
(
ひと
)
つかわす
隙
(
ひま
)
もなく、あんな
事
(
こと
)
になって
了
(
しま
)
い、そなたも
定
(
さだ
)
めし
本意
(
ほい
)
ないことであったであろう……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
▼ もっと見る
そのうちその
不為合
(
ふしあわ
)
せな御方は、御自分の
本意
(
ほい
)
からでもなく、ときおり殿をお通わせになさっていられるらしい御様子だった。
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
重吉は母親の時のあの
本意
(
ほい
)
ない悔いをふたたび妻には繰り返すまいと、魚屋に魚のない日は自分で夜釣に出かけたりした。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
独
(
ひと
)
りこの禅寺は松の古葉の少しこぼれたるばかりなるぞ清らかに淋しく禅寺の
本意
(
ほい
)
なるべきと口ずさみたる者ならん。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
中の君はこれを
本意
(
ほい
)
ないことに思ったが、とめることはできなかった。あのできごとに心の乱れている女であったから、あまり長く話もせずに去った。
源氏物語:52 東屋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
人に別れる時、何かその人に贐をやりたいと思うけれども、遂に
遣
(
や
)
ることが出来なかった。その志を致さぬということが一層この別れを
本意
(
ほい
)
なくする。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
が、いつも買ひおほせずに
本意
(
ほい
)
なく帰つてきてしまつた。とはいへある晩たうとう思ひきつて葡萄餅の行燈のそばにたちよつた。婆さんはお客だとおもつて
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
きのふまで君を
慕
(
した
)
ひしも、けふは
忽
(
たちま
)
ち
怨敵
(
あた
)
となりて、
本意
(
ほい
)
をも
遂
(
と
)
げたまはで、いにしへより
八九
例
(
あと
)
なき
刑
(
つみ
)
を得給ひて、かかる
鄙
(
ひな
)
の国の土とならせ給ふなり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
申せしゆゑ
早々
(
さう/\
)
歸
(
かへ
)
りしと見えたりさぞかし
本意
(
ほい
)
なく思ひしなるべしと云ひながら文右衞門
煙草
(
たばこ
)
を
呑
(
のま
)
んと
煙草盆
(
たばこぼん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
まことに
本意
(
ほい
)
無
(
な
)
くは侍れど心に任せぬは
天
(
そら
)
の事なり、まづ兎も角も休ませ玉へと云へば、父上は打笑ひ玉ひて、天のさまの測り難きは常の事なれば喞つべからず
鼠頭魚釣り
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
又もや彼の路次をわざ/\通りぬけて、
本意
(
ほい
)
なく秋元へ帰ったが、それからは毎夜々々、そんなことに本郷から
柳橋
(
やなぎばし
)
まで出て来て、話しにならぬ苦労に
窶
(
やつ
)
れて居たが
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
それでお島は、小野田が自分をつれて来なかった理由が解ったような気がして、父親が
本意
(
ほい
)
ながるのも
肯
(
き
)
かずに、その日のうちにN——市へ引返して来たのであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼我に、語るも
本意
(
ほい
)
なし、されど明かなる汝の
言
(
ことば
)
我に昔の世をしのばしめ我を強ふ 五二—五四
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
おものも申さで立ち候こと
本意
(
ほい
)
なき限りに存じまいらせ候。なにとぞお許しくだされたく候。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
幽霊
(
いうれい
)
といふもの
話
(
はなし
)
にはきゝつるが見しははじめて也、
袖振合
(
そでふりあは
)
すも
他生
(
たしやう
)
の
縁
(
えん
)
とこそいふなれ、いたづらに見すぐさんも
本意
(
ほい
)
なし、今夜こそ
仏法
(
ぶつほふ
)
のありがたさも身にしみつれば
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「美人御苦労だったね、此れは少しだが
簪
(
かんざし
)
でも買いなさい」と、一人が紙に
幾干
(
いくら
)
か
捻
(
ひね
)
って渡したのを受取ったまま、お光は何か
本意
(
ほい
)
なさそうに跡見送って、ほっと溜息ついて
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
鋭き言葉に言い
懲
(
こら
)
されて、餘儀なく立ち
上
(
あが
)
る冷泉を、引き立てん計りに送り出だし、
本意
(
ほい
)
なげに見返るを
見向
(
みむき
)
もやらず、其儘障子を
礑
(
はた
)
と
締
(
し
)
めて、仆るゝが如く座に就ける横笛。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
見れば
雜踏
(
こみあひ
)
の中を飄然として行く後ろつき
菊五郎
(
おとはや
)
に似たる
通仕立
(
つうじたて
)
の
翁
(
おきな
)
あり誰ぞと見れば
幸堂得知
(
かうだうとくち
)
氏なり
偖
(
さて
)
は我々の行を送らんとして
此
(
こゝ
)
に來て逢はぬに
本意
(
ほい
)
なく歸るならん送る人を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
兼太郎はただ「いいかねいいかね。」と念を押しながら
本意
(
ほい
)
なくも下駄をぬいで上った。
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
われも正剣解いてこれにまじり、打てども打てども、球あらぬ方へのみ飛ぶぞ
本意
(
ほい
)
なき。
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
お糸さんは笑声が余所の部屋でするけれど、顔も見せない、私は何となく
本意
(
ほい
)
なかった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
本意
(
ほい
)
なう死んだ姉が、気の毒でいとしうて、うちなど、どないなってもかめへん、いつまでも離れんといて、思うとおりにうちの身体
使
(
つこ
)
て、仕残したことをなんなりやったらええ
姦(かしまし)
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
おなじ山科に隱れても、
大石内藏之助
(
おほいしくらのすけ
)
は見事にかたき討の
本意
(
ほい
)
を遂げたが、近松半二は駄目だ、駄目だ、いくら燥つても藻掻いても歌舞伎に對してかたき討は出來ない。(又咳き入る)
近松半二の死
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「既に出家の
本意
(
ほい
)
を遂げて了いました。今は山林の中へ遁れようと思います」
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
おん目にかゝらんことは、
寔
(
まこと
)
に喜ばしき限なれど、かく強ひて迎へまつらんこと
本意
(
ほい
)
なく、二たび三たび止めしに、ベルナルドオの君聽かれねば是非なし。さきにはめでたき歌を
賜
(
たま
)
はりぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
主
(
あるじ
)
の
本意
(
ほい
)
ならじとは
念
(
おも
)
ひながら、老婢は止むを得ず彼を
子亭
(
はなれ
)
に
案内
(
あない
)
せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
いとど帰国の
本意
(
ほい
)
なき事を語り出でられぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
それと知る身は
本意
(
ほい
)
なくも
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
太郎冠者こそ
本意
(
ほい
)
なけれ
駱駝の瘤にまたがつて
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
しかれどもその姿をのみ見て面を見ざる、諸君はさぞ
本意
(
ほい
)
なからむ。さりながら、諸君より十層二十層、なお幾十層、ここに本意なき少年あり。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
も
無
(
む
)
に致すにより
固
(
かた
)
く相斷り候て受取申さゞるを市之丞は
本意
(
ほい
)
なく存じたるにや私し儀質物流れの掛合に參り候留守に
煙草盆
(
たばこぼん
)
の
中
(
うち
)
へ人知れず入れ置て歸りしを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
われも
正剣
(
せいけん
)
解
(
と
)
いてこれに雑り、打てども打てども、球あらぬ
方
(
かた
)
へのみ飛ぶぞ
本意
(
ほい
)
なき。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
朧気
(
おぼろげ
)
ながら
逢瀬
(
おうせ
)
うれしき
通路
(
かよいじ
)
を
堰
(
せ
)
く
鶏
(
とり
)
めを夢の名残の
本意
(
ほい
)
なさに憎らしゅう存じ
候
(
そろ
)
など
書
(
かい
)
てまだ足らず、
再書
(
かえすがき
)
濃々
(
こまごま
)
と、色好み深き都の
若佼
(
わこうど
)
を
幾人
(
いくたり
)
か迷わせ玉うらん
御標致
(
ごきりょう
)
の美しさ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
私は少し
本意
(
ほい
)
なかったが、やがて奥まった処で琴の
音
(
ね
)
がする。雪江さんに違いない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
然るに爾その
後
(
のち
)
は、われを恐れて里方へは、少しも姿を
出
(
いだ
)
さざる故、意恨をはらす事ならで、いとも
本意
(
ほい
)
なく思ふ折から。
朱目
(
あかめ
)
ぬしが教へに従ひ、今宵此処に罠を
掛
(
かけ
)
て、
私
(
ひそ
)
かに爾が
来
(
きた
)
るを待ちしに。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
君のような人には大根でも
人参
(
にんじん
)
でも何でもよく煮ないで
生煮
(
なまにえ
)
の硬い方がいいのだろう。そういう人の処へお登和を
進
(
あ
)
げても折角苦心して柔く煮た料理がかえって君の気に入らんようでは
本意
(
ほい
)
ないね。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
とお君が
本意
(
ほい
)
ないように言いました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
引
(
ひき
)
モシ若旦那
然
(
さう
)
行
(
いつ
)
ては「イヤ
吾儕
(
わし
)
は花見にはモウ
行
(
ゆか
)
ぬ是から家へ
歸
(
かへ
)
るなり」と
言捨
(
いひすて
)
足を早めるに和吉は
本意
(
ほい
)
なき
面地
(
おもゝち
)
にて夫では花見は
止
(
やめ
)
になつたか
然
(
さう
)
して見ば辨當を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
さなきだに葬礼法会ありしと聞けば、
魚
(
うお
)
の
腸
(
はらわた
)
に寄する
鳶
(
とび
)
のごとく十里を遠しとせざる
輩
(
やから
)
が、しかも丁寧に告知らせしに、
召
(
めし
)
に応ぜざるはそもいかに、貴婦人方は
本意
(
ほい
)
なげなり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
別れたてまつりし時は今生に御言葉を玉はらんことも復有るまじと思ひたりしに、夢路にも似たる今宵の逢瀬、
幾年
(
いくとせ
)
の心あつかひも聊か
本意
(
ほい
)
ある心地して嬉しくこそ、と
細〻
(
こま/\
)
と述ぶ。
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
わたくしは
本意
(
ほい
)
なく思つて、或時父に
愬
(
うつた
)
へました。すると父はかう申しました。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
某この年頃諸所を巡りて、
数多
(
あまた
)
の犬と
噬
(
か
)
み合ひたれども、一匹だにわが牙に立つものなく、いと
本意
(
ほい
)
なく思ひゐしに。今日
不意
(
ゆくりな
)
く御身に
出逢
(
であい
)
て、かく頼もしき
伴侶
(
とも
)
を得ること、
実
(
まこと
)
に
亡
(
なき
)
父の
紹介
(
ひきあわせ
)
ならん。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
...
生憎
(
あいにく
)
だったね。折角君に御馳走しようと思って楽しんでいたに、妹もさぞ
本意
(
ほい
)
なく思うだろう」大原「ところがね、外の人の御馳走ではモー一口も食べられんが御令妹のお手料理と聞いては腹が裂けるまでもこのままに引下がれん」
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
と、
本意
(
ほい
)
ない色を現わしました。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
其日の
中
(
うち
)
に
逃帰
(
にげかへ
)
らむかと
已
(
すで
)
に心を決せしが、さりとては余り
本意
(
ほい
)
無し、
今夜
(
こよひ
)
一夜
(
ひとよ
)
辛抱
(
しんばう
)
して、もし再び
昨夜
(
ゆうべ
)
の如く婦人の
来
(
きた
)
ることもあらば度胸を
据
(
す
)
ゑて
其
(
そ
)
の容貌と
其
(
その
)
姿態
(
したい
)
とを観察せむ
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
本意
(
ほい
)
ないことであります。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“本意”の意味
《名詞》
本意(ほんい)
もとからの心や意思。真意。
本義。
(出典:Wiktionary)
本
常用漢字
小1
部首:⽊
5画
意
常用漢字
小3
部首:⼼
13画
“本意”で始まる語句
本意無