斷念だんねん)” の例文
新字:断念
左樣さやう殘念ざんねんながら、西班牙イスパニヤや、亞弗利加アフリカはう今度こんど斷念だんねんしました。』と、わたくしがキツパリとこたへると、かれはポンとひざたゝいて
それゆゑにかような場合ばあひおいては、屋外おくがいることを斷念だんねん屋内おくないおい比較的ひかくてき安全あんぜん場所ばしよもとめることがむし得策とくさくであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
れが一斷念だんねんすればまでであるけれど、二度ふたたび三度みたび戸口とぐちつて足掻あがはじめれば、つてはきたり、つてはきた
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
一寸ちよつとにくところである。遺跡ゐせきひろいが、先年せんねん、チヤンバーレン大發掘だいはつくつこゝろみたとかで、畑地はたちはう斷念だんねんして、臺地北側だいちきたかは荒地あれち緩斜面くわんしやめんなかに四にんはいつた。
宜道ぎだうんなはなしをして、あん宗助そうすけ東京とうきやうかへつてからも、まつた此方このはう斷念だんねんしないやうにあらかじめ間接かんせつ注意ちゆういあたへるやうえた。宗助そうすけつゝしんで、宜道ぎだうのいふことみゝした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かたちだけはまいりもせんこヽろ容易たやすくたてまつりがたしとつたたまへと、こともなくひてきいれる景色けしきのなきに、おたみいひ甲斐がひなしと斷念だんねんしてれよりはまたすヽめずとぞ、經机きようづくゑ由縁いはれかくのごとし。
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
夫人ふじん屹度きつと無事ぶじであらうとはれたにかゝはらず、日出雄少年ひでをせうねんも、わたくしも、最早もはや貴女あなたとは、現世このよでおかゝこと出來できまいとばかり斷念だんねんしてりましたに。
三、 二階建にかいだて三階建さんがいだてとう木造家屋もくぞうかおくでは、階上かいじようほうかへつて危險きけんすくない、高層建物こうそうたてもの上層じようそう居合ゐあはせた場合ばあひには屋外おくがい避難ひなんすることを斷念だんねんしなければなるまい。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
かれはどうしても斷念だんねんせねばならぬこゝろくるしみをまぎらすためふきくはして煙管きせる火皿ひざらにつめてたが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それで西面せいめん横穴よこあなには斷念だんねんして、山頂さんてう主墳探しゆふんさがしに全力ぜんりよくつくこととなつたが、相變あひかはらず埴輪圓筒はにわゑんとう破片はへんや、埴輪土馬はにわどば破片等はへんとうくらゐで、さら石槨せきくわく突當つきあたらぬ。如何どう古墳こふんいらしい。
さはいへど人妻ひとづまならばおよぶまじことなりたしかめてのち斷念だんねんせんのみ、うきたるこひこゝろをくす輕忽あわつけしさよともおぼさんなれど、父祖傳來ふそでんらい舊交きうかうありとて、其人そのひとこゝろみゆるものならず、家格かかくしたが門地もんちたつと
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
印度洋インドやう藻屑もくづえてしまつたと斷念だんねんしたときには、じつくよりつらかつたです。
さりながらなふべきことならず、かりにもかゝるこゝろたんは、あいするならずしてがいするなり、いでいまよりは虚心きよしん平氣へいきむかしにかへりてなにごとをもおもふまじと、斷念だんねんいさましくむねすゞしくなるは
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)