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捩
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ねじ
ふりがな文庫
“
捩
(
ねじ
)” の例文
どんな
些細
(
ささい
)
なことでも見逃さないで、例えば、兄は
手拭
(
てぬぐい
)
を絞る時、右に
捩
(
ねじ
)
るか左に捩るかという様なことまで、
洩
(
も
)
れなく調べました。
双生児:――ある死刑囚が教誨師にうちあけた話――
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
縄状熔岩
(
パフエーフエー
)
がいたるところで縄のように
捩
(
ねじ
)
れあい、黒や鉄色や、赤味がかった岩が、垂直に無限の闇黒のなかへ逆落しになっていた。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「青竹を割ったどころか、
漢竹
(
かんちく
)
を
捩
(
ねじ
)
ったような子だ。嘘ばかり吐いている。お前は
余所
(
よそ
)
さんの娘を不良少女なんて言う資格がない」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
こんどは余は石段の上に立ってステッキを突いている。女は
化銀杏
(
ばけいちょう
)
の下で、行きかけた
体
(
たい
)
を
斜
(
なな
)
めに
捩
(
ねじ
)
ってこっちを見上げている。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
なるほどあの腰を
捩
(
ねじ
)
った姿勢や腰にまとう衣や、下肢が薄衣の下から透いて見えるところや、すべて「酷似」するといわれても仕方がない。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
▼ もっと見る
だのに瑛子自身が、妙に体を
捩
(
ねじ
)
くらしたような態度でいいかげんな風に喋るのを見ると、宏子は我慢がならない気がした。
海流
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
つまり
捩
(
ねじ
)
れた、時代を超絶したような考は持ってもいず、解せようともしなかったのが、蔀君の特色であったらしい。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
フン!
捩
(
ねじ
)
れ。 押しひしゃげ。やるがいいや。捩れるときは捩れるもんだ。そうそういつまでも、機会というものがお前を待っては居ないだろうぜ。
牢獄の半日
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
世間には
啀
(
いが
)
み合う
鑼
(
どら
)
、
捩
(
ねじ
)
り合う
銅鈸
(
にょうばち
)
のような騒々しいものを混えることに於て、
却
(
かえ
)
って知音や友情が通じられる支那楽のような交際も無いことはない。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
運転手の手にハンドルが一寸
捩
(
ねじ
)
られると、物珍らしさにたかる村の子供の
群
(
むれ
)
を
離
(
はな
)
れて、自動車はふわりと
滑
(
すべ
)
り出した。
村路
(
そんろ
)
を出ぬけて青山街道に出る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
と時代に
緩
(
ゆる
)
めていひ「
一人
(
ひとり
)
ならず
二人
(
ふたり
)
三人
(
さんにん
)
、
首綱
(
くびづな
)
」にて右手を頸へやり「の
罹
(
かか
)
らぬ内、早く金を出しやあがれ」にて肘をつき離し、体を起して左へ
捩
(
ねじ
)
り
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
……世の暗さは
五月闇
(
さつきやみ
)
さながらで、腹のすいた少年の身にして夜の灯でも繁華な巷は目がくらんで
痩脛
(
やせはぎ
)
も
捩
(
ねじ
)
れるから、こんな処を
便
(
たよ
)
っては立樹に
凭
(
もた
)
れて
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
なれども
健
(
すこや
)
かな二本の脚を、何
面白
(
おもしろ
)
いこともないに、
捩
(
ねじ
)
って折って放すとは、何という
浅間
(
あさま
)
しい人間の心じゃ。
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「開かないわ、錆びついているのよ、ええ、ぎゅっと
捩
(
ねじ
)
って見るわ、やっと開いたけど、手巾とバスの回数券と、それに香水の瓶がはいっているきりよ。」
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
頭は
月代
(
さかやき
)
が広く、あお向いた
頸元
(
くびもと
)
に小さな
髷
(
まげ
)
が
捩
(
ねじ
)
れて附いていて、顔は口を開いてにこやかなのは、
微酔
(
ほろよい
)
加減で
小唄
(
こうた
)
でもうたっているのかと思われました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
それだけに此処は物凄い淵を成し、薄濁りを帯びた水が大きな渦を巻いて、
捩
(
ねじ
)
れた漏斗のような口を開きながら、底の方から気味悪るい音を吐き出している。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
人間世界の事は何が何やら分らない、確かに生きて居ると思う人が死んだりする。
矧
(
いわ
)
んや金だ、渡さなければならぬと
捩
(
ねじ
)
くれ込んで、
到頭
(
とうとう
)
持
(
もっ
)
て
行
(
いっ
)
て貰いました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「でもお嬢様の身体は、欄干の下に
捩
(
ねじ
)
れたように倒れて、背中には、匕首が突っ立って居りました」
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その危険から救ってくれたものは、病後の身体の衰弱であった。私は縁に足を垂れて腰掛けていたので、女の方を見るためには、身体を
捩
(
ねじ
)
って斜め
後
(
うしろ
)
を向かねばならない。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
産毛
(
うぶげ
)
の
生
(
は
)
えたような水田を網目形に区切ってる青っぽい運河、その運河の中に映ってる日の光。
褐色
(
かっしょく
)
の細葉を
房々
(
ふさふさ
)
とつけ、
捩
(
ねじ
)
れた面白い
体躯
(
たいく
)
の
痩
(
や
)
せたしなやかさを示してる、秋の樹木。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
佐保子
(
さほこ
)
が私を敵視するやうになり、この間まで
僕婢
(
ぼくひ
)
のやうであつた兄弟達が物とも思はなくなつたのに、
憤
(
いきどほ
)
つてます/\横道へ
捩
(
ねじ
)
れて行つたのも、その時には是非もないことだつたのです。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ゆえに
雨天
(
うてん
)
の日は
終日
(
しゅうじつ
)
開かなく、また夜中もむろん
閉
(
と
)
じている。閉じるとその形が
筆
(
ふで
)
の
頴
(
ほ
)
の形をしていて
捩
(
ねじ
)
れたたんでいる。色は
藍紫色
(
らんししょく
)
で外は往々
褐紫色
(
かっししょく
)
を
呈
(
てい
)
しているが、まれに白花のものがある。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
これでも昔は
内芸者
(
うちげいしゃ
)
ぐらいやったと云うを鼻に掛けて、
臆面
(
おくめん
)
もなく三味線を腰に結び付け、片肌脱ぎで大きな口を
開
(
あ
)
いて唄う其の
後
(
あと
)
から、茶碗を叩く
薬缶頭
(
やかんあたま
)
は、赤手拭の
捩
(
ねじ
)
り鉢巻、
一群
(
ひとむれ
)
大込
(
おおごみ
)
の
後
(
うしろ
)
から
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
気の
故
(
せい
)
だか少し位置が、
捩
(
ねじ
)
れているようだ。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
と
語
(
かた
)
りかけて、
轟大尉
(
とゞろきたいゐ
)
は
虎髯
(
こぜん
)
を
逆
(
ぎやく
)
に
捩
(
ねじ
)
りつゝ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
かちゃりと入口の
円鈕
(
ノッブ
)
を
捩
(
ねじ
)
ったものがある。戸は
開
(
あ
)
かない。今度はとんとんと外から
敲
(
たた
)
く。宗近君は振り向いた。甲野さんは眼さえ動かさない。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
治安維持法関係の思想犯は解放される、とはっきり語られている数行の文字は、ひろ子の心を
捩
(
ねじ
)
りあげた。
播州平野
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
少し
捩
(
ねじ
)
くって遣ても
宜
(
よ
)
いじゃないかと、
態
(
わざ
)
と勧めるような
風
(
ふう
)
であったけれども、私は
夫
(
そ
)
れ程に思わぬ
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
全身に水を浴びたよう脂汗をにじみ出し長身の細い肢体を
捩
(
ねじ
)
らし擦り合せ、
甲斐
(
かい
)
ない痛みを
扱
(
こ
)
き取ろうとするさまは、蛇が難産をしているところかなぞのように想像される。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
擦
(
かす
)
り傷一つ負いません。会津征伐丈けでしたから、赤子の腕を
捩
(
ねじ
)
るようなもので」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
さらに体を左へ
捩
(
ねじ
)
って、顔を右斜め向こうに頭を地につけ、初め前へ出していた右手をうしろへのばして、初めは宙宇にやがてパタと腰の上に、やがてぐなりと体に添うて下へ落ちる。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
と肩を引いて、身を斜め、
捩
(
ねじ
)
り切りそうに
袖
(
そで
)
を合わせて、女房は
背向
(
そがい
)
になンぬ。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
剪定鋏
(
せんていばさみ
)
はひどく
捩
(
ねじ
)
れておりますから
鍛冶
(
かじ
)
に一ぺんおかけなさらないと直りません。こちらのほうはみんな出来ます。はじめにお
値段
(
ねだん
)
を
決
(
き
)
めておいてよろしかったらお
研
(
と
)
ぎいたしましょう。
チュウリップの幻術
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
女中がひとり
背後
(
うしろ
)
から駈け抜けて、電燈の
鍵
(
かぎ
)
を
捩
(
ねじ
)
った。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
老人はいながら、顔の向を
後
(
うしろ
)
へ変える。
捩
(
ねじ
)
れた
頸
(
くび
)
に、行き所を失った肉が、三筋ほど
括
(
くび
)
られて肩の方へ
競
(
せ
)
り出して来る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
如何
(
いかが
)
で
御座
(
ござ
)
ると
捩
(
ねじ
)
り込んで、大変
喧
(
やかま
)
しい事になって、大に重役の歓心を失うて
仕舞
(
しまっ
)
たが、今日より考えれば事の
是非
(
ぜひ
)
に
拘
(
かか
)
わらず、随行の身分にして
甚
(
はなは
)
だ
宜
(
よ
)
くない事だと思います。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
丁度その
刹那
(
せつな
)
、上体を少し
捩
(
ねじ
)
るような姿勢で歩いていた千鶴子が、唇を何とも云えぬ表情で笑うとも歪めるともつかず引き上げた。千鶴子は勿論はる子がそこにいることは知らない。
沈丁花
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
と
踠
(
もが
)
いても、僕は手を
捩
(
ねじ
)
られているから、そのまゝついて行く外仕方がなかった。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「菓子がなければ、早く買って置けば可いのに」と代助は水道の栓を
捩
(
ねじ
)
って
湯呑
(
ゆのみ
)
に水を
溢
(
あふ
)
らせながら云った。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
神さんは、首を
捩
(
ねじ
)
って、店の鴨居にかけてある古風なボンボン時計を見上げた。
帆
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
やっとの思でハンドルをギューッと
捩
(
ねじ
)
ったら、自転車は九十度の角度を一どきに廻ってしまった、その急廻転のために思いがけなき功名を博し得たと云う御話しは
自転車日記
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「なるほど……赤坊の手を
捩
(
ねじ
)
るようなものだから放っておいたんだが、この頃メキメキ高度になって来たじゃないですか、え? こんなに高度になっては放っても置けない、え? そうでしょう?」
刻々
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
上には
三抱
(
みかかえ
)
ほどの大きな松が、
若蔦
(
わかづた
)
にからまれた幹を、
斜
(
なな
)
めに
捩
(
ねじ
)
って、半分以上水の
面
(
おもて
)
へ乗り出している。鏡を
懐
(
ふところ
)
にした女は、あの岩の上からでも飛んだものだろう。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
体
(
たい
)
をそのままに白い
襟
(
えり
)
の上から首だけを横に
捩
(
ねじ
)
ると、
欄干
(
らんかん
)
に
頬杖
(
ほおづえ
)
をついた人の顔が五寸下に見える。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
薄暗くなった
室
(
へや
)
の中で、叔父の顔が一番薄暗く見えた。津田は立って電灯のスウィッチを
捩
(
ねじ
)
った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
暖かい日の
午過
(
ひるすぎ
)
食後の運動がてら水仙の水を
易
(
か
)
えてやろうと思って洗面所へ出て、水道の
栓
(
せん
)
を
捩
(
ねじ
)
っていると、その看護婦が受持の
室
(
へや
)
の茶器を洗いに来て、例の通り
挨拶
(
あいさつ
)
をしながら
変な音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
にもかかわらず、このつもりが少々
覚束
(
おぼつか
)
なかったと見えて、自分が親指にまむしを
拵
(
こしら
)
えて、俎下駄を
捩
(
ねじ
)
る
間際
(
まぎわ
)
には、もう白い眼の運動は済んでいた。残念ながら向うは早いものである。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この
辟易
(
へきえき
)
すべき多量の形容詞中から、余と三歩の
隔
(
へだた
)
りに立つ、
体
(
たい
)
を
斜
(
なな
)
めに
捩
(
ねじ
)
って、
後目
(
しりめ
)
に余が
驚愕
(
きょうがく
)
と
狼狽
(
ろうばい
)
を
心地
(
ここち
)
よげに
眺
(
なが
)
めている女を、もっとも適当に
叙
(
じょ
)
すべき用語を拾い来ったなら
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
日清……いたい。いたい。どうもこれは乱暴だと振りもがくところを横に
捩
(
ねじ
)
ったら、すとんと
倒
(
たお
)
れた。あとはどうなったか知らない。
途中
(
とちゅう
)
でうらなり君に別れて、うちへ帰ったら十一時過ぎだった。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
捩
漢検1級
部首:⼿
10画
“捩”を含む語句
捩上
逆捩
捩込
捩向
捩子
引捩
捩放
捩伏
捩取
捩斷
觀世捩
豆捩
観世捩
襞襀捩
紙捩
棒捩
一捩
関捩
捩螺
捩曲
...