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ひょうし
ふりがな文庫
“
拍子
(
ひょうし
)” の例文
ちょうどその
声
(
こえ
)
は、ぶなの
木
(
き
)
がざわざわと
体
(
からだ
)
を
揺
(
ゆ
)
すって
歌
(
うた
)
うのに、
調子
(
ちょうし
)
を
合
(
あ
)
わせて、
頓狂
(
とんきょう
)
な
拍子
(
ひょうし
)
でも
取
(
と
)
るようにきかれたのでした。
縛られたあひる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そう
言
(
い
)
って、
扉口
(
とぐち
)
を
出
(
で
)
る
拍子
(
ひょうし
)
に、ドシーン! と
鳥
(
とり
)
が
石臼
(
いしうす
)
を
頭
(
あたま
)
の
上
(
うえ
)
へ
落
(
おと
)
したので、おかあさんはぺしゃんこに
潰
(
つぶ
)
れてしまいました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
泥酔者達は、その
拍子
(
ひょうし
)
に足をとられて、バタバタと、折重って倒れた。その内のある者は、起上って、又ヒョロヒョロと走った。
踊る一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
といって、
立
(
た
)
ち
上
(
あ
)
がって、
扇
(
おうぎ
)
をつかいながら
舞
(
ま
)
いを
舞
(
ま
)
いました。四
天王
(
てんのう
)
は
声
(
こえ
)
を
合
(
あ
)
わせて
拍子
(
ひょうし
)
をとりながら、
節
(
ふし
)
おもしろく
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
いました。
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
床
(
ゆか
)
に穴が
開
(
あ
)
いていて、気をつけないと、縁の下へ落ちる
拍子
(
ひょうし
)
に、
向脛
(
むこうずね
)
を
摺剥
(
すりむ
)
くだけが、普通の往来より悪いぐらいのものである。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
要
(
よう
)
するに、それは扉をしめる
拍子
(
ひょうし
)
に自動式にそこを狙って前の壁の中に仕掛けてある機関銃が一聯の猛射を
行
(
や
)
ったものである。
大使館の始末機関:――金博士シリーズ・7――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と指をかけようとする
爪尖
(
つまさき
)
を、
慌
(
あわただ
)
しく
引込
(
ひっこ
)
ませるを
拍子
(
ひょうし
)
に、
体
(
たい
)
を引いて、今度は
大丈夫
(
だいじょうぶ
)
に、背中を土手へ寝るばかり、ばたりと腰を
懸
(
か
)
ける。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
するとその時どうした
拍子
(
ひょうし
)
か籠の底が抜け落ちたから、鸚鵡は直ぐにパッと飛び出して、さも嬉しそうに羽ばたきを
為
(
し
)
たが
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
長めの黄色い顔を一方へかしげるかと思うと、今度は、反対側へかしげたりして、美しい音楽に
拍子
(
ひょうし
)
を合せているのです。
イーダちゃんのお花
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「歩く
拍子
(
ひょうし
)
に
紅
(
もみ
)
のはつちと
浅黄縮緬
(
あさぎちりめん
)
の
下帯
(
したおび
)
がひらりひらりと見え」とか「肌の雪と白き
浴衣
(
ゆかた
)
の間にちらつく緋縮緬の湯もじを
蹴出
(
けだ
)
すうつくしさ」
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
そうしてもののみごとにろばを大地にたたきつけた、その
拍子
(
ひょうし
)
にかれは片ひざを折った。三人はその上におりかさなった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
闇を仰いでいた首が、いっせいに、なアンだ——という顔をして、少し
拍子
(
ひょうし
)
抜けしていると、
紛
(
まぎ
)
れもない二度目の半鐘。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたしは両足が地面に届いた
拍子
(
ひょうし
)
に、はずみがあんまり強すぎたので、体を支えきれなかった。わたしはどさりと
倒
(
たお
)
れて、一瞬間、気が遠くなった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
春吉君は、すかをくらわされたように
拍子
(
ひょうし
)
ぬけして、わらえもしなければおこれもせず、もじもじして立っていた。
屁
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
わたしは
昨日
(
きのう
)
の
午
(
ひる
)
少し過ぎ、あの夫婦に出会いました。その時風の吹いた
拍子
(
ひょうし
)
に、
牟子
(
むし
)
の
垂絹
(
たれぎぬ
)
が上ったものですから、ちらりと女の顔が見えたのです。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
こんな事をどうかした
拍子
(
ひょうし
)
に面と向かって木村にいって、木村が
怪訝
(
けげん
)
な顔でその意味をくみかねているのを見ると
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
百
尋
(
ひろ
)
ほど沈むと、次第に速度が緩んで、まるで思案でもするように
拍子
(
ひょうし
)
を取って揺れる。そしてもう潮に押されて、下よりは横の方へぐんぐん流される。
グーセフ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
とにかくわたしはハープを取り上げて、まずワルツの第一
節
(
せつ
)
をひいた。カピは前足でドルスのこしをだいて、じょうずに
拍子
(
ひょうし
)
を取りながらおどり回った。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
いよ/\
上手
(
じょうず
)
のように思われて
凡
(
およ
)
そ一年ばかりは
胡摩化
(
ごまか
)
して居たが、何かの
拍子
(
ひょうし
)
にツイ
化
(
ばけ
)
の皮が現われて
散々
(
さんざん
)
罵
(
のの
)
しられたことがある、と云うようなもので
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
(此の男はこれから先、暫くは俺の負担となるだろう)原隊から追手が来ないと判ったことは、不安が無くなったというよりむしろ
拍子
(
ひょうし
)
抜けの感じであった。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
すると大天狗は、
緋
(
ひ
)
の
衣
(
ころも
)
の
裾
(
すそ
)
をからげ、羽うちわで
拍子
(
ひょうし
)
を取り、おもしろい足取りで、踊り出しました。
天狗の鼻
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
その男と話しているうちに、何かの
拍子
(
ひょうし
)
から、話は琉球の
泡盛
(
あわもり
)
のことに移った。最近その泡盛を飲ませる店が、この風呂屋の
向横町
(
むこうよこちょう
)
に出来て、一杯売をしている。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
なんかふざけている
拍子
(
ひょうし
)
に昂奮してついうっかりかじってしまうのではないの? 本当に噛む気ではなくってさ。やっぱり親しみを現わしたつもりではないのかしら
愉快な教室
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
翁
(
おきな
)
のとなりに
猩々
(
しょうじょう
)
があり、猩々のうしろには
頼政
(
よりまさ
)
が出没しているという有様で、場面の事件と人物には、更に統一というものはないが、
拍子
(
ひょうし
)
だけはピッタリ合って
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
言いながら、外から、
上
(
あが
)
り
框
(
がまち
)
の障子をあけるのと一
拍子
(
ひょうし
)
に、茨右近は、もうスックと
起
(
た
)
ち上っていた。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「鹿なんぼ」という文句があまり簡単だから、あるいはこれも馬乗りの方かも知れぬが、文句が残っている以上は
元
(
もと
)
は
拍子
(
ひょうし
)
をとって、叩いていたのではないかと思う。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
どことハッキリはいえないが、どうかした
拍子
(
ひょうし
)
にひょいとそういうものの感じられることがある。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
どうした間違いか、もう一本の
吊鎖
(
つりぐさり
)
が外れたのだ。その
拍子
(
ひょうし
)
に、人夫たちのたぐり寄せていた
引綱
(
ひきづな
)
も、彼等の手からぐいっと持ってゆかれて、すべり落ちてしまったのだ。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
と手まねをする
拍子
(
ひょうし
)
に、持っていたナイフを
妙子様
(
たえこさま
)
のお皿のところへカチャンと投げ飛ばした。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
杏の花の小枝を
執
(
と
)
って、首を
俯向
(
うつむ
)
けて髪にさそうとして、ひょいと頭を
挙
(
あ
)
げた
拍子
(
ひょうし
)
に王と顔を見あわすと、もうそれをささずににっと笑って花をいじりながら入っていった。
嬰寧
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
光遠は、それをきいたが、少しも驚かず(音にきく昔の
薩摩
(
さつま
)
の氏家なら妹を質にとられようが)と、すましている。村人は、
拍子
(
ひょうし
)
ぬけがして、妹の家の方へ引き返して来た。
大力物語
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
犬は、驚いた
拍子
(
ひょうし
)
に、あるいは、怒りに任せて、きっとその貴重品を
滅茶滅茶
(
めちゃめちゃ
)
にして、おまけに逃げてしまうに相違ないからである。このロス事件の場合がちょうどそれだ。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
市助まず
喫驚
(
びっくり
)
して飛起きると、舳を蘆間に突込んだ
拍子
(
ひょうし
)
に、蘆の穂先で鼻の孔を突かれて。
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
何かの
拍子
(
ひょうし
)
に、また、きのう迄のあんな地獄の気分に落ちるのではないかと、まだ少し心配でございます。自分のからだが、こわれもののような気がして、はらはらしています。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
すると狸の子は棒をもってセロの
駒
(
こま
)
の下のところを
拍子
(
ひょうし
)
をとってぽんぽん叩きはじめました。それがなかなかうまいので弾いているうちにゴーシュはこれは
面白
(
おもしろ
)
いぞと思いました。
セロ弾きのゴーシュ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
いつも
門口
(
かどぐち
)
に来ると、杖のさきでぱっ/\と
塵
(
ごみ
)
を掃く真似をする。其
響
(
おと
)
を聞いたばかりで、安さんと
分
(
わか
)
った。「おゝそれながら……」と中音で
拍子
(
ひょうし
)
をとって戸口に立つこともある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「いや、どうも
有難
(
ありがと
)
う」と言って、御馳走を受取ろうとしました
拍子
(
ひょうし
)
に、ふと、その御馳走の下にそれを突き出している、それはそれは何とも言えぬ
程
(
ほど
)
可愛
(
かわい
)
らしい手が見えたのです。
蕗の下の神様
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
いつしか眼が曇り
両人
(
ふたり
)
の顔がかすんで話声もやや遠く
籠
(
こも
)
ッて聞こえる……「なに、十円さ」と突然
鼓膜
(
こまく
)
を破る昇の声に
駭
(
おどろ
)
かされ、震え上る
拍子
(
ひょうし
)
に眼を
看開
(
みひら
)
いて、忙わしく
両人
(
ふたり
)
の顔を
窺
(
うかが
)
えば
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その
拍子
(
ひょうし
)
に跣足の片足を赤土に踏み滑らし、横倒しになると、坂になっている小径を
滝
(
たき
)
のように流れている水勢が、骨と皮ばかりになっている復一を軽々と流し、崖下の古池の
畔
(
ほとり
)
まで落して来た。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
と少しく
拍子
(
ひょうし
)
ぬけのしたような気持ちにさえもなった。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
お浜は、何か
拍子
(
ひょうし
)
ぬけがしたような調子だった。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
足踏みが
拍子
(
ひょうし
)
をとって、踏み鳴らされた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
女は驚ろいた
様
(
さま
)
もなく、うろうろする黒きものを、そと白き指で軽く払い落す。落されたる
拍子
(
ひょうし
)
に、はたと他の一疋と
高麗縁
(
こうらいべり
)
の上で
出逢
(
であ
)
う。
一夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ふと、その
拍子
(
ひょうし
)
に
頭
(
あたま
)
に
載
(
の
)
せていた三
角
(
かく
)
の
帽子
(
ぼうし
)
がおっこちました。
帽子
(
ぼうし
)
は、きらきらと
小
(
ちい
)
さな
火
(
ひ
)
の
子
(
こ
)
のようにひらめいて
下
(
した
)
に
落
(
お
)
ちてきました。
酔っぱらい星
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼はこの世に
於
(
おい
)
て、全く異国人であった。彼は
謂
(
い
)
わば、どうかした
拍子
(
ひょうし
)
で、別の世界へ放り出された、たった一匹の、孤独な
陰獣
(
いんじゅう
)
でしかなかった。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
もう、一度、今度は両手に両側の蘆を取って、ぶら下るようにして、橋の片端を
拍子
(
ひょうし
)
に掛けて、トンと
遣
(
や
)
る、キイと鳴る、トントン、きりりと鳴く。
海の使者
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
喧嘩になれた巌は進みくる木俣を右に
透
(
すか
)
しざまに片手の目つぶしを食わした。木俣のあっとひるんだ
拍子
(
ひょうし
)
に巌は左へ回って向こうずねをけとばした。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
そこにあった道のデコボコに馬車が引っかかってガタンガタンとはね上る
拍子
(
ひょうし
)
に、二人共抱き合ったまま馬車の屋根の上から往来へ転がり落ちました。
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
浄観はほとんど
傲然
(
ごうぜん
)
と
斜
(
ななめ
)
に伝吉へ肩を示した。その
拍子
(
ひょうし
)
にふと伝吉は酒臭い浄観の息を感じた。と同時に昔の怒のむらむらと心に燃え上るのを感じた。
伝吉の敵打ち
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
はじめかの女は大きな美しい目をじっとわたしに向けて聞いていたが、やがて足で
拍子
(
ひょうし
)
を合わせ始めた。するうち、うれしそうに
食堂
(
しょくどう
)
の中をおどり歩いた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
“拍子”の解説
拍子(ひょうし)は、一般には、拍や拍の連なりのこと。西洋音楽では強拍に連なるいくつかの拍の集まりの繰り返しを言う。日本では「三三七拍子」という言葉でわかるように、この言葉は、西洋音楽の定義の「拍子」とは異なる使われ方をする。アラブ古典音楽のイーカーア(イーカー)やインド古典音楽のターラ(サンスクリット読み)を「何々拍子」と表現することがあるが、これも西洋音楽の定義の「拍子」とは異なる。
以下、本項においては、西洋音楽のそれについて述べる。
(出典:Wikipedia)
拍
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“拍子”で始まる語句
拍子木
拍子抜
拍子木形
拍子合
拍子打
拍子拔
拍子水
拍子舞
拍子詞