差別さべつ)” の例文
いたずらをして、しかられても、すぐかなしみをわすれて、なにをてもたのしく、うつくしく、だれかれ差別さべつなくなつかしかったのであった。
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
それとも私が人間でなくなるのか? ……何方どっちだか其は分らんが、兎に角互の熱情熱愛に、人畜にんちく差別さべつ撥無はつむして、渾然として一にょとなる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
をののみわすれたものが、木曾きそ碓氷うすひ寐覚ねざめとこも、たびだかうちだか差別さべつで、なんやまたにを、神聖しんせい技芸ぎげいてん芸術げいじゆつおもはう。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
してれば、なんでもみなむなしいことだ、ヴィンナの完全かんぜん大学病院だいがくびょういんでも、我々われわれのこの病院びょういんすこしも差別さべついのだ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
思ふ事貴賤きせん上下の差別さべつはなきものにて俚諺ことわざにも燒野やけの雉子きゞすよるつるといひて鳥類てうるゐさへ親子の恩愛おんあいにはかはりなしかたじけなくも將軍家には天一坊はじつの御愛息あいそく思召おぼしめさばこそかく御心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかもその当時とうじ光景こうけいまでがそっくりそのまま形態かたちつくってありありとまえうかてまいります。つまりわたくしどもの境涯きょうがいにはほとんど過去かこ現在げんざい未来みらい差別さべつはないのでございまして。
晝夜ちうや差別さべつなく、遠近ゑんきんから參集さんしふする愚男愚女ぐなんぐぢよは、一みちきもらず。
まずちょっとこんなふうに差別さべつされるようだが、近い周囲をあいまいにしてしょするということが、けっしてほこるべきことではなかろう。結局けっきょく主人は、花前にまなぶところがおおいなと考えた。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
生活せいかつ差別さべつのあるのは、ひとり、幾万いくまん人間にんげんんでいる都会とかいばかりでありません。田舎いなかにおいてもおなじであります。
愛は不思議なもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
れば、なんでもみなむなしいことだ、ヴインナの完全くわんぜん大學病院だいがくびやうゐんでも、我々われ/\病院びやうゐんすこしも差別さべついのだ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
時々とき/″\くろいものがスツスツととほるが、いぬだか人間にんげんだか差別さべつがつかぬ……客人きやくじんへんつた、ちがつた、とこゑあざけるごとく、あはれごとく、つぶやごとく、また咒咀のろごとみゝはいる……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
させさらばとて西濱の港より友綱ともつなとき順風じゆんぷう眞帆まほ十分に引上ひきあげ走らせけるにぞ矢をる如く早くも中國四國の内海ないかい打過うちすぎ晝夜の差別さべつなくはしり晦日みそかの夜のこくごろとは成れり船頭せんどう杢右衞門はやうや日和ひより
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
自分と花前との差別さべつはどう考えても、意識いしきがあるのとないのとのほかない。自分に意識がなければ自分はこのままでもすぐ花前になることができるとすれば、花前はけっしてうらやむべきでないのだ。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
子供こどもきなかれは、そこに田舎いなか都会とかいと、なんら純情じゅんじょうにおいて、差別さべつのあるのをいださなかったのでした。
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
かうふです。我々われ/\這麼格子こんなかうしうち監禁かんきんしていてくるしめて、さうしてこれ立派りつぱことだ、理窟りくつことだ、奈何いかんとなれば病室びやうしつと、あたゝかなる書齋しよさいとのあひだなん差別さべつもない。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
飢餓きが戦争せんそう奴隷どれい差別さべつ、みんな人間にんげん社会しゃかいのことであって、かつて鳥類ちょうるいや、動物どうぶつ世界せかいにこんなようなあさましい、みにくい事実じじつがあったであろうか。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
我々われわれをこんな格子こうしうち監禁かんきんしていてくるしめて、そうしてこれは立派りっぱなことだ、理窟りくつのあることだ、いかんとなればこの病室びょうしつと、あたたかなる書斎しょさいとのあいだなん差別さべつもない。と、まこと都合つごうのいい哲学てつがくです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
おじいさんは、いつも、にこにこして、だれかれ差別さべつなく、きゃくをもてなしましたから、だれからも
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、文雄ふみおおなじことで、なにかめずらしいものがはいると、きっとそれを良吉りょうきちのところへってきてせました。二人ふたりあいだでは、なんでも差別さべつなくしてなかよくあそびました。
星の世界から (新字新仮名) / 小川未明(著)
太陽たいようは、だれにたいしても差別さべつなく、いつでも、よろこんではな相手あいてになったからであります。ちょうどこのとき、太陽たいようは、ちょろちょろと、しろけむりをあげている煙突えんとつかって
煙突と柳 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ほんとうに、いつわたしたちは、人間にんげんにたいして、にくまれるようなことをしたか。すべてがおなはなだのに、なぜ差別さべつをつけなければならぬのか……。」と、あざみは、おもったが、くちにはさずに
なまずとあざみの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)