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包
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つつみ
ふりがな文庫
“
包
(
つつみ
)” の例文
なれども、結んだのは
生蛇
(
なまへび
)
ではござりませぬ。この悪念でも、さすがは
婦
(
おんな
)
で、
包
(
つつみ
)
を
結
(
ゆわ
)
えましたは、
継合
(
つぎあ
)
わせた蛇の
脱殻
(
ぬけがら
)
でござりますわ。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ところが、案外にも金の
包
(
つつみ
)
がちゃんとあったのだ。それを見て斎藤が悪心を起したのは、実に浅はかな考えではあるが無理もないことだ。
心理試験
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「いえ、何も。しかし私の娘と姪が、二人の曲者が
邸園
(
ていえん
)
を逃げる時、大きな
包
(
つつみ
)
を持っているのをたしかに見たのですから。」
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
少しも騒がず
手箪笥
(
てだんす
)
の中から一
包
(
つつみ
)
の金(百円包のよし)を取出し与えますと、泥坊はこれほどまでとは思いもよらず
肝
(
きも
)
をつぶした様子なりしが
蓮月焼
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
返事は聞えなかったが、次の
間
(
ま
)
に
包
(
つつみ
)
を投出す音がして、
直様
(
すぐさま
)
長吉は
温順
(
おとな
)
しそうな弱そうな色の白い顔を
襖
(
ふすま
)
の間から見せた。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
華大媽
(
かたいま
)
は枕の下をさぐって一
包
(
つつみ
)
の銀貨を取出し、老栓に手渡すと、老栓はガタガタ
顫
(
ふる
)
えて
衣套
(
かくし
)
の中に収め、
著物
(
きもの
)
の上からそっと撫でおろしてみた。
薬
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
欝金
(
うこん
)
の
包
(
つつみ
)
を
抱
(
かか
)
えたおこのは、それでも
何
(
なに
)
やら
心
(
こころ
)
が
乱
(
みだ
)
れたのであろう。
上気
(
じょうき
)
した
顔
(
かお
)
をふせたまま、
敷居際
(
しきいぎわ
)
に
頭
(
あたま
)
を
下
(
さ
)
げた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
今日は祝勝会だから、君といっしょにご
馳走
(
ちそう
)
を食おうと思って牛肉を買って来たと、竹の皮の
包
(
つつみ
)
を
袂
(
たもと
)
から引きずり出して、
座敷
(
ざしき
)
の
真中
(
まんなか
)
へ抛り出した。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
おなかもすいたので、
包
(
つつみ
)
をあけて、パンを取出してたべた。びんにつめていた水をのんだ。おなかのすいたのが少しなおり、のどのかわきがとまった。
透明猫
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
年の暮で、夜も賑やかな銀座を通る時、ふと風炉敷包みの不体裁なのに気が附いて
鞆屋
(
ともえや
)
に寄って小さい革包を買って、
包
(
つつみ
)
をそのまま革包に押し込んだ。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
眼
(
め
)
をさましたら本の
包
(
つつみ
)
はちゃんと枕もとにありましたけれども、帽子はありませんでした。僕は驚いて、半分寝床から起き上って、あっちこっちを
見廻
(
みま
)
わしました。
僕の帽子のお話
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
さりとて
軽佻
(
かるはずみ
)
にもなきとりなし、持ち
来
(
きた
)
りし
包
(
つつみ
)
静
(
しずか
)
にひらきて二箱三箱差し
出
(
いだ
)
す
手
(
て
)
つきしおらしさに、花は
余所
(
よそ
)
になりてうつゝなく
覗
(
のぞ
)
き込む
此方
(
こなた
)
の
眼
(
め
)
を避けて
背向
(
そむ
)
くる顔
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
二人の旅人が
下手
(
しもて
)
から来て、涼亭の口で村の男と
擦
(
す
)
れ違って入って来る。その一人の甲は、
菰
(
こも
)
で包んだ
量
(
かさ
)
ばった四角な
包
(
つつみ
)
を肩に乗せ、乙は小さな
竹篭
(
たけかご
)
を右の手に持っている。
涼亭:――序に代へて――
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
昼間甘酒茶屋に何か
包
(
つつみ
)
を頂けてあるからというので、次郎がそれを取りに寄ったので、一足あとから歩いて来ると、彼と金右衛門とがこの有様なので、
咄嗟
(
とっさ
)
の急に釘勘は捕繩を送り
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見ると、
能勢五十雄
(
のせいそお
)
であった。やはり、自分のように、紺のヘルの制服を着て、
外套
(
がいとう
)
を巻いて左の肩からかけて、麻のゲエトルをはいて、腰に弁当の
包
(
つつみ
)
やら水筒やらをぶらさげている。
父
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
帰りに
外濠
(
そとぼり
)
線の通りへ出たら、さっと風が吹いて来て持ってる
包
(
つつみ
)
吹き飛ばしてしもうて、それ追いかけて取ろうとすると、ころころと何処迄でも
転
(
ころ
)
こんで行くよってに、なかなか取られへんねん。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と、一人の侍のもってきた
包
(
つつみ
)
をあけると郡奉行は、
菅笠
(
すげがさ
)
を取出した。
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
と云って、砂糖の
包
(
つつみ
)
を投げてやった。熊蜂共はブンブンと喜んで
猿小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
萠円山人
(著)
引添える禰宜の手に、
獣
(
けもの
)
の毛皮にて、
男枕
(
おとこまくら
)
の如くしたる
包
(
つつみ
)
一つ、
怪
(
あやし
)
き
紐
(
ひも
)
にてかがりたるを
不気味
(
ぶきみ
)
らしく
提
(
さ
)
げ来り、神職の足近く、どさと差置く。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それじゃ、丁度よう
御在
(
ござい
)
ました。代りに何か御用をいたしましょう。」と婦人は
包
(
つつみ
)
を持ったまま、老人の後について縁側づたいに
敷居際
(
しきいぎわ
)
に坐り
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
だがその予想に反して、その翌朝、捜査課の扉を押して、蜂矢探偵が大きな
包
(
つつみ
)
を小脇にかかえて入ってきたのには、課長以下眼を丸くしておどろいた。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
明智は化粧品のハンカチ
包
(
つつみ
)
を大切相に懐中して立上った。書生の山木と小間使のお
雪
(
ゆき
)
とが玄関まで彼を見送った。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼はその後父親に
託
(
ことづ
)
けて貝殻一
包
(
つつみ
)
と見事な鳥の毛を何本か送って寄越した。わたしの方でも一二度品物を届けてやったこともあるが、それきり顔を見たことが無い。
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
旅商人
(
たびあきゅうど
)
の
脊
(
せ
)
に負える
包
(
つつみ
)
の中には赤きリボンのあるか、白き下着のあるか、
珊瑚
(
さんご
)
、
瑪瑙
(
めのう
)
、水晶、真珠のあるか、包める中を照らさねば、中にあるものは鏡には写らず。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その省三の眼に細君の
枕頭
(
まくらもと
)
に
転
(
ころ
)
がっているコップと売薬の
包
(
つつみ
)
らしい怪しい袋が見えた。
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と声を掛けて、貴婦人が、
衝
(
つ
)
と入って来たのでした。……片手に、あの、
蒔絵
(
まきえ
)
ものの
包
(
つつみ
)
を提げて、片手に
小
(
ちいさ
)
な盆を
一個
(
ひとつ
)
。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
午頃
(
ひるごろ
)
まで長吉は
東照宮
(
とうしょうぐう
)
の裏手の森の中で、
捨石
(
すていし
)
の上に
横
(
よこた
)
わりながら、こんな事を考えつづけた
後
(
あと
)
は、
包
(
つつみ
)
の中にかくした小説本を取出して読み
耽
(
ふけ
)
った。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
家
(
うち
)
へ帰る途中にも、折々インヴァネスの羽根の下に抱えて来た銘仙の
包
(
つつみ
)
を持ち
易
(
か
)
えながら、それを三円という安い
価
(
ね
)
で売った男の、粗末な
布子
(
ぬのこ
)
の
縞
(
しま
)
と、赤くてばさばさした髪の毛と
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
吩咐
(
いいつ
)
けながら竈の火を按排した。その
側
(
そば
)
で老栓は一つの青い
包
(
つつみ
)
と、一つの紅白の破れ提灯を一緒にして竈の中に突込むと、赤黒い
燄
(
ほのお
)
が渦を巻き起し、一種異様な薫りが店の方へ流れ出した。
薬
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
と
手早
(
てばや
)
く
笹
(
ささ
)
の葉を
解
(
ほど
)
くと、
硬
(
こわ
)
いのがしやつちこばる、
包
(
つつみ
)
の端を
圧
(
おさ
)
へて、
草臥
(
くたび
)
れた両手をつき、
畏
(
かしこま
)
つて
熟
(
じっ
)
と見て
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
頭巾
(
ずきん
)
を
冠
(
かむ
)
り手に
数珠
(
じゅず
)
を持ち
杖
(
つえ
)
つきながら行く
老人
(
としより
)
は
門跡様
(
もんぜきさま
)
へでもお
参
(
まい
)
りする
有徳
(
うとく
)
な隠居であろう。小猿を背負った猿廻しの
後
(
あと
)
からは
包
(
つつみ
)
を背負った
丁稚
(
でっち
)
小僧が続く。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
眼があっても節穴同然、気の毒なこった、と思わずクスクスと噴き出したが、また憤然としてたちまち本の
包
(
つつみ
)
の中から、正しく書き写した制芸文と試験用紙を
脱
(
ぬ
)
き出し、それを持って外へ出た。
白光
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
そして廊下への出口に置いてある
衣裳棚
(
いしょうだな
)
に、名前の貼紙がしてある処を見てその
包
(
つつみ
)
を
載
(
の
)
せ、コンパクトで鼻の先を
叩
(
たた
)
きながら、廊下づたいにパンツリイを通り抜けると
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
魘
(
おそ
)
はれたる如く
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みま
)
はし、
慌
(
あわただ
)
しく
画
(
え
)
の
包
(
つつみ
)
をひらく、
衣兜
(
かくし
)
のマツチを探り、
枯草
(
かれくさ
)
に火を点ず。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼は垣の上にあがることも出来なければ、
洞
(
あな
)
の中に潜ることも出来なかった。ただ外に立って品物を受取った。ある晩彼は一つの
包
(
つつみ
)
を受取って相棒がもう一度入ると、まもなく中で大騒ぎが始まった。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
後
(
うしろ
)
なるも、左も右も、人波打ちつつどやどやと
動揺
(
どよ
)
み出づる、土間桟敷に五三人、ここかしこに
出後
(
でおく
)
れしが、頭巾
被
(
かぶ
)
るあり、
毛布
(
けっと
)
纏
(
まと
)
うあり、下駄の
包
(
つつみ
)
提げたるあり、仕切の板飛び飛びに越えて
行
(
ゆ
)
く。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
桜の花さく
河岸
(
かし
)
の眺め(第五図)は直ちに新緑
滴
(
したた
)
る
元柳橋
(
もとやなぎばし
)
の夏景色(第六図)と変じ、ここに
包
(
つつみ
)
を背負ひし男一人橋の欄干に腰かけ扇を使ふ時、
青地
(
あおじ
)
の
日傘
(
ひがさ
)
携へし女芸者二人話しながら歩み行けり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
五色に透いて輝きまする
鰐
(
わに
)
の皮三十六枚、
沙金
(
さきん
)
の
包
(
つつみ
)
七十
袋
(
たい
)
。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
包
常用漢字
小4
部首:⼓
5画
“包”を含む語句
風呂敷包
引包
紙包
一包
黄包車
上包
包物
金包
莚包
袱紗包
小包
菰包
二包
皮包
押包
藁包
竹皮包
革包
麺包
包囲
...