出來上できあが)” の例文
新字:出来上
したがつて出來上できあがつたものには、所々ところ/″\のぶく/\が大分だいぶいた。御米およねなさけなささうに、戸袋とぶくろけたての障子しやうじながめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さて其翌日そのよくじつさく御獻立ごこんだて出來上できあがさふらふはやめさせたまふべきか」と御膳部方ごぜんぶかたよりうかゞへば、しばしとありて、何某なにがし御前ごぜんさせられ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
第十五圖だいじゆうごずをごらんなさい。たゞひとつの下顎骨かがくこつから想像そう/″\してると、こんな人間にんげん出來上できあがるのです。これを『ハイデルベルグじん』といつてゐます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そのうちに、あつはひなかまつてかきあなからは、ぷう/\しぶ吹出ふきだしまして、けたかきがそこへ出來上できあがりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『やあ、うまい/\、でもよくうごくわい、もう遲々ぐず/\してはられない。』ときふはしつてつて、此時このときすで出來上できあがつてつた紀念塔きねんたふ引擔ひつかついでた。
きみ立派りつぱ書物しよもつ出來上できあがる。きみはこのほんるのをたのしみにしてゐたといふではないか。きみはなぜ、せめては、このほんるまでつてはゐなかつたのだ。
「三つの宝」序に代へて (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
わたしのやうにまはりはこと/″\心得こゝろえちがひばかりで出來上できあがつて、ひとつとして取柄とりえこまものでも、こゝろとしてをかしたつみいほどに、これ此樣このやう可愛かあいらしいうつくしい
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かういふふうに、ごくわづかづゝ、自然しぜんたいする見方みかたすわつてました。そして、ほんとうの敍景詩じよけいしといふものが出來上できあがるのは、奈良朝ならちようちかくなつてからのことであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
はるからなつにかけてやまゆきえたころが、この山火事やまかじ一番いちばんおほときで、煙草たばこがらや、たきをしたひとのちよっとした不注意ふちゆういで、百年ひやくねんかゝつて出來上できあがつた森林しんりん數時間すうじかんもたゝないあひだ
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
やっとのことで、門閥家もんばつかの、領地有りゃうちもちの、としわかい、教育けういく立派りっぱな、何樣なにさま才徳さいとく具足ぐそくしたをとこうもありたいもの、とのぞまるゝとほりに出來上できあがってゐる婿むこさがして、供給あてがへば、ともない
偶然ぐうぜん結果けつくわではあるが、此責任このせきにんうてつべく出來上できあがつたとしんじる。
つもつたゆきこゞつたつちうへあつめて、それを下駄げたでこするうちには、しろいタヽキのやうなみち出來上できあがります。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
その高濱たかはまさんの御領分ごりようぶん俳句はいく同樣どうように、短歌たんかといふものは、ほんとうに、日本國民につぽんこくみん自身じしんしたもので、とりわけ、きはめてふる時代じだいに、出來上できあがつてゐたものであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
出來上できあがつたら立派りつぱなもんでせう。』と武村兵曹たけむらへいそうはなうごめかしつゝわたくしながめた。
其晩そのばん何故なぜくれのうちにしきまさないかとふのが、蕎麥掻そばがき出來上できあがあひだ、三にん話題わだいになつた。御米およね方位はうゐでもわるいのだらうと臆測おくそくした。宗助そうすけつまつてがないからだらうとかんがへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
海底戰鬪艇かいていせんとうてい出來上できあがつたうへは、一日いちにちはや日本につぽんかへつたほうがいゝ、それで、なんと、貴方あなたはやつて御决心ごけつしんはありませんか、貴方あなた主任者しゆにんしやとなつて、一生懸命いつしやうけんめいにやるつもりなら