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冥土
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めいど
ふりがな文庫
“
冥土
(
めいど
)” の例文
「父親が殺されたといふのに、何事も隱し立てをしてはいけない、——下手人を逃がすやうな事があつては、
冥土
(
めいど
)
の
障
(
さは
)
りにもならう」
銭形平次捕物控:218 心中崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
誠に
冥土
(
めいど
)
の人に
遭
(
あっ
)
たような気がして、ソレカラいろ/\な話を
聞
(
きい
)
て、清水と一緒になったと云うことも分れば何も
箇
(
か
)
も
分
(
わかっ
)
て
仕舞
(
しまっ
)
た。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ですけれど、あの、お
手
(
て
)
で
招
(
まね
)
かれたら、
懐中
(
ふところ
)
へなら
尚
(
なほ
)
の
事
(
こと
)
だし、
冥土
(
めいど
)
へでも、
何処
(
どこ
)
へでも
行
(
ゆ
)
きかねやしますまい……と
真個
(
ほんとう
)
に
思
(
おも
)
ひました。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その音がまるでもしあるなら
冥土
(
めいど
)
からでも出ただろうといったふうな妙に陰気な響きであるので、必ず驚かされるほどであった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
死
(
し
)
んでも
形
(
かたち
)
だけの
葬式
(
そうしき
)
ひとつしてもらえなかった……これでは、
犬
(
いぬ
)
やねこと
同
(
おな
)
じであって、
冥土
(
めいど
)
の
門
(
もん
)
もくぐれないではないか?
町の真理
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
人に
怨恨
(
えんこん
)
を有し
讐敵
(
しゅうてき
)
となるものは、死後も同様に考え、
冥土
(
めいど
)
に入りてそのうらみをむくい、その
仇
(
あだ
)
を報ずることと信じておる。
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
でなくば自身
冥土
(
めいど
)
まで聞きに行ってくる
切支丹
(
きりしたん
)
伴天連
(
ばてれん
)
の秘法でも心得ていないかぎり、推断に苦しむのは当然なことというべきでありました。
右門捕物帖:10 耳のない浪人
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
この世の利益はもう必要がなくなった今では
冥土
(
めいど
)
のお手引きに仏をお願いすることにして、髪を切って尼にすることをそのだれかにさせてくれ。
源氏物語:41 御法
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
大宗匠たちの臨終はその
生涯
(
しょうがい
)
と同様に絶妙都雅なものであった。彼らは常に宇宙の大調和と和しようと努め、いつでも
冥土
(
めいど
)
へ行くの覚悟をしていた。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
冥土
(
めいど
)
に於けるC子の姿は
無線遠視
(
テレヴィジョン
)
に撮られて、直ちに中央放送局へ
中継
(
なかつぎ
)
される。娑婆ではこれを、警察庁
公示
(
こうじ
)
事項
(
じこう
)
のニュースとしてC子の姿を放送する。
十年後のラジオ界
(新字新仮名)
/
海野十三
、
佐野昌一
(著)
よくよく聞いて見たら、実は百年
前
(
ぜん
)
に死んだのだが、ふとした好奇心からわざと幽霊になって吾輩を驚かせるために、遠い
冥土
(
めいど
)
から出張したのだそうだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あるいはこれもまた時鳥のように、
冥土
(
めいど
)
の鳥ということかも知れぬ。
豊後
(
ぶんご
)
の竹田附近にはヒトダマという鳥がある。嘴大にして赤く、羽の端には
蒼味
(
あおみ
)
がある。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
と、酒を
位牌
(
いはい
)
にそそぎ、また
冥土
(
めいど
)
供養の
紙銭
(
かみぜに
)
をつかんで
燻
(
く
)
べ終ると、彼は声を放っておいおいと泣きだした。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
折角
出難
(
でがた
)
いチベットから出て来て世界に紹介すべき大功の事を
冥土
(
めいど
)
に
齎
(
もた
)
らしたからといって何の益があるか。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
雨しとしとと降りて
枕頭
(
ちんとう
)
に客なし。古き雑誌を出して星野博士の「守護
地頭
(
じとう
)
考」を読む。十年の疑一時に
解
(
と
)
くるうれしさ、
冥土
(
めいど
)
への土産一つふえたり。(五月二十日)
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
殊
(
こと
)
に、奥さんと一緒に行くんだったら、死んだ兄さんだって、
冥土
(
めいど
)
で満足しているかも知れませんよ。死んだ青木
淳
(
じゅん
)
君の瑠璃子夫人崇拝は人一倍だったのですからね。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
冥土
(
めいど
)
の土産に聞かしてやるが、さっき、
若僧
(
わかぞう
)
運転士をおびき出してやったのもこっちの計略だ。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「
冥土
(
めいど
)
の父親母親が、草葉の蔭から、さぞお前さまのお心持を、ありがたがっておりましょう」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
世事
(
せいじ
)
測る可からずと
雖
(
いえど
)
も、
薙髪
(
ちはつ
)
して
宮
(
きゅう
)
を脱し、
堕涙
(
だるい
)
して舟に上るの時、いずくんぞ
茅店
(
ぼうてん
)
の茶後に
深仇
(
しんきゅう
)
の
冥土
(
めいど
)
に入るを談ずるの今日あるを思わんや。あゝ
亦
(
また
)
奇なりというべし。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
間もなく、○○町の
名刹
(
めいさつ
)
千福寺の墓地に毎晩人魂が現れるという記事が新聞に出た。
夥
(
おびただ
)
しい数だ。
冥土
(
めいど
)
の連中も昨今の酷暑に堪え兼ねて、
夜々
(
よなよな
)
涼みに浮び上るのだろうとあった。
ある温泉の由来
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「そういえばそうだが、評判は
予
(
かね
)
て聞いてるから、どんなものだか
冥土
(
めいど
)
の
土産
(
みやげ
)
に見て置きたいと思ってネ。まだ一と月や二タ月は大丈夫生きてるから、ユックリ見て行かれる。」
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「いえ、なに、死んでしまへば男も女もありませんよ。」——坊さんは
巧
(
うま
)
い事を言つた。してみると、
冥土
(
めいど
)
には活動写真小屋のやうに、婦人席は
区割
(
くぎり
)
がつけて無いものと見える。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
なにかと思ったらくだらない。聞いていれば、さっきから妙に
気障
(
きざ
)
な話ばかり。……貰えるものなら
冥土
(
めいど
)
からでも、便りをもらいたいぐらいに思っていますが、死んだひとが手紙を
顎十郎捕物帳:13 遠島船
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
殺し
汚面々々
(
をめ/\
)
と
我而已
(
われのみ
)
生
(
いき
)
て
勘當
(
かんだう
)
免
(
ゆる
)
さるゝとも何の
悦
(
よろこ
)
びか
有
(
あら
)
ん我も
冥土
(
めいど
)
の
途連
(
みちづれ
)
せんとて既に首を
縊
(
くゝる
)
べき
體
(
てい
)
なれば初瀬留も是を聞き其元の
起
(
おこ
)
りは皆私し故なれば
倶々
(
とも/″\
)
死
(
しな
)
んと同じく
細帶
(
ほそおび
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
はじめに
行基菩薩
(
ぎょうきぼさつ
)
というお方がおつくりなすった歌だから、あれを
冥土
(
めいど
)
の
土産
(
みやげ
)
に聞いて行けば心残りはないから、わたしの命は今晩限り、明日は、もうこの世の人でないと書いてあるよ
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これはいけないと思う間もなく私は七ツ道具を投げすてて草原の上へ倒れてしまったのだ。ところで私はちょっと空を眺めて見た、この世の空かあるいは
最早
(
もはや
)
冥土
(
めいど
)
の空かを確めるために。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
一首の意は、死んで行くこの子は、未だ
幼
(
おさな
)
い童子で、
冥土
(
めいど
)
の道はよく分かっていない。冥土の番人よ、よい贈物をするから、どうぞこの子を背負って通してやって呉れよ、というのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
一夜、夫の枕もとに現われて、歌を
詠
(
よ
)
んだ。闇の夜の、におい
山路
(
やまみち
)
たどりゆき、かな
哭
(
な
)
く声に消えまよいけり。におい山路は、
冥土
(
めいど
)
に在る山の名前かも知れない。かなは、女児の名であろう。
懶惰の歌留多
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
なお樹下に潜みいつ
遠近
(
おちこち
)
と夜の影を見回せり、彼の心には現世ははるかの山の彼方になりて、ココは早や
冥土
(
めいど
)
に通ずる路のごとく思われ、ヒヤヒヤと吹き来る風は隠府の羽を延ぶるがごとく
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
ちっとも早う上様のおあとを慕うて、
冥土
(
めいど
)
のおん供……。
修禅寺物語
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
冥土
(
めいど
)
の案内じゃ提灯が先だんべ」
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
おぼつかない
冥土
(
めいど
)
の細道から
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
貞
(
てい
)
を
冥土
(
めいど
)
の
夫
(
つま
)
に
尽
(
つく
)
し
寡婦の除夜
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
ですけれども、真夜中ですもの、川の瀬の音は
冥土
(
めいど
)
へも響きそうで、そして
蛇籠
(
じゃかご
)
に当って砕ける波は、
蓮華
(
れんげ
)
を刻むように見えたんですって。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「成程、さう言へば一應尤もだ、それでは
冥土
(
めいど
)
の土産に聞かしてやらう、——皆川半之丞が、同志の手をかりて、此穴を掘つたわけは、かうだ」
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
霊魂
(
れいこん
)
は、まったく
浮
(
う
)
かばれなかったのです。りっぱなお
寺
(
てら
)
へいって、お
経
(
きょう
)
をあげてもらい、
丁寧
(
ていねい
)
に
葬
(
とむら
)
いをしてもらってから、
冥土
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
につこうと
思
(
おも
)
いました。
町の真理
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
一足先に
冥土
(
めいど
)
へ立った卑怯者は、後の二人の仲間は、立場の居酒屋でのみつぶれていると嘘をいったが、先へ廻って、待ち伏せの手ぐすね引いていたのである。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その年
麻疹
(
ましん
)
を病んでその子は死んだと、
真澄
(
ますみ
)
の奥州の紀行の中に書いてある。
郭公
(
かっこう
)
は時鳥の
雌
(
めす
)
などという俗説もあるが、これがまた同じように
冥土
(
めいど
)
の鳥であった。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
『われはこの家の娘なり。死して
冥土
(
めいど
)
に向かうも、
娑婆
(
しゃば
)
に多くの衣服を残せしために、思う所に至ることあたわず。願わくは、これこれの衣類を渡されんことを』
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「したんだ、したんだ。ちっと遠すぎるところへ逃げたんですよ。
冥土
(
めいど
)
へ飛んじまったんですよ」
右門捕物帖:23 幽霊水
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
追っかけて
冥土
(
めいど
)
まで、……いやさ、日暮里まで行く。……早打駕籠を二挺、押棒をつけて持って来い。……後先へ五人ずつ喰っついて、宙を飛ばして行け。棺桶は、もう
一刻
(
いっとき
)
前に芝を
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
冥土
(
めいど
)
の土産にそれを聞かせてやろうか。鴨下というエセ学者は、五体揃った俺の身体を生れもつかぬこんな姿にしてしまった。自分のために、他人の人生を全然考えないひどい野郎だ。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
幸か不幸か、男の真三郎は
冥土
(
めいど
)
へ行ったのにお豊だけはこの世に生き残って、大和の国
三輪
(
みわ
)
の里の親戚へ預けられている間に、京都を漂浪して来た机竜之助と会うことになってしまった。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
事
(
こと
)
新
(
あた
)
らしく今更に道十郎が後家に
告口
(
つげぐち
)
なし此長庵が
命
(
いのち
)
を
縮
(
ちゞ
)
めさせたるは忝け
無
(
ない
)
共
(
とも
)
嬉
(
うれ
)
しいとも
禮
(
れい
)
が
言盡
(
いひつく
)
されぬ故今は
括
(
くゝ
)
られた身の
自由
(
じいう
)
成
(
なら
)
ねば
孰
(
いづ
)
れ
黄泉
(
あのよ
)
から
汝
(
おのれ
)
も直に取殺し共に
冥土
(
めいど
)
へ
連
(
つれ
)
て
行
(
ゆき
)
禮を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
笑
(
え
)
みを顔にうかべながら、利休は
冥土
(
めいど
)
へ行ったのであった。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
「
冥土
(
めいど
)
へ呼びに行くか?」
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
紳士 俺の旅行は、
冥土
(
めいど
)
の旅のごときものじゃ。昔から、事が、こういう事が起って、それが破滅に近づく時は、誰もするわ。平凡な手段じゃ。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「なるほど、そういえば一応もっともだ、それでは
冥土
(
めいど
)
の
土産
(
みやげ
)
に聞かしてやろう、——皆川半之丞が、同志の手をかりて、この穴を掘ったわけは、こうだ」
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
どうせない命なら、せめての罪ほろぼしに、この仏といっしょに
冥土
(
めいど
)
へ参りとうござります……
右門捕物帖:19 袈裟切り太夫
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「だれか、
冥土
(
めいど
)
の
途
(
みち
)
づれにするものはないかな。」と、
人間
(
にんげん
)
を
物色
(
ぶっしょく
)
していたのです。
町の真理
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
冥
常用漢字
中学
部首:⼍
10画
土
常用漢字
小1
部首:⼟
3画
“冥”で始まる語句
冥加
冥利
冥途
冥府
冥々
冥福
冥
冥想
冥罰
冥護