余計よけい)” の例文
旧字:餘計
物差しをじかに当てずに他の方法によって測量する場合には、手数を重ねることがさらに余計よけいになるだけ、正確の程度がさらに減ずる。
我らの哲学 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
女中じょちゅうに対しても同じです。余計よけいなお饒舌しゃべり譃言うそう時には口では云わずになるたけきつい顔して無言のいましめをしてやります。
一時ひとしきり騒々さう/″\しかつたのが、寂寞ひつそりばつたりして平時いつもより余計よけいさびしくける……さあ、一分いつぷん一秒いちびやうえ、ほねきざまれるおもひ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかし今日こんにちところでは病院びょういんは、たしか資力ちから以上いじょう贅沢ぜいたくっているので、余計よけい建物たてもの余計よけいやくなどで随分ずいぶん費用ひようおおつかっているのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「ふん、おめえまで、余計よけいなことはおいてくんねえ。おいらのあしでおいらがあるいてくんだ。どこへこうが勝手かってじゃねえか」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
だから百間氏の小品のやうに、自由な作物にぶつかると、余計よけい僕には面白いのである。しかし人の話を聞けば、「冥途めいど」の評判はくないらしい。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし、この村はどの家も、どの家もまったくまずしいくらしをしているので、どこでも清造ひとりを余計よけいやしなっておけるような家はなかったのです。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
「あつちとおなじでいゝのよ。おねがひするわ。宿賃やどちんだけ余計よけいになるけど。」とひながら、道子みちこ一歩一歩ひとあしひとあしをとこ橋向はしむかうくらはうへとつてかうとする。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
「いや、老師、私たちは、一日余計よけいに睡ったのですよ。部下の報告からして考えると、金博士を睡らせる睡眠瓦斯すいみんガスが、余と老師とにも作用した結果です」
人類を罪悪から救わんと企てた人である。ところが羅馬ローマの坊主どもが一時権力が大になるに随ってあらゆる罪悪を犯した。普通の俗人よりも余計よけい犯すに至った。
東亜の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
「よしよし、おじいさんがおっかさんをつれてきてやるから、もう余計よけいなことを考えるでないぞ。」
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
だがそれをひとりでするときは心に流れるうらわびしさが、硝子がらすの指先にふれる冷たさや、土のしめっぽいかおりや、美しい花の色にまでしみて余計よけいさびしくなるのだった。
花をうめる (新字新仮名) / 新美南吉(著)
それにつけてもあんじられるは園樣そのさまのこと、なん余計よけい世話せわながら何故なぜ最初はじめから可愛かわゆくて眞實しんじつところ一日ぬもになるくらいなれど、さりとて何時いつてもよろこばれるでもなく
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
七月からこっち、体の工合が良くない続きなので、余計よけい寒がりに、「かんしゃく持」になった。
秋風 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
わたしにはわかりませんが、なにか余計よけいにいただいたのでしょうか。」と、少女しょうじょきました。
世の中へ出る子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし前にも申した通り、あなたと私とはまるで専門が違いますので、私の筆にする事が、時によると変に物識ものしりめいた余計よけいぐさのように、あなたの眼に映るかも知れません。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
文章に不馴ふなれな私は、文章を駆使くしするのでなくて文章に駆使されて、つい余計よけいなことを書いてしまったり、必要なことが書けなかったりして、折角の事実が、世のつまらない小説よりも
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
けれどもそのサラダのあじが、どうしてもわすれられないほどうまかったので、翌日よくじつになると、まえよりも余計よけいべたくなって、それをべなくては、られないくらいでしたから、おとこは、もう一
「俺の方針に、絶対に口を出させぬ。村上。余計よけいなことをしゃべるな」
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
なにもこうありゃァしねえ。つべこべと、余計よけいなことをいってねえで、はやくおせんちゃんを、おく案内あんないしてやらねえか。師匠ししょうがもう、ちゃを三ばいえてちかねだぜ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
キャフェのテラスに並んでうそ寒く肩をしぼめながらあつらえたコーヒの色はひときわきめこまかに濃く色が沈んで、くちびるあたるグラスの親しみも余計よけいしみじみと感ぜられる。
巴里の秋 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
第二の盗人 余計よけいな事を云うな。その剣こそこっちへよこせ。——おや、おれの長靴を盗んだな。
三つの宝 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
無臭瓦斯むしゅうガスよりもこの方がいい。敵は鼻をくんくんならして、この瓦斯を余計よけいに吸い込むだろう。
……した黒羽二重くろはぶたへ紋着もんつき勤柄つとめがらであるから、余計よけい人目ひとめについて、乗合のりあひは一どつはやす。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「わしはほんとうのことを言っているのです。余計よけいなことを言う前に、自身じしんで調べてみなさるがいい。」と言って、これもお金をはらうとすぐに、宿を出て行ってしまいました。
神様の布団 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
そうして各人かくじん正当せいとうおわりであるとするなれば、なんため人々ひとびと邪魔じゃまをするのか。かりにある商人しょうにんとか、ある官吏かんりとかが、五ねんねん余計よけい生延いきのびたとしてところで、それがなんになるか。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
余計よけいなお接介せっかいのようだが、今頃いまごろ太夫たゆうは、おび行方ゆくえさがしているだろう。おまえさんのたこたァ、どこまでも内所ないしょにしておこうから、このままもう一ってかえってやるがいい
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「ええ、その上月のある晩は、余計よけいなんだか落着きませんよ。——時に隠亡堀おんばうぼり如何いかがでした?」「隠亡堀ですか? あすこには今日けふ不相変あひかはらず、戸板に打ちつけた死骸がありました。」
動物園 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
余計よけい世話せわかんでもいい。』ますます荒々あらあらしくなる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
余計よけいなことを、と調子てうし
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かういふ風に僕は郊外に住んでゐるから余計よけいそんな感じがするのだが、十一月のすゑから十二月の初めにかけて、夜おそく外からなんど帰つて来ると、かうなんともしれぬ物のにほひが立ちめてゐる。
一番気乗のする時 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ざわめいて来て愉快になるといふことは、酸漿提灯ほほづきぢやうちんがついてゐたり楽隊がゐたりするのもにぎやかでいいけれども、僕には、それが賑かなだけにさういふ時は暗い寂しい町が余計よけい眼につくのがいい。
一番気乗のする時 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
阿蘭陀オランダの女、(腹立たしげに)余計よけいな事は仰有おつしやらずに下さい。
長崎小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
蘭人、(鸚鵡をおどしつつ)余計よけいな事を云ふな!
長崎小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)