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たんば
ふりがな文庫
“
丹波
(
たんば
)” の例文
丹波
(
たんば
)
の
朝倉山椒
(
あさくらざんしょう
)
というのは、古くから有名で献上品、あるいは大名の御用となって諸方へ出回り、ずいぶん珍重されたようである。
山椒
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
藤園池辺氏が
丹波
(
たんば
)
に遊んで
大江山
(
おおえやま
)
あたりを歩いたとき、九州辺で
彼岸花
(
ひがんばな
)
というものを、土地の人に聞けばきつねばなと答えたといって
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
その
山代
(
やましろ
)
のオホツツキマワカの王は弟君イリネの王の女の
丹波
(
たんば
)
のアヂサハ姫と結婚して生んだ御子は、カニメイカヅチの王です。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
澄之は出た家も好し、上品の若者だったから、人〻も好い若君と喜び、
丹波
(
たんば
)
の国をこの人に進ずることにしたので、澄之はそこで入都した。
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
光秀は、主君とわかれて、ここから
丹波
(
たんば
)
の領地へ帰る予定である。——で、明るいうちにと、自分の宿舎からいま
暇乞
(
いとまご
)
いのためここへ来た。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
「旦那はんお留守の間に早よ行つて来てんか。何でもあらへん、眼つぶりもつてでも
楽
(
らく
)
に行ける。えら行けの
丹波
(
たんば
)
行けや。」
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
が、
忌々
(
いまいま
)
しさを忘れるには、一しょに流された相手が悪い。
丹波
(
たんば
)
の少将
成経
(
なりつね
)
などは、ふさいでいなければ
居睡
(
いねむ
)
りをしていた。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そのころ
丹波
(
たんば
)
の
大江山
(
おおえやま
)
に、
酒呑童子
(
しゅてんどうじ
)
と
呼
(
よ
)
ばれた
恐
(
おそ
)
ろしい
鬼
(
おに
)
が
住
(
す
)
んでいて、
毎日
(
まいにち
)
のように
都
(
みやこ
)
の
町
(
まち
)
へ出て
来
(
き
)
ては、
方々
(
ほうぼう
)
の
家
(
いえ
)
の
子供
(
こども
)
をさらって行きました。
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
丹波
(
たんば
)
の大江山等に住んでいるこの半人半怪の
惨酷
(
ざんこく
)
なる奴と、もっと幽霊らしい、死して鬼となるといったような一種の悪霊としての鬼と、悪気災難
ばけものばなし
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
この
廓
(
くるわ
)
にいる人でも大坂生まれは数えるほどで、近くても
京
(
きょう
)
丹波
(
たんば
)
、遠くは四国西国から売られて来て、知らぬ他国で辛い勤め奉公しているのもある。
心中浪華の春雨
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ここに細川方の
幕僚
(
ばくりょう
)
で
丹波
(
たんば
)
を領している細川
下野守教春
(
しもつけのかみのりはる
)
も、その数に
洩
(
も
)
れず、急いで国元へ引返して行きました。
鯉魚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「福引の箪笥はくれるぜ。去年の暮に僕のところの女中が引いてきた。して見ると高等学校の教員は
丹波
(
たんば
)
の
篠山
(
ささやま
)
出身の女中よりも馬鹿にされているんだね」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
桃六 されば、誰かの
櫛
(
くし
)
に
牡丹
(
ぼたん
)
も刻めば、この獅子頭も彫った、近江之丞桃六と云う、
丹波
(
たんば
)
の国の
楊枝削
(
ようじけずり
)
よ。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
都から二十里ばかり北に離れた
丹波
(
たんば
)
の国のある村に、三人の兄弟がありました。一番上の兄を
一郎次
(
いちろうじ
)
と言いました。
真中
(
まんなか
)
を
二郎次
(
じろうじ
)
と言い、末の弟を
三郎次
(
さぶろうじ
)
と言いました。
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
山陰道の東端は
丹波
(
たんば
)
、
丹後
(
たんご
)
、
但馬
(
たじま
)
であります。これらの国々の名は色々の言葉で思い出されます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
でも、そちらの方には深い高地があって、その遠い連山の間に
山城
(
やましろ
)
から
丹波
(
たんば
)
にまたがるいくつかの高峰があるという日本人の説明を聞くだけにも満足するものが多かった。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「昔
丹波
(
たんば
)
の
大江山
(
おおえやま
)
。」と子供の歌う声がして、急に鉦はそれと調子を合せて早く叩かれた。
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「それには、
丹波
(
たんば
)
の
道能宇斯王
(
みちのうしのみこ
)
の子に、
兄媛
(
えひめ
)
、
弟媛
(
おとひめ
)
というきょうだいの
娘
(
むすめ
)
がございます。これならば
家柄
(
いえがら
)
も正しい女たちでございますから、どうかその二人をお
召
(
め
)
しなさいまし」
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
ヰロリをカナゴと謂う例は
丹波
(
たんば
)
の
天田
(
あまだ
)
・
何鹿
(
いかるが
)
辺に一つあり、クヌギすなわち薪材をカナギという例は三河にも越前にもあって、カナドもまた一つの炉を意味する名詞だったらしい。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
いずれも一騎当千の猛将と見えて、
丹波
(
たんば
)
の国は笹山から昨夜着し立てでござると云わぬばかりに、黒く
逞
(
たくま
)
しく筋肉が発達している。中学などへ入れて学問をさせるのは惜しいものだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
京師
(
けいし
)
に
応挙
(
おうきょ
)
という画人あり。生まれは
丹波
(
たんば
)
の
笹山
(
ささやま
)
の者なり。京にいでて一風の画を描出す。唐画にもあらず。和風にもあらず。自己の
工夫
(
くふう
)
にて。
新裳
(
しんしょう
)
を出しければ。京じゅう妙手として。
人の言葉――自分の言葉
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
でも両親が宗家と共に、城中で切腹いたしまして、妾一人が乳母や下僕に、わずかに守られて城を出てからは、昔の栄華は夢となり、
丹波
(
たんば
)
の奥の
狩野
(
かの
)
の庄で、みすぼらしく寂しく暮らしました。
血ぬられた懐刀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さう/\おぼえて
居
(
ゐ
)
る
八百屋
(
やをや
)
お七の
機関
(
からくり
)
が
見
(
み
)
たいと
云
(
い
)
つたんだツけ。アラ
否
(
いや
)
嘘
(
うそ
)
ばつかり。それぢやア
丹波
(
たんば
)
の
国
(
くに
)
から
生捕
(
いけど
)
つた
荒熊
(
あらくま
)
でございの
方
(
はう
)
か。
何
(
ど
)
うでもようございますよ
妾
(
わたし
)
は
最早
(
もう
)
帰
(
かへ
)
りますから。
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
山海万里のうちにはおのずから異風奇態の
生類
(
しょうるい
)
あるまじき事に
非
(
あら
)
ず、古代にも、
仁徳
(
にんとく
)
天皇の御時、
飛騨
(
ひだ
)
に一身両面の人出ずる、
天武
(
てんむ
)
天皇の
御宇
(
ぎょう
)
に
丹波
(
たんば
)
の
山家
(
やまが
)
より十二角の牛出ずる、
文武
(
もんむ
)
天皇の御時
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
一昨年(大正五年)十二月の『風俗』に、林若樹君が「不思議な薬品」てふ一文を出し、本邦現存最古の医書
丹波
(
たんば
)
康頼の『医心方』から引き
陳
(
つら
)
ねた奇薬の名の内に、馬乳、白馬茎、狐と狗の陰茎あり。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
丹波
(
たんば
)
である——峰丹波が、ノッソリと突っ立っているのだが。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その帰途に官兵衛は、供も馬も捨てて
丹波
(
たんば
)
から山陰へ廻った。これは今度、秀吉と二日間を安土に送った間に結ばれた
秘策
(
ひさく
)
を果たすためだった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それより以前にも、
垂仁紀
(
すいにんき
)
を見ると、八十七年、
丹波
(
たんば
)
の国の
甕襲
(
みかそ
)
と云う人の犬が、貉を
噛
(
か
)
み
食
(
ころ
)
したら、腹の中に
八尺瓊曲玉
(
やさかにのまがたま
)
があったと書いてある。
貉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この天皇は、
丹波
(
たんば
)
の
大縣主
(
おおあがたぬし
)
ユゴリの女のタカノ姫と結婚してお生みになつた御子はヒコユムスミの命お一方です。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
今年になってからは
豊後
(
ぶんご
)
、日向を調査し、帰って四国に旅立ち、信州に行き、また最近には
周防
(
すおう
)
、長門を経て
石見
(
いわみ
)
に入りました。
丹波
(
たんば
)
を訪うたのはわずか旬日前のことです。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
寿商店
(
ことぶきしょうてん
)
の
独息子
(
ひとりむすこ
)
新太郎君
(
しんたろうくん
)
が三度目の診察を受けた時、
丹波
(
たんば
)
先生は漸く転地を勧めてくれた。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
上夜久野の驛を過ぎて、
但馬
(
たじま
)
の國に入つた。
攝津
(
せつつ
)
から
丹波
(
たんば
)
、丹波から丹後といふ風に、私達は三つの國のうちを通り過ぎて、但馬の和田山についた。そこは
播但線
(
ばんたんせん
)
の交叉點にもあたる。
山陰土産
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
ケケスはなお
近江
(
おうみ
)
の湖畔、
阿波
(
あわ
)
の吉野川流域、
丹波
(
たんば
)
等にもあって弘い名称である。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そうして
丹波
(
たんば
)
の山奥から出て来た観覧者の目に映るような美しい影像はもう再び認める時はなくなってしまう。これは実にその人にとっては取り返しのつかない損失でなければならない。
案内者
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
浮かれ人を花に送る京の汽車は
嵯峨
(
さが
)
より
二条
(
にじょう
)
に引き返す。引き返さぬは山を貫いて
丹波
(
たんば
)
へ抜ける。二人は丹波行の切符を買って、
亀岡
(
かめおか
)
に降りた。
保津川
(
ほづがわ
)
の
急湍
(
きゅうたん
)
はこの駅より
下
(
くだ
)
る
掟
(
おきて
)
である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大鷹
(
おおたか
)
はかしこまって、その鳥のあとをどこまでも追っかけて、
紀伊国
(
きいのくに
)
、
播磨国
(
はりまのくに
)
へとくだって行き、そこから
因幡
(
いなば
)
、
丹波
(
たんば
)
、
但馬
(
たじま
)
をかけまわった後、こんどは東の方へまわって、
近江
(
おうみ
)
から
美濃
(
みの
)
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
細い山道は陽のあった所を解け
崩
(
くず
)
しながらも、山陰は残雪で踏む度に草履が鳴った。千枝子はときどき立ち停って、まだ雪を
冠
(
かぶ
)
っている
丹波
(
たんば
)
から摂津へかけて延びている山山の峰を見渡しながら
比叡
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
額を青くしている早苗を、
丹波
(
たんば
)
はうるさそうに見やって
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
丹波
(
たんば
)
の
太郎
(
たろう
)
に
聞
(
き
)
かせるな。
しっぺい太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
岐阜城第一に迎えた春の
献賀
(
けんが
)
にと、
丹波
(
たんば
)
長谷
(
はせ
)
の城主赤沢
加賀守
(
かがのかみ
)
は、自分の秘蔵する
名鷹
(
めいよう
)
二羽のうちの一羽を、わざわざ使者に託して送ってきた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
甥
(
をひ
)
の法師の頼みますには、
丹波
(
たんば
)
の
前司
(
ぜんじ
)
なにがしの殿が、あなた様に会はせて頂きたいとか申して居るさうでございます。
六の宮の姫君
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この王が
丹波
(
たんば
)
の遠津の臣の女のタカキ姫と結婚して生んだ御子はオキナガの宿禰の王です。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
山陰道
(
さんいんどう
)
は
丹波
(
たんば
)
、
丹後
(
たんご
)
、
但馬
(
たじま
)
、
因幡
(
いなば
)
、
伯耆
(
ほうき
)
、
出雲
(
いずも
)
、
石見
(
いわみ
)
の七ヵ国でこれに
隠岐
(
おき
)
の島が加わります。県は主として鳥取県と島根県とでありますが、東寄りの国々は京都府や兵庫県の一部を占めます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
彼は
饑
(
う
)
え
渇
(
かわ
)
いたように車の窓を開け放ち、
山城
(
やましろ
)
丹波
(
たんば
)
地方の連山の
眺望
(
ちょうぼう
)
を胸一ぱいに自分の身に迎え入れようとして行った。大阪から京都まで乗って行く途中にも、彼は窓から眼を離せなかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
丹波
(
たんば
)
から
兄媛
(
えひめ
)
たちのきょうだい四人をおめしよせになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
とのは
丹波
(
たんば
)
の
助三
(
すけさぶ
)
さまよ……
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
平家の敗色が明瞭になると、
丹波
(
たんば
)
辺りでも、吉野でも、いちど平定した畿内の反平家分子も、また一斉に、騒ぎ出した。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大和
(
やまと
)
の国内は申すまでもなく、摂津の国、
和泉
(
いずみ
)
の国、
河内
(
かわち
)
の国を始めとして、事によると
播磨
(
はりま
)
の国、
山城
(
やましろ
)
の国、
近江
(
おうみ
)
の国、
丹波
(
たんば
)
の国のあたりまでも
竜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
中国
播磨
(
はりま
)
以西の山陽道と、
丹波
(
たんば
)
以西の山陰道。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
丹波
(
たんば
)
雪国
積
(
つも
)
らぬさきに
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
“丹波”の意味
《固有名詞》
丹波 (たんば)
旧国名の一つ。丹波国。
兵庫県にある地名。丹波市。
京都府にあった地名。丹波町。
(出典:Wiktionary)
丹
常用漢字
中学
部首:⼂
4画
波
常用漢字
小3
部首:⽔
8画
“丹波”で始まる語句
丹波栗
丹波酸漿
丹波国
丹波島
丹波康頼
丹波焼
丹波口
丹波屋
丹波市
丹波布