三年さんねん)” の例文
新道しんだう春日野峠かすがのたうげ大良だいら大日枝おほひだ絶所ぜつしよで、敦賀つるがかねさきまで、これを金澤かなざはから辿たどつて三十八里さんじふはちりである。かに歩行あるけば三年さんねんかゝる。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
第一番だいいちばんに、石造皇子いしつくりのみこはずるいほうさいのあつたかたですから、註文ちゆうもんほとけ御石みいしはちりに天竺てんじくつたようにせかけて、三年さんねんばかりたつて
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
一隊いつたい三十有餘名いうよめい三年さんねん以來いらい馴染なじみ水兵等すいへいらは、わかれをしまんとて、輕氣球けいきゝゆう周圍ぐるり取卷とりまいたが、たれ一言いちごんはつするものい、なかには感慨かんがいきはまつて、なみだながしたものもあつた。
嫁入よめいつたは三年さんねんまへ其當座そのたうざごくなかもよう御座ございましたし雙方さうはう苦情くじやうかつたので御座ございますけれど、れるといふはことわることで、おたがわがまゝの生地きぢまゐります
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
三年さんねんのうちに大分だいぶ世帯染しよたいじみちまつた。仕方しかたがない」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とほやまの、田舍ゐなかゆきなかで、おなじ節分せつぶんに、三年さんねんつゞけて過失あやまちをした、こゝろさびしい、ものおそろしいおぼえがある。いつも表二階おもてにかい炬燵こたつから。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さうかうするうちに三年さんねんばかりたちました。そのとし春先はるさきから、赫映姫かぐやひめは、どうしたわけだか、つきのよいばんになると、そのつきながめてかなしむようになりました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
しかし、何事なにごと天命てんめいです。けれどきみよ、けつして絶望ぜつぼうたまふな。吾等われら何時いつか、非常ひじやう幸福かうふくて、ふたゝ芙蓉ふようみねのぞこと出來できませう——イヤ確信くわくしんします、いまより三年さんねんのち屹度きつと其時そのときです。
とき流行りうかうといへば、べつして婦人ふじん見得みえ憧憬しようけいまとにする……まととなれば、金銀きんぎんあひかゞやく。ゆみまなぶものの、三年さんねん凝視ぎようしひとみにはまとしらみおほきさ車輪しやりんである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
無論むろん絶海ぜつかい孤島ことうであれば、三年さんねん五年ごねんあひだ他國たこく侵犯しんはんを、かうむるやうなことはあるまいが、安心あんしんのならぬはげん弦月丸げんげつまる沈沒ちんぼつ結果けつくわ偶然ぐうぜんにもこのしま漂着へうちやくした吾等われら兩人ふたり實例じつれいてらしても
故郷ふるさとはなれまして、皆樣みなさんにおわかまをしてから、ちやうど三年さんねんでございます。わたしあひだに、それは/\……」
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
滿潮まんてうときは、さつとしてくるなみがしらに、虎斑とらふ海月くらげつて、あしのうへおよいだほどの水場みづばだつたが、三年さんねんあまり一度いちどもよしきりをいたこと……無論むろんこともない。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
飛衞ひゑいきかずしていはく、未也まだなりついることをまなぶべし。せうだいに、いちじるしくんばさらきたれと。しやういともつしらみまどけ、南面なんめんしてこれのぞむ。旬日じゆんじつにしてやうやだいなり三年さんねんのちおほき如車輪焉しやりんのごとし
術三則 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)