頭上づじやう)” の例文
一つには官の平生の処置に悦服えつぷくして居なかつたといふ事情があつて、むしろ民庶は何様どんな新政が頭上づじやうに輝くかと思つたために
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
彼聞きて曰ふ、汝たとひわが髮をむしるとも我の誰なるやを告げじ、また千度ちたびわが頭上づじやうに落來るともあらはさじ 一〇〇—一〇二
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
だん池谷いけのやしんらう骰子サイツ頭上づじやうにかざして禮拜らいはいする。ぼくなど麻雀マージヤンはしばしば細君さいくん口喧嘩くちけんくわ種子たねになるが、これが臨戰前りんせんまへだときつと八わるい。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
『おゝ、左樣さうでせうとも/\。』とわたくしあまりの可愛かあいさに少年せうねん頭上づじやうたかげて、大日本帝國だいにつぽんていこく萬歳ばんざいさけぶと、少年せうねんわたくしつむりうへ萬歳々々ばんざい/″\小躍こをどりをする。
琵琶箱びはばこひたるたけたかきしたゝかな座頭ざとう一人ひとり人通ひとゞほりもなき闇川橋やみがはばし欄干らんかんを、つゑてがたりびしりとさぐる——頭上づじやうにはあやしきくものむら/\とかゝるのが自然しぜんえる。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふまでもなくうまむちぼく頭上づじやうあられの如くちて來た。早速さつそくかねやとはれた其邊そこら舟子ふなこども幾人いくにんうをの如く水底すゐていくゞつて手にれる石といふ石はこと/″\きしひろあげられた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
勘次かんじはるあひだにおしなの四十九にちすごした。白木しらき位牌ゐはいこゝろばかりの手向たむけをしただけで一せんでもかれ冗費じようひおそれた。かれふたゝ利根川とねがは工事こうじつたときふゆやうや險惡けんあくそら彼等かれら頭上づじやうあらはした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
陪審官ばいしんくわんをばのこらず、したなる群集ぐんじゆ頭上づじやう蹴轉けころがしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
その頭上づじやうには精妙の工みになれる大かぶと
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
頭上づじやうに大きな蒼天をいただき
とくと改められし處歳の頃四十三四百しやうていの男にて身の内にきず三ヶ處頭上づじやうよりほゝへ掛て切付しきず一ヶ所よりはら突通つきとほせし疵二ヶ所其わきからかさ一ぽんすてこれ有其からかさ澤瀉おもだかに岩と云字の印し付是あり懷中には鼻紙入はながみいれ藥包くすりつゝみ一ツほかに手紙一通あり其上書うはがき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
軍曹殿ぐんそうどの軍曹殿ぐんそうどのはやはやく、じうはやく‥‥」と、中根なかねきし近寄ちかよらうとしてあせりながらさけんだ。じうはまだ頭上づじやうにまつげられてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ぼくは一ねんこゝにおよべば倫理學者りんりがくしや健全先生けんぜんせんせい批評家ひゝやうか、なんといふ動物どうぶつ地球外ちきうぐわい放逐はうちくしたくなる、西印度にしいんど猛烈まうれつなる火山くわざんよ、何故なにゆゑなんぢ熱火ねつくわ此種このしゆ動物どうぶつ頭上づじやうにはそゝがざりしぞ!
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
れいのビールだる船長せんちやう此時このときわたくし頭上づじやうあた船橋せんけううへつて、しきりにあやしふね方向ほうかう見詰みつめてつたが、先刻せんこくはるか/\の海上かいじやう朦乎ぼんやり三個さんこ燈光ともしびみとめたあひだこそ、途方とほうことつてつたものゝ
二人ふたり頭上づじやう連峯れんぽうひきゐてそびゆることわすれてはならぬ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
祈願終りて聖麥を牲の頭上づじやうに蒔き散らし
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
頭上づじやうには處處しよしよかすかな星影ほしかげかんじられた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
電光でんくわうごと水兵すいへい頭上づじやう目掛めがけて飛掛とびかゝつた。