トップ
>
質
>
ただ
ふりがな文庫
“
質
(
ただ
)” の例文
妙子に
質
(
ただ
)
してみないことには、彼女がどう云う考でそんなことを云っているのか諒解に苦しむ点が多いのであったが、それは
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
信長の問いを受け継いで、
宣教師
(
バテレン
)
の一名が、生徒に
質
(
ただ
)
した。信長はすぐ察した。この教室には今まで教師はいなかったものとみえる。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
川原は
砂礫
(
されき
)
多く草少なき故、老人の説通りわずかに春草ある処を馬の川原毛から名を移して称うるのかと思えど、死人に
質
(
ただ
)
し得ず。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
とあるのは、ちよつとわかりかねる処があつてこれも作者に
質
(
ただ
)
して見た処が、松を伐るといふのはやはり松の立木を伐る事ぢやさうな。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
石と紙といずれが勝つかと、何事も知らぬ外人に
質
(
ただ
)
せば、恐らく石が紙よりも重く強く、かつ
固
(
かた
)
いから、石が紙に勝つというであろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
余はこの点についてその範囲及び細目を知るの必要ありしを以て時の専門学務局長
上田萬年
(
うえだかずとし
)
氏を文部省に
訪
(
おとの
)
ふて委細を
質
(
ただ
)
したり。
『文学論』序
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
今の電話の在り
処
(
か
)
を問い
質
(
ただ
)
そうとしたが、何となく薄気味がわるくなって来て、ともかくもU君の出社を待っていたのだという。
“指揮権発動”を書かざるの記
(新字新仮名)
/
犬養健
(著)
一時間許りで炭焼の男に
遇
(
あ
)
ったのを幸に、附近の山や谷の名称を
質
(
ただ
)
している
中
(
うち
)
にまた雨が大降りとなったので、二時間許り小屋で過した。
初旅の大菩薩連嶺
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
まず第一番に神尾喬之助を
捕
(
つか
)
まえて事を
質
(
ただ
)
し、
柳営
(
りゅうえい
)
である元旦である、喬之助に理があれば切腹、非ならば
極刑
(
きょくけい
)
に処さなければならない。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
恵心は台宗問目二十七条を
撰
(
せん
)
して、宋の
南湖
(
なんこ
)
の
知礼師
(
ちらいし
)
に就いて之を
質
(
ただ
)
そうとした。知礼は当時
学解
(
がくげ
)
深厚
(
じんこう
)
を以て称されたものであったろう。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
電話の容子では、
与
(
くみ
)
しやすいと見て、少し調子を合わせながら、新子のことを洗いざらい、訊き
質
(
ただ
)
してやろうと考えたのである。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
と自ら
質
(
ただ
)
してみるのだったが、結局どっちとも判断のつかないまま、ぐんぐん歩を早めていることだけが明瞭に判るのだった。
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
もっと
訊
(
き
)
き
質
(
ただ
)
したくもあり、黙って引き退るべきであるような
曖昧
(
あいまい
)
な気持になりながら、矢張り、も少し
詳
(
くわ
)
しく聞きたかった。
春:――二つの連作――
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
と問い
質
(
ただ
)
しましても、家内はただガクガクと震えているだけで、口もきけずに蒲団を引っかぶっているだけなのでございます。
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
……これらの事件と北条左内とは、何らか関係がなければならない。よしよし近いうちに左内に
質
(
ただ
)
して、秘密のつながりを聞くことにしよう
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
僕は念のため或る言語学者に
質
(
ただ
)
してみたことがあるが、彼もやはりそれが日本語の本質だと答えた。では日本語は本質的に散文語ではないのか。
翻訳遅疑の説
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
私は、ルセアニア人のことは、思い出さなかったし、また、どうして彼女が、私のホテルを知ったかという疑点も、別に
質
(
ただ
)
そうとはしなかった。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
何とぞ早くその故を
質
(
ただ
)
して始めの如く同室に入らしめよと、打ち
喞
(
かこ
)
つに、
素
(
もと
)
より署長の巡廻だにあらば、直ちに
愁訴
(
しゅうそ
)
して、互いの志を達すべし
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
ほんとうに俺という奴は酒が好きなのかしら? ——とき/″\そうわれとわが胸に
質
(
ただ
)
してこたえにつまることがある。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
時々その事について、親しい友達に秘密な自分の疑いを
質
(
ただ
)
しなどしたが、それをどうすることもできずに、忙しいその日その日を紛らされていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
よりて、余いま
固陋
(
ころう
)
を
省
(
かえりみ
)
ず、その了解し難きゆえんの意を
摂録
(
せつろく
)
し、あえて先生に
質
(
ただ
)
す。もし先生の垂教を
忝
(
かたじけなく
)
せば、あに ただ
不佞
(
ふねい
)
の幸のみならんや。
教門論疑問
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
彼はかつてにせの官員小僧とたしかに二枚看板で出演していたことがあったのだからと思っていろいろと往年のにせ怪盗の素性を問い
質
(
ただ
)
してみたが
艶色落語講談鑑賞
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
通りに朝霧のような
薄靄
(
うすもや
)
がこもっていた。滞在中梶はヨハンに支払うべき案内料を一度も
質
(
ただ
)
さずにしまったが、五日間の料金は意外に少額ですんだ。
罌粟の中
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
北川が社長室へ入った時間などについていろいろ
訊
(
き
)
き
質
(
ただ
)
したこと、それから社長室の開けっ放してある窓の窓枠や、床の上を虫眼鏡で念入りに調べて
五階の窓:02 合作の二
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
御徒目付はまた、それを
蘇鉄
(
そてつ
)
の
間
(
ま
)
へつれて行って、大目付始め御目付衆立ち合いの上で、
刃傷
(
にんじょう
)
の
仔細
(
しさい
)
を問い
質
(
ただ
)
した。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
小生の本心は
漫
(
みだり
)
に他を攻撃して楽しむものにあらず、
唯
(
ただ
)
多年来
(
たねんらい
)
心
(
こころ
)
に
釈然
(
しゃくぜん
)
たらざるものを
記
(
しる
)
して
輿論
(
よろん
)
に
質
(
ただ
)
し、天下後世の
為
(
た
)
めにせんとするまでの事なれば
瘠我慢の説:03 書簡
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
、
勝海舟
、
榎本武揚
(著)
松陰の幼き、書を
挾
(
はさ
)
んで
壠上
(
ろうじょう
)
に読み、義解せざるあれば、直ちに
圃
(
ほ
)
間の父もしくは叔父に
就
(
つ
)
いて
質
(
ただ
)
せりという。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
人相書だけをたよりにするのは、いかにも心細いので、口入宿の富士屋や、
請宿
(
うけやど
)
の若狭屋へ往って、色々問い
質
(
ただ
)
したが、これと云う事実も聞き出されない。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
また趣味の相違が原因だと
決
(
きめ
)
る前に、その趣味とはどんなものか、それを
質
(
ただ
)
す必要があるかと存じます。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
支那の
怪物
(
ばけもの
)
………私は例の好奇心に促されて、一夜を
彼
(
か
)
の空屋に送るべく決心した。で、
更
(
さら
)
に
委
(
くわ
)
しく
其
(
そ
)
の『
鬼
(
き
)
』の有様を
質
(
ただ
)
すと、
曰
(
いわ
)
く、半夜に
凄風
(
せいふう
)
颯
(
さっ
)
として至る。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
どうも不思議でたまらないが、そうかといって、それを問い
質
(
ただ
)
してみるのも失礼なように感じました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼らの作品について問い
質
(
ただ
)
すまでもなく、彼らの声を聴くまでもなく、われわれが彼らの眼の中に、彼らの生涯の歴史の中に読み採ることは、——人生というものは
ベートーヴェンの生涯:02 ベートーヴェンの生涯
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
故ニ亜米利加合衆国ノ名代人タル我輩、其論説ノ正否ヲ世界中ノ公評ニ
質
(
ただ
)
サンガ為メ、コヽニ会同シテ、州内良民ノ名ニ代リ州内良民ノ権ヲ
藉
(
か
)
リ、謹テ次件ヲ布告ス。
アメリカ独立宣言
(新字旧仮名)
/
トマス・ジェファーソン
(著)
あれは
曲輪
(
くるわ
)
の重ね餅、指を
咥
(
くわ
)
えてエエくやしい、とこんなに言い
囃
(
はや
)
している位の仲でござりますゆえ、今も六兵衛どんにそれとなく聞き
質
(
ただ
)
して見たのでござりまするが
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
卑
(
ひく
)
きはよしや衣と食を、姦淫に仰げばとて、新平ならぬを栄とする、世の
人口
(
ひとびと
)
に何として、穢多ばかりかは、人口の心の汚れ、それこそは、実に穢多なりと
質
(
ただ
)
さるべき。
移民学園
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
亭主が
流行感冒
(
はやりかぜ
)
一つ引いても、まっさきに伝染性なりや否やを医師に
質
(
ただ
)
すような
婦
(
おんな
)
を、貴婦人だって、学者だって、美人だって、
年増
(
としま
)
だって、女房にしていらるるもんか。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これを
質
(
ただ
)
してみたが、自分のところに、その幼童をちょっと預かったことはあるが、間もなく母の勝子が連れだしたまま行方不明になってしまって、自分は知らないという。
三人の双生児
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
何の事もない愛嬌笑いにして見せると言う……おかげで蔵元屋の毎晩の上り高は大したものであろうが……これと申すもモトを
質
(
ただ
)
せばお熊さんの両親の不心得から起ったことで
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
瘠我慢
(
やせがまん
)
一篇の
精神
(
せいしん
)
も
専
(
もっぱ
)
らここに
疑
(
うたがい
)
を存しあえてこれを後世の
輿論
(
よろん
)
に
質
(
ただ
)
さんとしたるものにして、この一点については
論者輩
(
ろんしゃはい
)
がいかに
千言万語
(
せんげんばんご
)
を
重
(
かさ
)
ぬるも
到底
(
とうてい
)
弁護
(
べんご
)
の
効
(
こう
)
はなかるべし。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
僕の考えでは小児を育てるにむしろ
厳
(
げん
)
に失するも
緩
(
かん
)
に失してはならん。干渉に過ぎても放任に過ぎてはならんと思う。今の世の社会に立って何の
某
(
なにがし
)
といわれる人物を
質
(
ただ
)
してみ給え。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
平蔵は寅寿の来訪を知っていたとみえ、来るとすぐにそのことを問い
質
(
ただ
)
した。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
が何がなしに嬉しかッたので
臥床
(
ふしど
)
へはいッてからも何となく
眠
(
ね
)
るのが
厭
(
いや
)
で、何となく待たるるものがあるような気がするので、そのくせその待たるるものはと
質
(
ただ
)
されるとなに、何もないので
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
しかし、案外、蝦蟇を食うなどと言うことを恥ずかしがってでもいるのではないかと思われたので、あの辺では相当の物持であり、且つまた陶工の親分でもある加藤作助君に会って
質
(
ただ
)
してみた。
蝦蟇を食べた話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
彼は次で、日本に於て、誰かエレディヤを研究した人はないかと
質
(
ただ
)
した。
二人のセルヴィヤ人
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
前にもいった武知先生の塾へも相変らず手習に行ったが、傍ら蒙求とか日本外史とかいうものを自ら読んでは、分らぬ所を先生に
質
(
ただ
)
す事もした。読書力にかけてはこの塾でも私が威張っていた。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
一句ヲ得ルニ及ンデコレヲ余ニ
質
(
ただ
)
ス。余
已
(
すで
)
ニ
沈酣
(
ちんかん
)
シテ何ノ語タルヲ弁ゼズ。答フル所アルイハソノ問フ所ニ異ル。然リトイヘドモ上人ノ寛懐
固
(
もと
)
ヨリコレヲ罪セズ。余
醒
(
さ
)
メテ後
赧然
(
たんぜん
)
トシテ自ラ
愧
(
は
)
ヅ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その来由をも
質
(
ただ
)
さずして直ちに判官席に案内したからの事であった。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
服装
(
みなり
)
やなんかを聞き
質
(
ただ
)
してみてもさっぱり要領を得なかった。
運命のままに
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
章はある日、またその不審を
質
(
ただ
)
そうとした。
狼の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と大臣は
質
(
ただ
)
した。
源氏物語:46 竹河
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
質
常用漢字
小5
部首:⾙
15画
“質”を含む語句
性質
僂麻質斯
気質
質問
質素
品質
生質
質朴
氣質
言質
質子
物質
質物
本質
地質
素質
膠質
商人気質
木質
質屋
...