トップ
>
菅
>
すげ
ふりがな文庫
“
菅
(
すげ
)” の例文
塔の沢へ行って見る山の
裾
(
すそ
)
の雪、青木や
菅
(
すげ
)
や
足立
(
あだち
)
などと
曾
(
かつ
)
て遊んだことのある若かった日までも想い起させるような
早川
(
はやかわ
)
の音
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
揃いの
盲縞
(
めくらじま
)
の着物、
飛白
(
かすり
)
の
前掛
(
まえかけ
)
、
紺
(
こん
)
の
脚絆手甲
(
きゃはんてっこう
)
、
菅
(
すげ
)
の
笠
(
かさ
)
という一様な
扮装
(
いでたち
)
で、ただ前掛の紐とか、
襦袢
(
じゅばん
)
の
襟
(
えり
)
というところに、めいめいの好み
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
着慣れませぬ新らしい笈摺を
引掛
(
ひきか
)
け、
雪卸
(
ゆきおろ
)
しの
菅
(
すげ
)
の笠には
同行二人
(
どうぎょうににん
)
と書き、白の脚半に
甲掛草鞋
(
こうがけわらじ
)
という姿で、慣れた大工町を出立致しまする。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その上に、数年前、自分の居所もまだこっちから知らせぬ間に、母のお
菅
(
すげ
)
も死んだとある。柘植嘉兵衛の消息も知れない。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし荷物を背負う用途を兼ねるものは、必然材料に丈夫なものが選ばれてくる。
茅
(
かや
)
、
菅
(
すげ
)
、
蒲
(
がま
)
、岩芝、くご、
葡萄
(
ぶどう
)
、
胡桃
(
くるみ
)
、特に愛されるのは
科
(
しな
)
の皮。
蓑のこと
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
菅
(
すげ
)
がチョビチョビと生えた雪まじりの沼地で、骨ばかりになった雑木林と斜にかしいだ半
潰
(
つぶ
)
れの
木骨小屋
(
フレームハウス
)
が霧の中からぼんやりとあらわれだしている。
南部の鼻曲り
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
茸は
立衆
(
たてしゅう
)
、いずれも、見徳、
嘯吹
(
うそのふき
)
、
上髭
(
うわひげ
)
、思い思いの面を
被
(
かぶ
)
り、
括袴
(
くくりばかま
)
、
脚絆
(
きゃはん
)
、腰帯、
水衣
(
みずぎぬ
)
に包まれ、揃って、笠を被る。塗笠、
檜笠
(
ひのきがさ
)
、竹子笠、
菅
(
すげ
)
の笠。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ただ、山中を流れている
水陰
(
みずかげ
)
にながく
靡
(
なび
)
くようにして群生している
菅
(
すげ
)
という実際の光景、特に、「水陰」という語に心を
牽
(
ひ
)
かれて私はこの歌を選んだ。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
関東
縞
(
じま
)
の
袷
(
あわせ
)
に、
鮫鞘
(
さめざや
)
の
長脇差
(
ながわきざし
)
を
佩
(
さ
)
して、
脚絆
(
きゃはん
)
草鞋
(
わらじ
)
で、厳重な足ごしらえをした忠次は、
菅
(
すげ
)
のふき下しの笠を
冠
(
かぶ
)
って、先頭に立って、威勢よく歩いていた。
入れ札
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ゆふ
菅
(
すげ
)
の花も微甘でもあり、微気の愛すべきものがあつて宜いが、
併
(
しか
)
し要するに山人のかすけき野饌である。甘菊の大なるものは実に嬉しいものである。
菊 食物としての
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
裾べり野袴に
菅
(
すげ
)
の笠、柄袋をかけた細身の大小、あられ小紋の手甲に脚絆、——旅装いは尋常であった。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
オロチョン人の手製に成った
馴鹿
(
トナカイ
)
の
鞣
(
なめしがわ
)
の鞄や、財布——それは太い色糸で不細工に稚拙に装飾してあった——白樺の皮鍋、アイヌの
厚司
(
あつし
)
模様のついた
菅
(
すげ
)
の手提げ
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
つら/\此
住居
(
すまゐ
)
を見るに、
礎
(
いしずえ
)
もすえず
掘立
(
ほりたて
)
たる
柱
(
はしら
)
に
貫
(
ぬき
)
をば
藤蔓
(
ふぢづる
)
にて
縛
(
くゝ
)
りつけ、
菅
(
すげ
)
をあみかけて
壁
(
かべ
)
とし小き
窓
(
まど
)
あり、戸口は大木の
皮
(
かは
)
の一
枚
(
まい
)
なるをひらめて
横
(
よこ
)
木をわたし
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
今左に其一例として
菅
(
すげ
)
沼を挙げ、古絵図の如何なる程度まで信頼して差支なきやを知らんとす。
古図の信じ得可き程度
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「いや……実はその……あの時に折角の御厚情を、
菅
(
すげ
)
なく振切って参いったので、その御返報かと心得まして、存分に
讐仇
(
かたき
)
を討たれて差上げた次第で御座ったが……ハハハ……」
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
この世にはここの野ほど広い野はなく、ここでの遊びほど価値ある遊びはない。お前の天性にしたがって、とてもイギリス牧草にはなれない、
菅
(
すげ
)
や
羊歯
(
しだ
)
のごとく思いのままに生い茂れ。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
心を冷たく打ち
挫
(
ひし
)
ぎ、まるで枯れ尽した
菅
(
すげ
)
か、荒壁を思わす
朽樹
(
くちき
)
の肌でも見るかのような、妙にうら
淋
(
さび
)
れた——まったく見ていると、その暗い情感が、ひしと心にのしかかってくるのだった。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
絣
(
かすり
)
の仕事着に足ごしらえ
甲斐々々
(
かいがい
)
しく、
菅
(
すげ
)
の
褄折笠
(
つまおりがさ
)
と小荷物を引き背負うて、薬を売ってあるく娘どもは、あまりに眼の前のことだから批判もできないが、彼らの職業にも歴史は有るらしい。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
菅
(
すげ
)
の火は
蘆
(
あし
)
の火よりもなほ弱し
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
それに
菅
(
すげ
)
の笠を持ち
ひとつの道
(新字旧仮名)
/
草野天平
(著)
菅
(
すげ
)
の小笠の
別後
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
こんなことを言って、二人が
英気凜々
(
えいきりんりん
)
として過ぎ行く後ろ姿を見ると、二人ともに、黒のゴロウの羽織に
菅
(
すげ
)
の笠、いずれも丸に十の紋がついている。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お
菅
(
すげ
)
は、声を励ましたが、子の冷然として、強い顔を見ると、すぐ気も
挫
(
くじ
)
けて、むしろその不機嫌を
取做
(
とりな
)
し加減に
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
菅
(
すげ
)
さんの言草が好いじゃ有りませんか。『岸本君は時々人をびっくりさせる。——昔からあの男の癖です』とさ」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
近ごろある人に聞く、福井より三里
山越
(
やまごえ
)
にて、杉谷という村は、山もて囲まれたる湿地にて、
菅
(
すげ
)
の産地なり。
遠野の奇聞
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
足を
噛
(
く
)
わぬ様に何うか五足
拵
(
こしら
)
えて呉れえとか、
菅
(
すげ
)
の笠を買うて来て、
法達
(
ほうたつ
)
に頼んで
同行二人
(
どうぎょうににん
)
と書いて呉れえとか、それから白の
脚半
(
きゃはん
)
も拵え
笈摺
(
おいずる
)
も拵えたから
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
菅
(
すげ
)
の中からは
葦切
(
よしき
)
りの声! と、鉄砲の音がした。猟師が朝駈けをしたのだろう。夏沢岳、天狗岳、中山、丸山、
茶臼山
(
ちゃうすやま
)
、
縞枯岳
(
しまがれだけ
)
に横ヶ岳、東の空にそびえている。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
然し右衛門は不幸の霜雪に圧虐されたままに消朽ちてしまう草や
菅
(
すげ
)
では無かった。当時の大権威者だった藤原道長の妻の
倫子
(
ともこ
)
に仕えて、そして
大
(
おおい
)
に才名を
馳
(
は
)
せたのであった。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
伴って登場、
小鬢
(
こびん
)
の所に傷痕のある浅黒い顔、少しやつれが見えるためいっそう凄みを見せている。関東縞の袷に脚絆草鞋で、鮫鞘の長脇差を
佩
(
はい
)
し
菅
(
すげ
)
の吹き下しの笠をかぶっている
入れ札
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
金精峠の西に在る
菅
(
すげ
)
沼は、丸沼
及
(
および
)
大尻沼と共に白根山の堰止湖かと疑われるが、これはまた殆ど針葉樹の純林に周囲を取り巻かれている為に、恐ろしく暗い感じのする山湖である。
尾瀬雑談
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「南吹き
雪解
(
ゆきげ
)
はふりて、射水がはながる
水泡
(
みなわ
)
の」(巻十八・四一〇六)、「
射水
(
いみづ
)
がは雪解
溢
(
はふ
)
りて、行く水のいやましにのみ、
鶴
(
たづ
)
がなくなごえの
菅
(
すげ
)
の」(同・四一一六)の例もあり、なお
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
そよぐ
菅
(
すげ
)
の香をかがなければならぬ。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
霰
(
あられ
)
ふる左の山は
菅
(
すげ
)
の寺
北枝
(
ほくし
)
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
女は
菅
(
すげ
)
の笠をかぶって、女合羽を着て、
手甲
(
てっこう
)
脚絆
(
きゃはん
)
をした、すっかり、旅の仕度の出来ているところ、兵馬とは十分しめし合わせた道づれのようであります。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
岸本は灰色な壁のところに立って、その光景を
眺
(
なが
)
めていた。その日は岸本の外に、
足立
(
あだち
)
、
菅
(
すげ
)
の二人も弔いにやって来ていた。三人とも亡くなった人の同窓の友だ。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
盲縞
(
めくらじま
)
の山なしの
脚半
(
きゃはん
)
に丁寧に刺した紺足袋、
切緒
(
きれお
)
の
草鞋
(
わらじ
)
を穿き、
傍
(
かたわら
)
に振り分け荷を置き、
菅
(
すげ
)
の
雪下
(
ゆきおろ
)
しの三度笠を深く
冠
(
かぶ
)
り、煙草をパクリ/\呑んで居りますると
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
左山中
道
(
みち
)
、右桂谷道、と
道程標
(
みちしるべ
)
の立った
追分
(
おいわけ
)
へ来ると、——その山中道の方から、脊のひょろひょろとした、
頤
(
あご
)
の
尖
(
とが
)
った、
痩
(
や
)
せこけた
爺
(
じい
)
さんの、
菅
(
すげ
)
の一もんじ笠を
真直
(
まっすぐ
)
に首に据えて
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
丑蔵の女房のお
菅
(
すげ
)
らしい返辞である。やがて、がたぴし、内から戸をあけると
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
知れ切つたると云はぬばかりに愛想も
菅
(
すげ
)
もなく要らぬとは、汝十兵衞よくも撥ねたの、此源太が仕た図の中に汝の知つた者のみ有らうや、
汝等
(
うぬら
)
が工風の輪の外に源太が跳り出ずに有らうか
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
と云う声は
谺
(
こだま
)
に響きます、
後
(
うしろ
)
の
三峰堂
(
みみねどう
)
の中に
雨止
(
あまやみ
)
をしていた
行脚
(
あんぎゃ
)
の
旅僧
(
たびそう
)
、今一人は供と見えて
菅
(
すげ
)
の深い
三度笠
(
さんどうがさ
)
に廻し合羽で、
柄前
(
つかまえ
)
へ皮を巻いて、
鉄拵
(
てつごしら
)
えの
胴金
(
どうがね
)
に手を掛け
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
折から
白髪天窓
(
しらがあたま
)
に
菅
(
すげ
)
の
小笠
(
おがさ
)
、腰の曲ったのが、
蚊細
(
かぼそ
)
い渋茶けた足に
草鞋
(
わらじ
)
を
穿
(
は
)
き、
豊島茣蓙
(
としまござ
)
をくるくると巻いて
斜
(
ななめ
)
に
背負
(
しょ
)
い、竹の杖を両手に二本突いて、
頤
(
おとがい
)
を突出して気ばかり
前
(
さき
)
へ立つ
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
舎監から割当てられた部屋へは、捨吉よりすこし
後
(
おく
)
れて同級の
菅
(
すげ
)
が着いた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一方はもう五十を越えている老武士で、これは体つきも肉づきも、
壮
(
わか
)
い
者
(
もの
)
をしのぐばかり頑健なのだ。
菅
(
すげ
)
の一文字笠に夕陽がつよく反射しているため、その
紐下
(
ひもした
)
の顔は、暗くてよく見えない。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
知れきったると云わぬばかりに愛想も
菅
(
すげ
)
もなく要らぬとは、汝十兵衛よくも
撥
(
は
)
ねたの、この源太がした図の中に汝の知ったもののみあろうや、
汝
(
うぬ
)
らが工風の輪の外に源太が
跳
(
おど
)
り出ずにあろうか
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
母のお
菅
(
すげ
)
は、茶盆をそこへ置いて、
鞴
(
ふいご
)
に向っている長男の真雄へ云った。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
菅
(
すげ
)
の深い三度笠を
冠
(
かぶ
)
りまして、
半合羽
(
はんがっぱ
)
に
柄袋
(
つかぶくろ
)
のかゝった大小を
帯
(
たい
)
し、
脚半甲
(
きゃはんこう
)
がけ
草鞋穿
(
わらじばき
)
で、いかにも旅馴れて居りまする
扮装
(
いでたち
)
、
行李
(
こうり
)
を肩にかけ急いで松倉町から、
斯
(
こ
)
う細い横町へ曲りに掛ると
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
多助はおえいをつれて参り、見物させて帰ってくると、其の跡から続いて内へ入って来た男は、胴金造りの
長物
(
ながもの
)
をさし、
菅
(
すげ
)
の三度笠を手に下げ、
月代
(
さかやき
)
を生し、
刷毛先
(
はけさき
)
を
散
(
ちら
)
ばし、素足に草鞋を
穿
(
は
)
いて
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
菅
漢検準1級
部首:⾋
11画
“菅”を含む語句
菅家
菅茶山
菅原
菅谷
菅忠雄
菅笠
菅野
山菅
菅秀才
菅原道真
一本菅
菅虎雄
菅田庵
菅相丞
菅疊
小菅
菅公
菅原伝授手習鑑
菅糸
日光黄菅
...