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箝
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は
ふりがな文庫
“
箝
(
は
)” の例文
「内君、いろいろなことを言ってきのどくだけれど、私の出たあとで声を立てるといけないから、少しの間だ、
猿轡
(
さるぐつわ
)
を
箝
(
は
)
めてておくれ」
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
で、そこだけが窪んでいて、二つの
珠
(
たま
)
が
箝
(
は
)
め込まれていて、その珠の中央に、
漆
(
うるし
)
が点ぜられていた。それはそっくり眼であった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
唯だ至粋を
嚮
(
むか
)
へて之を或境地に
箝
(
は
)
むるは人間の業にして、時代なる者は常に其の
択取
(
たくしゆ
)
したる至粋を歴史の明鏡に写し出すなり。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
開いた口の中には時計が
箝
(
は
)
め込んであった。白い盤面の、普通ならロンジンとかウォルサムとかあるべき場所にはハムレットという銘があった。
汝自身を知れ:ベルンにて
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
左右に居ります
縄取
(
なわとり
)
の同心が右三人へ早縄を打ち、役所まで連れ
行
(
ゆ
)
きまして、
一先
(
ひとま
)
ず縄を取り、手錠を
箝
(
は
)
め、
附添
(
つきそい
)
の
家主
(
やぬし
)
五人組へ引渡しました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
翼家
(
はなれ
)
の欄間には流石に紅や黄の窓硝子が
箝
(
は
)
められ、庭の隅々にはまた紅い松葉菊を咲かしてあるといふ風に、如何にも異国趣味の瀟洒な住宅であつた。
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その貴婦人はやはり前に見たごとく三尺四方の厚い
首枷
(
くびかせ
)
を
箝
(
は
)
められて居る。その首枷が
柔弱
(
かよわ
)
い貴婦人の肩を押え付けていかにも苦しそうに見えて居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そこがしっくり
箝
(
は
)
まっているとも思えないのであったが、
田舎
(
いなか
)
に残っている老母が、どこでも
尻
(
しり
)
のおちつかない
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「開きがあるようだけれど、この原則の間違っていないことは、もっと若いものに当て
箝
(
は
)
めて見ると分る。三十の人なら十五に七だから、二十二になる」
人生正会員
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
俺が覚えてるだけでも真珠を
七箇
(
なゝつ
)
箝
(
は
)
めた
領留針
(
ブルーチ
)
、無線
七宝
(
しちほう
)
の
宝玉匣
(
たまばこ
)
、仏蘭西製の象牙骨の扇子、何とかといふ名高い
絵工
(
ゑかき
)
の書いた十二ヶ月美人とかの
帖
(
でふ
)
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
自分
(
じぶん
)
も
恁
(
か
)
く
枷
(
かせ
)
を
箝
(
は
)
められて、
同
(
おな
)
じ
姿
(
すがた
)
に
泥濘
(
ぬかるみ
)
の
中
(
なか
)
を
引
(
ひ
)
かれて、
獄
(
ごく
)
に
入
(
いれ
)
られはせぬかと、
遽
(
にはか
)
に
思
(
おも
)
はれて
慄然
(
ぞつ
)
とした。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
手足こそ縛られているけれども、いっこう
猿轡
(
さるぐつわ
)
を
箝
(
は
)
められた模様もないのに、口を利かないのはなぜだろう。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
四角に見えたる食卓ながら横に板を
抽
(
ぬ
)
き
出
(
だ
)
して支えの腕木を
箝
(
は
)
めければ
忽
(
たち
)
まち長方形の大なる食卓と変じぬ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
それは両岸に高く材木を三本組合せて立て、それに
藤蔓
(
ふじづる
)
を
綯
(
な
)
って引張って置き、それに小さな
針鉄
(
はりがね
)
の輪を
箝
(
は
)
めて、其輪に綱を結んで、田船の
舳
(
みよし
)
に繋いで有るのだ。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
琴爪の方は、大分使い込まれたらしく
手擦
(
てず
)
れていたが、かつて母のかぼそい指が
箝
(
は
)
めたであろうそれらの爪を、津村はなつかしさに堪えず自分の小指にあててみた。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ただ
緊箍咒
(
きんそうじゅ
)
(悟空の頭に
箝
(
は
)
められている金の輪で、悟空が三蔵法師の命に従わぬときにはこの輪が肉に
喰
(
く
)
い入って彼の頭を
緊
(
し
)
め付け、堪えがたい痛みを起こすのだ。)
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
硝子板に
書
(
かい
)
て御座いまして、風呂に
箝
(
は
)
め、白紙なり壁なりに写すというのは、世間に沢山御座い
升
(
ます
)
。
探偵小説の「謎」
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それは
外
(
ほか
)
でもない、あの堂に安置してある等身大の
梵天
(
ぼんてん
)
の立像に手を入れる時、台座を
外
(
はづ
)
してみると、その
箝
(
は
)
め
合
(
あは
)
せの所に、男子の局部が二つ
描
(
か
)
いてあつたといふ事だ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
手錠を
箝
(
は
)
められた囚人や其を護送する劍を光らせる巡査や、または肥馬に
跨
(
またが
)
ツた聯隊長や、其の馬の尻にくツついて行く馬丁や、犬に乘つた猿や、其の犬を
追立
(
おツた
)
てて行く
猿𢌞
(
さるまはし
)
や
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
倫敦
(
ロンドン
)
仕立て下ろしのズボンには、方々に穴が開いて、下から血が滲んで来る、
掌
(
てのひら
)
などは
疵
(
きず
)
だらけだが、危くて手袋など
箝
(
は
)
めてはいられない、
只
(
ただ
)
満身の力を両腕に籠めて、機械体操の要領で
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
あまりに科学や常識を
尚
(
たっと
)
ぶために、人間の頭が悪く理窟で固まってしまって「神秘」とか「不思議」とか「超自然」とかいう理窟に当て
箝
(
は
)
まらない事を
片端
(
かたはし
)
から軽蔑して罵倒してしまうのを
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
諸天のA ——だから仏様が、ちゃんと
箝
(
は
)
まった役をふって下さる。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「いいから
箝
(
は
)
めていなさい。ね、きっと
左様
(
そう
)
すると誓ってくれ」
暗中の接吻
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
あれがお湯などに
箝
(
は
)
めて参りますから、そんな結構な物を箝めてお湯に這入るのじゃア無いよ、金より其の上に善い物は無いからと云いましても
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
然れども誤解すること
勿
(
なか
)
れ、吾人は彼の無暗に宗教と文学を混同して、その具躰的の形式に
箝
(
は
)
めんとまでに意気込みたる主義に
左袒
(
さたん
)
するものにあらず。
情熱
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
之は如何にも俗見で、ブーラール夫人にしたところで、滅多に
箝
(
は
)
めない宝石入の指輪を大事に
蔵
(
しま
)
っていた形跡があるのだから、此の小言は無理である。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
自分達
(
じぶんだち
)
が
立
(
た
)
つた
側
(
がは
)
は、
却
(
かへ
)
つて
此方
(
こなた
)
の
山
(
やま
)
の
裾
(
すそ
)
が
水
(
みづ
)
に
迫
(
せま
)
つて、
丁度
(
ちやうど
)
切穴
(
きりあな
)
の
形
(
かたち
)
になつて、
其処
(
そこ
)
へ
此
(
こ
)
の
石
(
いし
)
を
箝
(
は
)
めたやうな
誂
(
あつらへ
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
自分
(
じぶん
)
もかく
枷
(
かせ
)
を
箝
(
は
)
められて、
同
(
おな
)
じ
姿
(
すがた
)
に
泥濘
(
ぬかるみ
)
の
中
(
なか
)
を
引
(
ひ
)
かれて、
獄
(
ごく
)
に
入
(
いれ
)
られはせぬかと、
遽
(
にわか
)
に
思
(
おも
)
われて
慄然
(
ぞっ
)
とした。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その首には三尺四方の板で首の入るだけ穴の
穿
(
あ
)
いた、厚み一寸二、三分のごく重い木で拵えた板が
箝
(
は
)
めてある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
七輪へテンピを
載
(
の
)
せるのもそのままでは
辷
(
すべ
)
って困るから四角な木の枠を
箝
(
は
)
めてこの通りにして使うのだとテンピの使用法を実地に示せば何ほど利益だか知れません。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
首に鉄を
箝
(
は
)
められ、罪人の乗る車に乗せられて、大坂へ着くと町を引き廻された上、今度は
堺
(
さかい
)
へ送られて、そこでも町を引き廻された、そうしていずれ明日あたりは
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
銀子はこの商売に取り着きたての四五年というもの、いつもけい
庵
(
あん
)
に
箝
(
は
)
め
玉
(
ぎょく
)
ばかりされていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
『これより一二度強いのと入れ替えて貰いたいが』と頼むと、番頭は玉を
検
(
あらた
)
めてから
仮枠
(
かりわく
)
に老眼鏡を
箝
(
は
)
めて、『これくらいでは如何でしょうか? 一寸お掛けになって御覧下さい』
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
槍の穂だけを取りはずして
込
(
こみ
)
のところを
摺
(
す
)
り上げ、それをいつでも
柄
(
え
)
の中へ
箝
(
は
)
め込むことができるようにして、穂を懐中に入れておき、柄は杖にしてついて歩き、いざという場合には
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「あすこから飛び下りるんだぞ、するとその拍子にうまく
頤
(
あご
)
が
箝
(
は
)
まるからな。」
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「あッ」と三人はそれを聞くとほとんど同時に叫びを上げたが、それは驚くのが
理
(
もっとも
)
である。掛け声、矢走り、
弦返
(
つるがえ
)
り、それが寸分の隙さえなく
日置流
(
へきりゅう
)
射法の神髄にピタリと
箝
(
は
)
まっているからである。
日置流系図
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
箝
(
は
)
めた、箝めたよ、
兩眼
(
りやうがん
)
箝
(
は
)
めた…………
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
毛糸
(
けいと
)
の
手袋
(
てぶくろ
)
を
箝
(
は
)
め、
白足袋
(
しろたび
)
に、
日和下駄
(
ひよりげた
)
で、
一見
(
いつけん
)
、
僧侶
(
そうりよ
)
よりは
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
宗匠
(
そうしやう
)
といふものに、
其
(
それ
)
よりも
寧
(
むし
)
ろ
俗
(
ぞく
)
歟
(
か
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
古代の鬼神を近代の物語に
箝
(
は
)
めて玄妙なる識想を
愬
(
うつた
)
へんとするは、到底為すべからざる事なり。
他界に対する観念
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
何処
(
どこ
)
かへ夜連出して、
酷
(
ひど
)
い様だが
私
(
わっち
)
一人ではいけねえ、ぎゃア/\云わねえ様に
猿轡
(
さるぐつわ
)
でも
箝
(
は
)
めて、庄吉と二人で
葉広山
(
はびろやま
)
へ
担
(
かつ
)
いで行って、
芝原
(
しばはら
)
の綺麗な人の
来
(
こ
)
ねえ処で、さて姉さん
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
総桐
(
そうぎり
)
の
箪笥
(
たんす
)
が三
棹
(
さお
)
も
箝
(
は
)
め込みになっており、押入の
鴨居
(
かもい
)
の上にも余地のないまでに
袋戸棚
(
ふくろとだな
)
が
設
(
しつら
)
われ、
階下
(
した
)
の抱えたちの寝起きする狭苦しさとは打って変わって住み
心地
(
ごこち
)
よく工夫されてあった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
事毎
(
こと/″\
)
に
楯
(
たて
)
をついているのが、いかにも平生の父らしく感ぜられて、きっとその時の通りであったろうと推量するにつけても、そう云う父が剛腹な顔つきをして車に乗せられ、首に鉄を
箝
(
は
)
められて
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
七輪へかけるなら
辷
(
すべ
)
らないように木の枠を七輪の方へ
箝
(
は
)
めればよし
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
ただ手錠、
足枷
(
あしかせ
)
を
箝
(
は
)
めて晒して居る者もあるがこの時は大変に晒されて居るのを見たです。およそ二十人ばかりも
彼方
(
かなた
)
の辻、こなたの柱に一人ずつ晒されて居った。いずれも立派な着物を被て居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
驚きに打たれた若侍は、しばらくは
茫然
(
ぼうぜん
)
と立っていたが、やがてあたかも夢遊病者のように「
洞窟
(
ほら
)
の国」を
彷徨
(
さまよ
)
い出した。と、巨巌の前へ出た。何気なく見ると鉄の
扉
(
と
)
が、巌の一所に
箝
(
は
)
められてある。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
之を奸猾なる健介に寓し、之を
窈窕
(
えうてう
)
たる美形美禰子に
箝
(
は
)
め、之を権勢者なる世々良伯に寄す。
「油地獄」を読む:(〔斎藤〕緑雨著)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
大きな
珊瑚
(
さんご
)
、真珠など、こてこて
箝
(
は
)
めた指環、だらしなく締めた派手な帯揚げの中から
覗
(
のぞ
)
いている、長い
火箸
(
ひばし
)
のような金庫の二本の
鍵
(
かぎ
)
、男持の大振りな
蟇口
(
がまぐち
)
——しかし飯を食べながら話していると
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
箝
漢検1級
部首:⽵
14画
“箝”を含む語句
箝制
当箝
箝口令
箝束的
打箝
箝入
箝木
箝束
箝板
箝硝子