“目貫:めぬき” の例文
“目貫:めぬき”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花13
野村胡堂9
吉川英治6
中里介山4
永井荷風2
“目貫:めぬき”を含む作品のジャンル比率
文学 > 文学 > 叢書 全集 選集9.5%
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸3.2%
芸術・美術 > 彫刻 > 彫刻史 各国の彫刻2.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
彼は例のごとく夢みるような心持ちで、この町の目貫めぬきの大通りをあるいていると、学生仲間のひとりが肩をたたいて声をかけた。
こう云う日に目貫めぬきの位置にある船宿一軒を借切りにしたものと見えて、しかもその家は近所の雑沓ざっとうよりも雑沓している。
百物語 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
花菖蒲はなあやめ象嵌ぞうがんした刀の目貫めぬきが、かつての形のまま帯留おびどめの金具となって用いられてあるのだった。
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのうちに聖路易セントルイスの何とか云いましたっけが、目貫めぬきの通りに在るホテルの七階の屋上に夜遅くなってから幽霊が出る。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
六甲山ろくかふざんしづまうとする西日にしびが、きら/\とれの兩刀りやうたう目貫めぬきひからしてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
目貫めぬきまち往帰ゆきかへりには、是非ぜひ母様おつかさんはしとほらなければならないので
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その辺は町の中心でも目貫めぬきの場所で、会社銀行料理店などから普通の商家まですべて大きいのゝみが並んでゐる。
村住居の秋 (新字旧仮名) / 若山牧水(著)
この日は本所ほんじょでは牛の御前の祭礼、神田かんだ日本橋にほんばし目貫めぬきの場所は神田明神みょうじんの祭礼でありました
父は浦和から出て、東京京橋の目貫めぬきな町中に小竹の店を打ち建てた人で、お三輪はその家附きの娘、彼女の旦那は婿養子にあたっていた。
食堂 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
が、もう目貫めぬきの町は過ぎた、次第に場末、町端まちはずれの——と言うとすぐにおおきな山、けわしい坂になります——あたりで。
雪霊記事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「拙者のは此通り此處にある。中身は無銘むめいの相州物、目貫めぬきは赤銅と金で牡丹ぼたん柄糸つかいとは少し汚れたがそつくり其儘だらう」
もっとも、話の中の川堤かわづつみの松並木が、やがて柳になって、町の目貫めぬきへ続く処に、木造の大橋があったのを、この年、石にかけかえた。
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この日まず一発の号砲と同時に兵士が繰出すので、もっとも目貫めぬきとして見るべきは、釈迦堂しゃかどうの西の部で釈迦堂の上には法王の御座がある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
通りからいえば広小路ひろこうじの区域が門跡寄りに移るきわ目貫めぬきな点から西に当る。
金の目貫めぬきはなぶさちょうの下絵を宗珉そうみんが彫りました銘作でございます。
目貫めぬきそろつて、金銀造りの脇差わきざしなんです——此の日本のつるぎ一所いっしょに、泯汰脳ミンダネオ土蛮どばんが船に積んで
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
この番地のあたりはこの盛場では西北のすみに寄ったところで、目貫めぬきの場所ではない。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
更に白茶の柄糸の中にも燦然さんぜんたる肉彫にくぼりの三つ葵が目貫めぬきとなっている。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その目貫めぬきは、甚兵衛には惣八郎に恩を負うていることを示す永久の表章のように思われた。惣八郎は、故意にその目貫を愛玩するのだとさえ、甚兵衛は思った。
恩を返す話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
こんな瞑想にふけっていたので、彼はセント・ペテルスブルグの目貫めぬきの街の一つにある古い建物の前に来るまで、どこをどう歩いていたのか気がつかなかった。
その上に、惣八郎は秘蔵の佩刀はいとう目貫めぬきに、金の唐獅子の大きい金物を付けていた。それを彼は自慢にしているようであった。誰かに来歴をきかれると、
恩を返す話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
脇差は一尺八寸、直焼すぐやき無銘、横鑢よこやすり、銀の九曜くよう三並みつならびの目貫めぬき赤銅縁しゃくどうぶち金拵きんごしらえである。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その脇差の目貫めぬきは、鼠が赤い唐辛子とうがらしを引いて行く彫刻で出来上っていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
東京の目貫めぬきとも言うべき町々も眠ってしまって、遅くまで通う電車の響も絶えていた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
さすがに、目貫めぬきのいい寄席では、圓朝のトリなんて鼻もひっかけてはくれなかった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
「はて……?」と龍巻は、いま手下から受けとった脇差の目貫めぬきと、伊那丸の小袖こそでもんとを見くらべて、ふしんな顔をしていたが、にわかにつっ立って、
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、目貫めぬき象篏ぞうがんが、黄金無垢きんむくでできていたのでもあろう。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
日本橋の目貫めぬきの場所で、繁昌して居る田島屋の店、無氣味な人殺し騷ぎなどがあらうとは想像もつかない堂々たるものですが、主人の徳之助は、漸く命だけは取止めて、
さやも柄も目貫めぬきつばも、旦那が何處かからお持ちでございました」
平次は血刀を取上げて縁側へ出ました。朝の光にすかして、切っ先からつか目貫めぬきまで、丁寧に調べておりましたが、何を考えたか、風呂敷を借りてそれを包むと、
本阿弥ほんあみきわめつき、堀川国広ほりかわくにひろ脇差わきざし目貫めぬき白魚しらうお蛇籠じゃかご、うぶご磨上すりあげなし! ……」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平次は血刀を取上げて縁側へ出ました。朝の光りにすかして、切つ先からつか目貫めぬきまで、丁寧に調べて居りましたが、何を考へたか、風呂敷を借りてそれを包むと、
供に連れて、右の茅屋あばらやへお出向きになると、目貫めぬき小柄こづかで、お侍の三千石、五千石には、わかいうちれていなすっても、……この頃といっては
とお角さんが聞きとがめました。なるほど、ここは東海道筋の目貫めぬきと言い、箱根、熱海の温泉場の追分のようなものだから、湯治場かせぎの講釈師があふれそうなところだ。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
彼女の爲めにとりの歳にちなんで金無垢きんむくの雞の高彫たかぼりを目貫めぬきに浮き出させ、鞘は梨子地なしぢで、黒に金絲を混ぜたふさ付きの下げ緒が長く垂れ
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
と、燕作えんさくはソロソロ狡獪こうかい本性ほんしょうをあらわして、なれなれしく竹童のびている般若丸はんにゃまるつば目貫めぬきをなでまわしながら、
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この中には、青銅の香炉もあり、蝋銀ろうぎんの置物もあり、名作のつば目貫めぬきは言うまでもなく、ひどいのになると、真物ほんものの小判や小粒さえも交っている有様。
家名いえなも何も構わず、いまそこも閉めようとする一軒の旅籠屋へ駈込かけこみましたのですから、場所は町の目貫めぬきむきへは遠いけれど、鎮守の方へは近かったのです。
雪霊続記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
細身の蝋塗鞘ろふぬりざや赤銅しやくどうと金で牡丹ぼたん目貫めぬきつか絲に少し血がにじんで居りますが、すべて華奢で贅澤で、三所物も好みがなか/\に厭味です。
ただ、生き残った召使のことばでは、五人組の五人がすべて一様の黒衣くろごを着こみ、もちろん覆面もし、刀の目貫めぬきを見覚えられないためか、大小の柄まで黒布で巻いていたという。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小田原では目貫めぬきの商店街であつたが、人通りは少なかつた。
真珠 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
この中には、青銅の香爐かうろもあり、蝋銀らふぎんの置物もあり、名作のつば目貫めぬきは言ふまでもなく、ひどいのになると、眞物ほんものの小判や小粒さへも交つて居る有樣。
目貫めぬきからうも誠におさしごろに、さだめし御中身おなかみ結構けつこうな事でございませう、当季たうきやうなものは誠に少なくなりましたがとつて
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
片手をば胸にあてて、いと白くたおやかなる五指をひらきて黄金の目貫めぬきキラキラとうつくしきさやぬりの輝きたる小さき守刀をしかと持つともなくのあたりに落して据えたる
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
猿廻さるまわしやら、附木つけぎを売る者だの、唄を謡うものだの、元結もっといよりだの、早附木の箱を内職にするものなんぞが、目貫めぬきまちへ出て往帰ゆきかえりには
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
日本橋の目貫めぬきにあつた、數代傳はる唐物屋の店を賣つて、その金を高利に廻し、贅澤と風流と、女道樂に浮身をやつし、つう洒落しやれと意氣事に、夜を以て日に繼ぐ結構な身分でした。
が、目貫めぬきまちぎた、次第しだい場末ばすゑ町端まちはづれの——とふとすぐにおほきやまけはしさかります——あたりで。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あの金の雞の目貫めぬきの光る短刀を引き寄せながら
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
そこは、学生の多い神田の、目貫めぬきの場所であって、書店や、ミルクホールや、喫茶店や、カフェや、麻雀マージャン倶楽部や、活動館や、雑貨店や、ダンスホールが、軒に軒を重ねあわせて並んでいた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのほかおしろい刷毛ばけにした兎の手だの、骨のたつたとき喉をさする鶴の嘴だの、目貫めぬきをどうとかする真鍮の才槌だの、細かいものは小抽匣の沢山ついた箪笥の□ぽんの抽匣といふのにしまつてあつた。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
この中心ができあがったうえでさらにぎをしあげ、舞錐まいぎり目貫めぬき穴をあけ銘を打ち、のち白鞘しらざやなり本鞘ほんざやなりに入れて、ようよう一刀はじめてその鍛製の過程を脱する——のだが!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
目貫めぬきの町の電車の停留場がある。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
目貫めぬき々々の湯屋床屋へ参って
と、何やら魔の目のように目貫めぬきの光る刀のつかをたたいて見せて、ふわりと、娘の体を放してやるとよろめいた女帯の間から、リン! といいがこぼれて落ちたのは、つかい散らした残りの小判の何枚かでした。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然れども欧洲人はなほいまだ光琳の蒔絵まきえ、春信の錦絵にしきえ整珉せいみんの銅器、後藤ごとう目貫めぬき等については全く知る所なかりしが、維新の戦禍に際してこれらの古美術品一時に流出するやゴンクウル
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しかしこんな事は、金沢の目貫めぬきの町の商店でも、経験のある人だから、気短きみじかにそのままにしないで、「誰か居ませんか、」と、もう一度呼ぶと、「はい、」とその時、なまめかしい優しい声がして、「はい、」と
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
片手をば胸にあてて、いと白くたをやかなる五指ごしをひらきて黄金おうごん目貫めぬきキラキラとうつくしきさやぬりの輝きたる小さき守刀まもりがたなをしかと持つともなくのあたりに落してゑたる
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
市内大森区山王×××番地とどろき九蔵氏(四四)は帝都呉服橋電車通、目貫めぬきの十字路に聳立しょうりつする分離派式五層モダン建築、呉服橋劇場の所有主、兼、日本最初の探偵恐怖劇興行者、兼、現代稀有の邪妖劇名女優
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
私が初めてドストエフスキーの『侮辱』を読んだ時、これなら脚色の山もあるし、常識的な恋物語もあるから、紅葉も必ず感服しそうなものと思って、度々物語の筋や目貫めぬきの個処を話した後に是非読んで見ろといって英訳本を貸した。
「この刀なんぞもその一つじゃ、よく見て置かっしゃれ、鞘はこの通り梨子地……つば象眼ぞうがん扇面散せんめんちらし、縁頭ふちがしらはこれ朧銀ろうぎんで松に鷹の高彫たかぼり目貫めぬきは浪に鯉で金無垢きんむくじゃ」
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
金子きんすは持ち合せていないし、何も礼につかわす物がないが……これはわしの刀に付けておる目貫めぬきで、鉄地に花菖蒲はなあやめ象嵌彫ぞうがんぼり作銘さくめいもないが、持ち馴れた品じゃ、かたみに上げるから納めておいてくれ」
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さてここは、東都目貫めぬきの場所たる、銀座四丁目の交叉点こうさてんである、昔はここに毎日新聞、日日新聞、その他二つの四大新聞社が相対して立っていたのを覚えているが、新聞社は皆それ/″\銀座から影をかくし、丸の内へと移ってしまった。
新古細句銀座通 (新字新仮名) / 岸田劉生(著)
人波の方でもまた、米友と、道しるべとを捲き残して、大水のように過ぎ去ってしまえば何のことはないのだが、ここぞ、この町並ではほぼ目貫めぬきのところでしたから、そこで行列も御輿みこしを据えて、器量いっぱいのところを見せなければなりません。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
『弱りましたな、御都合は百も二百も御尤でございますが、手前のほうも、渡世とせいでして、そうはお待ちができません。——証書の表どおり、おあずかりしてある後藤彫ごとうぼり目貫めぬきは、他へ売払いに出しますから、どうかおふくみ願いたいもので』
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家名いへななにかまはず、いま其家そこめようとする一けん旅籠屋はたごや駈込かけこみましたのですから、場所ばしよまち目貫めぬきむきへはとほいけれど、鎭守ちんじゆはうへはちかかつたのです。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
表通りは名高い大きな書店や、文房具屋や、支那シナ料理などの目貫めぬきの商店街であったが、一歩横町へ入ると、モダアニズムの安価な一般化の現われとして、こちゃこちゃした安普請のカフエやサロンがぎっちり軒を並ベ、あっちからもこっちからも騒々しいジャズの旋律が流れて来るのだった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
鋳物いものの香炉の悪古わるふるびにくすませたると、羽二重はぶたへ細工の花筐はなかたみとを床に飾りて、雨中うちゆうの富士をば引攪旋ひきかきまはしたるやうに落墨して、金泥精描の騰竜のぼりりゆう目貫めぬきを打つたるかとばかり雲間くもま耀かがやける横物よこものの一幅。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そうせんを越されては降参するよりほかはありません。それじゃ一足飛びに十時にしてしまいましょう。さて御約束の十時になって金善かねぜんの前へ来て見ると、夜寒の頃ですから、さすが目貫めぬき両替町りょうがえちょうもほとんど人通りが絶えて、むこうからくる下駄の音さえさみしい心持ちです。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ウフフ。あはは。さぞや亡者もうじゃが沢山参ろうぞ。六兵衛、三ツ扇屋の亭主、安心いたせよ。主水之介しかと引きうけたからには、江戸八百八町が只の八町になろうとも、必ず共にこの不審解き明かして見しょうわ。今宵のうちがよい。これなる建札早々に目貫めぬきの場所へ押し立てさせい。——では京弥、菊路のところへ参ろうぞ」
それを但馬守たじまのかみられるのが心苦こゝろぐるしさに地方ぢかた與力よりき何某なにがしは、ねこ紙袋かんぶくろかぶせたごと後退あとずさりして、脇差わきざしの目貫めぬきのぼりうくだりう野金やきんは、扇子せんすかざしておほかくした。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
まずこの目貫めぬきでございますな、これが金獅子ぼたんでございますよ、もとより金無垢きんむく——しかも宗珉そうみんというところは動かないところでげして、それからはばきが金、切羽せっぱが金、しとどめが金——つばが南蛮鉄に銀ぞうがん……小柄こづか鳥金七子地とりがねななこじ金紋虎きんもんとらの彫り、それから塗りがこの通りの渋い三斎好み、中身は備前盛光もりみつというんだから大したものでございますよ。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)