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炭火
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すみび
ふりがな文庫
“
炭火
(
すみび
)” の例文
彼女
(
かのぢよ
)
が
小使部屋
(
こづかひべや
)
の
前
(
まへ
)
を
通
(
とほ
)
りかゝつた
時
(
とき
)
、
大
(
おほ
)
きな
爐
(
ろ
)
の
炭火
(
すみび
)
が
妙
(
めう
)
に
赤
(
あか
)
く
見
(
み
)
える
薄暗
(
うすくら
)
い
中
(
なか
)
から、
子供
(
こども
)
をおぶつた
内儀
(
かみ
)
さんが
慌
(
あわ
)
てゝ
聲
(
こゑ
)
をかけた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
ところがそのとき、この男は火のようにもえているネコの目を
炭火
(
すみび
)
だとかんちがいして、その目にいきなりマッチをおしつけてしまいました。
ブレーメンの音楽師
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
炭火
(
すみび
)
はチラチラ青い
焔
(
ほのお
)
を出し、
窓
(
まど
)
ガラスからはうるんだ白い雲が、
額
(
ひたい
)
もかっと
痛
(
いた
)
いようなまっ
青
(
さお
)
なそらをあてなく
流
(
なが
)
れていくのが見えました。
耕耘部の時計
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
例へば雪みぞれの
廂
(
ひさし
)
を打つ時なぞ
田村屋好
(
たむらやごの
)
みの
唐桟
(
とうざん
)
の
褞袍
(
どてら
)
に
辛
(
から
)
くも身の
悪寒
(
おかん
)
を
凌
(
しの
)
ぎつつ消えかかりたる
炭火
(
すみび
)
吹起し
孤燈
(
ことう
)
の
下
(
もと
)
に煎薬煮立つれば
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
部屋のなかの
大火鉢
(
おおひばち
)
には、
炭火
(
すみび
)
がかっかっとおこっていて、あたりいちめん、肉のこげるような
匂
(
にお
)
いが
充満
(
じゅうまん
)
しているのだ。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
しかし目だけは天才らしい
閃
(
ひらめ
)
きを持っているのですよ。彼の目は
一塊
(
いっかい
)
の
炭火
(
すみび
)
のように不断の熱を
孕
(
はら
)
んでいる。——そう云う目をしているのですよ。
或恋愛小説
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして
日々
(
にち/\
)
飯米
(
はんまい
)
を
測
(
はか
)
つて勝手へ出す時、
紙袋
(
かみぶくろ
)
に取り分け、
味噌
(
みそ
)
、
塩
(
しほ
)
、
香
(
かう
)
の
物
(
もの
)
などを添へて、五郎兵衛が手づから持ち運んだ。それを親子
炭火
(
すみび
)
で
自炊
(
じすゐ
)
するのである。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
お
竹
(
たけ
)
が
雇
(
やと
)
われてきてから一
年
(
ねん
)
あまりになりますが、もっとその
以前
(
いぜん
)
から、あったものです。あるときは、
炭火
(
すみび
)
のカンカン
起
(
お
)
こる
上
(
うえ
)
にかけられて、
煮立
(
にた
)
っていました。
人間と湯沸かし
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかし、火鉢の
炭火
(
すみび
)
はもうすっかり細っていた。謄写インキでよごれた指先が痛いほどつめたい。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
目元
(
めもと
)
に
宿
(
やど
)
れる
露
(
つゆ
)
もなく、
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
りたる
決心
(
けつしん
)
の
色
(
いろ
)
もなく、
微笑
(
びせう
)
の
面
(
おもて
)
の
手
(
て
)
もふるへで、
一通
(
いつゝう
)
二通
(
につう
)
八九通
(
はつくつう
)
、
殘
(
のこ
)
りなく
寸斷
(
すんだん
)
に
爲
(
な
)
し
了
(
をは
)
りて、
熾
(
さか
)
んにもえ
立
(
た
)
つ
炭火
(
すみび
)
の
中
(
なか
)
へ
打込
(
うちこ
)
みつ
打込
(
うちこ
)
みつ
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
思う事積んでは
崩
(
くず
)
す
炭火
(
すみび
)
かなと云う句があるが、細君は恐らく知るまい。細君は道也先生の
丸火桶
(
まるひおけ
)
の前へ来て、火桶の中を、丸るく掻きならしている。丸い火桶だから丸く掻きならす。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この
村
(
むら
)
は
半農半漁
(
はんのうはんりよう
)
の
小部落
(
しようぶらく
)
であるが、
地震
(
ぢしん
)
の
當日
(
とうじつ
)
は
丁度
(
ちようど
)
蠶兒掃立
(
さんじはきたて
)
の
日
(
に
)
に
當
(
あた
)
り、
暖室用
(
だんしつよう
)
の
炭火
(
すみび
)
を
用
(
もち
)
ひてゐた
家
(
いへ
)
が
多
(
おほ
)
く、その
中
(
うち
)
三十六戸
(
さんじゆうろつこ
)
からは
煙
(
けむり
)
を
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
し、
遂
(
つひ
)
に
三戸
(
さんこ
)
だけは
燃
(
も
)
え
上
(
あが
)
るに
至
(
いた
)
つた。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
立處
(
たちどころ
)
其
(
そ
)
の
手足
(
てあし
)
を
炙
(
あぶ
)
るべく、
炎々
(
えん/\
)
たる
炭火
(
すみび
)
を
熾
(
おこ
)
して、やがて、
猛獸
(
まうじう
)
を
拒
(
ふせ
)
ぐ
用意
(
ようい
)
の、
山刀
(
やまがたな
)
と
斧
(
をの
)
を
揮
(
ふる
)
つて、あはや、
其
(
その
)
胸
(
むね
)
を
開
(
ひら
)
かむとなしたる
處
(
ところ
)
へ、
神
(
かみ
)
の
御手
(
みて
)
の
翼
(
つばさ
)
を
擴
(
ひろ
)
げて、
其
(
その
)
膝
(
ひざ
)
、
其
(
その
)
手
(
て
)
、
其
(
その
)
肩
(
かた
)
、
其
(
その
)
脛
(
はぎ
)
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
外は
樺
(
かば
)
の
篝火
(
かがり
)
が
真昼
(
まひる
)
の様に明るい。余等の天幕の前では、地上にかん/\
炭火
(
すみび
)
を
熾
(
おこ
)
して、ブツ/\切りにした山鳥や、
尾頭
(
おかしら
)
つきの
鯇
(
やまべ
)
を
醤油
(
したじ
)
に
浸
(
ひた
)
しジュウ/\
炙
(
あぶ
)
っては持て
来
(
き
)
、炙っては持て来る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
への
字
(
じ
)
に
結
(
むす
)
んだ
口
(
くち
)
に、
煙管
(
きせる
)
を
銜
(
くわ
)
えたまま、
魅
(
み
)
せられたように
人形
(
にんぎょう
)
を
凝視
(
ぎょうし
)
し
続
(
つづ
)
けている
由斎
(
ゆうさい
)
は、
何
(
なに
)
か
大
(
おお
)
きく
頷
(
うなず
)
くと、
今
(
いま
)
し
方
(
がた
)
坊主
(
ぼうず
)
がおこして
来
(
き
)
た
炭火
(
すみび
)
を、十
能
(
のう
)
から
火鉢
(
ひばち
)
にかけて、
独
(
ひと
)
りひそかに
眉
(
まゆ
)
を
寄
(
よ
)
せた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
宛も
乳香
(
にうかう
)
と
炭火
(
すみび
)
とに充ちたる金の
香爐
(
かうろ
)
の重たげに
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
そしてバチバチと
炭火
(
すみび
)
の
刎
(
は
)
ねる音がした。
日本名婦伝:谷干城夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お絹は
炭火
(
すみび
)
で、それを
沸
(
わ
)
かした。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
然れども幸か不幸か、余は今なほ畳の上に
両脚
(
りょうきゃく
)
を折曲げ乏しき
火鉢
(
ひばち
)
の
炭火
(
すみび
)
によりて
寒
(
かん
)
を
凌
(
しの
)
ぎ、
簾
(
すだれ
)
を動かす
朝
(
あした
)
の風、
廂
(
ひさし
)
を打つ
夜半
(
やはん
)
の雨を
聴
(
き
)
く人たり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
すると、やみに光っているねこの目だまを
炭火
(
すみび
)
とまちがえて、いきなりマッチをつっこみました。
ブレーメンの町楽隊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
さもなければ忘れたように、ふっつり来なくなってしまったのは、——お蓮は
白粉
(
おしろい
)
を
刷
(
は
)
いた
片頬
(
かたほお
)
に、
炭火
(
すみび
)
の
火照
(
ほて
)
りを感じながら、いつか火箸を
弄
(
もてあそ
)
んでいる彼女自身を
見出
(
みいだ
)
した。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
火縄式のライターは、
炭火
(
すみび
)
のように火がつくだけで、ろうそくのように
焔
(
ほのお
)
が出ない。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
お蓮は考え深そうに、長火鉢の
炭火
(
すみび
)
へ眼を落した。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
炭
常用漢字
小3
部首:⽕
9画
火
常用漢字
小1
部首:⽕
4画
“炭火”で始まる語句
炭火毒