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ふりがな文庫
“
流浪
(
るろう
)” の例文
坊
(
ぼっ
)
ちゃん、
私
(
わたし
)
は、こうして、
諸国
(
しょこく
)
を
流浪
(
るろう
)
します。それは、どんな
村
(
むら
)
でも、また
小
(
ちい
)
さな
町
(
まち
)
でも、
春
(
はる
)
から
夏
(
なつ
)
にかけて、
歩
(
ある
)
いてまわります。
青いボタン
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
もっとも、
殺伐
(
さつばつ
)
な戦場生活だの、
僻地
(
へきち
)
から
曠野
(
こうや
)
を
流浪
(
るろう
)
してきた身なので、よけいに、彼方の女性が美しく見えたのかもしれない。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まあ近くの
蕎麦屋
(
そばや
)
にまいりましてね、様子を聞いて見ますと、上野の落ちた後は諸処方々を
流浪
(
るろう
)
して、手習いの先生をしたり、病気したり
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「お前も
流浪
(
るろう
)
の性じゃ」と母がよく云い云いしたけれど、二十三と云うのに、ひどく
老
(
ふ
)
け込んで、脣などは
荒
(
す
)
さんで見えた。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
もし旅から旅へ
流浪
(
るろう
)
したならば、一泊するごとに、至る所の宿帳へ、やはり同じような事を一々記録して行かねばならぬ。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
▼ もっと見る
さて家を飛び出してから諸所を
流浪
(
るろう
)
する間に、ある男と親しい仲になって、子を生んで、それからその男に
棄
(
す
)
てられます。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そういう正香は諒闇の年を迎えると共に
大赦
(
たいしゃ
)
にあって、多年世を忍んでいた
流浪
(
るろう
)
の
境涯
(
きょうがい
)
を脱し、もう一度京都へとこころざす旅立ちの途中にある。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
長い
流浪
(
るろう
)
の旅はつらいものではあるが、どうでもこれだけ仕上げなければというように、いっしょうけんめい
張
(
は
)
りこんでする仕事はなにもなかった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
やはり浦上の
山里村
(
やまざとむら
)
に、おぎんと云う童女が住んでいた。おぎんの
父母
(
ちちはは
)
は
大阪
(
おおさか
)
から、はるばる長崎へ
流浪
(
るろう
)
して来た。
おぎん
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
朝々、石田氏が賢夫人から折鞄を受取って、都内
流浪
(
るろう
)
の旅に出るのを、百々子がバラックの裏木戸まで送って行く。
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
大いに覚悟する所あり、
遂
(
つい
)
に再び
流浪
(
るろう
)
の
客
(
かく
)
となりて東京に来り、友人の
斡旋
(
あっせん
)
によりて
万朝報社
(
よろずちょうほうしゃ
)
の社員となりぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
簑田は
曾祖父
(
そうそふ
)
和泉
(
いずみ
)
と申す者
相良遠江守
(
さがらとおとうみのかみ
)
殿の家老にて、主とともに陣亡し、祖父
若狭
(
わかさ
)
、父牛之助
流浪
(
るろう
)
せしに、平七は三斎公に五百石にて召し
出
(
いだ
)
されしものに候。
興津弥五右衛門の遺書
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「僕が仇討ちの為めに
流浪
(
るろう
)
していることを知っていたんだ。野口君、君の辞令を見た日から僕は
石鹸
(
シャボン
)
で首を洗って待っていたと昔と同じ積りで冗談を言うんだ」
首切り問答
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
九日、市中を散歩して此地には居るまじきはずの男に行き
逢
(
あ
)
いたり。何とて父母を捨て
流浪
(
るろう
)
せりやと問えば、情婦のためなりと答う。帰後
独坐感慨
(
どくざかんがい
)
これを
久
(
ひさし
)
うす。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
秋成は、かういふ
流浪
(
るろう
)
漂泊の生活の中に
研鑽
(
けんさん
)
執筆してその著書は、等身の高さほどあるといはれてゐる。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
二人でこの村の遠縁のものをたよって
流浪
(
るろう
)
して来たのであるが、その遠縁のものはその時死んで居らず、やむなく、良雄の父にすがりつくと、
義侠心
(
ぎきょうしん
)
に富んだ良雄の父は
血の盃
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
晴れやかな唄ごえはなかなか
止
(
や
)
まずに、「サンタ・ルチア」は幾度となく繰り返され、それから「ローレライ」になり、「
流浪
(
るろう
)
の民」になり、ミニヨンの一節になりして
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
方々
流浪
(
るろう
)
した果てに、やっとここに落ち着くことになったお神の芳村民子の山勘なやり口が、何か本家との間に事件を起こし、
機嫌
(
きげん
)
を
害
(
そこ
)
ねたところから、看板を取りあげられ
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その人はもとテンゲーリンの相当なる僧侶であった。ところがテンゲーリンのテーモ・リンボチェが牢内でお
逝
(
かく
)
れになると同時に、
其寺
(
そこ
)
の僧侶の
流浪
(
るろう
)
する者も大分出来ました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
今から殆ど三十年以前に、彼は角川家を出奔して、お杉と共に諸国を
流浪
(
るろう
)
して歩いた。が、頼むべき
親戚
(
みより
)
もなく、手に覚えた職もないので、彼は到る処で
種々
(
しゅしゅ
)
の労働に従事した。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
天下諸国を
流浪
(
るろう
)
して、各流各派の剣士の門を
敲
(
たた
)
き、心肝を砕いて練磨を
遂
(
と
)
げているうちに、いつとはなしに、自得したのが、
所謂
(
いわゆる
)
、独創天心流なる、一種、独特な剣技だったのだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
対座の客は
首肯
(
うなづ
)
きつ「ハイ、山の
男
(
もの
)
ですが、只今は他郷に
流浪
(
るろう
)
致し居りまするので」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
天武天皇自体、兄天皇に憎まれ、逃走、
流浪
(
るろう
)
、戦乱の後に帝位に即いた人である。
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
落城後
(
らくじょうご
)
私
(
わたくし
)
があちこち
流浪
(
るろう
)
をした
時
(
とき
)
にも、
若月
(
わかつき
)
はいつも
私
(
わたくし
)
に
附添
(
つきそ
)
って、
散々
(
さんざん
)
苦労
(
くろう
)
をしてくれました。で、
私
(
わたくし
)
の
臨終
(
りんじゅう
)
が
近
(
ちか
)
づきました
時
(
とき
)
には、
私
(
わたくし
)
は
若月
(
わかつき
)
を
庭前
(
にわさき
)
へ
召
(
よ
)
んで
貰
(
もら
)
って、この
世
(
よ
)
の
訣別
(
わかれ
)
を
告
(
つ
)
げました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
噛みはせぬが、
威嚇
(
いかく
)
する。彼が
流浪
(
るろう
)
時代に子供に
苛
(
いじ
)
められた
復讎心
(
ふくしゅうしん
)
が消えぬのである。子供と云えば、日本の子供はなぜ犬猫を
可愛
(
かあい
)
がらぬのであろう。直ぐ
畜生
(
ちきしょう
)
と云っては打ったり石を投げたりする。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
強いようでも、
流浪
(
るろう
)
によごれた寝顔はどこかやつれて悲しかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
流浪
(
るろう
)
の身の上だから、言葉は通じなくても以心伝心てやつ
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
また遠く
流浪
(
るろう
)
する人の
如
(
ごと
)
く
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「それではお包みするまでもない。ご推察通り如何にもして、かの
鐘巻
(
かねまき
)
自斎を一度なりと打ち込まんものと、かくは
流浪
(
るろう
)
の身の上でござる」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いよいよ
流浪
(
るろう
)
の旅を始めるまえに、わたしはこの二年のあいだ父親のように
優
(
やさ
)
しくしてくれた人に会いたいと思った。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
先輩は
伊那
(
いな
)
の長い
流浪
(
るろう
)
時代よりもずっと若返って見えるほどの元気さで、この王政の復古は同時に一切の中世的なものを否定することであらねばならない
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そうして
他人
(
ひと
)
には財産を藤尾にやって自分は
流浪
(
るろう
)
するつもりだなんて云うんだよ。さもこっちが邪魔にして追い出しにでもかかってるようで見っともないじゃないか
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
私
(
わたし
)
は、
子供
(
こども
)
の
時分
(
じぶん
)
から、
故郷
(
こきょう
)
を
出
(
で
)
て
流浪
(
るろう
)
しています。このごろは、このオルゴールをいい
値
(
ね
)
で
買
(
か
)
う
人
(
ひと
)
を
見
(
み
)
つけて、もし
売
(
う
)
れたら、
故郷
(
こきょう
)
へ
帰
(
かえ
)
りたいと
思
(
おも
)
っています。」
汽船の中の父と子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いったい政秀は父の政高に輪をかけた惰弱
悠長
(
ゆうちょう
)
な性質で、その後間もなく家老馬場氏に国を
逐
(
お
)
われ、家をも領土をも失いながら尚生き耻を
曝
(
さら
)
して諸所を
流浪
(
るろう
)
した程の男なのである。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
蓮如どのは永の
流浪
(
るろう
)
。たとえ北国辺土は教え
靡
(
なび
)
くとも、都近くは留守の間の荒土。
取返し物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
太田は祖父伝左衛門が加藤清正に仕えていた。忠広が
封
(
ほう
)
を除かれたとき、伝左衛門とその子の源左衛門とが
流浪
(
るろう
)
した。小十郎は源左衛門の二男で
児小姓
(
こごしょう
)
に召し出された者である。百五十石取っていた。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そして自分たちが
次
(
つぎ
)
の
乾坤
(
けんこん
)
一
擲
(
てき
)
にのぞむ
支度
(
したく
)
のために、一
両年
(
りょうねん
)
、
諸国
(
しょこく
)
を
流浪
(
るろう
)
してみるのも、またよい
軍学修業
(
ぐんがくしゅぎょう
)
ではないか
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いまさらよそのうちに
奉公
(
ほうこう
)
するよりも、わたしにはこの
流浪
(
るろう
)
の旅がずっと自由で気楽なばかりでなく、エチエネットや、アルキシーやバンジャメン
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
山の中へ
這入
(
はい
)
っても好い。どこへ行ってどう
流浪
(
るろう
)
しても構わない。何でも好いから糸公を連れて行ってやってくれ。——僕は責任をもって糸公に受合って来たんだ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
別
(
べつ
)
に、また
一人
(
ひとり
)
の
若者
(
わかもの
)
がありました。
志
(
こころざし
)
をたて、
故郷
(
こきょう
)
を
出
(
で
)
てから、もう
幾年
(
いくねん
)
にかなりましたけれど、
目的
(
もくてき
)
を
達
(
たっ
)
することができずに、あちら、こちらと
流浪
(
るろう
)
していました。
三つのかぎ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
もともと今度の上京を思い立って国を出た時から、都会での
流浪
(
るろう
)
生活を覚悟して来た彼である。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
上海から
何処
(
どこ
)
へ行くか、恐らく彼の
女
(
おんな
)
と黒ん坊とは、世界の果てまでも怪しい魔術を
提
(
ひっさ
)
げて
流浪
(
るろう
)
して行く事であろう。己はもう、生きて再び恋いしい
彼
(
か
)
の
女
(
じょ
)
と黒ん坊の姿を見る事は出来ないだろう。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それはカピが、わたしの泣き声を聞きつけて、あのわたしの
流浪
(
るろう
)
の
初
(
はじ
)
めての日にしてくれたように、今度もわたしをなぐさめに来てくれたのである。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
けれど、いつも
流浪
(
るろう
)
の身である自分が先に考えられた。果たして、自分の手によって、この少年を幸福にできるかどうか、将来の責任を、自分に問うてみるのであった。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分はこの
永年
(
ながねん
)
方々を
流浪
(
るろう
)
してあるいて、折々こんな因縁に出っ食わして我ながら変に感じた事が時々ある。——しかしそれも落ちついて考えると、大概解けるに違ない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから、二、三
年
(
ねん
)
もたった、
後
(
のち
)
のことです。
少年
(
しょうねん
)
は、あるサーカス
団
(
だん
)
に
加
(
くわ
)
わって、
諸国
(
しょこく
)
を
流浪
(
るろう
)
していました。
自分
(
じぶん
)
の
姉
(
あね
)
が、サーカス
団
(
だん
)
に
加
(
くわ
)
わっているようなうわさを
聞
(
き
)
いたからでもありました。
サーカスの少年
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
もとより新しい進路を開きたいとの思い立ちからとは言いながら、国を出てからの長い
流浪
(
るろう
)
、東京での教部省奉職の日から数えると、足掛け六年ぶりで彼も妻子のところへ帰って来ることができた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それはバルブレンのおっかあの
炉
(
ろ
)
ばたに育ち、ヴィタリス
老人
(
ろうじん
)
とほこりっぽい
街道
(
かいどう
)
を
流浪
(
るろう
)
して歩いたいなか育ちの少年にとっては思いがけない美しい生活であった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
彼もまた
流浪
(
るろう
)
して、
伯耆国
(
ほうきのくに
)
の横田
内膳
(
ないぜん
)
の
飯山
(
いいやま
)
城に身をよせていたが、
偶〻
(
たまたま
)
、その内膳は、主筋にあたる中村
伯耆守
(
ほうきのかみ
)
に殺害され、飯山城は伯耆守の手勢にとり囲まれるところとなった。
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かれはわたしに字を読むことも、計算することも教えてくれたし、歌を歌うことも教えてくれた。長い
流浪
(
るろう
)
の旅のあいだに、かれはこのことあのことといろいろにしこんでくれた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
“流浪”の意味
《名詞》
流 浪(るろう)
あてもなく彷徨い歩くこと。
(出典:Wiktionary)
“流浪(
放浪
)”の解説
放浪(ほうろう)は、定住する場所を持たずに各地をさすらうこと、あてもなくさまよい歩くこと。さすらい、流浪(るろう)、彷徨(ほうこう)とも。
(出典:Wikipedia)
流
常用漢字
小3
部首:⽔
10画
浪
常用漢字
中学
部首:⽔
10画
“流浪”で始まる語句
流浪人
流浪者
流浪児
流浪生活