くは)” の例文
もつとも、あれでしどつちかが斷然だんぜんつよくでもなつたとしたら、おそらくすゝまぬ方は憤然ふんぜん町内をつてつたかも知れない。くは原、くは原!
それもわづかくはからんだ晝顏ひるがほはなに一ぱいりやうそゝいではあわてゝ疾驅しつくしつゝからりとねつしたそらぬぐはれることもるのであるが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
とほくはゆみ張裂はりさくむね押鎭おししづめ打果さでや置べきかとすそみじかに支度したくを爲し既に一刀たばさんて出行でかけんとする其の折柄をりから後ろのふすま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つてれました。とうさんはうれしくて、あのくは紫色むらさきいろ可愛かあいちひさなえだからちぎつてくちれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
小六ころくかく都合つがふ次第しだい下宿げしゆくはらつてあにいへうつこと相談さうだん調とゝのつた。御米およねは六でふけたくは鏡臺きやうだいながめて、一寸ちよつとのこしいかほをしたが
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なほ其前そのまへさかのぼつてまうしますると、太閤殿下たいかふでんか御前ごぜんにて、安楽庵策伝あんらくあんさくでんといふ人が、小さいくは見台けんだいの上に、宇治拾遺物語うじしふゐものがたりやうなものをせて、お話をたといふ。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
それはおくは、彼の家へよく遊びに来る隣の家の十三になる女の子であることが確であつた。
又は人の父を喰殺くひころしてその父にばけて年をたるに、一日その子山に入りてくはるに、おほかみきたりて人の如く立其裾そのすそくはへたるゆゑをのにて狼のひたひきり、狼にげりしゆゑ家にかへりしに
みなみでは養蠶やうさん結果けつくわかつたのとすこしばかりあまつたくは意外いぐわい相場さうばんだのとで、一ゑんばかりのさけ奮發ふんぱつしたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
となりたか石垣いしがきしろかべなぞがそこへくとよくえました。くは時分じぶんにはとうさんはくはそばつて
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
主人しゆじん細君さいくん説明せつめいによると、この織屋おりやんでゐるむら燒石やけいしばかりで、こめあはれないから、やむくはゑてかひこふんださうであるが、餘程よほどまづしいところえて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
又は人の父を喰殺くひころしてその父にばけて年をたるに、一日その子山に入りてくはるに、おほかみきたりて人の如く立其裾そのすそくはへたるゆゑをのにて狼のひたひきり、狼にげりしゆゑ家にかへりしに
ころす迄にはまよひ申さず煙草入は全くぬすまれし品に相違御座なくと云ければくは山殿には打笑みコリヤ能思うても見よ其煙草入は實盜み取られしものならばわづか其場所ばしよより二十町内外の處に有べき筈なし其方が申處にては煙草入は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
頬白ほゝじろなにかゞ菜種なたねはな枯蓬かれよもぎかげあさゆきみじかすねてゝたいのかくはえだをしなやかにつて活溌くわつぱつびおりた。さうしてまたえだうつつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いよ/\東京とうきやうはうくんですか。わたしおほきくなつておまへさんをつてます。御覽ごらん、あそこにはおまへさんにくは御馳走ごちそうしたくはます。おまへさんのよくのぼつたかきます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)