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更
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あらた
ふりがな文庫
“
更
(
あらた
)” の例文
私はちょっかいを出すように、
面
(
おもて
)
を払い、耳を払い、頭を払い、袖を払った。茶番の
最明寺
(
さいみょうじ
)
どののような形を、
更
(
あらた
)
めて
静
(
しずか
)
に
歩行
(
ある
)
いた。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は午少し前に衣服を
更
(
あらた
)
めて、旅館からはすぐ近いところにある、電車通りを向うに渡った横町にある路次の中に入って往ってみた。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
將軍樣
(
しやうぐんさま
)
より其方へ
下
(
くだ
)
さるゝ金子なれば有難く
頂戴
(
ちやうだい
)
致されよとて渡し
更
(
あらた
)
めて申けるは當將軍樣には加納將監方にて御成長遊ばし
御幼名
(
ごえうみやう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
今
更
(
あらた
)
めて、わしが双方の言分を聴いてみたところで、国際連盟が満洲事件の審議をするやうなもんで、どつちの気に入るはずもなしさ。
五月晴れ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
斉名は筆を
揮
(
ふる
)
って書いた。ところで卿の御気に召さなかった。そして卿は
更
(
あらた
)
めて大江
ノ
以言に委嘱された。以言も骨を折って起草した。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
で私はクレオパトラやサロメの例を引いて、何故貴方はあのやうに嘆いてゐらつしやいましたか、と言葉を
更
(
あらた
)
めて新しく問ひかけました。
嘆きの孔雀
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
自分等の嘆きに娘の新しい思想を一がいにくらましてはならないとも感じられる。何事も娘が帰ってから
更
(
あらた
)
めて語り合おうと心を定めた。
母と娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ア、今朝篤と松谷秀子嬢に逢い、昨夜の詫びも云い
更
(
あらた
)
めて時計の秘密を聞き度いと思い其の室を尋ねたら、虎井夫人と共に早朝に此の宿を
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
更
(
あらた
)
めて文部省書記官となり、而して往復課長となったのだが、規則の制定や改正などというといつも私は特別にそれに関係した。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
ロクロ首の怪談、又は絵画が、人間の夢、又は夢中遊行の心理を象徴せるものなる事は、ここに
更
(
あらた
)
めて
呶々
(
どど
)
するを要せざるべし。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
といひかかるを、奥様目顔で制したまへば、老女は本意なげに口を
鉗
(
つぐ
)
みたれどさすがに老の繰言止め難くや、更に詞を
更
(
あらた
)
めて
磯馴松
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
イエスはキリストたる地位の自覚をもって
更
(
あらた
)
まって物を言われる時には、いつも御自分のことを「人の子」と呼び給いました。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
この他のものについて
更
(
あらた
)
めて同じ仕方で、自分自身から出てくるのか、それとも他のものから出てくるのか、と追求せられ
省察:神の存在、及び人間の霊魂と肉体との区別を論証する、第一哲学についての
(新字新仮名)
/
ルネ・デカルト
(著)
私は
更
(
あらた
)
めて、この
変
(
へん
)
てこな荷物の持主を観察した。そして、持主その人が、荷物の異様さにもまして、一段と異様であったことに驚かされた。
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
孫四郎はかういひ乍ら半紙を綴ぢた帳面を懐に入れ、矢立ての墨を
更
(
あらた
)
めて、腰にさすと変に興奮した体で衣紋掛けの羽織を取つて引つかけた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
モンタギュー、
其方
(
そち
)
は、
此
(
この
)
午後
(
ひるご
)
に、
尚
(
な
)
ほ
申
(
まう
)
し
聞
(
き
)
かすこともあれば、
裁判所
(
さいばんしょ
)
フリータウンへ
參向
(
さんかう
)
せい。
更
(
あらた
)
めて
申
(
まう
)
すぞ、
命
(
いのち
)
が
惜
(
を
)
しくば、
皆
(
みな
)
立退
(
たちさ
)
れ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
九日目に三吉さんや助太夫やも寄合つて
更
(
あらた
)
めて法事を営みましたが、私は泣いては恥しいと堪え/\していましたが到頭堪え切れなくなつて
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
光徳は
小字
(
おさなな
)
を
徳治郎
(
とくじろう
)
といったが、この時
更
(
あらた
)
めて三右衛門を
名告
(
なの
)
った。外神田の店はこの頃まだ迷庵の
姪
(
てつ
)
光長
(
こうちょう
)
の代であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
礼廻りから帰った彼は、村の仲間入すべく紋付羽織に
更
(
あらた
)
めて、午後石山氏に
跟
(
つ
)
いて当日の会場たる下田氏の家に往った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「車? 車はもう来ています」伯母はなぜか他人のように、
叮嚀
(
ていねい
)
な言葉を使っていた。そこへ着物を
更
(
あらた
)
めた妻も
羽根布団
(
はねぶとん
)
やバスケットを運んで来た。
子供の病気:一游亭に
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「お前はお母さんのお世話をしてくれたうえに、わしのために節を守ってくれて、なんともお礼の言いようがない、わしは、今、
更
(
あらた
)
めて礼を言うよ」
愛卿伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
もう日本へ送り返してしまったから、
更
(
あらた
)
めて買う用はなし、本場とは云うものの、思ったより登山案内はないものだ。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
この工場と
相対
(
むかいあ
)
ってる北側に、今は地震で
崩
(
くず
)
されて旧観を
更
(
あらた
)
めてしまったが、附属の倉庫の白壁の土蔵があった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
で、上つて行つて、蒲団などを
侑
(
すゝ
)
められると、彼女は里離れのした態度で、
更
(
あらた
)
めて両手をついて
叮嚀
(
ていねい
)
にお辞儀をした。彼は
面喰
(
めんくら
)
つたやうな困惑を感じた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
わたくしは
更
(
あらた
)
めて一望の焼野原をつくづくと眺めました。本式の戦さが始まってより、まだ半年にもならぬ間に、まったくよくも焼けたものでございます。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
遂に京都で
大寺
(
だいじ
)
の住職となり、鴻の巣の若江は
旅籠屋
(
はたごや
)
を親族に相続させ、
更
(
あらた
)
めて渡邊祖五郎が
媒妁人
(
なこうど
)
で、梅三郎と夫婦になり、お竹も重役へ嫁入りました。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
というのは
更
(
あらた
)
めていうまでもねえ、ブ職同士のことだからなあ。ええ、そうでござんしょう、そうだろうが。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
人の生活をあらためさせた
例
(
ためし
)
があろうか、人はその人自身によって何事もあらためるものを
更
(
あらた
)
めてこそいいが、式や形でそれを
司
(
つかさど
)
ることは無理であるといった。
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
クララはぎょっとして
更
(
あらた
)
めて聖者を見た。フランシスは激しい心の動揺から
咄嗟
(
とっさ
)
の間に立ちなおっていた。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
携帯電灯の薄明りで、室内が、
更
(
あらた
)
めて眺めまわされたとき、素六の身体も、紅子の姿も見当らなかった。それに代って、大きな図体の男が、長々と伸びていた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「それでは
壮健
(
たっしゃ
)
で参られよ。今に到って
更
(
あらた
)
めて申し上げるほどのこともない。ただ身体を気をつけられい」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私は既に小学校に
這入
(
はい
)
る前に色々と高等な学科を習っていたのであるが、小学校では五十音から
更
(
あらた
)
めて習い、単語・連語・その他色々のものを掛図について習った。
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
自分に対する
罵詈
(
ばり
)
のために、カッとなってしまって、青年の顔も少女の顔も、十分眼に入らなかったが、今は少し心が落着いたので、二人の顔を、
更
(
あらた
)
めて見直した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そればかりのことに現在の生活を
更
(
あらた
)
められないのかという声と、そればかりのことに現在の平和を破壊するのかという声と、その二つの声が彼の心の
内部
(
なか
)
で戦った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一たびは言い放して見たが、思い直せば夫や聟の身の上も気にかかるのでふたたび言葉を
更
(
あらた
)
めて
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
富江が不平を言出して、三人に
更
(
あらた
)
めて付けようと騒いだが、それは信吾が
宥
(
なだ
)
めた。そして富江は遂に消さなかつた。森川は上衣の鈕をかけて、乾いた
紛帨
(
ハンケチ
)
で顔を拭いた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「ヤレ
寐過
(
ねすご
)
したか……」と思う間もなく引続いてムクムクと浮み上ッた「免職」の二字で狭い胸がまず
塞
(
ふさ
)
がる……
芣苢
(
おんばこ
)
を振掛けられた
死蟇
(
しにがいる
)
の身で、
躍上
(
おどりあが
)
り、衣服を
更
(
あらた
)
めて
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
篠田は語り来つて、急に言葉を
更
(
あらた
)
め「余り自身のことを語り過ぎましたが、其よりも
貴嬢
(
あなた
)
の将来こそ問題でせう、実は先頃剛一君とも一寸御話致したことでありましたが」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
芳子さんを、一つの椅子にお掛けさせになると、先生は少し
更
(
あらた
)
まった口調で仰有いました。
いとこ同志
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
死んでから急いだつてなんにならう……だがこんなことを考へるのも
可笑
(
おか
)
しい、うん、可笑しい。それにしても、——私はまた
更
(
あらた
)
めて思ふのであつた、弟は既に旅立つてゐる。
亡弟
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
第二の見慣れぬ旅人 ああ、私は、まさしく地平線に日の光りを浴びながら、憂鬱の色を
更
(
あらた
)
めずにいる黒い木立であると思いました。而してそれを目標に疲れた足を早めました。
日没の幻影
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
宵の程
誂
(
あつら
)
へ置きし
酒肴
(
しゆこう
)
の
床間
(
とこのま
)
に上げたるを
持来
(
もてき
)
て、
両箇
(
ふたり
)
が中に膳を据れば、男は手早く
燗
(
かん
)
して、その
間
(
ま
)
に
各
(
おのおの
)
服を
更
(
あらた
)
むる
忙
(
せは
)
しさは、
忽
(
たちま
)
ち
衣
(
きぬ
)
の
擦
(
す
)
り、帯の鳴る音高く
綷※
(
さやさや
)
と乱れ合ひて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「ながら」といひて「なほ」と受けたるもうるさく、また「なびく」の語も「ゆらぐ」「動く」などに
更
(
あらた
)
め候方山吹に適切かと存候。この歌巧ならんとして言葉づかひ無理に相成候。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
六助はいま
更
(
あらた
)
めて、お豊が他国人、ついこのごろ来た人であるかのように
合点
(
がてん
)
して
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
他に護送避難の
遑
(
いとま
)
がない時は、一時囚人を解放し、二十四時間内に
更
(
あらた
)
めて監獄または警察署に出頭させるという規則があって、石出流の応急処分が今日においても是認せられている。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
これまで付いて来た巡査はここから後戻りをして
更
(
あらた
)
めて護衛兵を一人付けてくれた。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
馬琴と名乗る若者は、ここで一膝敷居の内へ這入ると、また
更
(
あらた
)
めて頭を下げた。
曲亭馬琴
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
同時
(
どうじ
)
に
滊角
(
きかく
)
短聲
(
たんせい
)
三發
(
さんぱつ
)
、
蒸滊機關
(
じようききくわん
)
の
響
(
ひゞき
)
ハッタと
更
(
あらた
)
まつて、
逆
(
ぎやく
)
に
廻旋
(
くわいせん
)
する
推進螺旋
(
スクルー
)
の
邊
(
ほとり
)
、
泡立
(
あはだ
)
つ
波
(
なみ
)
は
飛雪
(
ふゞき
)
の
如
(
ごと
)
く、
本船
(
ほんせん
)
忽
(
たちま
)
ち二十
米突
(
メートル
)
——三十
米突
(
メートル
)
も
後退
(
こうたい
)
したと
思
(
おも
)
つたが、
此時
(
このとき
)
すでに
遲
(
おそ
)
かつた
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
日本は古への
倭奴
(
わど
)
なり。(中略)咸享元年使を遣はして、高麗を平ぐるを賀す。
後
(
のち
)
稍
(
やゝ
)
夏音
(
かおん
)
を習ひて倭の名を
悪
(
にく
)
み、
更
(
あらた
)
めて日本と号す。使者自ら言ふ。国日出づる所に近きを以て名と為すと。
国号の由来
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
今度は題を「見えざる後より」とも、「見えざる目」とも
更
(
あらた
)
めた。矢張り書けなかつた。直ぐ前の井戸傍へ子供が大勢集つて、何かガヤ/\
喚
(
わめ
)
き始めた。湯村は筆を投出して、ゴロリと寝た。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
更
常用漢字
中学
部首:⽈
7画
“更”を含む語句
夜更
更衣
深更
着更
初更
衣更
猶更
尚更
五更
変更
更紗
殊更
三更
二更
更生
一更
更行
満更
今更
万更
...