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懸
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かけ
ふりがな文庫
“
懸
(
かけ
)” の例文
井戸は小屋を
懸
(
かけ
)
、
厠
(
かはや
)
は雪中其物を
荷
(
になは
)
しむべき
備
(
そなへ
)
をなす。雪中には一
点
(
てん
)
の
野菜
(
やさい
)
もなければ
家内
(
かない
)
の
人数
(
にんず
)
にしたがひて、雪中の
食料
(
しよくれう
)
を
貯
(
たくは
)
ふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
鼻に
懸
(
かけ
)
て我々を見下し不孝の事のみ多く其上下女などに
不義
(
ふぎ
)
を
仕懸
(
しかけ
)
何一ツ是ぞと云
取處
(
とりどころ
)
なく
斯樣
(
かやう
)
の者に家を渡す事は
勿論
(
もちろん
)
忠八に
暇
(
いとま
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
卯平
(
うへい
)
は
狹
(
せま
)
いながらにどうにか
土間
(
どま
)
も
拵
(
こしら
)
へて
其處
(
そこ
)
へは
自在鍵
(
じざいかぎ
)
を
一
(
ひと
)
つ
吊
(
つる
)
して
蔓
(
つる
)
のある
鐵瓶
(
てつびん
)
を
懸
(
かけ
)
たり
小鍋
(
こなべ
)
を
掛
(
か
)
けたりすることが
出來
(
でき
)
る
樣
(
やう
)
にした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
段々
馴
(
な
)
れて来てお前さん、この頃じゃあ、
立身
(
たちみ
)
になりましょうと、喧嘩の虫が声を
懸
(
かけ
)
ると、それから明るくなりますぜ。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
千里の天眼鏡を
懸
(
かけ
)
て人生を観測すること既に久し、而して哲学を以て、科学を以て、詩人の霊眼を以て、
終
(
つひ
)
に説明し尽すべからざるものは
夫
(
そ
)
れ人生なるかな。
各人心宮内の秘宮
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
▼ もっと見る
御本宅は
丸茂
(
まるも
)
という
暖簾
(
のれん
)
を
懸
(
かけ
)
た塩問屋、これは旦那様の
御兄様
(
おあにいさま
)
で、私の上りました御家は新宅と申しました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
実にその労と申しては
田圃
(
でんぽ
)
の
悪莠
(
あくゆう
)
を一回
芟除
(
さんじょ
)
するよりもなお
易
(
やす
)
きことにて、その器械と申すはわが
邦俗
(
ほうぞく
)
新年
門戸
(
もんこ
)
に
懸
(
かけ
)
る
注連縄
(
しめなわ
)
のごとく、羊毛にて製したるものにて
禾花媒助法之説
(新字新仮名)
/
津田仙
(著)
図696は、若干の花を優雅に生ける
懸
(
かけ
)
花入れの写生である。籠は非常に古く、署名つきである。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
夏のはじめつ
比
(
ころ
)
、天皇
埴安
(
はにやす
)
の堤の上などに
幸
(
いでま
)
し給ふ時、かの家らに衣を
懸
(
かけ
)
ほして
有
(
ある
)
を見まして、実に夏の来たるらし、衣をほしたりと、見ますまに/\のたまへる御歌也。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
射手は、心得たりと、
弩弓
(
どきゅう
)
を
懸
(
かけ
)
つらね、鉄弓の満を持し、敵の来るも遅しとばかり待っていた。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
家は上り口と、奥の八畳との
二室
(
ふたま
)
であつたが、八畳から二階へ
梯子
(
はしご
)
が
懸
(
かけ
)
わたされて、倉を直したものらしく、木組や壁は厳重に出来てゐたが、何となく重苦しい感じを与へた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
おのが勧めて婚姻さし
懸
(
かけ
)
たは忘れたように何とも云わず物思わしげなる
珠運
(
しゅうん
)
の
腹
(
はら
)
聞
(
きか
)
ずとも知れてると万端
埒
(
らち
)
明け、貧女を令嬢といわるゝように
取計
(
とりはから
)
いたる後、先日の百両
突戻
(
つきもど
)
して
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
拗
(
す
)
ね
者
(
もの
)
の金龍通人は自分の戸口に洒落た一
聯
(
れん
)
を
懸
(
かけ
)
ておいた。聯の文句はかういふのだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
……何、ほんまぢや? そんなら起請か、
懸
(
かけ
)
もするてや、
好
(
よ
)
し、天も地も照覧あれ、指かけ小かけ、嘘云ふものは手の指腐され、好し、そんなら
入
(
い
)
つて見よう。嘘ぢややら、指十本腐るぞよ。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
いわゆる
懸
(
かけ
)
の魚は、本来は貯蔵の状態のままの姿と思われる。
食料名彙
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
金を
懸
(
かけ
)
て馬をひょろひょろと走らす
馬を愛す
(新字新仮名)
/
今野大力
(著)
授
(
さづ
)
け
賜
(
たま
)
ふ所ならん然るに久八は養父五兵衞に
事
(
つか
)
ふること
昔
(
むかし
)
に
優
(
まさ
)
りて孝行を
盡
(
つく
)
し
店
(
みせ
)
の者勝手元の下男に至る迄
憐
(
あは
)
れみを
懸
(
かけ
)
正直
(
しやうぢき
)
實義
(
じつぎ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
御当家
(
おうち
)
へ迷惑は
懸
(
かけ
)
ないから、帰るまでああして
蔵匿
(
かくまっ
)
て置いて下さらないか、
衣服
(
きもの
)
に血が
附
(
つい
)
てたり、おどおどしている処を見ると、
邪慳
(
じゃけん
)
な
姑
(
しゅうとめ
)
にいびられる嫁か。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
珠運が一身
二一添作
(
にいちてんさく
)
の五も六もなく
出立
(
しゅったつ
)
が徳と極るであろうが、人情の
秤目
(
はかりめ
)
に
懸
(
かけ
)
ては、魂の
分銅
(
ふんどう
)
次第、
三五
(
さんご
)
が十八にもなりて
揚屋酒
(
あげやざけ
)
一猪口
(
ひとちょく
)
が
弗箱
(
ドルばこ
)
より重く、色には目なし無二
無三
(
むざん
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
『フン、
孰
(
どつち
)
が外聞が惡いんだらう。私や
十歳
(
とを
)
の時から
姉
(
ねえ
)
さんの御奉公してゐたんだよ。其で姉さんの手から、
半襟
(
はんゑり
)
一
懸
(
かけ
)
くれたこともありやしないで。チヨツ利いた
風
(
ふう
)
な事を言つてるよ。』
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
幾年
(
いくねん
)
居
(
ゐ
)
なくても
勝手
(
かつて
)
を
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
るので
彼
(
かれ
)
は
柱
(
はしら
)
へ
懸
(
かけ
)
てある
手
(
て
)
ランプを
點
(
つ
)
けて、
取
(
と
)
り
敢
(
あへ
)
ず
手足
(
てあし
)
を
暖
(
あたゝ
)
める
爲
(
ため
)
に
麁朶
(
そだ
)
をぽち/\と
折
(
を
)
つて
火鉢
(
ひばち
)
へ
燻
(
く
)
べた。
煤
(
すゝ
)
けた
藥罐
(
やくわん
)
を五
徳
(
とく
)
へ
掛
(
かけ
)
てそれから
彼
(
かれ
)
は
草鞋
(
わらぢ
)
をとつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
七
幸木
(
さいわいぎ
)
と
懸
(
かけ
)
の
魚
(
うお
)
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
既に我が身に引請んとするを
暫時
(
しばし
)
と引留千太郎進み
寄
(
より
)
否々
(
いへ/\
)
久八にては御座らぬと言んとするを
押留
(
おしとゞ
)
め
尻目
(
しりめ
)
に
懸
(
かけ
)
て夫と
無
(
なく
)
知らする忠義の
赤心
(
まごころ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
支那
(
しな
)
だか、朝鮮だか、それとも、北海道か、九州か、どこで観ようと云うのだか、それを聞き
懸
(
かけ
)
た処へ、貴女が食堂へ入っておいでなさいましたもんですから
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
端艇が浜へついたとき、
懸
(
かけ
)
わたされた船板から、四五人の男女が上陸して来たが、その中に旧式なパナマを冠つて、小さい
手提鞄
(
てさげかばん
)
と
細捲
(
ほそまき
)
とをもつて、肥満した老人が一人こつちへ遣つて来た。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
又、
泥障
(
あおり
)
一
ト
懸
(
かけ
)
持
(
もて
)
来
(
きた
)
れ、という。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
今朝も、その慈愛の露を吸った
勢
(
いきおい
)
で、謹三がここへ来たのは、金石の港に
何某
(
なにがし
)
とて、器具商があって、それにも工賃の貸がある……
懸
(
かけ
)
を乞いに出たのであった——
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一二の
懸
(
かけ
)
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
の二種として、これを結ぶに必要なるは、先づ
髷形
(
わげがた
)
と
髢
(
かもじ
)
となり。髢にたぼみの
小枕
(
こまくら
)
あり。
鬢
(
びん
)
みの、
横
(
よこ
)
みの、
懸
(
かけ
)
みの、根かもじ、横毛といふあり、ばら毛といふあり。
当世女装一斑
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
二度の
懸
(
かけ
)
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
憎さも憎しと伯爵夫人、「二円。」と恐しき
懸
(
かけ
)
を
謂
(
い
)
う。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
升屋
(
ますや
)
が
懸
(
かけ
)
はまだ寄越さんかい。」
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
懸
常用漢字
中学
部首:⼼
20画
“懸”を含む語句
心懸
懸合
引懸
追懸
行懸
突懸
懸隔
出懸
手懸
言懸
云懸
一生懸命
鈴懸
凭懸
思懸
打懸
取懸
吹懸
念懸
懸崖
...