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憂
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うれひ
ふりがな文庫
“
憂
(
うれひ
)” の例文
遊佐は実にこの人にあらず、又この覚悟とても有らざるを、奇禍に
罹
(
かか
)
れる
哉
(
かな
)
と、彼は人の為ながら常にこの
憂
(
うれひ
)
を解く
能
(
あた
)
はざりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
幸
(
さいはひ
)
にして
一人
(
ひとり
)
では
食
(
く
)
ひきれぬ
程
(
ほど
)
の
實
(
み
)
が
房々
(
ふさ/\
)
と
實
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
るので
其
(
その
)
憂
(
うれひ
)
もなく、
熟過
(
つえすぎ
)
た
實
(
み
)
がぼて/\と地に
落
(
お
)
ちて
蟻
(
あり
)
の
餌
(
ゑ
)
となり
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
其
(
そ
)
れぢや
基督
(
ハリストス
)
でも
例
(
れい
)
に
引
(
ひ
)
きませう、
基督
(
ハリストス
)
は
泣
(
な
)
いたり、
微笑
(
びせう
)
したり、
悲
(
かなし
)
んだり、
怒
(
おこ
)
つたり、
憂
(
うれひ
)
に
沈
(
しづ
)
んだりして、
現實
(
げんじつ
)
に
對
(
たい
)
して
反應
(
はんおう
)
してゐたのです。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そこには二十燭ほどの電気がついてゐて、その戸を排して中に入れば、何んな秘密な話をしようが、外からそれを立聞きされる
憂
(
うれひ
)
は少しもなかつた。
時子
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
「さうでござんすね」
勘次
(
かんじ
)
はぐつたりと
俛首
(
うなだ
)
れて
言辭
(
ことば
)
の
尻
(
しり
)
が
聞
(
き
)
きとれぬ
程
(
ほど
)
であつた。
深
(
ふか
)
い
憂
(
うれひ
)
が
顏面
(
かほ
)
の
皺
(
しわ
)
に
強
(
つよ
)
く
刻
(
きざ
)
んだ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
是を以つて知る、
縦令
(
たとひ
)
罪過に拘泥するも、運命の解釈さへ誤ることなければ、決つして命数の弊に陥るの
憂
(
うれひ
)
なきを。
罪過論
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
何故
(
なにゆゑ
)
といはんも事あたらしや、お互に後世に於て、鼻突合はす
憂
(
うれひ
)
なければなり。憂は
寧
(
むし
)
ろ、
虞
(
ぐ
)
に作るをよしとす。
青眼白頭
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
父は間もなく用事が出来て行つてしまひ、私も子供心に
憂
(
うれひ
)
を長く覚えては居ず、
椽先
(
ゑんさき
)
で
手鞠
(
てまり
)
をついて居り升た。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
その夜、私の
寢床
(
ねどこ
)
には何の
憂
(
うれひ
)
もなく、獨りぽつちの部屋にも何の恐怖もなかつた。疲れと滿足とで私はぐつすり眠つてしまひ、眼が醒めた時は全く明るくなつてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
夫
(
をつと
)
のおのれをよく
脩
(
をさ
)
めて
九
教へなば、此の
患
(
うれひ
)
おのづから
避
(
さ
)
くべきものを、只
一〇
かりそめなる
徒
(
あだ
)
ことに、女の
一一
慳
(
かだま
)
しき
性
(
さが
)
を
募
(
つの
)
らしめて、其の身の
憂
(
うれひ
)
をもとむるにぞありける。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
然
(
さ
)
るにても
其
(
そ
)
の
餘
(
あま
)
りの
美
(
うつく
)
しさに、ひととなりて
後
(
のち
)
國
(
くに
)
を
傾
(
かたむ
)
くる
憂
(
うれひ
)
もやとて、
當時
(
たうじ
)
國中
(
こくちう
)
に
聞
(
きこ
)
えたる、
道人
(
だうじん
)
何某
(
なにがし
)
を
召出
(
めしいだ
)
して、
近
(
ちか
)
う、
近
(
ちか
)
う、
爾
(
なんぢ
)
よく
此
(
こ
)
の
可愛
(
かはゆ
)
きものを
想
(
さう
)
せよ、と
仰
(
おほ
)
せらる。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼が進歩党員であるが為に、鉱毒問題が
動
(
やゝ
)
もすれば党派問題と見なされる
憂
(
うれひ
)
があつた。
政治の破産者・田中正造
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
〔譯〕
憤
(
いきどほり
)
を發して食を
忘
(
わす
)
る、
志氣
(
しき
)
是
(
かく
)
の如し。
樂
(
たのし
)
んで以て
憂
(
うれひ
)
を忘る、
心體
(
しんたい
)
是の如し。
老
(
らう
)
の將に至らんとするを知らず、
命
(
めい
)
を知り天を樂しむもの
是
(
かく
)
の如し。聖人は人と同じからず、又人と
異
(
こと
)
ならず。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
新
(
あらた
)
なり流離の
憂
(
うれひ
)
我が愛する詩人の伝記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
新
(
あらた
)
なり流離の
憂
(
うれひ
)
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
にがき
憂
(
うれひ
)
に。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
天も
憐
(
あはれ
)
み給ふにや風雨の
憂
(
うれひ
)
も
無
(
なく
)
十日餘りも
立
(
たち
)
川崎宿
(
かはさきじゆく
)
へ着て
御所刑場
(
おしおきば
)
是より
何程
(
なにほど
)
あるやと
尋
(
たづね
)
しに品川の手前に鈴ヶ森と云所こそ天下の
御仕置場
(
おしおきば
)
なり尤も二ヶ所あり江戸より西南の國にて生れし者は
鈴
(
すゞ
)
ヶ
森
(
もり
)
又
(
また
)
東北
(
とうほく
)
の國の生れなれば
淺草
(
あさくさ
)
小塚原
(
こつかはら
)
に於て御仕置に行はるゝと云由を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
いづくより 来ませし仏か 敷島の 大和の国に
廬
(
いほり
)
して
千年
(
ちとせ
)
へにける けふ日まで
微笑
(
ゑみ
)
たまふなり 床しくも 立ちたまふなり ほのぼのと 見とれてあれば 長き日に 思ひ積みこし
憂
(
うれひ
)
さり 安けくなりぬ
草枕
(
くさまくら
)
旅のおもひぞ ふるさとの わぎ
妹
(
も
)
に告げむ 青によし 奈良の都ゆ 玉づさの 文しおくらむ 朝戸出の 旅の門出に 送りこし わがみどり
児
(
ご
)
も 花咲ける 乙女とならば 友禅の
振袖
(
ふりそで
)
着せて 率ゐ行かむぞ このみ仏に
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
夫は心
猛
(
たけ
)
く、人の
憂
(
うれひ
)
を見ること、犬の
嚏
(
くさめ
)
の如く、
唯貪
(
ただむさぼ
)
りて
饜
(
あ
)
くを知らざるに引易へて、
気立
(
きだて
)
優しとまでにはあらねど、鬼の女房ながらも尋常の人の心は
有
(
も
)
てるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
といつて、私を
椽先
(
ゑんさき
)
まで手を引いて行き、
側
(
そば
)
へ
坐
(
すわ
)
らせ柔和に私の
憂
(
うれひ
)
の
基
(
もとい
)
を問ふてくれた父に私は心をすつかり打あけて、どうぞ決心のよく守れる仕方を教へてと頼み升た。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
心
(
こゝろ
)
から
漸
(
やうや
)
く
其
(
そ
)
の
瘡痍
(
きず
)
を
勦
(
いたは
)
つた。
彼
(
かれ
)
は
平生
(
いつも
)
になくそれを
放任
(
うつちや
)
つて
置
(
お
)
けば
生涯
(
しやうがい
)
の
畸形
(
かたわ
)
に
成
(
な
)
りはしないかといふ
憂
(
うれひ
)
をすら
懷
(
いだ
)
いた。さうして
彼
(
かれ
)
は
鬼怒川
(
きぬがは
)
を
越
(
こ
)
えて
醫者
(
いしや
)
の
許
(
もと
)
に
與吉
(
よきち
)
を
連
(
つ
)
れて
走
(
はし
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
にがき
憂
(
うれひ
)
に。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
口惜
(
くちを
)
しとの色は
絶
(
したた
)
かその
面
(
おもて
)
に
上
(
のぼ
)
れり。貫一は彼が意見の父と
相容
(
あひい
)
れずして、
年来
(
としごろ
)
別居せる内情を
詳
(
つまびら
)
かに知れば、
迫
(
せ
)
めてその喜ぶべきをも、
却
(
かへ
)
つてかく
憂
(
うれひ
)
と
為
(
な
)
す
故
(
ゆゑ
)
を
暁
(
さと
)
れるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
憂
常用漢字
中学
部首:⼼
15画
“憂”を含む語句
憂慮
憂鬱
憂愁
憂鬱症
鬱憂
杞憂
憂欝
憂悶
憂鬱病
憂患
物憂
憂苦
無憂樹
憂思
憂晴
憂世
憂惧
憂事
欝憂
憂欝症
...