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工合
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ぐあい
ふりがな文庫
“
工合
(
ぐあい
)” の例文
あのときは一月ほども野宿したという、今度もこの
工合
(
ぐあい
)
では一月ぐらいは野宿しなくてはなるまい、大変なことになった、と思った。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
しかしそんなことよりも見も知らぬ人のまえでこんな
工合
(
ぐあい
)
に気やすくうたい出してうたうと
直
(
す
)
ぐにその
謡
(
うた
)
っているものの世界へ
己
(
おの
)
れを
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ちょいと皆様に申上げまするが、ここでどうぞ貴方がたがあッと
仰有
(
おっしゃ
)
った時の、手附、
顔色
(
かおつき
)
に体の
工合
(
ぐあい
)
をお考えなすって下さいまし。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私はその羽織の色に親しみがあるように感じたので、顔をあげて見ると、その横顔から髪の
工合
(
ぐあい
)
が、広小路で見た女そっくりであった。
妖影
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
土竜……けれど結局何かに弾かれたような
工合
(
ぐあい
)
になって、ただ頭の中をぐるぐる廻っているだけで口外へ吐き出すことが出来ない。
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
▼ もっと見る
足跡から
判
(
はん
)
ずると、ロボは
狼群
(
ろうぐん
)
の先に立ってわなへ近よると、
仲間
(
なかま
)
を止めて、自分ひとりでうまい
工合
(
ぐあい
)
にかきだしてしまうらしい。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
それが驚異軍艦の上まで来ると、袋の底が破れてその穴から
黒豆
(
くろまめ
)
がぽろぽろ落ちるような
工合
(
ぐあい
)
に、幾百幾千という爆弾がばら
撒
(
ま
)
かれた。
不沈軍艦の見本:――金博士シリーズ・10――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「えい、うるさい、すきなくらいそこらであそんでけ。」たしかにさっきの鳥でないちがったものが、そんな
工合
(
ぐあい
)
にへんじしたのでした。
タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
彼女は体の
工合
(
ぐあい
)
がすこし快くなって来ると、夜、部屋の窓をあけて、遠く地中海のあたたかな海辺にその想いを馳せるのだった。
初雪
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
己
(
おれ
)
が運命というものが分らないでいると思うのかい。今ちょっと
工合
(
ぐあい
)
が
好
(
よ
)
くなったからといって、己がそれに
騙
(
だま
)
されていると思うのかい。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
身体の
工合
(
ぐあい
)
もいい様だから、私はこれから又島へ出掛け様と思うが、今度はすっかり工事が出来上って了うまで帰れまいと思う。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
かれは常に心のうちで、そういう
工合
(
ぐあい
)
に修養しようと
要心
(
ようじん
)
しながら、ツイ自分から口をだしては、自分から用を求めてしまった。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其処
(
そこ
)
へ順序もなく坐り込んで講義を聞くのであったが、輪講の時などは
恰度
(
ちょうど
)
カルタでも取る様な
工合
(
ぐあい
)
にしてやったものである。
落第
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大抵胃の
工合
(
ぐあい
)
の悪いときであるらしいが、そういう夢の中ではきまって非常に
流暢
(
りゅうちょう
)
にドイツ語がしゃべれるのが不思議である。
喫煙四十年
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
こんな
工合
(
ぐあい
)
で、平次がわざと避けて、この事件から手を引いたのは、ガラッ八でも立派に解決が出来ると思ったせいでしょう。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
夜は、これらの摘草を
茹
(
ゆ
)
でて
食卓
(
しょくたく
)
に並べた。色は水々しかったが、筋が歯にからんで、ひずるの
噛
(
か
)
み
工合
(
ぐあい
)
などはまるで
蒟蒻
(
こんにゃく
)
のようであった。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
八王子、所沢、
青梅
(
おうめ
)
、
飯能
(
はんのう
)
、村山とほとんど隣同志でも、八王子は絹の
節織
(
ふしおり
)
を主にし、村山は
絣
(
かすり
)
を
専
(
もっぱ
)
らにするという
工合
(
ぐあい
)
です。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
小山の妻君
頻
(
しきり
)
に感心し「お登和さん、そう
伺
(
うかが
)
ってみるとお魚ばかりではありませんね、お野菜でも肉類でもそういう
工合
(
ぐあい
)
がありましょうね」
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
こんな
工合
(
ぐあい
)
に感激すれば、いかにも小説らしくなる、「まとまる」と、いい加減に心得て、浅薄に感激している性質のものばかりなのである。
鴎
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
その時以来、子路の親孝行は無類の
献身的
(
けんしんてき
)
なものとなるのだが、とにかく、それまでの彼の
俄
(
にわ
)
か孝行はこんな
工合
(
ぐあい
)
であった。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ほとんど
完膚
(
かんぷ
)
なしと云うほどに疵だらけになっていましたが、それが使い馴れていて
工合
(
ぐあい
)
がよいので、ついそのままに使いつづけていました。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一グラムとは一
匁
(
もんめ
)
と
申
(
まう
)
して三
分
(
ぶ
)
ゲレンとは三
割
(
わり
)
にして
硝盃
(
コツプ
)
に三十
滴
(
てき
)
が
半
(
はん
)
ゲレンぢやが、見て
居
(
を
)
れ
斯
(
か
)
ういふ
工合
(
ぐあい
)
にするのだ。
華族のお医者
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
縁端
(
えんばな
)
へ出て言葉を交している
工合
(
ぐあい
)
が、どうもそうらしいので、均平も何か照れくさい感じでそのまま女中の案内で二階の加世子の部屋へ通った。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
殊更
憂
(
うれい
)
を含む
工合
(
ぐあい
)
凄味
(
すごみ
)
あるに
総毛立
(
そうけだち
)
ながら
尚
(
なお
)
能
(
よ
)
くそこら
見廻
(
みまわ
)
せば、床に
掛
(
かけ
)
られたる一軸
誰
(
たれ
)
あろうおまえの姿絵
故
(
ゆえ
)
少し
妬
(
ねた
)
くなって一念の
無明
(
むみょう
)
萌
(
きざ
)
す途端
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そこを散歩して、己は小さい丘の上に、
樅
(
もみ
)
の木で囲まれた低い小屋のあるのを発見した。木立が、何か秘密を
掩
(
おお
)
い
蔽
(
かく
)
すような
工合
(
ぐあい
)
に小屋に迫っている。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
春もやや準備が出来たといった
工合
(
ぐあい
)
に、和やかなものが、晴れた空にも、建物を包む丘の茂みにも含みかけていた。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
だから僕は、映写機とスクリインと通風と腰かけの
工合
(
ぐあい
)
さえよければ、どんな倉庫のような活動小屋だっていいので、その他の設備は二番目の問題である。
牛込館:映画館めぐり(十)
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
されど蕪村派の俳句の趣味と、盛唐の詩の趣味と同じといふにはあらず、蕪村派の俳句のしまり
工合
(
ぐあい
)
と、盛唐の詩のしまり工合と同じといふには非ざるなり。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
これも、その折畳まり
工合
(
ぐあい
)
が面白くて不思議なので欲しくてたまらず、そっと持出して引っぱってみる
中
(
うち
)
に壊れてしまったらしい。お祖母様に大変に叱られた。
父杉山茂丸を語る
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ちょっとほのめかしてみたことがあるにはあるんですが、……何だか
妙
(
みょう
)
な
工合
(
ぐあい
)
になってしまいましてねえ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
富五郎はその晩から恐ろしく
吃逆
(
しゃっくり
)
が出て、どうしても
留
(
と
)
まらない。
身体
(
からだ
)
も変な
工合
(
ぐあい
)
になって行きました。
幕末維新懐古談:01 私の父祖のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
丁度
此処
(
ここ
)
へ通り
掛
(
かか
)
つた、ではない泳ぎかゝつた湖水のひれ仲間に名を知られた老成な
鱒
(
ます
)
どのが、お
腹
(
なか
)
のすき加減といひ、
甘
(
うま
)
さうな物が水の面に見える
工合
(
ぐあい
)
といひ
鼻で鱒を釣つた話(実事)
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
おかしいなと思って、誰か立ってホヤの
工合
(
ぐあい
)
を見ようとすると、手を付けない内に、またポウとつく。
薄どろどろ
(新字新仮名)
/
尾上梅幸
(著)
こういう場合には、情熱が時を
得顔
(
えがお
)
にのさばり出て、それがちょうどいい
工合
(
ぐあい
)
に事件と調和するときには、いつまでもその事件の蔭にとどこおっているものである。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
内部の対流の
工合
(
ぐあい
)
で蒸発する水蒸気が全部霜の出来る場所へ運ばれるとは限らない。また上昇する気流が水面を離れる時にもその条件で完全に飽和されてはいない。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
どうして
鍬
(
くわ
)
をうつか、仕立屋がどんなふうにミシンをまわし、どんな
工合
(
ぐあい
)
にエプロンのポケットをぬいつけるか、またせんべやのじいさんが、せんべをさしはさんだ
空気ポンプ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
もしくは四段の
雛段
(
ひなだん
)
式に場席がなっていて、一桝くぎりはおなじだが、これは舞台へ斜めにむかう
工合
(
ぐあい
)
で、おなじ竪に流れていながら横にならんでいる感じでならび
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「いやあよ!」と鼻声になつて、膝の上にのしかゝつて、猫が自分の寝どこを
工合
(
ぐあい
)
よく作る時のやうに、ぐん/\と体の半分を机とあの人の体との間に割り入れてしまふ。
脱殻
(新字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
貞阿もこの冬はじめて奈良に
暫
(
しばら
)
く腰を落着けて、鶴姫の
噂
(
うわさ
)
が色々とあらぬ
尾鰭
(
おひれ
)
をつけて人の口の
端
(
は
)
に
上
(
のぼ
)
っているのに一驚を喫したが、
工合
(
ぐあい
)
の悪いことには今夜の話相手は
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
イカバッドは、ボーンズとその一党の荒くれ騎士たちに妙な
工合
(
ぐあい
)
に苦しめられるようになった。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
しかるにその後七、八年のあいだに、また幾分か
逆戻
(
ぎゃくもど
)
りして、
怖気
(
おじけ
)
がなくなったのは、その間に日常心懸けたこともあるが、一つには身体の
工合
(
ぐあい
)
がよくなったためと思う。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
どうやらこうやらというような
工合
(
ぐあい
)
ですよ。この頃はわたし共に御用はおありなさらないの。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
といっても、このしめり
工合
(
ぐあい
)
じゃあ、まさか山の中のものじゃないし、どうだい、こうしている間に、ちょっとこの下のしぶきのかかりそうな波打ち際を散歩してみないかい
灯台鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
父が「一家鶏犬一車上、器機妙用瞬間行」なぞ
悪詩
(
あくし
)
を作った。
工合
(
ぐあい
)
が好いので、帰りも自動車にした。今度のは
些
(
ちと
)
大きく、宅の
傍
(
そば
)
までは来ぬと云う。五丁程歩んで、乗った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
彼は単に、農場の事務が今日までどんな
工合
(
ぐあい
)
に運ばれていたかを理解しようとだけ
勉
(
つと
)
めた。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ただ
飛来
(
とびく
)
る
弾丸
(
たま
)
に向い
工合
(
ぐあい
)
、それのみを気にして、さて
乗出
(
のりだ
)
して
弥
(
いよいよ
)
弾丸
(
たま
)
の的となったのだ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
この
工合
(
ぐあい
)
のいい
隠
(
かく
)
れ
場
(
ば
)
に一
羽
(
わ
)
の
家鴨
(
あひる
)
がその
時
(
とき
)
巣
(
す
)
について
卵
(
たまご
)
がかえるのを
守
(
まも
)
っていました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
少
(
すこ
)
し
身体
(
からだ
)
の
工合
(
ぐあい
)
が
悪
(
わる
)
いから、
今日
(
きょう
)
だけ
宿
(
やど
)
に
残
(
のこ
)
っていると、
遂
(
つい
)
に
思切
(
おもいき
)
って
友
(
とも
)
に
云
(
い
)
うたのであった、しかるにミハイル、アウエリヤヌイチは、それじゃ
自分
(
じぶん
)
も
家
(
いえ
)
にいることにしよう
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
神様
(
かみさま
)
のお
言葉
(
ことば
)
によれば、いつか
時節
(
じせつ
)
がまいれば、
親子
(
おやこ
)
、
夫婦
(
ふうふ
)
、
兄弟
(
きょうだい
)
が一
緒
(
しょ
)
に
暮
(
く
)
らすことになるとのことでございますが、あんな
工合
(
ぐあい
)
では、たとえ一
緒
(
しょ
)
に
暮
(
く
)
らしても、
現世
(
げんせ
)
のように
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
みんな大きな声で、さっさと
無表情
(
むひょうじょう
)
に歌った。まるで
太鼓
(
たいこ
)
でもたたくような
工合
(
ぐあい
)
だ。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
工
常用漢字
小2
部首:⼯
3画
合
常用漢字
小2
部首:⼝
6画
“工”で始まる語句
工夫
工場
工面
工
工風
工匠
工事
工廠
工人
工作