居眠いねむ)” の例文
よくいいつかったことをわすれたり、また、ばんになると、じきに居眠いねむりをしましたので、よく叔父おじさんから、小言こごとをいわれていました。
人の身の上 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし予は衷心ちゅうしん不憫ふびんにたえないのであった。ふたりの子どもはこくりこくり居眠いねむりをしてる。お光さんもさすがに心を取り直して
紅黄録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ある日、和尚おしょうさんは、御法事ごほうじばれて行って、小僧こぞう一人ひとりでお留守番るすばんをしていました。おきょうみながら、うとうと居眠いねむりをしていますと、玄関げんかん
和尚さんと小僧 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ツルガ博士の観測は、いつまでたっても双眼鏡で沼の面をなめまわすだけであったから、しまいにマルタン氏もたいくつして、こっくりこっくり居眠いねむりをはじめた。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「あぶないところだった。だがここまでくればもう大丈夫だいじょうぶだ。どうも変に寒い。珍しいごちそうを食べて、あの男の頭の上で居眠いねむりをしたので、風邪かぜでも引いたのかな」
不思議な帽子 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
彼はの前に坐りて居眠いねむりてやおらん、乞食せし時に比べて我家のうちの楽しさあたたかさに心け、思うこともなく燈火ともしびうち見やりてやおらん、わが帰るを待たで夕餉ゆうげおえしか
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その麓なる桑畠くわばたけにて村の若者何某という者、働きていたりしに、しきりねむくなりたれば、しばらく畠のくろに腰掛けて居眠いねむりせんとせしに、きわめて大なる男の顔は真赤まっかなるが出で来たれり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
四郎はお蘭のそばにいるだけで満足した。お蘭の針仕事をしている傍にひざをゆるめて坐って、あどけないことをたずねたり単純な遊びごとをしたりした。小春日和こはるびよりの暖かい日にはうとうと居眠いねむりをした。
みちのく (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
見ると荒田老は両腕りょううでを深く組み、その上にあごをうずめて、居眠いねむりでもしているかのような格好かっこうをしていた。ほかの人たちの中にも、頭を椅子いすの背にもたせて眼をつぶっているものが二三人あった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そして、コップのなかにはいった、みどりあおあか、いろいろのさけいろに、ぼんやりとれていますと、うとうとと居眠いねむりをしたのでした。
銀のつえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるばん和尚おしょうさんはいつものとおりお居間いまちゃがまをかざったまま、そのそばでうとうと居眠いねむりをしていました。そのうちほんとうにぐっすり、寝込ねこんでしまいました。
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
だんだん大胆だいたんになってきて、ごちそうをやたらに食い、酒をやたらに飲みましたので、腹はいっぱいになり酒の酔いは廻って、いい心持ちにうとうと居眠いねむってしまいました。
ひでり狐 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ぽう、おばあさんは、ほんとうに居眠いねむりをしてしまいました。そして大事だいじ財布さいふを、むしろのしたれたことをわすれてしまいました。
善いことをした喜び (新字新仮名) / 小川未明(著)
店の中には誰もいないで、奥の方に番頭ばんとうが一人居眠いねむりをしています。
不思議な帽子 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
紳士しんしは、電車でんしゃると、うとうと居眠いねむりをしました。そして、ふとがつくと、していましたので、びっくりしてりました。
三つのお人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、おじいさんが、こくり、こくりと居眠いねむりをしますとあたまうえかみきれをのせたり、背中せなかはたなどをてておもしろがってわらったものです。
ものぐさじじいの来世 (新字新仮名) / 小川未明(著)
どこからともなく、やわらかなかぜはなのいいかおりをおくってきますので、それをかいでいるうちに、門番もんばんはうとうとと居眠いねむりをしていたのであります。
お姫さまと乞食の女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
としとったからすは、ながたびつかれて、くいまって居眠いねむりをしていました。あねは、くろかわからへびのようなながさかなをとって、からすにわせました。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
あおれた、そらしたで、電信柱でんしんばしら居眠いねむりをしていました。そのあたまうえまると、小鳥ことりは、くろいくちばしでコツ、コツとつついて、かれねむりをさました。
小鳥と兄妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
学者がくしゃは、みやこかえるため汽車きしゃっていました。あざみのはならさないようにと、帽子ぼうしにさしていたが、まどによりかかっているうちに居眠いねむりをしました。
なまずとあざみの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちょうど、なつ昼過ひるすぎのことであります。おきゃく一人ひとりもなかったので、おじいさんは、居眠いねむりをしていました。
てかてか頭の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
白髪頭しらがあたまのおじいさんは、いい気持きもちで、こっくり、こっくりとこしかけて居眠いねむりをしながらゆめていました。
てかてか頭の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それをあきなうおばあさんは、がほこほこと背中せなかたっているので、いい気持きもちで居眠いねむりをしていました。
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
「はい……はい。」といって、さすがに、かおあかくして返事へんじをしましたが、すぐ、そのあとからわすれたように、物忘ものわすれをしたり、よるになると居眠いねむりをはじめました。
人の身の上 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このひとたちは、みんなつかれて居眠いねむりをしています。けれど、汽車きしゃだけはやすまずにはしりつづけています。
ある夜の星たちの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、わたしも、もうさきながくあるまい。」と、はなは、みずからもかんがえました。そして、昼間ひるまも、うつらうつらとした気持きもちで、居眠いねむりをつづけているようになりました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのあいだうしは、居眠いねむりをして、じっとっていました。うしつかれていたのです。赤々あかあかとして、太陽たいようは、西にしそらかたむきかけて、くもがもくりもくりと野原のはらうえそらにわいていました。
ある男と牛の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
門番もんばんつけたら、またひと災難さいなんであろうと、おひめさまは心配しんぱいをなされましたが、門番もんばんはこのときまで、まだいい心地ここち居眠いねむりをしていましたので、乞食こじきのふうをしたわかおんな
お姫さまと乞食の女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おんな乞食こじき門番もんばん居眠いねむりをしていましたので、だれにもとがめられることがなく、草履ぞうりおともたてずに、若草わかくさうえんで、しだいしだいにおしろ奥深おくふかはいってきたのであります。
お姫さまと乞食の女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
老人ろうじんは、そんなら青年せいねんんだのではないかとおもいました。そんなことをにかけながら石碑せきひいしずえこしをかけて、うつむいていますと、いつからず、うとうとと居眠いねむりをしました。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
やっと一ばかりもくると、乞食こじきは、わざと荷車にぐるまうえ居眠いねむりをするまねをした。おとこは、車引くるまひきのみみくちをつけて、なんでもみちのわからないところへれていってくれるようにたのんだ。
つばめと乞食の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)