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委
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ゆだ
ふりがな文庫
“
委
(
ゆだ
)” の例文
実はわたしがおっ母さんの世話をするのも、因襲の
外
(
ほか
)
の関係なので、わたしは生涯をその関係に
委
(
ゆだ
)
ねたというものかも知れませんよ。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
自己の余生を亡き夫の遺業の完成のために
委
(
ゆだ
)
ねるは、なお
在
(
い
)
ます夫に
事
(
つか
)
うる如き心地がして、この上もない楽しみではあるけれども
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
いずれにしても、
吉
(
い
)
い
事
(
こと
)
であろうとは考えられない。にも
関
(
かかわ
)
らず、身を迎えに
委
(
ゆだ
)
ねて行くからには、武蔵にも覚悟はあるのであろう。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
労働者の労働運動は労働者の手に
委
(
ゆだ
)
ねて、僕は自分の運動の範囲を中流階級に向け、そこに全力を尽くそうとするだろうというまでだ。
片信
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
引受けさせて頂きたい。けれども
唯
(
ただ
)
一面識のみでは、お頼みになるのも苦しいだろうから、どうか一身を私に
委
(
ゆだ
)
ねてはくれまいか。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
民衆は老衰してゆく時、その意志や信念やあらゆる生存の理由を、快楽を与えてくれる者の手に
委
(
ゆだ
)
ねるものである。男子は作品を作る。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ヘンデルは、やがて国政を
執
(
と
)
る身、あれにこんな暗い話は聞かせたくない。あれは何にも知らぬ。知らぬままに国政を
委
(
ゆだ
)
ねておきたい。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
抑〻
(
そも/\
)
人の物言ふは自然の
業
(
わざ
)
なり、されどかく言ひかくいふことは自然これを汝等に
委
(
ゆだ
)
ね汝等の好むまゝに爲さしむ 一三〇—一三二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
君は古稀を過ぐる長き人間生活に於て、また半世紀に達する長き文壇生活に於て、敢て奇を弄せず環境に身を
委
(
ゆだ
)
ねて生存を持続されたり。
弔辞(徳田秋声)
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
「そんな無体な祈祷がこの世にあるものとは思われませぬ、もしあったとしても、わたくしの身心がそれに
委
(
ゆだ
)
ねられるとは思いませぬ。」
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
そして、全く
莫迦莫迦
(
ばかばか
)
しいことに、王、副王以下各大酋長の決議で「サモア支配権を英国に
委
(
ゆだ
)
ねたい」旨を申出そうとしたのだ。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それがしその折かの女にも廻り合はず、又女首を見ることもなくて過ぎなば、いかんぞ後年斯かる浅ましき
所行
(
しよぎやう
)
に身を
委
(
ゆだ
)
ねんや。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「我らは無窮を追ふ無益の探究を捨てなむ。
而
(
しか
)
うして我らの身を現在の歓楽に
委
(
ゆだ
)
ねむ。
竪琴
(
たてごと
)
のこころよき音にふるふ長き黒髪に触れつつ」
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
積み
疊
(
かさ
)
ねたる
柑子
(
かうじ
)
、地に
委
(
ゆだ
)
ねたる鐵の器、
破衣
(
やれごろも
)
、その外いろ/\の骨董を列ねたる
露肆
(
ほしみせ
)
の側に、古書古畫を賣るものあるを見き。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
ひたすらに
悪
(
あし
)
き世を善に導かんと修行に心を
委
(
ゆだ
)
ね、ある山深きところに到りて精勤苦行しゐたりけるが、
年月
(
としつき
)
経
(
たち
)
て
一旦
(
いったん
)
富みし弟の
阿利吒
(
ありた
)
は
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
夏の間に、あの壮んな生の機能を充分に営みおわって、いまや大地に
委
(
ゆだ
)
ねた落葉には、いかにもしずかな悠安のすがたがある。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
一個人としては強き資本家階級も、下層民の集合の勢力に敵し兼ねて、自己の運命を彼等の掌中に
委
(
ゆだ
)
ねなければならなくなる。
永久平和の先決問題
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
いやしくも父兄が信頼して、子弟の教育を
委
(
ゆだ
)
ねる学校の分として、
婦
(
おんな
)
、
小児
(
こども
)
や、
茱萸
(
ぐみ
)
ぐらいの事で、臨時休業は
沙汰
(
さた
)
の限りだ。
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三宅氏は又「批評をも全々(原)小説家の手に
委
(
ゆだ
)
ねておく事は、寧ろ文学の進歩発展を
渋滞
(
じふたい
)
させる恐れがある」と言つてゐる。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
傭
(
やと
)
うべき駄馬の背も見つからなかった。従って、当面の必要なもの以外を和船の
回漕
(
かいそう
)
に
委
(
ゆだ
)
ねたのも
止
(
や
)
むを得ない事情であった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
生涯を物欲に
委
(
ゆだ
)
ね切って、ずいぶん無理な金を溜めたためにさんざん諸人の
怨
(
うら
)
みを買ったらしく、先年女房に死に別れ、
放埒
(
ほうらつ
)
な
倅
(
せがれ
)
を勘当して
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
奪われ全く忘れたる如し独り忘れぬは
最寄
(
もより
)
警察の刑事巡査なり死骸の露見せし朝の猶お暗き頃より心を此事にのみ
委
(
ゆだ
)
ね身を此事にのみ使えり
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
ゆかは
暖炉
(
だんろ
)
の
温
(
ぬく
)
まりにて解けたる、靴の雪にぬれたれば、あたりの人々、かれ笑ひ、これ
罵
(
ののし
)
るひまに、
落花狼藉
(
らっかろうぜき
)
、なごりなく泥土に
委
(
ゆだ
)
ねたり。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
侯爵
(
こうしゃく
)
を会頭に頂くその会は、彼の力で設立の主意を
綺麗
(
きれい
)
に事業の上で完成した
後
(
あと
)
、彼の手元に二万円ほどの剰余金を
委
(
ゆだ
)
ねた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その
美貌
(
びぼう
)
とかの方へ
牽
(
ひ
)
かれがちなため、彼女の魂の美しさを物語る遺文がともすれば、
好事家
(
こうずか
)
の
賞玩
(
しょうがん
)
にのみ
委
(
ゆだ
)
ねられてゐることではあるまいか。
ジェイン・グレイ遺文
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「人は同時におのれの重荷たりおのれの誘惑たる肉体を身に有す。人はそれを
担
(
にな
)
い歩きしかしてそれに身を
委
(
ゆだ
)
ぬるなり。」
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
それだからもしわれわれがこの身を天と地とに
委
(
ゆだ
)
ねて天の法則に従っていったならば、われわれは欲せずといえども天がわれわれを助けてくれる
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
そして軈ては、藝術家が最も自己を發揮するに適するからといふ
理由
(
りいう
)
で、
生涯
(
しやうがい
)
を
繪畫
(
くわいぐわ
)
研究
(
けんきう
)
に
委
(
ゆだ
)
ねるからと切込まれた。勝見子爵はがツかりした。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
従って当時の婦人には、親和力の向かうままに夫を変える自由があると共に、また身を
委
(
ゆだ
)
ねた男からいつ捨てられるかわからない危険もあった。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
私はその老僧から、飯山の古い城主の中には若くて政治的生涯を離れ、僧侶の服を纏い、一生仏教の伝道に身を
委
(
ゆだ
)
ねた人のあったことを聞いた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
恐
(
おそ
)
らく
震災
(
しんさい
)
で一度
潰
(
つぶ
)
れたのを、また復活させてみたが、思わしくないので、そのまま
蜘蛛
(
くも
)
の
棲家
(
すみか
)
に
委
(
ゆだ
)
ねてしまったものだろう。それにしても……。
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
労働と漂泊に身を
委
(
ゆだ
)
ねてしまったものですから、国籍は海の上にあって、戸籍は船の中にあるものと心得ているらしい。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
恋に破れた若侍が、
翻然
(
ほんぜん
)
心を宗教に向け、人間の力の
能
(
あた
)
う限りの難行苦行に身を
委
(
ゆだ
)
ねてから、五年の歳月が飛び去った。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
これ迄一ヶ年以上私は少しも
他手
(
ひとで
)
に
委
(
ゆだ
)
ねずに乳も自分の以外にはやらずに育てゝ来ました。私は子供をおいて外出するやうな事も全く稀なのでした。
『青鞜』を引き継ぐに就いて
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
そういえばバスや電車の席にぐったりと
凭掛
(
よりかか
)
っている人間の姿も、何か
空漠
(
くうばく
)
としたものに身を
委
(
ゆだ
)
ねているようである。
秋日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
伊太利
(
イタリー
)
のさる
繁華
(
はんくわ
)
なる
港
(
みなと
)
に
宏大
(
りつぱ
)
な
商會
(
しやうくわい
)
を
立
(
た
)
てゝ、
專
(
もつぱ
)
ら
貿易事業
(
ぼうえきじげふ
)
に
身
(
み
)
を
委
(
ゆだ
)
ねて
居
(
を
)
る
由
(
よし
)
、おぼろながらに
傳
(
つた
)
へ
聞
(
き
)
くのみ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
竹の実は自然穀、またはジネゴという名もあって、少しは人も
採
(
と
)
って食べるが、大部分は野山の生物に
委
(
ゆだ
)
ねられる。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
仙台のまちに
委
(
ゆだ
)
ねてしまうのだから、つい念入りにこのまちの性格に就いて考え、あれこれと不満を並べてみたくなっただけの事で、こんな気風のまちは
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
その道程を一人で靜かに歩いて行きたいと思つて、馬車を馬丁の手に
委
(
ゆだ
)
ねてから六月のある夕方六時頃、私は極く目立たぬやうにジョージ旅館を忍び出た。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
欣之介から取上げられて再び小作人たちの手に
委
(
ゆだ
)
ねられた裏の畑地は、何事も起らなかつたもののやうに、間もなく、以前と少しの変りもない
旧
(
もと
)
の姿に
復
(
かへ
)
つて行つた。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
しかし己は
高
(
たか
)
が身の
周囲
(
まわり
)
の物事を傍観して理解したというに過ぎぬ。己と身の
周囲
(
まわり
)
の物とが一しょに織り交ぜられた事は無い。
周囲
(
まわり
)
の物に心を
委
(
ゆだ
)
ねて
我
(
われ
)
を忘れた事は無い。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
それから間もなく、馬の世話は房一の手に
委
(
ゆだ
)
ねられることになつた。彼は一心に手入をした。彼よりも馬の方が身綺麗であると思はれる位に馬は毛並みも艶々として来た。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
その時刻の激浪に形骸の
翻弄
(
ほんろう
)
を
委
(
ゆだ
)
ねたまま、K君の魂は月へ月へ、
飛翔
(
ひしょう
)
し去ったのであります。
Kの昇天:或はKの溺死
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
二人で
懇談
(
こんだん
)
を重ねた結果、具体案を作って寄付者に提示したところ、先方では、その根本方針に
双手
(
もろて
)
をあげて賛成し、
一切
(
いっさい
)
を田沼さんの自由な処理に
委
(
ゆだ
)
ねたばかりでなく
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
彼は播いた種を大地に
委
(
ゆだ
)
ねて、安心して眠りまた起きる。そのうちに、いつの間にか芽が出で茎が伸びるのです。そして自然の順序を追って苗から穂、穂から穀ができる。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
日の落ちるのを眼の前にして、ゲッセマネに於いての、残酷なほどの痛ましい心の苦闘を、もう一人の分身として、そこに放り出されてゐる現実の己れに富岡は
委
(
ゆだ
)
ねてみる。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
作曲家と振付家に
委
(
ゆだ
)
ぬべきは勿論の事ではあるが、これ等の芸術によって
仕活
(
しい
)
かすところの宗教的思想——或は宗教的アトモスフィーヤ——に就いて一応作家の意図を述べて
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
明治新社会の形成をまったく男子の手に
委
(
ゆだ
)
ねた結果として、過去四十年の間一に男子の
奴隷
(
どれい
)
として規定、訓練され(法規の上にも、教育の上にも、はたまた実際の家庭の上にも)
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
その運命を想い、その
衷情
(
ちゅうじょう
)
を想う。私はこの
書翰
(
しょかん
)
を貴方がたの手に
委
(
ゆだ
)
ねたい。これを通じて私の心が貴方がたの心に触れ得るなら、この世の悦びが一つ私の上に加わるのである。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
風雲惨澹として
旌旗
(
せいき
)
を捲く
仇讎
(
きゆうしゆう
)
を
勦滅
(
そうめつ
)
するは此時に在り 質を二君に
委
(
ゆだ
)
ぬ
原
(
も
)
と恥づる所 身を
故主
(
こしゆう
)
に殉ずる
豈
(
あに
)
悲しむを
須
(
ま
)
たん 生前の功は未だ
麟閣
(
りんかく
)
に
上
(
のぼ
)
らず 死後の名は先づ
豹皮
(
ひようひ
)
を
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
委
常用漢字
小3
部首:⼥
8画
“委”を含む語句
委曲
委細
委敷
委員
委託
委蛇
源委
委曲詳細
委任
委積
委員会
委嘱
心委
委托
委細承知
出委
委陀
委却
市内衛生会委員
赤露非常委員会
...