トップ
>
太
>
はなは
ふりがな文庫
“
太
(
はなは
)” の例文
此説は世の伝ふる所と
太
(
はなは
)
だ
逕庭
(
けいてい
)
がある。世の伝ふる所は一見いかにも自然らしく、これを前後の事情に照すに、しつくりと
脗合
(
ふんがふ
)
する。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
公子夫婦の心
冷
(
ひやゝか
)
なる、既に好き聽衆とすべきならぬに、今又此毒舌の翁を獲つ。我が本讀の前兆は
太
(
はなは
)
だ佳ならざるが如くなりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
と、東京出発以来、いかにして調達すべきかと、それをばかり苦にしつゞけた池田君は、
太
(
はなは
)
だ、正直に、惜みなく、口もとをほころばした。
にはかへんろ記
(新字旧仮名)
/
久保田万太郎
(著)
所謂
(
いはゆる
)
幹事の才なる者は蓋し彼に於て始めて見るべし。之を聞く彼れの時事新報を書くや
些少
(
させう
)
の誤字をも注意して更正すること
太
(
はなは
)
だ綿密なりと。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
一に私意を以て
邪詖
(
じゃひ
)
の
辞
(
ことば
)
を出して、
枉抑
(
おうよく
)
太
(
はなは
)
だ過ぎたり、世の人も心
亦
(
また
)
多く平らかならず、
況
(
いわ
)
んや
其
(
その
)
学を
宗
(
そう
)
する者をやと。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
我邦近世ノ詩人六如師ハ第二集ヲ以テ絶佳トナス。
杏坪
(
きょうへい
)
翁モマタ晩年ノ詩ヲ以テ絶佳トナス。ワガ友雲如山人詩篇
太
(
はなは
)
ダ富ム。陸続トシテ刻ニ付ス。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
我は
太
(
はなは
)
だ
力
(
つと
)
めたりといへども、こころよく笑ひゆく彼等に続くあたはずして、独のこされしことの殆夢のごとかりき。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
あだかも符節を合すような次第であったので一時
太
(
はなは
)
だしく激して誤まって父母の写真を投附たものゝ、それはその夜の失望が大いに怒を助けて居たので
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
色彩に
亢奮
(
こうふん
)
していた私の神経の
所為
(
せい
)
か、花嫁は
白粉
(
おしろい
)
を厚く塗って
太
(
はなは
)
だ
麗
(
うつく
)
しいけれど、細い切れた様な眼がキット
釣上
(
つりあが
)
っている、それがまるで孤の
面
(
つら
)
に似ている。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
「人の悪を
攻
(
せ
)
むるは
太
(
はなは
)
だ
厳
(
げん
)
なるなかれ、その受くるに
堪
(
た
)
うるを
思
(
おも
)
うを要す。人に教うるに善を以てするは、高きに過ぐるなかれ、それをして従うべからしむべし」
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
天保五年の正月においては、米百俵に附き百四十五両余の
相庭
(
そうば
)
となり、
餓莩
(
がひょう
)
路に満つの状ありき。「黄金
太
(
はなは
)
だ重く天下軽し」、小民
怨嗟
(
えんさ
)
の声は、貴人の
綺筵
(
きえん
)
に達せず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
その前に
騙
(
かた
)
りし金を「維盛様御夫婦の路用にせんと盗んだ金」といふは、
太
(
はなは
)
だ矛盾せり。
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
江木衷博士夫人欣々女史は老後、大本教に帰依して自殺し、晩年
太
(
はなは
)
だ不幸であつたが、新派劇の総帥川上音二郎夫人貞奴は戦中も尚中熱海面に安穏に晩年を養つてゐたはずである。
大正東京錦絵
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
急度
(
きつと
)
愼
(
つゝし
)
むならばと一ト
先
(
まづ
)
勘辨
(
かんべん
)
にぞ及びける
仍
(
よつ
)
て久八より
猶
(
なほ
)
又千太郎に堅く異見をなし
呉々
(
くれ/″\
)
も
愼
(
つゝし
)
み給へとて
蔭
(
かげ
)
に
成
(
なり
)
日向
(
ひなた
)
になり忠義を
盡
(
つく
)
しければ千太郎も
太
(
はなは
)
だ後悔に及び
暫
(
しばら
)
く吉原通ひを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
初心の者はとかくに思ひつきたる趣向を十七字に
綴
(
つづ
)
り得ぬとて思ひ
棄
(
す
)
つるぞ多き、
太
(
はなは
)
だ損なり。十七字にならねば十五字、十六字、十八字、十九字
乃至
(
ないし
)
二十二、三字一向に
差支
(
さしつかえ
)
なし。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
婢
(
ひ
)
あり別れを惜みて
伏水
(
ふしみ
)
に至る。兵士
環
(
めぐ
)
つて之を
視
(
み
)
る。南洲輿中より之を招き、其背を
拊
(
う
)
つて曰ふ、
好在
(
たつしや
)
なれと、金を
懷中
(
くわいちゆう
)
より出して之に與へ、
旁
(
かたは
)
ら人なき若し。兵士
太
(
はなは
)
だ其の情を
匿
(
かく
)
さざるに服す。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
畢竟
(
ひつきよう
)
彼は何等の害をも加ふるにあらざれば、犬の寝たると
太
(
はなは
)
だ
択
(
えら
)
ばざるべけれど、
縮緬
(
ちりめん
)
の
被風
(
ひふ
)
着たる人の形の
黄昏
(
たそが
)
るる門の薄寒きに
踞
(
つくば
)
ひて、灰色の
剪髪
(
きりがみ
)
を
掻乱
(
かきみだ
)
し、
妖星
(
ようせい
)
の光にも似たる
眼
(
まなこ
)
を
睨反
(
ねめそら
)
して
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「味
太
(
はなは
)
ダ濃重ナル者ハ只宜シク独用スベシ、搭配スベカラズ……」
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今年米賤太傷農 今年米
賤
(
やす
)
くして
太
(
はなは
)
だ農を傷む
詩人への註文
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
自分の注意の
太
(
はなは
)
だ粗漫だったことが……なぜ、もッと、完全なメモをとって置かなかったかということが、わけもなく
悔
(
くや
)
まれたのである……
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
袱紗
(
ふくさ
)
に記した縁起、西山遺事の書後並に欄外書等は、自筆とは云ひながら
太
(
はなは
)
だ意を用ゐずして寫した細字に過ぎない。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
車を下る客の中に、稍〻肥えたる一夫人あるを見て進み近づき、
扶
(
たす
)
けて下らしめ、ことさらに挨拶す。相識の客なればなるべし。夫人の顏色は
太
(
はなは
)
だ美し。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
内藤岡ノ二士及ビ泥江春濤円桓同ジク舟ニ入ル。
饗
(
きょう
)
具
(
とも
)
ニ
備
(
そなわ
)
ル。潮ハ
方
(
まさ
)
ニ落チテ舟ノ行クコト
太
(
はなは
)
ダ
駛
(
すみや
)
カニ橋ヲ過グルコト七タビ始メテ
市廛
(
してん
)
ヲ離ル。日
已
(
すで
)
ニ
暝
(
くら
)
シ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
是れ実に驚くべし。
而
(
しか
)
も人
若
(
も
)
し何故に彼が外史の編述に志したるかを知り更に其著の目的と其結果との
太
(
はなは
)
だ相違せしことを察すれば更に一層の驚歎を加ふべし。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
市井
(
しせい
)
の間の小人の争いて販売する者の
所為
(
しょい
)
と何を以てか異ならんや、と云い、先賢大儒、世の尊信崇敬するところの者を、
愚弄
(
ぐろう
)
嘲笑
(
ちょうしょう
)
すること
太
(
はなは
)
だ過ぎ、其の口気甚だ憎む可し。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
人事の写実は
難
(
かた
)
く天然の写実は
易
(
やす
)
し。偶然の写実は材料少く、故為の写実は材料多し。故に写実の目的を以て天然の風光を探ること最も俳句に適せり。数十日の
行脚
(
あんぎゃ
)
を為し得べくんば
太
(
はなは
)
だ可なり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
もと/\口数の
寡
(
すくな
)
い、俗にいう
沈黙
(
むっつり
)
の方で、たまたま学友と会することがあっても、そうだそうでないと極めて簡短な語をもって、同意不同意を表白するだけで、あえて
太
(
はなは
)
だしく論議したことはない
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
緑
濃
(
こまや
)
かに
生茂
(
おひしげ
)
れる庭の木々の
軽々
(
ほのか
)
なる
燥気
(
いきれ
)
と、近き
辺
(
あたり
)
に有りと有る花の
薫
(
かをり
)
とを
打雑
(
うちま
)
ぜたる夏の初の大気は、
太
(
はなは
)
だ
慢
(
ゆる
)
く動きて、その間に
旁午
(
ぼうご
)
する
玄鳥
(
つばくら
)
の声
朗
(
ほがらか
)
に、
幾度
(
いくたび
)
か返しては
遂
(
つひ
)
に往きける跡の
垣穂
(
かきほ
)
の
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
わたくしがことさらに此詩を取るのは、蘭軒の菅に
太
(
はなは
)
だ親しく頼に稍
疎
(
うと
)
かつたことを知るべき資料たるが故である。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
然れども紙面殆ど餘白を留めず、段落猶且連續して書し、以て紙數をして
太
(
はなは
)
だ加はらざらしむることを得たり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
勿論、ぼくは、自分の、生れ、そして育った土地を、改めてみ直す機会をえたことを、
太
(
はなは
)
だよろこんだ。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
斯
(
かゝ
)
る注入的の教育を以て人物を作らんとす、吾人其
太
(
はなは
)
だ難きを知る、昔し藤森弘庵、藤田東湖に語りて曰く、水藩に於て学校の制を立てしこと尋常一様の士を作るには足りなん
英雄論:明治廿三年十一月十日静岡劇塲若竹座に於て演説草稿
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
其
(
その
)
歳
(
とし
)
閏
(
うるう
)
九月、たま/\
天文
(
てんもん
)
の変ありて、
詔
(
みことのり
)
を下し
直言
(
ちょくげん
)
を求められにければ、
山西
(
さんせい
)
の
葉居升
(
しょうきょしょう
)
というもの、上書して第一には分封の
太
(
はなは
)
だ
侈
(
おご
)
れること、第二には刑を用いる
太
(
はなは
)
だ
繁
(
しげ
)
きこと
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
イクバクモナクシテ都ニ入ル。
坎坷
(
かんか
)
不遇。後ニ
太政官
(
だいじょうかん
)
ニ出仕シ、官ニアルコト十余年、明治
庚寅
(
こういん
)
病ヲ以テ
亡
(
ほろ
)
ブ。詩稿
散佚
(
さんいつ
)
シ流伝スルモノ
太
(
はなは
)
ダ
罕
(
まれ
)
ナリ。余多方ニ
捜羅
(
そうら
)
シ僅ニ数首ヲ得タリ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
始終茶山と
太
(
はなは
)
だ
疎
(
うと
)
くは無かつたのである。一説に田内は「でんない」と呼ぶべきであらうと云ふ。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
キリストに比すれば、光芒
太
(
はなは
)
だ減ずるを覚ふ、是余一人の私言に非ず、又「クリスチァン」の偏説にも非ず、歴史を編む者、
悉
(
こと/″\
)
く之を認む、ルーサーも之を認め、ギボンも之を認め
英雄論:明治廿三年十一月十日静岡劇塲若竹座に於て演説草稿
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
演奏が
畢
(
おわ
)
ってから、勝三郎らは花園を
観
(
み
)
ることを許された。
園
(
その
)
は
太
(
はなは
)
だ広く、珍奇な
花卉
(
かき
)
が多かった。園を過ぎて
菜圃
(
さいほ
)
に
入
(
い
)
ると、その
傍
(
かたわら
)
に
竹藪
(
たけやぶ
)
があって、
筍
(
たけのこ
)
が
叢
(
むらが
)
り生じていた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
而して田口君は此点に於て
太
(
はなは
)
だ蘇峰氏に似たり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
たとひ我擧はかれの矢ぶみもて促し
挑
(
いど
)
みたるところなりといへども、わが最終の言葉にはおそらくは影護きところあることを免れずして、我謀は到底
太
(
はなは
)
だ
拙
(
つたな
)
しとせらるゝに至らむ。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
茝庭は抽斎の最も親しい友の
一人
(
ひとり
)
で、
二家
(
にか
)
の往来は
頻繁
(
ひんぱん
)
であった。しかし当時法印の位は
太
(
はなは
)
だ
貴
(
とうと
)
いもので、茝庭が渋江の家に来ると、茶は台のあり
蓋
(
ふた
)
のある茶碗に
注
(
つ
)
ぎ、菓子は
高坏
(
たかつき
)
に盛って出した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
備わるを求むることの
太
(
はなは
)
だ過ぎたるものではなかろうか。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
太
常用漢字
小2
部首:⼤
4画
“太”を含む語句
太陽
猶太人
墺太利
伊太利
太夫
猶太
太子
太息
太刀
太古
太股
以太利
太陽様
太政官符
太々
樺太
太郎
太棹
太初
大太鼓
...