大地震おほぢしん)” の例文
暴風雨ばうふううとしから、ばつたりなくつた。それが、今年ことし、しかもあの大地震おほぢしんまへ暮方くれがたに、そらなみのやうにれてわたりついた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大地震おほぢしん場合ばあひおいて、二階建にかいだてあるひ三階建さんがいだてとう最下層さいかそうもつと危險きけんであることは、さら詳説しようせつようしないほどによくられてゐる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
先日こなひだ横山大観氏が席上せきじやう揮毫きがうで、画絹ゑきぬ書損かきそこなひをどつさりこしらへて、神戸の富豪ものもちの胆を潰させた事を書いたが、人間の胆といふものは、大地震おほぢしん大海嘯おほつなみの前には平気でゐて、かへつて女の一寸したくさみ
ぎに推古天皇すゐこてんのうの七ねん乙未きのとひつじぐわつ廿七にち大地震おほぢしんがあつた。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
いきくやうに、一度いちどんで、しばらくぴつたとしづまつたとおもふと、いとゆすつたやうにかすかたのが、たちまち、あの大地震おほぢしんであつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わがくに大地震おほぢしん激震區域げきしんくいきひろいとせまいとによつて、これを非局部性ひきよくぶせいのものと、局部性きよくぶせいのものとに區別くべつすること出來できる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
おもはず慄立よだてたのは、さく十四年じふよねん五月ごぐわつ二十三日にじふさんにち十一時じふいちじ十分じつぷん城崎きのさき豐岡とよをか大地震おほぢしん大火たいくわ號外がうぐわいると同時どうじであつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それと同時どうじ津浪つなみともなふことが其特色そのとくしよくである。これにはんして局部性きよくぶせい大地震おほぢしん規模きぼ狹小きようしようであるが、おほ陸地りくちおこるがために震動しんどう性質せいしつ急激きゆうげきである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ふまでのことではあるまい。昨日さくじつ……大正たいしやう十二ねんぐわつじつ午前ごぜん十一五十八ふんおこつた大地震おほぢしんこのかた、たれ一睡いつすゐもしたものはないのであるから。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やまくづれたので、當時たうじ大地震おほぢしん觸頭ふれがしらつた場所ばしよの、あまつさ四五日しごにち琅玕らうかんごとあし水面すゐめんかぜもなきになみてると、うはさしたをりであつたから。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大地震おほぢしんを、あのときすでに、不氣味ぶきみ按摩あんま豫覺よかくしたるにあらざるか。しからば八千八聲はつせんやこゑきつゝも、生命せいめいだけはたすかつたらう。きぬあらひしむすめも、みづはだこがすまい。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すでに、大地震おほぢしん當夜たうやから、野宿のじゆくゆめのまださめぬ、四日よつか早朝さうてう眞黒まつくろかほをして見舞みまひた。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
番町ばんちやうして十二三年じふにさんねんになる。あの大地震おほぢしんまへとし二月四日にぐわつよつか大雪おほゆきであつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その前夜ぜんやのあの暴風雨ばうふううをわすれたやうに、あさかられ/″\とした、お天氣模樣てんきもやうで、つじつてれいしたほどである。おそろしき大地震おほぢしん大火たいくわために、大都だいとなかば阿鼻焦土あびせうどとなんぬ。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
引手ひきて馬方うまかたもない畜生ちくしやうが、あの大地震おほぢしんにもちゞまない、ながつらして、のそり/\と、大八車だいはちぐるまのしたゝかなやつを、たそがれのへい片暗夜かたやみに、ひともなげにいてしてる。重荷おもにづけとはこのことだ。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
をつけてるのだから、臺所だいどころ、ものおきあらしても、めつたにたゝみませないのに、大地震おほぢしん一搖ひとゆれで、家中うちぢうあなだらけ、隙間すきまだらけで、我家わがや二階にかいでさへ、壁土かべつち塵埃ほこりすゝと、ふすま障子しやうじほねだらけな
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)