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周囲
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まわり
ふりがな文庫
“
周囲
(
まわり
)” の例文
旧字:
周圍
彼は先生の家の
周囲
(
まわり
)
を歩くというだけで満足して、やがて金目垣に囲われた平屋造りの建物の側面と勝手口の障子とを眺めて通った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
屋敷
(
やしき
)
の
周囲
(
まわり
)
には
広々
(
ひろびろ
)
とした
圃
(
はたけ
)
がありました。そして、そこにはばらの
花
(
はな
)
や、けしの
花
(
はな
)
が、いまを
盛
(
さか
)
りに
咲
(
さ
)
き
乱
(
みだ
)
れているのであります。
けしの圃
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
宗近君は脱いだ両袖をぐるぐると腰へ巻き付けると共に、
毛脛
(
けずね
)
に
纏
(
まつ
)
わる
竪縞
(
たてじま
)
の
裾
(
すそ
)
をぐいと
端折
(
はしお
)
って、同じく
白縮緬
(
しろちりめん
)
の
周囲
(
まわり
)
に畳み込む。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
(無造作に、座を立って、
卓子
(
テエブル
)
の
周囲
(
まわり
)
に近づき、手を取らんと
衝
(
つ
)
と
腕
(
かいな
)
を伸ばす。美女、崩るるがごとくに椅子をはずれ、床に伏す。)
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「でもあの辺は
可
(
よ
)
うございますのね、
周囲
(
まわり
)
がお
賑
(
にぎや
)
かで」おゆうはじろじろお島の髷の形などを見ながら自分の
髪
(
あたま
)
へも手をやっていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
あの襟化粧をした
頸部
(
くび
)
の
周囲
(
まわり
)
に、生々しい斑点となって群がり残っている絞殺の痕跡……紫や赤のダンダラを畳んでいる
索溝
(
ストラングマルク
)
を……。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お宅は
下根岸
(
しもねぎし
)
もズッと末の方で
極
(
ご
)
く閑静な処、屋敷の
周囲
(
まわり
)
は
矮
(
ひく
)
い生垣になって居まして、其の外は
田甫
(
たんぼ
)
、其の
向
(
むこう
)
に
道灌山
(
どうかんやま
)
が見える。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
瀑壺の
周囲
(
まわり
)
は瀑水の
飛沫
(
しぶき
)
が霧となって立ち罩めているのに、高い木立の隙間から漏れた陽の光が射して処どころに虹をこしらえていた。
蛇怨
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
しかし、その理由と、原因をわざわざと探し求めるまでもなく、米友の身の
周囲
(
まわり
)
に降りそそぐ
石礫
(
いしつぶて
)
が、とりあえずこの不穏を報告する。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
キャラコさんの
周囲
(
まわり
)
でさまざまな人生の起伏を見せたひとたちが、ただ二人だけを除いて、あとは一人残らず全部ここにそろっている。
キャラコさん:11 新しき出発
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
次に現場の踏査に移り、慎重に視察した揚句、署長にそう言って屍体のあった
周囲
(
まわり
)
二メートル平方の
広袤
(
ひろさ
)
を、充分に灰を
篩
(
ふる
)
わせた。
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
その男の押すボタンに連れて、珠が鏡に変わるのである。部屋の広さ三十畳敷ぐらいそこに幾個か円卓があり、円卓の
周囲
(
まわり
)
に
榻
(
とう
)
がある。
前記天満焼
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
というのは、
周囲
(
まわり
)
の人達が、何かセエラの方に味方しているようだったからです。少女達は、実をいうと、皆
宮様
(
プリンセス
)
が好きだったのです。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
その
周囲
(
まわり
)
には御殿女中と町娘と芸者らしい姿した女がいずれ劣らずこの男に魂までも打込んでいるという風にしなだれ掛っていた。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
出す時には骨付のまま皿へ盛ってパンの小さく切ったのをフライして
周囲
(
まわり
)
へ置きますが尾の肉が柔くなってなかなか
美味
(
おいしゅ
)
うございます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
田鶴子さんと二人で池の
周囲
(
まわり
)
を歩いて見た。大きな川が出来るほど清水が湧いているのだから、夏場所としてはこの上のところはない。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
これには何か深い
仔細
(
しさい
)
がなくてはかなわぬと先刻から眼惹き袖引き聴耳立てていた
周囲
(
まわり
)
の一同、ここぞとばかりに
犇々
(
ひしひし
)
と取り巻いてくる。
早耳三次捕物聞書:02 うし紅珊瑚
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
僕は
戸外
(
そと
)
へ飛びだした。夜見たよりも一段、
蕭条
(
しょうじょう
)
たる海
辺
(
べ
)
であった。家の
周囲
(
まわり
)
は
鰯
(
いわし
)
が軒の高さほどにつるして一面に
乾
(
ほ
)
してある。
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
銃劒が心臓の
真中心
(
まッただなか
)
を貫いたのだからな。それそれ軍服のこの大きな
孔
(
あな
)
、
孔
(
あな
)
の
周囲
(
まわり
)
のこの血。これは
誰
(
たれ
)
の
業
(
わざ
)
? 皆こういうおれの
仕業
(
しわざ
)
だ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
そういいながらイタリアで散歩をしていて、
賑
(
にぎや
)
かな生活に身の
周囲
(
まわり
)
を取り巻かれているのだ。僕はそういうのを気取っているというのだ。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
けれども、
其対手
(
そのあいて
)
の市郎は云うに及ばず、父の安行も
周囲
(
まわり
)
の人々も、お葉の恋を
斯
(
か
)
ばかりに熱烈なるものとは想像し得なかった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
花壇の上にも、畠の上にも、蜜柑の木の
周囲
(
まわり
)
にも、
蜜蜂
(
みつばち
)
が沢山飛んでいるので、石田は大そう蜜蜂の多い処だと思って爺さんに問うて見た。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
辺鄙な田舎ですから、家も家の
周囲
(
まわり
)
も、まことに駄々っ広いのです。裏の山林を背にして、先祖代々の屋敷は、昔となんの変りもありません。
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
いくらわたし娘の時から
周囲
(
まわり
)
から責められ通しに責められていても、今だに女手一つで
二人
(
ふたり
)
の妹まで背負って立つ事はできませんからね。……
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
此所
(
ここ
)
で話が前置きをして置いた浅草大火の
件
(
くだり
)
となるのですが、その前になお少し火事以前の雷門を中心としたその
周囲
(
まわり
)
の町並み、あるいは
古舗
(
しにせ
)
幕末維新懐古談:11 大火以前の雷門附近
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「こう、みんなも聴けよ」彼は、
周囲
(
まわり
)
の
南瓜面
(
かぼちゃづら
)
を、ずーッと
睨
(
ね
)
めまわした。「ありゃナ、クレーンが、動いている音さ!」
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
これを目撃した町の人々や、同じく帰途にあった女学生たちは、余りのことに呆れ果てて、その
周囲
(
まわり
)
に立ちつくしました。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
少し
腫
(
むく
)
みのある顔を悲しそうに
蹙
(
しか
)
めながら、そっと腰の
周囲
(
まわり
)
をさすっているところは男前も何もない、血気盛りであるだけかえってみじめが深い。
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
そこで弟子たちが注意申し上げて、「ここは寂しき所、はや時も
晩
(
おそ
)
し。人々を去らしめ、
周囲
(
まわり
)
の里また村に
往
(
ゆ
)
きて、己がために食物を買わせ給え」
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
と、強い決意の色を示したが、途端に身の
周囲
(
まわり
)
を見廻して、手近にあった紙おさえにしてあった小さなものを取って
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼の
家
(
うち
)
の
門口
(
かどぐち
)
へ駈けこんだ時、良平はとうとう大声に、わっと泣き出さずにはいられなかった。その泣き声は彼の
周囲
(
まわり
)
へ、一時に父や母を集まらせた。
トロッコ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
崖下
(
がけした
)
にある一構えの
第宅
(
やしき
)
は郷士の
住処
(
すみか
)
と見え、よほど古びてはいるが、骨太く
粧飾
(
かざり
)
少く、夕顔の
干物
(
ひもの
)
を
衣物
(
きもの
)
とした
小柴垣
(
こしばがき
)
がその
周囲
(
まわり
)
を取り巻いている。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
泉原の
周囲
(
まわり
)
の人々は一斉に振返って、奇声をあげた小さな日本人を不思議そうに
瞶
(
みは
)
っている。泉原は
突嗟
(
とっさ
)
の間に
雑沓
(
ざっとう
)
の間を縫ってM駅行の切符を
購
(
か
)
った。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
それに
周囲
(
まわり
)
は厚い壁で仕切られているし、話声の外部へもれる恐れもない。お梶さんはやっと安心したらしく
蛇性の執念
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
太平洋の濤に囲まれた小さな島の・椰子の葉で
葺
(
ふ
)
いた土民小舎の中で、家の
周囲
(
まわり
)
にズシンと落ちる椰子の実の音を聞いている時に、突然思出されたものか。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
アンドレイ、エヒミチは
知識
(
ちしき
)
と
廉直
(
れんちょく
)
とを
頗
(
すこぶ
)
る
好
(
この
)
みかつ
愛
(
あい
)
していたのであるが、さて
彼
(
かれ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
周囲
(
まわり
)
にはそう
云
(
い
)
う
生活
(
せいかつ
)
を
設
(
もう
)
けることは
到底
(
とうてい
)
出来
(
でき
)
ぬのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
俄かに気がついて身の
周囲
(
まわり
)
を見廻してみると、それがみんな手探りも出来ない無色無臭の中央であつたりする。
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
そうしていろ/\の恐しい噂に驚かされて、白昼に伝家の一刀を
横
(
よこた
)
えて、家の
周囲
(
まわり
)
を歩き廻った一人である。
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
海には、まだ大きな鯨共が、逃げもせずにグルグルと船の
周囲
(
まわり
)
をまわっていた。それは不思議な景色だった。
動かぬ鯨群
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
その
背後
(
うしろ
)
と
周囲
(
まわり
)
と、それから到る処たくさんの墓の上に死者の霊火が蝋燭のように燃えていた。いまだかつて人の目にこれほどの鬼火が見えた事はなかった……
耳無芳一の話
(新字新仮名)
/
小泉八雲
(著)
その枝は四百一尺の
周囲
(
まわり
)
の
明地
(
あきち
)
をグルリと覆ふてゐる。一二二九年に此の木はもう余程年とつてゐた。其の時代の著述家に『大きなリンデン』と云はれてゐた。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
今
越歴
(
エレキ
)
の講義が終ッて試験に掛る所で、皆「えれくとりある、ましん」の
周囲
(
まわり
)
に集って、何事とも解らんが、何か
頻
(
しき
)
りに云い争いながら騒いでいるかと思うと
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
キチンと四角に坐ったまま少しも
膝
(
ひざ
)
をくずさないで、少し
反身
(
そりみ
)
に
煙草
(
たばこ
)
を
燻
(
ふ
)
かしながらニヤリニヤリして、余り
口数
(
くちかず
)
を
利
(
き
)
かずにジロジロ
部屋
(
へや
)
の
周囲
(
まわり
)
を見廻していた。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
戦争の気配もないのに、大砲の音が遠くで
聴
(
きこ
)
え、城壁の
周囲
(
まわり
)
に立てた支那の旗が、青や赤の
総
(
ふさ
)
をびらびらさせて、青竜刀の列と一所に、無限に沢山連なっていた。
日清戦争異聞:(原田重吉の夢)
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
自分のことばかり考えて、
周囲
(
まわり
)
に自分だけの城を築いて暢気に世の中を送るやつが——思いきってそういうことのできるやつが、結局一番利口なんじゃないかな。
安重根:――十四の場面――
(新字新仮名)
/
谷譲次
、
林不忘
(著)
が、彼は
烈
(
はげ
)
しい怒りで、口の
周囲
(
まわり
)
の筋肉が、ピク/\と
痙攣
(
けいれん
)
する丈で、言葉は少しも、出て来なかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
彼の
周囲
(
まわり
)
には、賊の風采に比べて甚だ見劣りのする警官達が十数名、帯剣の柄を握って警戒している。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
周囲
(
まわり
)
には真黒い厚ぼったいカーテンが重そうにゆるやかな
襞
(
ひだ
)
をうって垂下っている中に、小さい赤燈が、ぼんやりと、いまにも絶入りそうな弱い光の輪を描いていた。
魔像
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
頭髪
(
かみ
)
を
金色
(
こんじき
)
に染め、その蒼白い頬を生々した薔薇色に見せ、彼女の
周囲
(
まわり
)
をちょろちょろとダンスをやりながら、額や、
眼瞼
(
まぶた
)
や、唇のあたりに気まぐれな
陰影
(
かげ
)
を投げかけた。
犬舎
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
しかし己は
高
(
たか
)
が身の
周囲
(
まわり
)
の物事を傍観して理解したというに過ぎぬ。己と身の
周囲
(
まわり
)
の物とが一しょに織り交ぜられた事は無い。
周囲
(
まわり
)
の物に心を
委
(
ゆだ
)
ねて
我
(
われ
)
を忘れた事は無い。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
“周囲(
周辺
)”の解説
世界システム論で周辺(しゅうへん)、周囲(しゅうい)は、資本が乏しく、技術力も劣る発展途上国・地域をいう。世界システム論の提唱者ウォーラーステインは、周辺は中核の国(先進国)や地域に対し、不利な条件で、原料や食糧を供給させられ、貧困から抜け出せないとした。しかし、BRICsのようにまれに周辺から中核への上昇、またはその逆もある。
(出典:Wikipedia)
周
常用漢字
小4
部首:⼝
8画
囲
常用漢字
小5
部首:⼞
7画
“周囲”で始まる語句
周囲形