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周囲
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まはり
ふりがな文庫
“
周囲
(
まはり
)” の例文
旧字:
周圍
君には分からないから云つて聞かせるが、偉大な思想は僕を
饜飫
(
えんよく
)
させる。そして僕の体の
周囲
(
まはり
)
の闇を昼の如くに照らしてゐるのだよ。
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
セルギウスが一人暮しをして、身の
周囲
(
まはり
)
の事を
総
(
すべ
)
て一人で取りまかなひ、パンと供物とで命を繋いでゐた時代は遠く過ぎ去つてゐる。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
夏、夏、夏の薄暮は何時もアーク燈の光のやうに薄紫の涙に濡れ
潤
(
しと
)
つたやるせない寂しい微光の氛囲気を私の心の
周囲
(
まはり
)
にかたちづくる。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「
恰
(
ちやう
)
どこゝのやうな処でね。」と未来の大統領は吐き出すやうに言つた。「法律家はみんな火の
周囲
(
まはり
)
に立たせられて居ましたよ。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
斯
(
か
)
ういふ相談をして居るところへ、
棺
(
ひつぎ
)
が持運ばれた。
復
(
ま
)
た読経の声が起つた。人々は最後の
別離
(
わかれ
)
を告げる為に其棺の
周囲
(
まはり
)
へ集つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
そのシヨオルの下の端は腰の
周囲
(
まはり
)
に結んである。シヨオルもその外の衣類も、山の高い、庇のない帽も氷で真つ白になつてゐる。
樺太脱獄記
(新字旧仮名)
/
ウラジミール・ガラクティオノヴィチ・コロレンコ
(著)
只違つてゐるのは、今度は今までよりも縦の方向が勝つて走るのでございます。わたくしは
胆
(
たん
)
を据ゑて目を開いて
周囲
(
まはり
)
の様子を見ました。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
劇
(
はげし
)
く手真似をして叫びかはす群が忽ちドルフの
周囲
(
まはり
)
へ寄つて来た。中に
干魚
(
ひもの
)
のやうな皺の寄つた爺いさんがゐて、ドルフの肩に手を置いた。
聖ニコラウスの夜
(新字旧仮名)
/
カミーユ・ルモンニエー
(著)
主人は起きて
周囲
(
まはり
)
を見廻はしたが、
傍
(
そば
)
にある軍刀を取らずに、運動のために振ることにしてゐる木刀のあつたのを持つて、玄関に出て来た。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
二十三の青年が到底人生に
疲
(
つか
)
れてゐる事が出来ない時節が来た。三四郎は
能
(
よ
)
く
出
(
で
)
る。大学の池の
周囲
(
まはり
)
も
大分
(
だいぶん
)
廻
(
まは
)
つて見たが、別段の
変
(
へん
)
もない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其
周囲
(
まはり
)
には村の若者が頬かぶりに尻はしよりといふ
体
(
てい
)
で、その数
大凡
(
およそ
)
三十人
許
(
ばか
)
り、全く
一群
(
ひとむれ
)
に
為
(
な
)
つて、
頻
(
しき
)
りにそれを練習して居る様子である。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
世が日毎に月毎に進んで、汽車、汽船、電車、自動車、地球の
周囲
(
まはり
)
を縮める事許り考へ出すと、徒歩で世界を一周すると云ひ出す奴が屹度出る。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
勇少年の輝いた胸と晴れやかな顔と、さうして少年の
周囲
(
まはり
)
で声張上て万歳を唱えてゐる少年達の表情をよく見て下さい。
喜びと悲しみの熱涙
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
家来の口の
周囲
(
まはり
)
には微笑の影が浮んだ。遠慮がし切れなかつたのである。「でも、お嬢様、馬は附けてございません。」
薔薇
(新字旧仮名)
/
グスターフ・ウィード
(著)
『わしは仕切つてる時にのう。
周囲
(
まはり
)
で見物のわあといふ声がするとどうしても立てんで。それに知つた人の顔が桟敷に見えるともういかんね。駄目だ』
怪物と飯を食ふ話
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
彼の家の
門口
(
かどぐち
)
へ駈けこんだ時、良平はとうとう大声に、わつと泣き出さずにはゐられなかつた。その泣き声は彼の
周囲
(
まはり
)
へ、一時に父や母を集まらせた。
トロツコ
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鍬
(
くは
)
をかついで来た勘又さんが、掘りはじめた。みんなはその
周囲
(
まはり
)
に立つて見てゐた。良寛さんも見てゐた。まるで
他人
(
ひと
)
のことのやうに平気で見てゐた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
「さう、土地を見てですな、
周囲
(
まはり
)
の風物、つまり環境を、最上級の言葉で讃美するといふのが、まあわれわれの常識です。前例をみられたらわかります」
泉
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
削立つた岩は
罅隙
(
すきま
)
のない壁の様で、しかもその上から
瀑布
(
たき
)
が泡を飛ばして墜ちて来て、直ぐ下にある、
周囲
(
まはり
)
の森の影に裹まれて、真黒な淵にはいります。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
けれども、
次第
(
しだい
)
に
畜生
(
ちくしやう
)
、
横領
(
わうりやう
)
の
威
(
ゐ
)
を
奮
(
ふる
)
つて、
宵
(
よひ
)
の
内
(
うち
)
からちよろりと
攫
(
さら
)
ふ、
漁
(
すなど
)
る
後
(
あと
)
から
嘗
(
な
)
めて
行
(
ゆ
)
く……
見
(
み
)
る/\
四
(
よ
)
つ
手網
(
であみ
)
の
網代
(
あじろ
)
の
上
(
うへ
)
で、
腰
(
こし
)
の
周囲
(
まはり
)
から
引奪
(
ひつたく
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
鼻は尖つて、干からびた顔の皮は紙のやうになつて、深く陥つた、
周囲
(
まはり
)
の輪廓のはつきりしてゐる
眼窩
(
がんくわ
)
は、
上下
(
うえした
)
の瞼が合はないので、狭い隙間を
露
(
あらは
)
してゐる。
板ばさみ
(新字旧仮名)
/
オイゲン・チリコフ
(著)
ソロドフニコフはそれに腰を掛けて
周囲
(
まはり
)
を見廻した。部屋に附けてあるのはひどく悪いランプである。それで室内が割合に暗くて息が籠つたやうになつてゐる。
死
(新字旧仮名)
/
ミハイル・ペトローヴィチ・アルチバシェッフ
(著)
赤帽が柱の
周囲
(
まはり
)
に、不性らしく立つてゐる。埃だらけのベンチの上に、包みや籠を置いて、それに倚り掛つて、不機嫌らしい顔をしてゐる下等社会の男女もある。
駆落
(新字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
右の手はアリスチドの
吭
(
のどぶえ
)
を掴んでゐる。
周囲
(
まはり
)
の人がなか/\その手を吭から放すことが出来なかつた。
センツアマニ
(新字旧仮名)
/
マクシム・ゴーリキー
(著)
そしてこの
金色
(
こんじき
)
のさゞ波にくるまつて、それは上手に踊るのでした。すると夕暮れの風は、急にはしやぎ出しますし、沼の
周囲
(
まはり
)
の草木もさかんに拍手をいたします。
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
彼は又、その家の
周囲
(
まはり
)
に
薫
(
かん
)
ばしい
匂
(
にほ
)
ひを放ついろいろの草花を植えた。彼の部屋の、
書卓
(
テーブル
)
を
据
(
す
)
ゑてある窓へ、
葡萄棚
(
ぶだうだな
)
の葉蔭を
洩
(
も
)
れる月の光がちら/\と
射
(
さ
)
し込んだ。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
双方共
背後
(
うしろ
)
から押されてゐる。中にちよい/\理性に
合
(
かな
)
つた詞を出すものがあつても、
周囲
(
まはり
)
の罵り
噪
(
さわ
)
ぐ声に消されてしまふ。此場の危険は次第にはつきり意識に上つて来た。
防火栓
(新字旧仮名)
/
ゲオルヒ・ヒルシュフェルド
(著)
其の
周囲
(
まはり
)
には子供が大勢泣いたり、騒いだり、喧嘩したりしてゐる。さう云ふ狭い横町をば包みを持ち尻を端折つた中年の男が幾人も、突当る人の中を急しさうに通つて行く。
根津遊草
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
目の
周囲
(
まはり
)
にいろんな隈を取つたりする遊女の厚化粧は決して
此
(
この
)
国の誇る趣味ではない。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
近江屋「なに、それはもつと小さい丸いので、ぶら
提灯
(
ぢやうちん
)
といふのだが、あれは
神前
(
しんぜん
)
へ
奉納
(
ほうなふ
)
するので、
周囲
(
まはり
)
を
朱
(
あか
)
で
塗
(
ぬ
)
り
潰
(
つぶ
)
して、
中
(
なか
)
へ
墨
(
くろ
)
で「
魚
(
うを
)
がし」と書いてあるのだ、
周囲
(
まはり
)
は
真
(
ま
)
ツ
赤
(
か
)
中
(
なか
)
は
真
(
ま
)
ツ
黒
(
くろ
)
。
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
老人は
骨鯁
(
こつかう
)
で、しかも淳樸なものらしい。
周囲
(
まはり
)
に狗がたかつて吠えてゐる。
フロルスと賊と
(新字旧仮名)
/
ミカイル・アレクセーヴィチ・クスミン
(著)
屋根も
周囲
(
まはり
)
の壁も大木の皮を幅広く
剥
(
は
)
ぎて組合したもので、板を用ゐしは床のみ、床には
莚
(
むしろ
)
を敷き、出入の口はこれ又樹皮を組みて戸となしたるが一枚
被
(
おほ
)
はれてあるばかりこれ開墾者の巣なり家なり
空知川の岸辺
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
寝床の
周囲
(
まはり
)
に散らばつた
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
何れこれからは
毎朝
(
まいてう
)
新聞記者が群をなして来て、このブリツキの盤の
周囲
(
まはり
)
を取り巻いて、最近の海外電報に対する僕の意見を聞くだらう。
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
弁護士、大日向、音作、銀之助、其他生徒の群はいづれも三台の
橇
(
そり
)
の
周囲
(
まはり
)
に集つた。お志保は
蒼
(
あを
)
ざめて、省吾の肩に
取縋
(
とりすが
)
り乍ら見送つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
野々宮君の妹と、妹の病気と、大学の病院を一所に
纏
(
まと
)
めて、それに池の
周囲
(
まはり
)
で
逢
(
あ
)
つた女を加へて、それを
一
(
いち
)
どきに
掻
(
か
)
き
廻
(
まは
)
して、驚ろいてゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
幸
(
さいはひ
)
に
美吉屋
(
みよしや
)
の家には、
坤
(
ひつじさる
)
の
隅
(
すみ
)
に
離座敷
(
はなれざしき
)
がある。
周囲
(
まはり
)
は
小庭
(
こには
)
になつてゐて、
母屋
(
おもや
)
との間には、小さい戸口の附いた
板塀
(
いたべい
)
がある。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
火の
周囲
(
まはり
)
には田舎の旅の者と仲間の弁護士が四五人、
亀縮
(
かじか
)
むだ手を出して
顫
(
ふる
)
へてゐた。どの手もどの手もまだ運を掴むだ事が無いらしかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
鳥は園の
周囲
(
まはり
)
に鳴き、園丁の鍬に掘りかへさるる赤土のやはらかなるあるかなきかの
湿潤
(
しめり
)
のなかのわかき新芽のにほひよ、冷めたけれども力あり。
春の暗示
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
はふり出されて、雪の中を引き摩られてゐる乗手は、力一ぱいに手綱を控へて、体の
周囲
(
まはり
)
の雪を雲のやうに立てゝゐる。
樺太脱獄記
(新字旧仮名)
/
ウラジミール・ガラクティオノヴィチ・コロレンコ
(著)
見えてゐる限りの空の
周囲
(
まはり
)
が、どの方角もぐるりと墨のやうに真黒になつてゐまして、丁度わたくし共の頭の上の所に、まんまるに穴があいてゐます。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
良寛さんの人がらも、その
周囲
(
まはり
)
の人々の心をうるほし、うはついてゐた心をしつとり落着かせ、知らぬ間に
希望
(
のぞみ
)
と喜びの芽をふかせるといふ風である。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
自動車はゆつくり花壇の
周囲
(
まはり
)
に輪をかいて、それから速度を早めて、
跳
(
をど
)
るやうに中庭を走つて出て、街道に続く道の、菩提樹の並木の間に這入つて行く。
薔薇
(新字旧仮名)
/
グスターフ・ウィード
(著)
何処かヲルフに似たやうな、饑死をし掛つた犬が一匹、家の
周囲
(
まはり
)
を
彷徨
(
ぶらつ
)
いて居るから、名を呼んで見ると、
厮奴
(
きやつ
)
は歯を
露出
(
むきだ
)
して、
噢咻
(
うな
)
つて逃げて仕舞ひました。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ソロドフニコフは歩きながら身の
周囲
(
まはり
)
を見廻した。何もかも動いてゐる。輝いてゐる。活躍してゐる。
死
(新字旧仮名)
/
ミハイル・ペトローヴィチ・アルチバシェッフ
(著)
「どうぞお
構
(
かまひ
)
下
(
くだ
)
さるな。なんでもありませんから。」セルギウスは殆ど目に見えぬ程唇の
周囲
(
まはり
)
を引き吊らせて微笑みながら、かう云つた。そしてその儘
勤行
(
ごんぎやう
)
を続けた。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
三味線の
湧
(
わ
)
くやうにきこえる
音
(
ね
)
、月の光の下に巧い
祭文語
(
さいもんがたり
)
が来て、その
周囲
(
まはり
)
に多勢の男女を黒く集めてゐる——そこからその軽い
艶
(
なまめ
)
かしい足音がやつて来たのであつた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
水
(
みづ
)
の
静
(
しづか
)
な
時
(
とき
)
は
大
(
おほき
)
い
角
(
つの
)
の
龍
(
りう
)
が
底
(
そこ
)
に
沈
(
しづ
)
んだやうで、
風
(
かぜ
)
がさら/\と
吹
(
ふ
)
く
時
(
とき
)
は、
胴中
(
どうなか
)
に
成
(
な
)
つて
水
(
みづ
)
の
面
(
おもて
)
を
鱗
(
うろこ
)
が
走
(
はし
)
るで、お
城
(
しろ
)
の
様子
(
やうす
)
が
覗
(
のぞ
)
けるだから、
以前
(
いぜん
)
は
沼
(
ぬま
)
の
周囲
(
まはり
)
に
御番所
(
ごばんしよ
)
が
有
(
あ
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
岩燕
(
いはつばめ
)
や、鴎や、あらゆる鳥達が、小川の岸に集つて、口の
周囲
(
まはり
)
を染めたり、羽を洗つたり、白粉をつけたり、紅をつけたり、手をそめたり、熱心に化粧をしてゐるのですから
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
多吉は両手で口の
周囲
(
まはり
)
を包むやうにして呼んだ。『先生い。何処を歩いてるんでせう?』
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
“周囲(
周辺
)”の解説
世界システム論で周辺(しゅうへん)、周囲(しゅうい)は、資本が乏しく、技術力も劣る発展途上国・地域をいう。世界システム論の提唱者ウォーラーステインは、周辺は中核の国(先進国)や地域に対し、不利な条件で、原料や食糧を供給させられ、貧困から抜け出せないとした。しかし、BRICsのようにまれに周辺から中核への上昇、またはその逆もある。
(出典:Wikipedia)
周
常用漢字
小4
部首:⼝
8画
囲
常用漢字
小5
部首:⼞
7画
“周囲”で始まる語句
周囲形