根津遊草ねづゆうそう
私に団子坂周辺を描いた小説が二つある。一は旧作「置土産」であり、一は「団子坂薄暮」である。前者は冒頭の背景に団子坂菊人形の殷賑を描き、後者は明治の浮世絵師国政が落魄の後、団子坂菊人形の木戸番に身を落したと嘗て伊藤晴雨画伯より聞かされたエピソ …