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吐
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つ
ふりがな文庫
“
吐
(
つ
)” の例文
誠に
有難
(
ありがた
)
い事で、
私
(
わたくし
)
もホツと
息
(
いき
)
を
吐
(
つ
)
いて、それから二
日
(
か
)
の一
番
(
ばん
)
汽車
(
きしや
)
で
京都
(
きやうと
)
へ
御随行
(
ごずゐかう
)
をいたして
木屋町
(
きやちやう
)
の
吉富楼
(
よしとみろう
)
といふ
家
(
うち
)
へ
参
(
まゐ
)
りました
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
玉ちやんの汁かけ飯を食べてゐるのには構はずに、奧さんは先づ溜息を一つ苦しげに
吐
(
つ
)
いて、
中單
(
チヨキ
)
を
着掛
(
きかゝ
)
つてゐる博士にかう云つた。
半日
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「だめだ。お母さんは、僕たちの遊びを馬鹿にしているんだからなあ。」
大袈裟
(
おおげさ
)
に溜息を
吐
(
つ
)
いて、蒲団を頭から、かぶってしまった。
ろまん灯籠
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
で、
旅宿
(
やどや
)
の一
室
(
ま
)
で出来るだけ小さくなつて、溜息ばかり
吐
(
つ
)
いてゐると、次の日曜日の朝、夫人は
金糸雀
(
かなりや
)
のやうな声ではしやぎ出した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
やがてお客様達がお食堂の方へお入りになると、
乳母
(
ばあ
)
やさんは達也様を抱いて、静かなお
離室
(
はなれ
)
へやって来て、一息
吐
(
つ
)
いていました。
美人鷹匠
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
▼ もっと見る
そして両腕をつきだし、
卓子
(
テーブル
)
の上に拳骨を構えて、大きな小麦袋でも抜き取ろうとする時のように、ふうっと深い溜息を一つ
吐
(
つ
)
いたが
生さぬ児
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
一時は腰が抜けて起つことも出来ない。寝ていても時を
頻
(
しき
)
って
咳
(
せ
)
き上げて来て
気息
(
いき
)
を
吐
(
つ
)
くことも出来ない。実に恐ろしく苦しみました。
幕末維新懐古談:50 大病をした時のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
氏の何より嫌ったのは、偽善家、氏の好意と寛大とにつけ込んであくどく利益を貪ろうとする人物、
気障
(
きざ
)
な人間嘘
吐
(
つ
)
き等であった。
名古屋の小酒井不木氏
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
八千石の大旗本が、潰れるか立つか、人の命幾つにも関わる事だけに、平次もお静も、八五郎も息も
吐
(
つ
)
かずに神妙に聴入りました。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
玲子は眼を大きく大きく見開いて中林先生の顔を見上げて
呼吸
(
いき
)
も
吐
(
つ
)
けないでいた。その顔を見下しながら中林先生はニッコリと笑った。
継子
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一あめ、さっと聞くおもい、なりも、ふりも、うっちゃった容子の
中
(
うち
)
に、争われぬ
手練
(
てだれ
)
が見えて、こっちは、
吻
(
ほっ
)
と息を
吐
(
つ
)
いた。……
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今の世にこんな事のできるものがいるかどうだかはなはだ疑わしい。おそらく古代の
聖徒
(
せいんと
)
の仕事だろう。三重吉は
嘘
(
うそ
)
を
吐
(
つ
)
いたに違ない。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
おげんは
寝衣
(
ねまき
)
を着かえるが早いか、いきなりそこへ身を投げるようにして、その日あった出来事を思い出して見ては深い溜息を
吐
(
つ
)
いた。
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
語り來つて石本は、痩せた手の甲に涙を
拭
(
ぬぐ
)
つて
悲氣
(
かなしげ
)
に自分を見た。自分もホッと息を
吐
(
つ
)
いて涙を拭つた。女教師は
卓子
(
テーブル
)
に打伏して居る。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と
溜息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いて、ジーナは語り出しました。父親というのは、同じ長崎県でもここからは北の
端
(
はず
)
れに当る、平戸島の人だというのです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
寝しなに、ランプの火で煙草を
喫
(
ふか
)
しながら、気がくさくさするような調子で、「アア、何だか厭になってしまった。」と溜息を
吐
(
つ
)
いた。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
わたくしはあまりのもどかしさに、よくないことと
知
(
し
)
りながらもツイ
神様
(
かみさま
)
に
喰
(
く
)
ってかかり、さんざん
悪口
(
あくこう
)
を
吐
(
つ
)
いたことがございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ここに正直な告白が更に一層明確に表現されたとしたら、私は恥づべき者でないことを證據立てられるのです。私はうそを
吐
(
つ
)
いてゐない。
帆の世界
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
ホッと息を
吐
(
つ
)
いた彼れは直ちに
衣服
(
きもの
)
を脱ごうとして例の通り、寝床へ入る前に懐中しておるものを一々取り出して
傍
(
そば
)
の
暖炉
(
ストーブ
)
の上に置いた。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
小平太は一丁ばかり来て、始めて吾に返ったように息を
吐
(
つ
)
いた。別段取りたてて
吹聴
(
ふいちょう
)
するようなこともないが、使命だけは無事に果した。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
もっとも私の立った
後
(
あと
)
にあるいは
縛
(
しば
)
られたとかいうような説もあるが、何分ラサの人間は嘘を
吐
(
つ
)
く者が多いからどうも当てにはならない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
嘘言を
吐
(
つ
)
くと云ふことは悪いことだと私達はずつと小さい時から教へられて来ました。これは恐らく一番いけないことに違ひはありません。
嘘言と云ふことに就いての追想
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
また精神上の潔癖家として
無暗
(
むやみ
)
に人を
毛嫌
(
けぎら
)
いするものもある。あいつはオベッカ者だからとかあいつはウソ
吐
(
つ
)
きだとかいって、口も
利
(
き
)
かぬ。
良人教育十四種
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
でも昨今は彼女も諦めたか、昼間部屋の隅っこで一尺ほどの
晒
(
さら
)
しの肌襦袢を縫ったり小ぎれをいじくったりしては、
太息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いているのだ。
死児を産む
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
彼は指先を酒に浸しながら櫃台の上に字を書き始めたが、わたしが冷淡に口を結んで遠のくと真から残念そうに溜息を
吐
(
つ
)
いた。
孔乙己
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
しかし、その時鑑識課員が姉妹の指紋を採りに入ってきたので、偶然緊迫した空気が
解
(
ほぐ
)
れて、一同はやっと一息
吐
(
つ
)
くことが出来たのである。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「貴様ひとりで、勝手にさっさっとうせえ。内の
娘
(
こ
)
はそんなところへ出て往く用はない」といって、またいつもの悪態を
吐
(
つ
)
く。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
この緊張した、黄金点をのみ通って行くような動きのあとに、息を
吐
(
つ
)
く間もなく、バッカントがバッカンティンを追うような動きが始まる。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
最前、ここをだしてくれなければ、火をつけるぞと
悪
(
あく
)
たれを
吐
(
つ
)
いていた、その
弁天
(
べんてん
)
さまのほうへ、声をしぼって救いをよんだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしていかにもつかれたやうにふらふら頭をふつて、それから口をまげてふうと息を
吐
(
つ
)
き、よろよろ倒れさうになりました。
月夜のでんしんばしら
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
此の無責任の大群が、恩人顔して出放題を
吐
(
つ
)
くのだから堪えられるもので無い。けれど「運動」と云ふものには此の「有志者」の虫が必要だ。
大野人
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「嘘を
吐
(
つ
)
き給へ、イワン・イワーノヸッチ!」その話を小耳にはさんで、グリゴーリイ・グリゴーリエヸッチが口を入れた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:04 イワン・フョードロヸッチ・シュポーニカとその叔母
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「わッははは。軍師が違うわ。うしろ楯におつき遊ばす軍師がお違い申すわ。夜食に
芋粥
(
いもがゆ
)
でも
鱈腹
(
たらふく
)
すすって、せいぜい寝言でも
吐
(
つ
)
かッしゃい」
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
頻りに溜息を
吐
(
つ
)
いておいでになりましたが、やがて低い聲で『あゝ御運の惡い方だ。』と獨り言のやうにおつしやいました。
半七捕物帳:01 お文の魂
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そんなら、どうして
嘘
(
うそ
)
を
吐
(
つ
)
くんだい。お父さんを困らせようと思ってだろう。ラッパが好きなら、ピストルが好きだなんていうもんじゃない。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
莫斯科
(
モスコオ
)
まで
後
(
あと
)
がもう
五晩
(
いつばん
)
あると思つて溜息を
吐
(
つ
)
いたり、
昨日
(
きのふ
)
も
一昨日
(
をとゝひ
)
も出したのに又子供達に出す葉書を書いたりして居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
加藤夫人はこれを
扉
(
ドア
)
まで送つてもとの椅子へ戻るまでに、中将は此処で始めて溜息を
吐
(
つ
)
き、椅子の背へ
凭
(
もた
)
れて眼を閉ぢる。
癖
(新字旧仮名)
/
喜多村緑郎
(著)
若し分かつたと言つたら、吉右衛門は——嘘を
吐
(
つ
)
いたのである。あの文章は
他人
(
ひと
)
に分かる筈がない。なぜなら、私にさへよく分からないのだから。
吉右衛門の第一印象
(新字旧仮名)
/
小宮豊隆
(著)
男は名前を云ってしまふと、息を
吐
(
つ
)
いて、それから、自分の年齢も、妹の名前も年齢も住所も話した。さうして、彼はまた赦して呉れと哀願した。
奥間巡査
(新字旧仮名)
/
池宮城積宝
(著)
今日やつと給料を前借りして來て息を
吐
(
つ
)
いた處なんだ。それも君、もう三月許り前借してゐるんだからねえ。はゝゝゝゝ
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
訓示と報告とが一通り済んだ時分、もうこれで散会になるだろうと、しびれを切らしたり、あくびを噛み殺していた連中がホッと息を
吐
(
つ
)
いた時分
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
『まァ、
行
(
い
)
つて
了
(
しま
)
つた、
可哀相
(
かあいさう
)
に!』
鼠
(
ねずみ
)
の
姿
(
すがた
)
が
全
(
まつた
)
く
見
(
み
)
えなくなるや
否
(
いな
)
や、ローリー
鳥
(
てう
)
は
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
つて
長太息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
きました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
かゝればかまどの烟細しとは言ひながら、其日其日を送るに太き息
吐
(
つ
)
く程にはあらず、折には小金貸し出す勢ひさへもありきと言ふものもありけり。
鬼心非鬼心:(実聞)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
そして良人の留守に姑は散々の悪態を
吐
(
つ
)
いて乱暴にも肺を病んでいる嫁をいびり出そうとした。恐ろしい権幕で今から直ぐに出て行けといい放った。
姑と嫁について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
番丙 これなる
老僧
(
らうそう
)
は、
顫
(
ふる
)
へながら
溜息
(
といき
)
を
吐
(
つ
)
き、
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
してをりまする。
只今
(
たゞいま
)
墓場
(
はかば
)
から
參
(
まゐ
)
るところを
取押
(
とりをさ
)
へて、これなる
鋤
(
すき
)
と
鶴嘴
(
つるはし
)
とを
取上
(
とりあ
)
げました。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
長閑
(
のどか
)
に一服吸うて線香の煙るように
緩々
(
ゆるゆる
)
と煙りを
噴
(
は
)
き
出
(
いだ
)
し、思わず知らず
太息
(
ためいき
)
吐
(
つ
)
いて、多分は
良人
(
うち
)
の手に入るであろうが憎いのっそりめが
対
(
むこ
)
うへ
廻
(
まわ
)
り
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
池のちかくまで来ると、冬子の脚どりは次第に
鈍
(
のろ
)
くなつて、稍ともすると立どまつて溜息を
吐
(
つ
)
くかのやうであつた。
女に臆病な男
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
世帶
(
せたい
)
じみた
事
(
こと
)
をと
旦那
(
だんな
)
どのが
恐悦顏
(
きようえつがほ
)
、
見
(
み
)
ぬやうにして
妻
(
つま
)
は
表
(
おもて
)
へ
立出
(
たちい
)
でしが
大空
(
おほぞら
)
を
見上
(
みあ
)
げてほつと
息
(
いき
)
を
吐
(
つ
)
く
時
(
とき
)
、
曇
(
くも
)
れるやうの
面
(
おも
)
もちいとゞ
雲深
(
くもふか
)
う
成
(
な
)
りぬ。
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
社前の拝石に腰を掛けて、深い溜息を
吐
(
つ
)
いていると、突然、空中から薄黒く細太き蛇が降って来て、危く直芳に当ろうとした。びっくりして飛上った。
壁の眼の怪
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
そしてようよう汽車賃ほか遺らない中から、薬代を払おうとして、きっと浩が済ませたに違いない受取りを出されたとき、彼は思わずも溜息を
吐
(
つ
)
いた。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
吐
常用漢字
中学
部首:⼝
6画
“吐”を含む語句
嘔吐
吐出
吐月峰
吐瀉
吐息
吐月峯
毒吐
竜吐水
逆吐
吐掛
唾吐
吐露
嘘吐
音吐
吐気
龍吐水
息吐
御吐
吐散
吐蕃
...