女に臆病な男おんなにおくびょうなおとこ
務めの帰途、村瀬は銀座へ廻つて、この間うちから目星をつけておいた濃緑地に虹色の模様で唐草風を織り出したネクタイを一本購つた。六円あまりだつた。——少々自分の分在には不相応のやうでもあり、失敗したかな?といふ軽い不安と、別に、つゝましく豪華な …