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ふりがな文庫
“
両親
(
ふたおや
)” の例文
旧字:
兩親
「おしずは、
両親
(
ふたおや
)
も、
兄妹
(
きょうだい
)
もないのだから、かわいがってやらなければならぬ。」といって、そこの
人
(
ひと
)
たちは、いたわってくれました。
愛は不思議なもの
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
半狂乱の
両親
(
ふたおや
)
は、検屍も調べも待たず、四本の手に抱き上げて、よろぼいよろぼい庭を隔てた自分の家へ担ぎ込んで行ったのです。
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
児
(
こ
)
は母の
懐
(
ふところ
)
にあり、母の袖
児
(
こ
)
の
頭
(
かしら
)
を
覆
(
おほ
)
ひたれば
児
(
こ
)
は
身
(
み
)
に雪をば
触
(
ふれ
)
ざるゆゑにや
凍死
(
こゞえしな
)
ず、
両親
(
ふたおや
)
の
死骸
(
しがい
)
の中にて又
声
(
こゑ
)
をあげてなきけり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「じゃあおめえは、
両親
(
ふたおや
)
を持っているかね。——ほんとの
父
(
とっ
)
つァんを知ってるけえ? おめえを生んだおッ
母
(
か
)
さんはどこにいる?」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
姫の
両親
(
ふたおや
)
はそのために、毎日毎日新しいお話の書物を一冊
宛
(
ずつ
)
買ってやったが、今は
最早
(
もはや
)
その書物が五ツの
倉庫
(
くら
)
に一パイになってしまった。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
▼ もっと見る
両親
(
ふたおや
)
は村境の橋の所まで送つて行つて、万作の姿の見えなくなるまで見てゐましたが、おつ母さんはたうとう泣き出しました。
蚊帳の釣手
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
むずかしそうな在所の
両親
(
ふたおや
)
の顔や、十両の小判や、黄八丈の小袖や、それが
走馬燈
(
まわりどうろう
)
のように
彼女
(
かれ
)
の頭の中をくるくると
廻
(
めぐ
)
った。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「そいつの
両親
(
ふたおや
)
と、生き残った女を、事務所へ引張って来て置いてくれ。ああ、まだ女の兄と云うのがあったな? そいつも連れて来て置け」
坑鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
実家
(
さと
)
の方は其頃
両親
(
ふたおや
)
は亡くなり、番頭を妹に
娶
(
めあ
)
はせた養子が、浄瑠璃に
凝
(
こ
)
つた
揚句
(
あげく
)
店
(
みせ
)
を売払つて大坂へ遂転したので、
断絶同様
(
だんぜつどうやう
)
に成つて居る。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
「神様お願いです」そう呟く、「親を
敬
(
うやま
)
うように、あいつらに智慧と分別を授けてやって下さい。それも、
両親
(
ふたおや
)
よりは利口にならぬように……」
グーセフ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
夫れを嘆く間もなく又た父が
病床
(
とこ
)
に就くように成りこれも二月ばかりで母の後を逐い、三人の児は半歳のうちに
両親
(
ふたおや
)
を失って忽ち
孤児
(
みなしご
)
となった。
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
『
否
(
いな
)
!』と強く自ら答へて見た。自分は仮にも
其麽
(
そんな
)
事を考へる様な境遇ぢやない、
両親
(
ふたおや
)
はなく、一人ある兄も
手頼
(
たより
)
にならず、又成らうともせぬ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
(女中たちが、そんな乱暴なことをして済みますか。
良人
(
やど
)
なら知らぬこと、
両親
(
ふたおや
)
にだって、指一本ささしはしない。)
清心庵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は不運で御座りますとて
口惜
(
くや
)
しさ悲しさ
打出
(
うちいだ
)
し、思ひも寄らぬ事を
談
(
かた
)
れば
両親
(
ふたおや
)
は顔を見合せて、さてはその様の憂き
中
(
なか
)
かと
呆
(
あき
)
れて
暫時
(
しばし
)
いふ言もなし。
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
父も兄も相果て、母が病中斯様な処に這入って芸者を致すとの物語を聞き、あゝ己は不孝で、二十四歳の折家出をして、
両親
(
ふたおや
)
に聊かも
報恩
(
おんがえし
)
を致さんで
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これはてつきり清野の
爺
(
ちやん
)
とおつ
母
(
かあ
)
との寝物語を聞いたのに相違ないと思つたのだ。子供といふものは、
両親
(
ふたおや
)
の寝物語からいろんな智識を得るものなのだ。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「おおさようか、益〻気の毒、さぞ
両親
(
ふたおや
)
が案じていよう、計らず逢ったも何かの縁、人を付けて帰して遣わす」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一時に
両親
(
ふたおや
)
に別れて、死目にも
逢
(
あ
)
はず、その臨終と謂へば、気の毒とも何とも謂ひやうの無い……
凡
(
およ
)
そ人の子としてこれより上の
悲
(
かなしみ
)
が有らうか、察し給へ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
爾がためには父のみか、母も
病
(
やみ
)
て
歿
(
みまか
)
りたれば、
取不直
(
とりもなおさず
)
両親
(
ふたおや
)
の
讐
(
あだ
)
、年頃
積
(
つも
)
る意恨の牙先、今こそ思ひ知らすべし
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
校長の話では某県下の大地主で
両親
(
ふたおや
)
はなく文学士の兄が弟を監督して居るとのことで、もうこれで疑いの余地がなくなったから、最後に直接訪問をした訳だが
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
お島は
両親
(
ふたおや
)
の前へ出ると、急に胸苦しくなって、
昨夜
(
ゆうべ
)
から張詰めていた心が一時に
弛
(
ゆる
)
ぶようであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
あのときの赤ん坊が、
両親
(
ふたおや
)
の断末魔の血を啜って、どんな女に
生長
(
せいちょう
)
したか、よく顔を拝ませてやれ
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
修身の先生に、
両親
(
ふたおや
)
の無い人は手を挙げてごらんなさいと云われて、隆吉は手を挙げた由。するとその後で、授業がすんでから、先生がいらして、いろいろ慰めて下すった。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
しかる後、また死んだもののために小さな
位牌
(
いはい
)
を作った。位牌には黒い
漆
(
うるし
)
で
戒名
(
かいみょう
)
が書いてあった。位牌の
主
(
ぬし
)
は戒名を持っていた。けれども
俗名
(
ぞくみょう
)
は
両親
(
ふたおや
)
といえども知らなかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
伊賀の国は柳生の
郷
(
さと
)
の生れとだけで、
両親
(
ふたおや
)
の顔も名も知らない、まったくの親なし千鳥。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
女史には老たる
両親
(
ふたおや
)
がおありでした。三人の女のお子と、その折に
二歳
(
ふたつ
)
になる男のお子とをお残しでした。今は、二人の女のお子は
母君
(
ははぎみ
)
のあとを
慕
(
した
)
って、次々に世をさられました。
大塚楠緒子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
両親
(
ふたおや
)
に対しては前よりも
一入
(
なお
)
言わぬ。何処をあてともなく
茫然
(
ぼんやり
)
として溜息をつく。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
お祭を
行
(
や
)
りましたが、一人息子に死なれた
年老
(
としと
)
つた
両親
(
ふたおや
)
は、
稼人
(
かせぎて
)
が無くなつたので、地主から、田地を取り上げられる、税を納めねいので、役場からは有りもせぬ家財を売り払はれる
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
両親
(
ふたおや
)
ともとうに無くなって、他に兄弟と云うものもないので、親類の老人達は彼に結婚させようとして
煩
(
うる
)
さく勧めたが、彼はそれに耳を傾けないし、また、彼に財産の多いのと
名聞
(
めいぶん
)
があるのとで
赤い花
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ほかにも心当りないわけやないけど、それよりもやな、気心のよう判ったおまはんの孫を貰たらと、こない思てな。それになんや、その子は
両親
(
ふたおや
)
ともないさかい、かえって貰ても罪が無うて良えしな
わが町
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
秋作氏は長六閣下
末弟
(
ばってい
)
の子で、従って槇子たち同様、キャラコにとっても
従兄
(
いとこ
)
にあたる。早くから
両親
(
ふたおや
)
をなくして、苦労しながら絵の勉強をしている。沼間夫人いうところの『乞食画かき』である。
キャラコさん:01 社交室
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
エリザヴェート姉上、我々
姉弟
(
きょうだい
)
は早く
両親
(
ふたおや
)
に死に別れました。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
両親
(
ふたおや
)
は娘一人ふえたこれからの
生活
(
くらし
)
を考える
農村から:――失業反対――
(新字新仮名)
/
榎南謙一
(著)
けれども遣らねばならぬ。遣るならば
両親
(
ふたおや
)
が附き添うて、腰元に
供
(
とも
)
させて、華やかに喜び勇んで遣りたかった。けれどもそれも出来なかった。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
戦略のため、わが子を頼朝へ渡しておきながら、生みっ放し、人手に渡しっ放しの、無情な
両親
(
ふたおや
)
になっているのである。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
外
(
そと
)
に
遊
(
あそ
)
んでいた
子供
(
こども
)
が
家
(
うち
)
へ
知
(
し
)
らせにきました。
両親
(
ふたおや
)
は
顔
(
かお
)
を
見合
(
みあ
)
わせてびっくりしました。そして
外
(
そと
)
に
出
(
で
)
てみますと、まさしく
龍雄
(
たつお
)
でありました。
海へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
両親
(
ふたおや
)
に早く死に別れて、たった二人の
姉弟
(
きょうだい
)
ですから、互いに力にしていたのが、今では別れ別れになって、生き死にさえわからんようになりました。
少年の悲哀
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
まだ
両親
(
ふたおや
)
ともあったんです。母親が大病で、暑さの
取附
(
とッつき
)
にはもう医者が見放したので、どうかしてそれを
復
(
なお
)
したい一心で、薬を探しに来たんですな。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お絹はその軽薄を憎むよりも、そうした境遇に沈んでいる自分の今の身が悲しく
果敢
(
はか
)
なまれた。小さいときに死に別れた
両親
(
ふたおや
)
や妹が急に恋しくなった。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さま/″\の
浪言
(
らうげん
)
をのゝしりて
家内
(
かない
)
を
狂
(
くる
)
ひはしるを見て、
両親
(
ふたおや
)
娘が
丹精
(
たんせい
)
したる心の内をおもひやりて
哭
(
なき
)
になきけり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
倫敦
(
ロンドン
)
で生れて英国の小学校で育つた
丈
(
だけ
)
に達者に英語を話す。
此
(
この
)
日本
街
(
まち
)
に加はつて日本画を
描
(
か
)
いたり日本
陶器
(
たうき
)
を売つたりして居る
真面目
(
まじめ
)
な
両親
(
ふたおや
)
の愛嬢である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
自分は
両親
(
ふたおや
)
が結婚してから三月目に出来た子供だといふ事、借りた金には利息といふものが要るといふ事を知るのは、大抵の場合
両親
(
ふたおや
)
の寝物語からである。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ああ可愛さうな事をと声たてても泣きたきを、さしも
両親
(
ふたおや
)
の機嫌よげなるに言ひ
出
(
いで
)
かねて、
烟
(
けむり
)
にまぎらす
烟草
(
たばこ
)
二三服、
空咳
(
からせき
)
こんこんとして涙を
襦袢
(
じゆばん
)
の
袖
(
そで
)
にかくしぬ。
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その日より宮は
少
(
すこし
)
く食して、多く眠らずなりぬ。貫一は知らず、宮はいよいよ告げんとは
為
(
せ
)
ざりき。この間に
両親
(
ふたおや
)
は
幾度
(
いくたび
)
と無く談合しては、その事を決しかねてゐたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
富「イヤ
此度
(
こんど
)
は実に弱りまして、只もうどうも富五郎は
両親
(
ふたおや
)
に別れたような心持が致しますなア」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『紋十郎は悪党だ、心の知れない
曲者
(
くせもの
)
だ』と……けれども妹の私にだけはいつも親切ないい兄様で、一度として叱った事もなく、
両親
(
ふたおや
)
のない私には誰より頼もしい方でしたが
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
小さい時に
両親
(
ふたおや
)
を失って、お
祖父
(
じい
)
さんの手で育てられていましたが、非常な乱暴者で、近所の子供達と
喧嘩
(
けんか
)
をしたり、他人の果樹園に忍び込んで、
林檎
(
りんご
)
や
無花果
(
いちじく
)
の実を盗んだり
彗星の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
おいらの
両親
(
ふたおや
)
は、伊賀国柳生の者だとばっかり、皆目手がかりがねえんだが、もしお立ちあいの中に、心あたりのある人があったら、ちょいと知らせておくんなせエ。いい
功徳
(
くどく
)
になるぜ。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その時はそれですんだが、
両親
(
ふたおや
)
に対する僕の記憶を、生長の
後
(
のち
)
に至って、遠くの方で曇らすものは、二人のこの時の言葉であるという感じがその
後
(
のち
)
しだいしだいに強く明らかになって来た。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「どうもこうもねえ。俺達は
両親
(
ふたおや
)
やられたんだ。さっさと切ってしまえ」
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
両
常用漢字
小3
部首:⼀
6画
親
常用漢字
小2
部首:⾒
16画
“両”で始まる語句
両
両人
両手
両方
両肱
両側
両眼
両国
両掌
両膝