一羽いちは)” の例文
其船頭そのせんどう悠然いうぜんとして、片手かたてあやつりはじめながら、片手かたてみづとき白鷺しらさぎ一羽いちはひながらりて、みよしまつたのである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彈丸だんぐわんもの見事みごとその一羽いちはたをしたが、同時どうじ鳥群てうぐんは、吾等われら敵對てきたいいろがあるとつたからたまらない。
トワルのいづれかに黄金きんの目の光る一羽いちはふくろふを添へたまへ。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
たつた一羽いちは、うつくしく。
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
一羽いちはがとべばまた一羽いちは
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
以前いぜんなにかにわたしが、「田舍ゐなかから、はじめて新橋しんばしいた椋鳥むくどり一羽いちは。」とかいたのを、紅葉先生こうえふせんせいわらひなすつたことがある。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
可愛かはいい一羽いちはのしらはと
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ねぐらえだあらそつて、揉拔もみぬかれて、一羽いちはバタリとちてまはしたのを、みづをのませていきかへらせて、そしてはなしたひとがあつたのをおぼえてる。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「かあ」と一羽いちはけば
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
二羽には一処ひとところにト三羽さんば一処ひとところにトてそして一羽いちはが六しやくばかりそらなゝめあしからいとのやうにみづいてつてあがつたがおとがなかつた、それでもない。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「すゞめ三羽さんばはと一羽いちはといつてね。」とちやん格言かくげんまで出來できた。それからおもふと、みゝづくをもつて、たちま食料問題しよくれうもんだいにする土地とち人氣にんきおだやかである。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちがふよ、おまへ椋鳥むくどりふのはれてるからなんだよ。一羽いちはぢやいけない。」成程なるほどむれてるものだとおもつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……大抵たいてい眞夜中まよなか二時にじぎから、一時ひとときほどのあひだとほく、ちかく、一羽いちはだか、二羽にはだか、毎夜まいよのやうにくのをく。ねがてのよるなぐさみにならないでもない。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つるよ、いよ、とびたまへば、をりから天下太平てんかたいへいの、蒼空あをぞらたかしたりける、丹頂千歳たんちやうせんざいつる一羽いちは、ふは/\とりて、ゆき末黒すゑぐろ大紋だいもんそでしぼつてかしこまる。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まだかはつたことには、ふなばたかすみつゝんで、ふつくり浮上うきあがつたやうなともまつて、五位鷺ごゐさぎ一羽いちは頬冠ほゝかぶりでもさうなふうで、のつとつばさやすめてむかふむきにチヨンとた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はつとおもへば、からすほどの真黒まつくろとり一羽いちは虫蝕むしくひだらけの格天井がうでんじやうさつかすめて狐格子きつねがうしをばさりと飛出とびだす……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もすそひらいて、もだくるしむがごとくにえつゝ、本尊ほんぞんたるをんなざうは、ときはや黒煙くろけむりつゝまれて、おほき朱鷺ときかたちした一団いちだんが、一羽いちはさかさまうつつて、水底みなぞこひとしく宿やどる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さびしくしかたからかに、むかなゝめはるかながら、のぞめばまゆにせまる、滿山まんざんもやにして、其處そこばかり樹立こだちふつさりと黒髮くろかみみだせるごとき、はらあたりやまに、すぽい/\、すぽい/\とたゞ一羽いちはとりいた。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さびしさうに、一羽いちは目白鳥めじろいた。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)